議会報告

  • 2023年03月07日
    予算・決算特別委員会

    2023年度予算特別委員会 環境部 いそみ恵子

    ○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団の西宮選出のいそみ恵子である。よろしくお願いする。

    神戸製鋼所火力発電所3、4号機稼働について、まず質問をする。

    事後監視調査報告書についてである。

    神戸製鋼所火力発電所4号機がこの2月1日に営業運転を開始した。神戸発電所1ないし4号機の合計出力は計270万キロワットに上り、国内最大級の石炭火力の集積地となり、二酸化炭素の排出は年間1,400万トン、神戸市の全世帯、事業者の総排出量を大きく上回る見通しで、国内外から批判が湧き起こっている。

    県は3、4号機建設において、2015年から環境影響評価審査会で審査し、2018年3月には準備書への知事意見を提出されておられる。知事意見の中で、事後監視調査を記載し、調査結果の提出を求めており、それを受け、3号機の稼働が始まった昨年度の調査結果が報告されている。

    そこで、お聞きをする。その調査結果報告に対する環境影響評価審査会の温室効果ガス等に対する審査の特徴と、審査結果についてお答えいただきたい。

    ○環境影響評価官(中村浩明) 神鋼石炭火力発電所については、環境影響評価法に基づき、環境影響評価準備書に対して平成30年3月16日に知事意見を述べ、二酸化炭素総排出量を施設供用によって増加させないことを求めている。加えて、この状況を確認するために、事業者に事後監視調査を行わせ、その結果を県へ年1回報告させている。

    昨年8月に提出された報告書では、3号機は令和4年2月に稼働したために、令和3年度の排出量は2ヵ月分の59万トンCO2であり、対して、二酸化炭素排出削減の状況は、事業者による工程集約や供給先における再生可能エネルギーの導入拡大などにより、平成25年度基準年に対して約4,400万トンCO2の削減であった。

    この報告に対しては、環境影響評価審査会で審査を行い、知事意見どおり、適正に実施され、二酸化炭素総排出量を施設供用によって増加させていないという結果を確認をしている。

    ○いそみ恵子委員 知事意見が出された2018年時点では、県の温暖化対策推進計画の2030年までのCO2削減目標は、2013年26.5%、2050年に80%だったが、現在の計画では、世界の水準から見ても低過ぎると私たちは指摘をしているが、2030年目標が48%、2050年はカーボンゼロということになっている。2018年の知事意見には、今後の国及び地元自治体のエネルギー政策や地球温暖化対策等に関する最新の動向に注視し、事業計画に対して必要な検討を引き続き行うことを求めている。この3、4号機の稼働は30年間と言われ、ゼロカーボンにしなければならない2050年以降も稼働することになっている。

    そこで、お聞きをする。県は知事意見に基づいて、国や県の計画の変更に伴う必要な検討を事業者に求めているのか。また、今回の事後監視調査報告は、この3、4号機の稼働が、2030年の県の新たな目標、2050年のゼロカーボンと合致するという評価なのか。この点についてお答えいただきたい。

    ○環境影響評価官(中村浩明) 地球温暖化対策については、先ほど委員からご指摘あったとおり、環境影響評価準備書に対する知事意見の中で、今後の国及び地方公共団体のエネルギー政策や地球温暖化対策等に関する最新の動向を注視し、事業計画に関して必要な検討を引き続き行うこととしている。

    事業者は事後監視調査結果報告書の中で、カーボンニュートラルに向けた取組として、二酸化炭素の回収、利用、貯留技術やアンモニア混焼技術について情報収集を行い、国の施策に適合するよう検討を行っていくとしている。この報告内容については、環境影響評価審査会のほうで審査を行い、現時点では妥当であると判断をしている。

    ○いそみ恵子委員 このカーボンニュートラルへの取組について記載されているアンモニア技術の問題だが、実用化についても、アンモニアの調達にも大きな課題があるとされている。

    神戸新聞の「座礁資産 石炭火力を問う」という連載があった。その2回目には、神鋼の石炭火力発電所のアンモニア利用について書かれている。京大の松下和夫名誉教授は、技術確立には膨大なコストが見込まれ、商用化できないおそれもあると指摘。さらに、アンモニアの調達について、アンモニアの国内需要は現在、年間100万トンであるが、資源エネルギー庁によると、出力100万キロワットの石炭火力発電では、20%混焼のためにはアンモニア50万トンを要するとし、神鋼の270万キロワットでは、現在の国内需要を超える135万トンのアンモニアが必要となるとされ、国内の大手発電所全てで20%混焼すれば、年間で2,000万トン、専焼では1億トンを要することになる。だが、エネルギー庁は30年の需要を300万トン、50年の需要を3,000万トンと予測。こうした状況で神鋼が必要なアンモニアを調達できるのか、大きな疑問が提示されている。

    県はこのアンモニアへの転換が現実に早期に行われ、2030年目標、2050年ゼロカーボンを達成するというその見通しを得ているのか、お答えいただきたい。

    ○温暖化対策官(濵田美香) KOBELCOグループ中期経営計画では、2030年度に向けて、アンモニア混焼の検討、2050年に向けて、安価で大量なゼロエミアンモニアの商用化に応じて専焼への挑戦を進めていくこととされており、これらの取組が進められている状況と認識している。

    昨年度改定した県の温暖化対策推進計画では、2050年二酸化炭素実質排出ゼロをゴールとしており、CO2フリーのエネルギーへの転換を図っていくことが重要と考えている。

    KOBELCOグループ中期経営計画に記載されているカーボンニュートラルの達成について、そのロードマップに示されている取組が着実に実施されるよう、引き続き指導していく。

    ○いそみ恵子委員 先ほど詳しくアンモニアの混焼のこととか、専焼のこととか、大変膨大なアンモニアが必要となってくるという話もさせていただいた。

    それで、経産省の調査では、アンモニア1トンを作るのに1.6トンのCO2を排出するとしている。そのことを踏まえれば、100万キロワットの石炭火力発電では、アンモニアを20%混焼ではわずか4%の削減にしかならず、100%アンモニア専焼にしても20%の削減にしかならないという指摘がある。脱炭素とはまさに逆行しかねない、不確実な計画では、県の計画とも整合しないと思う。

    対応を事業者任せにするのではなく、県が主体的に調査・検討し、計画と整合しない場合、稼働中止も含めた働きかけを行うべきではないか。この点についてご答弁いただきたい。

    ○温暖化対策官(濵田美香) 昨年度、神戸製鋼所を含む産業界、金融機関、研究機関及び行政により構成されるひょうごゼロカーボン産業社会共同研究会において、エネルギー転換による温室効果ガスの削減、代替エネルギーの安定供給、先進技術の開発・普及等について、共同で研究し、提言を取りまとめたところである。このように、事業者の脱炭素を進めていくためには、最新の社会動向や技術の進展状況等について情報を共有し、その実現に向けて連携していくことが重要と考えている。

    発電所の規制は国が所管しており、県には発電所の休止等を命ずる権限はないが、同社の中期経営計画に記載されているカーボンニュートラルの達成について、そのロードマップに示されている取組が着実に実施されるよう、引き続き指導していく。

    ○いそみ恵子委員 共同研究によるそうした提言もまとめられて、それに基づいて事業者の脱炭素に向けての情報を共有しながら、ロードマップに基づくそうした指導をやっていくということであるが、県は、もともとはこれは国だと。だから、県にはそういう命ずる権利は、稼働中止ということを含めた、こうした働きかけについて、これについてはできないという答弁だったと思う。

    温暖化対策に矛盾する石炭火力の発電所は、世界では廃止の流れである。ご承知のとおり、昨年のCOP27で日本が化石賞を取った理由も、石炭、石油など化石燃料発電への投資の大きさである。神鋼の新設石炭火力発電所には、事業者任せではなく、稼働中止も含めた対応をやはりきっぱりと行うべきである。他の石炭火力発電所に対しても、計画に基づいて厳しい行政的対応を行うべきだと、この点については強く指摘をさせていただき、次の質問に入る。

    次は、再生可能エネルギー導入の抜本的な促進についてである。

    先般の財政状況の質疑の中で、私は、県の脱炭素事業について、製造・運搬過程で大量のCO2を排出し、その効果が見通せない水素事業が中心になっていると指摘をしてきた。2030年の温室効果ガスの半減、2050年ゼロカーボンのために、多くの識者が再生可能エネルギーと省エネルギーの促進が不可欠だと提言していることも紹介した。先ほどの京大の松下名誉教授も、短期的観点から既存の化石燃料、火力等を温存するのではなく、再生エネルギーの拡大活用が必要だと、このように指摘をされておられる。

    そこで、お伺いする。財政状況の審査では、2023年度予算案では水素関連に前年比約12%増の1億2,789億円となっていることを確認した。それでは、来年度予算案において、再生可能エネルギーに関わる融資を除く2022年度と2023年度の予算額と主な内容をお答えいただきたい。

    ○温暖化対策官(濵田美香) 融資を除く再生可能エネルギー推進のための県予算だが、2022年度が1億241万9,000円、2023年度が2,681万8,000円となっている。

    2023年度予算では、県債管理基金への基金集約の解消により、2022年度に基金事業として計上していた8,360万4,000円分を県予算に計上していないため、大幅に減額しているように見えるが、従前の基金事業については、ひょうご環境創造協会において、引き続き同規模で実施することとしている。

    なお、2023年度の県予算の主な内容は、地域循環共生圏のモデル構築や、中小事業者へのPPA方式による太陽光発電等の導入支援を新規事業として立ち上げたことから、実質的には対前年度比約43%の増額要求となっている。

    ○いそみ恵子委員 今、2022年度と2023年度の予算額それぞれお答えいただいた。22年度1億241万9,000円、それから23年度2,681万8,000円と、こういうことで言われて、基金集約との関係で減っているというようなことも言われていたが、県予算だけでは再生可能エネルギーが前年度の約3割の予算額となっている。協会実施にこうした部分が前年度並みに支出されたとしても、来年度、約1億1,000万円程度で、まさに十分とは言えない。県の温暖化防止対策推進計画の2030年目標は、これも低過ぎると思っているが、目標は30%となっている。直近の2020年度、2021年度の再工ネ導入比率をお答えいただきたい。

    ○温暖化対策官(濵田美香) 2020年度は約47億キロワットアワーで、再エネ比率13%、2021年度は約49億キロワットアワーで、再エネ比率は13%である。

    ○いそみ恵子委員 今お答えがあったとおりである。再生エネルギー導入比率、それぞれ13%ということである。21年度時点では、やはり前進せず、13%にとどまっている。このペースでは、率直に言って、この低い県の目標すら届かないのではないか。

    識者、研究者らでつくる未来のためのエネルギー転換研究グループがまとめたレポート2030、グリーンリカバリーと2050年カーボンニュートラルを実現する2030年までのロードマップでは、2030年までに再生可能エネルギー比率を44%まで引き上げることが必要とされている。

    企業版ふるさと納税を活用した持続可能な兵庫県づくり基金での脱炭素化施策も水素施策に偏っているが、科学的知見に立ち、実効力ある脱炭素化事業を促進するためにも、水素関連予算を再生可能エネルギー予算に回すなど、予算も抜本的に増やし、再生可能エネルギーの思い切った抜本的な推進を行うことを求めるが、いかがか。

    ○温暖化対策官(濵田美香) 水素は2050年カーボンニュートラルを実現するために不可欠な要素であり、将来的なCO2フリー水素に向けて取組を進める必要があると考えている。

    再生可能エネルギーの導入については、2030年度の導入目標100億キロワットアワーの達成のため、県予算はもちろんのこと、民間事業者の資金や国庫補助などあらゆる財源を活用し、取組を進めている。

    現在、県自らも県有施設7ヵ所で初期投資額2億5,000万円に相当する太陽光発電設備の設置について、民間資金を活用し、PPA方式で進めている。今後、三井住友銀行の企業版ふるさと納税を活用し、民間事業者にも拡大していく。

    また、ひょうご環境創造協会による事業としては、家庭や中小事業者への再エネ導入補助や、再エネ事業者とのマッチング支援、地域での小水力発電等の設置に向けた取組支援や、再エネ導入を進める人材育成を行っていく。

    さらに、北摂里山地域循環共生圏で進めている木質バイオマスの有効活用では、NEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構の補助を活用しながら事業を進めている。

    これらの取組について、あらゆる手段や財源を活用し、再生可能エネルギーの導入拡大を強力に進めていく。

    ○いそみ恵子委員 県の脱炭素化事業を再生可能エネルギーへの抜本的な推進に転換する、こういうことを再度求めて、私の質問を終わる。ありがとうございました。

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