議会報告
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○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団、西宮市選出のいそみ恵子である。質問をさせていただく。
まず、奨学金返済支援制度についてお伺いする。
県は、県内で働く若者の定着に力を注ぐと、中小企業などに勤務する30歳未満の若者を対象に、奨学金返済を支援する制度を創設するとして、その内容は就職後5年間、県が年間返済額の3分の2を、残りを事業者が3分の1負担し、本人負担をゼロとするとのことである。まず、その予算額と利用人数の目標と見込み数についてお答えください。
また、これは知事の公約の新たな制度の創設と県は強調されているが、知事の公約の一つである返済不要の県独自の奨学金創設ということで理解していいのか、これまでの兵庫型奨学金返済支援制度との関連について、まずお答えください。
○就労対策官(平野 謙) 令和5年度の当初予算は9,372万9,000円である。利用人数は600人以上を目標としている。最長5年間、年間返済額18万円を上限として本人返済額がゼロとなる制度としており、企業と合わせた最大支援額は90万円となる。
これにより、コロナ禍の影響を受けて大学生活を過ごした方々をはじめ、奨学金返済の負担が重い若年者への大きな支援となると考えている。人材確保支援を目的とする制度としては、他府県の類似制度と比較しても最も有利な制度となり、県内企業への就職促進や早期離職の防止への効果を期待しているところである。
○いそみ恵子委員 ただいま令和5年度の予算について9,372万円余りと、それから目標は600人以上ということでお答えがあった。ただ、私これまでの兵庫型奨学金返済支援制度との関連について、これについてお聞きしたけれど、それについては答弁がなかったが、その点について少しお触れください。
○就労対策官(平野 謙) 当制度は、奨学金の給付制度ではなく、県内企業への就職促進を図る人材確保の支援制度となっている。知事公約との兼ね合いについては、行政の立場からは答弁することは差し控えをさせていただきたいと思っている。
○いそみ恵子委員 知事公約については答弁できないということでお答えがあった。
それで、2016年度、平成28年度から始まったこれまでの兵庫型奨学金制度、中小企業就業者確保支援事業について拡充等を日本共産党県議団は繰り返し取り上げてきた。この制度は、制度をまず設ける中小企業が3分の1、本人が3分の1、県が3分の1負担することになっている。これまで日本共産党県議団は、もっと予算額を増やし、本人負担のない奨学金制度として拡充することや、根本的には知事の公約どおり県独自の給付型奨学金制度をつくることを提案してきたところである。
今回の制度は、私は評価をするものである。が、予算額、先ほどもあった9,372万円余り、あまりにも少ないとこのように思っている。この制度の土台となった兵庫型奨学金制度、22年度当初予算額とそれから決算額、制度を設けられた事業者数と利用人数の実績についてお答えください。
○就労対策官(平野 謙) この兵庫型奨学金返済支援制度であるが、令和3年度の実績は、当初予算3,739万8,000円に対し、決算額は2,378万円、令和4年度は当初予算3,765万9,000円に対して、決算見込額2,900万円となっている。
利用企業は、令和3年度124社、利用従業員は516人、令和4年度については、概ね140社と550人の利用を見込んでいるところである。
○いそみ恵子委員 今お答えをいただいた。やはりこの制度、まず事業所が制度を設けることが前提で、実績は徐々に伸びているが少ない。そこで質問をする。
22年度、先ほどあったが、3,765万円、そういうことで報告もあったが、そういう中で、今回県が制度創設というのであれば、今回予算額もっと増やして事業者の負担を減らす、例えばその導入を促す、県としての中小企業に対する直接支援が必要と考えるが、どうか。
それから、既にこの制度を受けているその対象者にも遡及適用して、本人負担のないものにすることが必要と考えるが、どうか。お答えください。
○就労対策官(平野 謙) まず事業者への支援の部分であるが、当該企業の人材確保を県が連携して支援するという当事業の性質上、現行と同程度の負担は必要であるというふうに私どもとしては判断している。補助率や補助額の引上げに当たって、事業者負担を据置きとし、事業者にも配慮したところである。
また、新制度は来年度以降に返済される奨学金を対象としている。既に採用済みで今年度に制度利用中の方でも、来年度以降の返済分については支援の対象としたいと考えているところである。
○いそみ恵子委員 今ご答弁いただいたが、せっかくこういういい制度をつくったのだから、今受けていらっしゃるそういう方々にもぜひ遡及適用して、しっかりとやっぱり中小企業の人材確保をしていくという後押しを、ぜひ県としてもやっていただきたなというふうに思う。
それでこの問題では、コロナ禍と円安、そして物価高騰で中小企業の経営が本当に苦しい中で、その企業が3分の1とはいえ負担を行う制度では限界があるのではないか。改めて、知事が公約した返済不要の県独自の奨学金制度創設が必要である。財源がないというのであれば、内部留保金を積み上げている体力のある大企業への産業立地補助金を削り、中小企業支援にこそ回すべきである。このことを申し上げてこの質問は終わりたいと思う。
それで次は、ジェンダー平等社会に向けた男女の賃金の格差是正についてである。
現在、男女間の賃金に格差が生じている要因は、出産や育児、介護といったことを機に様々な要因で再び働き始める際に、非正規雇用を選択せざるを得ない状況があることなどなど、女性の働き方に関する実態が考えられる。
県内の企業において女性が生き生きと働き続けられる職場環境の実現に向け、県としてどのように取り組まれているのか、その点についてお答えください。
○労政福祉課長(入江浩子) 男女の賃金格差は、出産等による離職や非正規雇用の選択等 による勤務年数や雇用形態、管理職比率の男女差が主な原因と認識している。
労働者がライフスタイルに合わせて雇用形態を自由に選択し、性差や勤務体系によることなく生き生きと働き続けるためには、労働条件、労働環境の向上が不可欠である。
県では、ひょうご仕事と生活センターにおける県内企業のワーク・ライフ・バランスの推進を通じ、長時間勤務の削減やテレワークの推進、勤務時間を選択できるフレックスや短時間勤務制度の導入、女性管理職の登用促進など、個別企業・事業所の課題に対して専門スタッフが伴走型で支援を行い、働く女性の労働環境の向上を進めている。また、育児・介護代替要員確保支援事業で代替要員の人件費の一部を支援することにより、結婚・出産、介護などのライフイベントによる離職防止にも取り組んでいる。
これらの取組を通じて、県内企業において、誰もが性差にかかわらず生き生きと働き続けられる労働条件・労働環境の実現を目指していく。
○いそみ恵子委員 県としての取組、様々に、ちょっとやっぱり同意できないような内容も含まれているけれど、そういう県としての取組をやっているということである。
それから、引き続いて質問したいと思う。
女性が非正規雇用を選択せざるを得なかった場合、同一企業内において、正規労働者と非正規労働者との不合理な待遇の差をなくしていく、同一労働、同一賃金の適用によって待遇格差の解消が必要と考えるが、この点についても県としてどのようにこれまで取り組んできたのか、ご答弁ください。
○労政福祉課長(入江浩子) 企業が安定した労働力を確保するには、多様な働き方が選択できる魅力ある職場づくりが必要であり、どのような雇用形態を選択しても公平で適切な処遇を受けられる同一労働同一賃金の実現は重要な取り組みである。
このため、県経営者協会の協力を得て、経営者を対象としたセミナーの開催や中小企業への個別支援を通じて、正社員への転換、処遇改善を支援しているところである。
専門家による個別支援では、同一労働同一賃金の導入をはじめ、働き方改革についても、各社の雇用実態を踏まえた助言指導を行っている。また、非正規雇用者には、雇用条件の改善につながる公共職業訓練により、知識や技能習得の支援に取り組んでいる。
これらに加え、兵庫労働局など関係機関との連携も行いながら企業や経営者への働きかけを多面的、継続的に実施し、同一労働同一賃金の理解促進と実現に取り組んでいく。
○いそみ恵子委員 県としての取組ということで、先ほども伴走型とかいろいろ連携しながら、今回もこの問題では兵庫労働局との連携、非常に重要だというふうに思う。それで、ぜひそういうことで同一労働同一賃金、そういう適用によって待遇格差の解消、これをぜひ進めていただきたいとこのように思っている。
それで、県としての取組をお聞きした。その中で、私は男女賃金格差是正を考えたとき、一番大きな一歩は女性活躍推進法の改正省令・告示が施行され、男女賃金格差の把握、公表が企業に義務付けられたことだと思っている。それから、国、地方自治体も同法に基づく開示を行うことが女性活躍・男女共同参画の重点方針で定められ、1999年に削除された有価証券報告書での男女別賃金の記載も今年度から復活をしている。把握にとどまらず公表も義務付けられたことで、企業内の男女賃金格差が可視化し、それが進めば格差是正に向けた重要な一歩と私は考えているが、当局の見解はいかがか。
○労政福祉課長(入江浩子) 改正女性活躍推進法に伴う男女賃金格差の公表義務付けは、常用労働者数301人以上の企業へ、男女賃金差異等の把握と結果公表を通じて、性差等にかかわらず労働者の公正・適正な処遇や待遇についての自覚と行動を促すものであると考えている。
本県では県民生活部において、女性活躍推進法に関する取組を進めているところであり、対象となる多くの企業では、現在、男女の賃金差異等の現状把握や分析に努めている状況であるというふうにお伺いしている。
産業労働部では、ひょうご仕事と生活センターにおいて、ワーク・ライフ・バランスの推進を通じ、男女の賃金差異の一要因と言われる女性の管理職比率や継続年数等の改善につながる労働環境や労働条件の向上に向けた企業の取組を支援している。
これらを通じて、兵庫労働局等とも連携しつつ、誰もが生き生きと働き続けられる県内企業の労働環境の実現を目指していきたいと思っている。
○いそみ恵子委員 ご答弁いただいて、県民生活部のほうでもこういう形でいろいろと分析等もやっているということが分かった。
それで、知事は昨年9月日本共産党の質問に答えて、賃金格差の問題というのは大変重要だと考えると、企業が経営の中、どのように反映していくかが軸であると考えると、そんな中で県としてどのようなことができるか、いろいろな形でしっかりやっていきたいとこのように本会議で答弁されている。
日本共産党県議団も繰り返し求め続けてきた。私たちも企業内の男女賃金格差の可視化が進めば、格差是正に向けた重要な一歩と高く評価をしている。ただ、公表義務化の対象が先ほどもご答弁の中にあったが、全国で常用労働者301人以上の事業所は1万7,650社とこのように聞いているが、県内では一体何社になるのか、それから女性労働者の約半数は300人以下の事業所で働いていることを踏まえると、少なくとも100人以上のそうした事業所にその対象を広げていくということがポイントと考えている。これは国の課題だとも思うが、これが一体県内に何社あるのか、それぞれお答えください。
○労政福祉課長(入江浩子) 対象となる県内企業は、令和3年経済センサス活動調査速報値では、300人以上の民営事業所数が487社になっている。
委員おっしゃった101人以上の企業の関係であるが、現在、こちらの女性活躍推進法に伴う公表になっても、現在のところまだ法が施行されてから半年後ということや、企業には3月期決算のところが多いので、まだ公表されている数というものが少ないというふうに聞いている。なので、まだこれから現状を注視しながら見守っていきたいというふうに考えている。
○いそみ恵子委員 今答弁いただいた。それで、まずやっぱり県として、先ほど300人以上、478社ということで答弁があり、101人以上の事業所、これについてはまだこれからということなので、ぜひそういう実態把握をまずそこから始めていくということで、ぜひ県民生活部とも連携してやっていただきたい。性別による差別、格差のない社会、ジェンダー平等社会の実現に向けて、賃金の平等はジェンダー平等社会を築く上で土台中の土台と考える。中小企業振興条例を持つ兵庫県として、実態を把握することも含め、是正計画策定とそれを実施するための県のイニシアチブを求めて、私の質問を終わる。ありがとうございました。