議会報告
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○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団、西宮市選出のいそみ恵子である。
早速質問に入る。
今、コロナ禍に加え、ウクライナ戦争などによる不安定な国際情勢のもとでの物価高騰や円安などで県民の暮らし、零細中小事業者の営業などは深刻なものになっている。兵庫県予算案は、こうした県民の実態に応えるものでなければならないと考える。
まず、県税収入の地方消費税収についてである。
2023年度予算案での県税収入は今年度の年間見込みを踏まえ、前年度比3.8%増の8,082億円、特に地方消費税収は2,744億円で前年比7.8%の増と、4年連続最高の税収項目になっている。地方消費税収の伸びの主な要因は何か、まずお答えください。
○税務課長(佐藤嘉晃) 令和5年度当初、地方消費税における譲渡割と貨物割について見ると、令和4年度2月補正後と比較して、譲渡割が99.2%とやや減少するが、貨物割は105.9%と増収を見込み、譲渡割と貨物割の合計で103.4%、都道府県間清算をした後で104.5%を見込んでいる。
貨物割の増収見込みの要因については、令和4年度に引き続き輸入額の増加が見込まれるためであり、一方の譲渡割については、国内消費の回復により納付額の増加を見込むものの、輸出の増加によって還付額についても増加すると見込んでおり、納付額から還付額を差し引くとプラスマイナスで99.2%になるものと見込んでいる。
○いそみ恵子委員 確かにいただいた資料によると、輸入による貨物割は2021年度決算に対する2022年の2月補正実績が35.6%の増となる一方で、国内消費に係る譲渡割、これは2021年度決算に対する2022年度2月補正の実績、マイナス9.4%と先ほども答弁があったが落ち込んでいる。これは、原油高、物価高などが反映し、輸入額が膨れ上がる一方で、国内消費は低迷を続けていることを表しているのではないか。
現に、毎月出されている兵庫の統計の神戸市の2人以上の勤労者世帯での家計消費支出では、2021年平均が33万9,509円に対し、2022年平均は30万6,990円と約9.5%も落ち込んでいる。2019年の消費税10%増税に加えて、コロナ禍、そして円安、物価高、燃料代高騰などがそれに輪をかけ、家計消費を落ち込ませているのではないかと考える。
深刻な消費の落ち込み、物価上昇から家計を守る最も有効な方法は消費税の減税である。県民の暮らしが疲弊しているときに税収の中心を消費税に頼ったままでいいのか。コロナ禍で世界100ヵ国と地域が付加価値税、消費税の減税を行っている。今こそ消費税5%への緊急減税を国に求めるべきだと考えるが、いかがか。
また、小規模事業者が更に打撃を被るインボイス制度は中止すべきと考えるが、いかがか。併せてお答えください。
○税務課長(佐藤嘉晃) 消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化などを支える財源であり、安定的な税収を確保することは、今後の日本の財政構造の安定化に必要であると考えている。財政の健全化と社会保障の安定財源の確保を同時に達成することを目指す観点から、消費税率の引下げは困難なものと考えている。
また、インボイス制度については、複数税率化のもとでの適正課税の確保ということで導入されるものであり、本件については、複数税率化で必要なものと考えている。
○いそみ恵子委員 今ご答弁があった。よく皆さんは、社会保障の充実のためだとか、安定的なそのための財源を確保するんだということで言われているが、現に、地域医療構想などで消費税を財源にして、この間、病床削減を行っている。財源というのであれば、内部留保金500兆円もため込んでいる体力のある大企業の法人税を増税して税収を確保する、このことが必要だと私は考える。あわせて、この点については、国に要請することを求めていきたいと思う。よろしくお願いしたいと思う。
次に、歳出についてお伺いする。
冒頭にも述べたが、現在、県民の暮らしや中小事業者の経営は深刻な状況に陥っている。こうした県民の実態などに応えるための県予算が求められている。そこで、まず県経済に関する実態をお伺いしたいと思う。
まず一つは、2022年の県民の実質賃金が前年と比べてどうなっているのか、この点についてまずお答えいただきたいと思う。
○産業労働部総務課長(西垣鉄也) 県統計課発表の毎月勤労統計調査地方調査結果によると、本県の規模5人以上の事業所における、名目賃金に物価変動を加味した現金給与総額ベースの実質賃金指数は、2020年平均を100とした場合、2021年平均は100.2、2022年平均は98.5となり、2022年は対前年比で1.7%減少している。
○いそみ恵子委員 今ご答弁があったとおりである。2022年の実質賃金は前年比1.7ポイントの悪化となった。名目賃金は多少上がっているが、とんでもない物価高騰により、実質賃金が下がったものと考えられる。
そこで、もう一つお聞きしたいのは、中小事業者の実態である。2022年の兵庫県の休廃業・解散の事業者の件数と前年比、そしてその現状に対する県の認識をお伺いする。
○地域経済課長(川西正孝) 民間の信用調査会社の東京商工リサーチの調査によると、2022年の県内の休廃業・解散の件数は1,483件で、前年比204件、15.9%の増加となっている。
2022年については、コロナ禍は継続していたが、経済活動もあわせて再開され始めて正常化に向かった1年であったということが言えると思う。この平常時に戻りつつあるときに、自助努力で業績を回復させていった企業があったと、その一方で、支援がないとなかなか事業継続が困難だった企業もあったというふうに見ている。ただ、休廃業であるので、過剰債務を抱えたまま倒産に至るのではなくて、その前段階で、経営者も一個人であるので、一個人としての生活者としての生活が続くように倒産の手前で廃業に踏み切ったと、そういう選択もあったのかなというふうに見ている。
○いそみ恵子委員 今お答えの見解のほうも、どういう認識かということもお聞きした。それで、お答えあったように、東京商工リサーチ神戸支店の統計で1,483件、それから前年比で204件増、約16%の増、この10年間で最多というふうになっている。東京商工リサーチは、2022年経済活動がコロナ禍から本格的に回復基調し、今課長もおっしゃっていた、シフトして自立自走が求められているけれど、自助努力だけでは従来の売上が確保できない状況の企業が散見されると、このように指摘をしている。同じ東京商工リサーチ調査による県内の倒産状況は、前年比で減少はしているとこのようにされているが、今後、件数も増えてくると予想されているところである。
小売業、サービス業などはコロナの影響の上に、円安、物価高など深刻なこういうことが影響を及ぼして解散・休廃業が広がっている。こうしたことも要因となって、実質賃金の低下にもつながっているのではないか。そういう中で、中小企業支援への特別な、私は手立てが求められていると考える。しかし、県の予算案の中小企業への施策は極めて脆弱だと言わざるを得ない。
そこで質問するが、2023年度、2022年度の県の予算案において、貸付金を除く商工費の額と一般会計の中での比率をそれぞれお答えください。
○財政課長(中野秀樹) 中小企業制度資金貸付金を除く商工費の金額及び一般会計の総額に占める割合についてであるが、令和4年度においては、金額が130億7,500万円、割合が0.55%、令和5年度は金額が124億7,300万円で、割合が0.53%となっている。
○いそみ恵子委員 お答えがあったが、貸付金を除く商工費は2023年度予算案で124億7,000万円、わずか0.53%、それから2022年度は130億8,000万円、0.55%にとどまっている。これでは十分な支援を行っているとは到底言えないと思う。
2015年度に制定された中小企業振興条例には、県は、中小企業の振興に関する施策の実施に当たっては、小規模企業者に対して、その経営の状況に応じ、事業の持続的発展が図られるよう、必要な配慮をするものとすると、このように規定している。
今、経営継続のために中小事業者から求められているのは、固定費の支援や、また融資の借換えに伴う利子、信用保証料の肩代わりなど、直接的支援の抜本的な拡充である。県経済の好循環をつくるために、その中心を担う中小企業等への直接的支援の抜本的な増額を求めるがいかがか。
○地域経済課長(川西正孝) 県では、中小企業の振興に関する条例の趣旨を踏まえ、これまでも、原油価格・物価高騰対策として、例えば一時支援金を支給するなど、中小企業の経営状況に応じて、事業の持続的発展が図られるよう支援に取り組んできた。
また、省エネ設備導入によるビジネスモデルの再構築や新たな事業展開への補助、喫緊の課題となっている事業承継について、世代交代による事業の活性化を円滑に進めるための事業費の補助などのほか、首都圏で開催される大規模な展示会に兵庫県ブースを設けて、小規模事業者等に出展の機会を提供し、販路拡大につなげるなど、経済的・社会的環境の変化に対応した、中小企業の自主的な努力、創意工夫の促進、これらに向けた施策も積極的に展開をしてきた。
今後も、地域経済の発展の要は中小企業であるので、中小企業の持てる力を十分に発揮できるように、しっかりと支えながら支援に取り組んでいきたいと考えている。
○いそみ恵子委員 るるたくさんいろいろなことをこの間やっていただいている、その努力は認めるところである。ただ、先ほど申し上げたように、やっぱり事業者さん本当に困難な状況である。なので、直接支援ぜひやっていただきたいなというふうに思う。
それで、一方で、知事は予算案において、持続的に発展する兵庫経済の構築の要として、産業立地促進条例の変更を打ち出し、万博後を見据えて、投資促進地域としてベイエリア地域の設置、重点支援業種の補助率の引上げなどを行おうとしている。しかし、こうした投資促進事業が苦境にあえぐ中小企業への支援につながるのか、懸念されるところである。
そこで、この産業立地促進条例による補助の実績をお聞きする。
単年度の直近として、2021年度の補助実績、そのうち中小企業の実績と全体に対する割合、産業立地促進条例による補助額の総額と中小企業向けへの補助額と割合をお答えいただきたいと思う。
○地域産業立地課長(大西利政) 令和3年度、2021年度の補助実績については、設備投資、雇用補助金で29社、11億5,000万円となっている。そのうち大企業については18社、7億4,000万円、約6割を占めておるというような状況になっている。
○いそみ恵子委員 今ちょっと答弁が漏れているかなと思うが、ちょっと時間もないので、産業立地条例が施行された2002年度から2021年度まで20年間で見ると208件、260億円が補助されている。そのうち中小企業の企業数は131件で63%、額は39億円で15%となっている。
そういう中で、補助を受けている中小企業数、先ほども申し上げた131件、それで2021年版中小企業白書によると、県内の中小企業数は14万4,748社と言われているので、わずか0.1%しか補助を受けていない。さらに、産業立地条例による補助の85%は大企業に支出されている。過去には、あのパナソニック尼崎工場のように、補助をしたがすぐに撤退したという大企業もある。それほど、大企業中心のそういう事業になっていると言えると思う。
経営が厳しく苦境にあえぐ中、新たな投資を行おうとする中小企業は一部に限られている。新年度予算案の施策にある成長産業に重点を置いた支援では、なおさら支援対象となる中小企業は限られるのではないか。産業立地条例の改定に伴う補助金の支出で、中小企業は全県で設備補助の投資要件が変わって、1億円以上というふうになったが、コロナ禍と物価高騰の影響で、その体力が奪われているそういう中小企業が果たしてこうした補助金ということで投資ができるのかなということで疑念がある。やはり大企業を中心に行われることを想定せざるを得ない。
産業立地促進条例のような体力のある大企業支援から、県経済の中心を担う、先ほどからも答弁あった、中小企業への直接的支援を強め、経営継続、そして賃金引上げなどを促す予算に転換することが必要と考えるがいかがか。再度答弁を求める。
○地域産業立地課長(大西利政) 県内事業者の9割以上を占める地域経済・雇用を支える中小企業の事業拡大、あるいは活性化は、兵庫経済の持続的発展には不可欠である。一方で、先の見通せない現在の社会経済情勢が続く中では、これからの成長産業の育成が欠かせないというところである。
兵庫はものづくり県である。製造品出荷額等も15兆円にも及び、新エネルギーや航空、ロボットなど成長産業は、裾野の広い産業であり、県内にも多くの関連する中小製造企業が存在するという状況である。これらの企業を支援することで、県内中小企業の事業拡大、参入を活発化させ、兵庫経済の活力創出につなげたいというふうに考えている。
あわせて、先ほど委員からもご指摘あったように、中小企業の事業計画を後押しするために、設備投資補助における投資額要件を全県で1億円に緩和することで、中小企業の積極的な投資を支援していきたいと考えている。
兵庫経済にとって中小企業は大事な存在である。商工会、商工会議所、金融機関など産業支援機関ときっちり連携しながら、しっかりと経営支援を行っていくとともに、成長産業への重点支援を通じて、更なる発展を促進していきたいというふうに考えている。
○いそみ恵子委員 中小企業への抜本的な支援を行い、経済の好循環、これつくっていただくことを求めて、次の質問に入る。
次は、県の脱炭素化事業についてである。
齋藤知事は、県内企業の脱炭素化支援事業として、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、企業版ふるさと納税制度による寄附金を活用し取組を加速するとして、PPA方式による太陽光発電設備などの導入とともに、水素社会実現に向けて水素ステーションやFCバス等の普及拡大に向けた財政支援を行うとしている。また、姫路に大規模なカーボンニュートラルポートの建設を進めている。そこでお伺いする。
脱炭素の切り札とされ、水素事業を促進しようとしているが、2022年度予算、2023年度の予算案において、水素事業にそれぞれ全体で幾らの予算を組み、どのくらいの脱炭素化、CO2の削減効果があると見込んでいるのかお答えください。
○温暖化対策官(濱田美香) 水素関連事業に係る当初予算であるが、令和4年度については1億1,379万2,000円、令和5年度については1億2,789万円を計上している。主な内容としては、水素ステーションの整備や燃料電池バスなど水素モビリティの導入に関する補助などである。
昨年3月に策定した本県の地球温暖化対策推進計画では、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロの実現に向けた方向性として、CO2フリー水素の製造、化石燃料から水素等へのエネルギーシフトの実現、FCVやFCバス等モビリティのFC化等を掲げている。
現在、取組が進んでいる水素モビリティの普及においては、水素ステーションの普及拡大について、2025年に10ヵ所とする新たな目標を掲げたところである。
委員からご質問のあった水素の普及によるCO2削減効果については、現在は水素の製造・流通段階を含めたトータルでの算定方法が確立していない状況である。
本県では、来年度から、市町や事業者に加え、脱炭素に詳しいIGES、地球環境戦略研究機関等による水素ステーション整備促進のための地域連絡会を県内の3地域で設置することとしており、水素モビリティの転換によるCO2削減効果なども研究していくと考えている。
○いそみ恵子委員 答弁があった。特に、やっぱりCO2削減である。それがトータルで算定方法が確立していないということで、その効果については算出できないというのが現時点だと思う。それではやはり意味をなさないのではないか。私たちは、エネルギーとしての水素の活用は選択肢の一つであると考えている。しかし、水素製造コスト、運搬、保管など、運用コストは大変高く商用化の見通しはいまだ不透明である。
さらに、水素供給は来年度事業費にオーストラリアとの連携促進予算が組まれているが、現在のところオーストラリアに大量に存在するとされる低品質な石炭、褐炭を現地で水素を含むガス化させ、液化水素にして船で運搬することになっている。製造、運輸過程で大量のCO2を発生させるもので、その活用は論外だと言わざるを得ない。
脱炭素を促進する温暖化対策はもはや世界が求める緊急の課題である。2030年までに二酸化炭素排出を2010年比半減、2050年にはゼロカーボンにしなければならない。そのために多くの識者は徹底的な再生可能エネルギー、省エネルギーの活用が必要だと指摘をしている。
そこでお伺いするが、県の再生可能エネルギーについて、融資を除いた補助事業としての2022年度、2023年度の予算、それぞれお答えください。
○温暖化対策官(濱田美香) お答えする。
融資を除いた令和5年度の予算額については、740万8,000円である。
○いそみ恵子委員 答弁、ちょっと答えになっていない。
それで、来年度予算、今年度の約3割程度に縮小されている。時間が来たので、最後に、やはり今脱炭素というのであれば、県の施策として思い切って再生可能エネルギーの抜本的な推進を行う、そういうことでぜひ進めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わる。ありがとうございました。