議会報告

  • 2023年03月20日
    本会議

    第361回本会議 請願討論 きだ結

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程されている請願の内、第82号、第83号、第85号、第86号、第87号について不採択ではなく採択を求め、その主な理由を述べます。

    請願第82号「消費税インボイス制度の中止を求める意見書提出の件」についてです。

    政府が2023年10月に実施を予定している消費税のインボイス(適格請求書)制度は全国約500万の免税業者や1000万人といわれるフリーランスに消費税の納税義務を広げるものです。

    現在、年間の売上高1000万円以下の業者、消費税の納税を免除されています。しかし、インボイス制度は、消費税を販売価格に転嫁することが困難な零細業者にまで課税業者になることを迫るものです。

    課税業者が免税業者から仕入れた場合、現行では、消費税がかかっているとみなして控除できますが、インボイス制度導入後はインボイスのない仕入れ税額控除は認められません。免税業者からの仕入れにかかった消費税を差し引くことができず、納税額が大幅に膨らむことから課税業者は免税業者との取引を停止する例が増える恐れがあります。

    インボイス制度の影響は中小零細企業、個人事業主の広い範囲に及びます。

    個人タクシー業者は、免税業者のままでいれば、インボイスを必要とするビジネス客から利用を避けられ、旅行会社から発注を打ち切られかねないと訴えています。

    シルバー人材センターで働く70万人の会員にも影響が及びます。会員はセンターから業務を委託される個人事業主です。平均年収四十数万円の会員が課税業者になって消費税を負担させられることになりかねません。全会員が課税業者になることは困難なため、報酬から消費税分が引かれるようになる可能性があります。

    9割が免税業者の農家や、ウーバーイーツの配達員など単発で仕事を請け負うフリーランス、文化・芸術・イベント分野で働く人たちも同じ影響を受けます。

    全国商工団体連合会やさまざまな団体がインボイス制度実施の中止を求めて運動し、日本商工会議所は導入の凍結、日本税理士連合会は見直しと実施の延期を要求しています。コロナ禍で納税困難な業者には消費税を減免することこそ必要です。インボイス制度は中止すべきであり、採択を強く主張します。

    次に、請願第83号「兵庫県において、『ジェンダー平等』推進のため、『男女共同参画課』あるいは『ジェンダー平等課』の独立した部署を確立することを求める請願」についてです。

    請願趣旨にあるように、「男女共同参画基本法」は、男女共同参画社会の実現を「21世紀社会の最重要課題」と位置付けています。しかし、世界経済フォーラムによる日本のジェンダーギャップ指数は146か国中116位、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。

    1990年代以降、世界は「ジェンダー主流化」を合言葉に、根強く残る男女格差の解消を進めてきました。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことです。そのためにも、あらゆる場面で女性の参画を進めることが求められています。意思決定の場に女性を増やすことは、ジェンダー平等を進めるために欠かせません。(兵庫県の女性幹部は優秀かつ柔軟だと感じています。)

    「ジェンダー平等」については、あらゆる女性への差別解消と女性の人権を確立することが求められています。男女共同参画社会基本法をしっかり位置づけ、取り組みを進めるために、兵庫県において「男女共同参画課」あるいは「ジェンダー平等課」の独立した部署の設置は必要であることから採択を強く求めます。

    次に請願第85号「子どもの医療費を所得制限なしに高校3年生まで無料にすることを求める件」についてです。

    請願の要旨にも書かれているように、子どもはよく熱を出したり、病気になったりするため、医療費の心配なく通院・治療ができるようにすることは、子育ての上で大きな安心になります。

    そのことから、「安心して子育てができる」制度として、県下41市町中37市町が中学3年まで、あるいは高校3年まで医療費を無料化しています。

    また、少子化の原因について質問した政府の意識調査では、「教育費などお金がかかりすぎるから」というのが最多の理由です。少子化対策としても、子育てにかかる経済的負担の軽減が急務です。

    これまで兵庫県は、子どもの医療費助成制度を拡充させてきましたが、一方で、所得制限・窓口自己負担は残しています。その理由について、「受益と負担のバランス」と「真に必要とする人たちへの福祉制度であるため」としていますが、少子化対策の流れに逆行することから、もはや救貧政策として、所得制限や窓口自己負担にこだわる時代ではないと考えます。

    国でも、児童手当の所得制限廃止が議論されています。それは、高校無償化や大学授業料補助、など子育てにかかるあらゆる支援が所得制限のために対象から外れる世帯が増え、とっくに受益と負担のバランスが崩れ、子どもを産んで育てながら働けば働くほど、収入減少につながる、「子育て罰」といわれる状態を作り出してきたことに対して、批判が高まってきたからです。

    よって、「子どもの医療費を所得制限なしに高校3年まで無料にすることを求める」本請願の採択を強く求めます。

    請願内86号「学校給食への公的補助を強め、給食無償化を推進することを求める件」についてです。

    学校給食無償化を求める声はますます高まり、2017年度「学校給食の無償化等実施状況」等で小中学校とも無償は76自治体であったものが、今年2月に発表された日本農業新聞の調査では、全国の自治体の1/3に相当する451自治体にまで広がっています。

    県内では、相生市、加西市が小中とも無償に、明石市、たつの市が中学のみ無償、一部補助をあわせると18市町が負担軽減を行っており、さらに新年度からは香美町、新温泉町も小中とも無償とすることが提案されています。

    また、物価高騰対策として国の臨時交付金を活用し西宮市、川西市など8市町で無償化が実施され無償化を継続してほしいとの強い要望が出ているところです。

    全国では、千葉県が第3子の無償化を始めたことに続き、京都府では新年度予算案で「子どもの教育のための総合交付金」を創設し、府内の自治体が実施する給食費無償化などへ府が支援することが始まります。

    本請願では、自治体間で格差が生じないよう県として公費を投入し、県内の自治体が学校給食の無償化を進められるよう支援を求めています。兵庫県としても、学校給食無償化のための財政的支援の実施が求められており、本請願の採択を求めます。

    請願第87号「生徒・保護者、地域の声を尊重し、県立高校統廃合計画の見直しを求める件」についてです。

    兵庫県教育委員会は、県立高等学校教育改革第三次実施計画に基づき、少子化を理由に全日制県立高校125校を110校にする統廃合を進めています。

    昨年2022年7月に、3年後の2025年度には14校を6校に削減するとして、統廃合計画対象校を発表。その後、県教委、県教委OB、市教委らで構成する検討委員会を立ち上げ、同年8月から11月のわずか4か月の間に立った4回の議論のみで、第一学区は伊川谷高校を伊川谷北高校へ、第2学区は西宮甲山高校を西宮北高校へ、第3学区は三木北高校と吉川高校を三木東高校へ、第4学区は家島高校と網干高校を姫路南高校へ、夢前高校を福崎高校へと統廃合する基本計画を発表し、計画が推し進められています。

    こどもたち、保護者、地域からは「高校の選択肢が狭まる」「通学時間が長くなりクラブ活動もできなくなる。通学費も大変」「少子化の今こそ、少人数学級を実現し、子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を」など、数々の意見が出されています。県教委は、丁寧な説明をしたといいますが、計画にはこれらの意見は全く反映されていません。

    2023年 月には、計画の見直しを求める1万人以上もの署名が提出され、署名は今でも次々と集まってきています。

    また、対象校の教師からは、「統廃合の具体的な対策は示されず、それぞれ特徴のある教育を行ってきた高校をわずか2年で統合するのは無理がある。」「施設面でも統合される高校の教室が足りるのか、老朽化した校舎のままでは、生徒数だけが増え教育環境が悪化するばかりではないか」などの不安の声も寄せられています。

    このような状況の下で、高校統廃合を進めるべきではなく、生徒、保護者、地域の声を尊重し、統廃合計画の見直しを求める本請願は採択すべきです。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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