議会報告

  • 2023年03月13日
    予算・決算特別委員会

    2023年度予算組み替え案 提案説明 いそみ恵子

    日本共産党県会議員団のいそみ恵子です。日本共産党の2023年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

    齋藤元彦知事は、知事提案説明の中で、ロシアによるウクライナ侵攻が今なお収束の兆しは見えず、国際社会の平和と秩序が脅かされ、また、物流の混乱、エネルギー需給のひっ迫、原材料・部品不足などから世界経済は減速し、私たちの暮らしにも物価高騰などの深刻な影響が及んでいると指摘されています。
     2023年度の兵庫県予算案においては、こうした状況のもとで、県民の暮らしやなりわいを支える施策を優先する必要があると考えます。
     しかし編成されている新年度予算案の中心は、大企業優遇を強める産業立地補助事業の拡充、大阪万博にむけた誘客促進への過剰な対応、県の大交流圏を支えるという高速道路ネットワーク事業などを促進し、知事が掲げる1人ひとりに寄り添った施策、未来を切り拓くための子どもや教育への施策については、不十分だと言わざるを得ません。円安・物価高にあえぐ県民の暮らしや中小企業支援等はほとんどなく、脱炭素化事業については、効果のわからない水素事業が中心となっています。新型コロナウイルス感染症対策については、5類移行が前提となっており、施策も後退しています。
     日本共産党県議団は、県提案の2023年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる予算として、23年連続となる予算組み替え動議を提案するものです。

    組替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業70項目、合計391億円(約1.7%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源など約132億円を、子育て・教育の充実、中小企業・小規模農業支援、ジェンダー平等施策、再生可能エネルギー施策、コロナ対応施策、災害対策など25項目の増額に充当しています。
     また、県債の発行額を、一般会計と1つの特別会計で、209億円抑制しています。

    それでは、主な内容について説明いたします。
     第1の柱は、子育て・教育の支援を強めるための組み替えです。
     子育て世代の経済的負担緩和のために、全県一律で子どもの医療費の無料化の前進が必要です。子どもの医療費について、現在41市町中37市町が、中学3年生まで無料化、また23年度の各市町の予算案等によると23市町で高校3年まで無料化となります。組替え提案では、県の制度として中学3年まで無料化を行い、それぞれの市町の上乗せで全県での高校3年までの無料化をすすめるため、約53億円計上しています。
     国が、未就学児の均等割の半額免除を実施している国保の子どもの均等割について組替え提案では、18歳までのすべての子どもの均等割を免除するために、10億5千万円を計上しました。
     第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、約2億円増額しています。
     一人ひとりに目が届く教育環境の充実のためには、早期の少人数学級の実施が不可欠です。組替え提案では、小学校5,6年生の35人以下学級を実施するために、教職員224人を増員する小学校職員費を増額しています。
     重すぎる教育費負担が、家計を苦しめ、負担軽減が求められています。そのために、今回の提案では、学校給食無償化に向けて、まずは市町と協力し、小学校給食の半額を補助するために県費約24億円を計上しています。
     さらに高学費や生活費で苦しむ学生がひろがるなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
     国の高等教育修学支援新制度が行われていますが対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。
     県独自の高等教育修学支援制度を創設し、年間36万円を1000人に給付するため、3億6000万円計上しました。
     また県が直接手立ての取れる教育費無償化の第一歩として、県立大学の入学金無償化事業を創設し、無償化に必要な5億7000万円を計上しました。
     高校1年生全員に、タブレット端末を貸与できるように7億7000万円を計上しています。
     夜間高校の夜食が廃止されようとしており、現在対象は3,4年生のみとなっています。全員が夜食をとれるように1,2年生分も措置できるように予算計上しています。

    第2の柱は、医療・福祉、コロナ対策の充実です。
     後期高齢者の医療費負担増が大きな負担となっており、高齢者の医療費負担軽減が求められています。私たちは、今回の提案では、老人医療費負担助成制度の復活のための予算を1億7000万円計上しています。
     さらには、重度障害者医療費補助を第二次行革プラン前にもどすために、7700万円、難病その他の特定疾患医療費のうち非課税者を従来どおり無料にするために3500万円を計上しました。
     また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。
     私たちが繰り返し求めてきた高齢者補聴器購入補助について、県は、高齢者補聴器活用状況調査事業として400人に2万円の補助を行う事業を今年度行いましたが、単年度で終わろうとしています。私たちは、この事業が恒久制度となるように引き続き要望するとともに、組み替えでは、1000人に4万円の補助を行う制度を提案しています。
     5類を見越している県のコロナ対策は不十分です。提案では、コロナ対応の体制強化のために保健師を11人増やす予算を計上しています。また、地域医療構想に基づく急性期病床削減予算の削除を提案しています。

    第3の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
     とりわけ中小企業に対し、融資ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
     一つは、県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2000万円を計上しています。
     もう一つは、ジェンダー平等社会のために、質疑では男女賃金格差是正を取り上げましたが、組替え提案では、ジェンダー平等促進中小企業支援事業費として、女性を正規職員として雇った中小企業に1人あたり100万円の補助金をだす事業を創設し、1億円計上しています。
     県内企業人材確保支援事業は、新年度、本人負担部分を、県負担として、県と事業者で最大年間18万円の支援をする事業に拡充し、私たちも評価するところですが、さらに中小企業が使い勝手をよくするために、企業負担分を最大3万円支援する事業に、さらに拡充するように2100万円の予算を増額しました。
     中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
     兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。組替え提案では、とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、5000万円の予算を確保しました。

    第4の柱は、地球規模の気候危機対策です。
     気候危機対策のための温室効果削減は待ったなしです。ところが、兵庫県には、いまだにCO₂を大量に排出する石炭火力発電所が既設で6基、新設で2基あります。これらを早く稼働停止、再生可能エネルギーなどに転換させるために、石炭火力発電所廃止促進事業費として、石炭火力発電所廃止条例制定に向けた調査費として300万円を計上しました。
     また県の脱炭素化事業は、削減効果すらわからない水素事業が中心になっていることを予算審査の中で指摘しましたが、提案では、脱炭素化事業の中心を再生可能エネルギーに思い切って転換が図れるように、再生可能エネルギー普及総合支援事業費として約1億9000万円計上しています。

    第5の柱は、南海トラフなど災害対策の拡充のための組替えです。
     今年は、阪神淡路大震災から28年、東日本大震災から12年、南海トラフへの備えも加速させる必要があります。予算審査では、阪神淡路大震災の残された課題として災害援護資金を取り上げました。返済免除に向けた動きが進んでいることは、たいへんうれしく思います。国への返済免除の要請については、あらためて求めておきます。
     組替え提案では、阪神淡路大震災でも東日本大震災でも多くの犠牲を払った住宅の耐震補強のために、ひょうご住まいの耐震化促進事業費を1億5000万円増額しました。
     また災害対策の要となる土木職員13人を増員する予算も計上しました。

    第6の柱は、大企業呼び込みのための産業立地補助金、過剰な対応を進める万博関連予算、過大な需要予測などに基づく大型投資事業など削減した予算についてです。
     県は、万博などを見越すとして条例を改定し、新年度から成長産業などについて産業立地補助金の補助率を最大10%に引き上げ、ベイエリア地域を促進地域に設定し、新たに企業誘致をすすめようとしていますが、これまでも産業立地促進補助金は、中小企業にわずか15%しか支出されていません。パナソニックの撤退などにより、失敗が明らかになっている産業立地促進補助約16億円を削除しました。また、万博関連予算は約1億9000万円、水素関連事業は、約9400万円減額しました。
     播磨臨海地域道路や大阪湾岸道路西伸部整備事業支援などの高速道路ネットワーク、園田西武庫線などの道路事業費について約128億円、国が負担すべき国直轄の公共事業について約115億円を削減しました。
     過大な見込みで事業化された但馬空港や神戸空港など空港関連費について約11億円削減しています。
     不公正な同和行政が残る事業、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
     県会議員の海外視察については、コロナ禍のなかで大きく見直しました。

    以上が予算組み替え提案の主な内容です。
     県予算においては、大企業や過大な投資優先ではなく、何より県民の福祉、暮らしを優先に、子育て・教育、中小企業・小規模農家支援、ジェンダー平等、気候危機対策、県民の命を守る防災などを充実・発展させる予算への転換を求め、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、提案説明を終わります。ありがとうございました。


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