議会報告

  • 2023年02月28日
    本会議

    第361回本会議 補正議案反対討論 ねりき恵子

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の議案のうち、第122号、第123号、第125号、第129号、第152号、第153号、第157号ないし第159号、第161号ないし165号、第170号の計15件に反対し、以下その主な理由を述べます。

    第122号議案「令和4年度兵庫県一般会計補正予算(第4号)」、第123号議案「令和4年度兵庫県県有環境林等特別会計補正予算(第1号)」、第125号議案「令和4年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計補正予算」、第129号議案「令和4年度兵庫県公債費特別会計補正予算(第1号)」、第170号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区樫山高架橋上部工事請負契約の締結」についてです。

    これら議案には、小野市市場用地60.23ヘクタールを約74億円で、公共事業用地先行取得事業特別会計から県有環境林として取得し、公債費特別会計に借金返済のための財源として繰り出す予算が含まれています。

    県は、環境林の取得の目的として、低炭素社会の実現に資するとしていますが、この小野市市場用地は、党議員団が以前から指摘しているように、長年にわたって何の整備も行われることもなく塩漬けとなっていた小野長寿の郷構想地域の一部です。これまでの構想がなぜ失敗したのか等、過去の先行用地取得の経緯や、未利用地の時価評価について、県民に明らかにしないまま進めるのは問題で反対です。

    さらに、補正予算案に計上されている東播磨道に係る新たな請負契約についてですが、これは、全国総合開発計画に位置づけられた高規格道路です。これまでも指摘をしてきましたが、全総計画の目的は一貫して東京一極集中是正と地方の人口流出抑制が目的でした。しかし大型開発を進めても東京一極集中は全く是正されず、加速するばかりです。また、高規格道路の多くが橋梁上部工事を伴いますが、これまでも東播磨自動車道の橋梁上部工事の県内事業者の受注実績は全くありません。大型開発ではなく、地元事業者も直接受注できる防災・減災型工事への転換こそ必要です。

    また、第157号議案~第159議案、第161号議案~第165号議案についても、東播磨道と浜坂道路の建設工事に係る資材高騰や、人材不足による労務単価上昇などを理由に請負契約額を3%~4%引き上げる請負契約の変更であり、今後の物価高騰の見通しさえ全く見えない中で、先ほどの理由と同様、不要不急の大型開発にこれ以上の税を投入すべきではなく、速やかに中止すべきです。

    次に第152議案「兵庫県地域創生戦略(2020~2024)の変更」、第153号議案「ひょうご経済・雇用戦略の策定」についてです。

    いずれも2022年3月に策定された、県政の基本指針である「ひょうごビジョン2050」を実現するための、総合的な実行プログラムとしての性格を有するものとされています。

    「兵庫県地域創生戦略(2020~2024)の変更」の大きな柱は人口対策で、社会増対策について、2024年までに社会減ゼロ、20歳代前半の若者の県内定着率93.0%を目指すとしています。

    しかし、2021年は6,879人の転出超過、若者定着率も91.5%と低下基調が続いています。

    また、自然増対策は、2024年までに合計特殊出生率1.41を維持する目標に対し、2021年は前年より0.03下がって1.30です。婚姻件数も大幅に減少しおり、人口増対策の目標は達成していません。これらの実態からも、高規格道路推進、大企業優遇の経済政策では東京一極集中は是正されず、人口増につながらないことは明らかです。

    それにもかかわらず、今回の後期重点取組においても、「高規格道路ネットワークの整備拡大、企業と観光客を誘致し、雇用を生みだし、若者が地域に定着する」というこれまでの考え方が踏襲されており、これでは人口増への改善は見込めません。

    また「ひょうご経済・雇用戦略」は、「ひょうごビジョン2050」で示された社会をつくるために、産業・雇用分野における中長期的な取り組み方針を定めるものとして、産業立地条例の改正と一体に、2023年度から2027年度までの5年間を計画期間と位置づけました。

    具体の内容は、ベイエリア地域を促進地域に設定し、水素産業はじめ、成長産業の補助率を3%から10%に引き上げる産業立地補助の拡大や、大阪万博の推進事業等、大企業応援のメニューが中心で、「兵庫地域創生戦略」と同様、若者の定着や、人口減少に歯止めをかけることはできません。

    若者の転出の最大理由が就職で35%にものぼります。

    県内学生へのヒヤリング調査でも、大企業志向への変調が緩和されつつあり、やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよいという学生の企業志向があるにもかかわらず、一方で、安定性と知名度の面から実際の中小企業への就職にいたっていないという結果が出ています。中小企業が若者にもっと魅力あるものになるよう、力強い県の支援が求められています。

    日本共産党県議団が求めてきた「中小企業奨学金返済支援制度」の拡充や、男女賃金格差是正につながる「ひょうごミモザ企業認定制度」創設などは一定評価するものですが、さらなる制度の拡充をはじめ、県内の経済を支えている中小企業に対し、融資一辺倒ではなく、さまざまな直接支援をするべきです。

    また、社会減を食い止めるためには、若者や子育て世代が生活しやすい環境をつくることが必要です。18歳までの所得制限なしの医療費無料化、小・中・高全学年での少人数学級、給食費無償化支援や高校・大学学費の無償化など具体的施策をそれぞれのプランに盛り込むなど、若者や子育て世代への直接支援へと転換することが求められており、本議案は認められません。

    以上、私の反対討論とします。

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