議会報告

  • 2022年10月11日
    予算・決算特別委員会

    2021年度決算特別委員会 産業労働部・労働委員会 ねりき恵子

    ○ねりき恵子委員 日本共産党県議会議員団宝塚市選出、ねりき恵子である。

    私は、協力雇用主への支援の拡充についてお伺いする。

    保護観察対象者への就労支援について、何らかの事情で犯罪や非行を犯した人たちが、その罪を償い、再出発しようとするとき、人生の立ち直りを導き、社会復帰を助け、再び犯罪や非行に陥らないよう、保護司をはじめ協力雇用主など、様々な更生保護活動が行われている。

    保護観察終了者のうち、仕事のある者の再犯率は7.7%に対し、無職者の再犯率は25.2%と、有職者の3倍にも上り、刑務所への再入所の7割が、再犯時には無職だという実態である。再犯や再非行を防止するためには、就労支援が不可欠であり、保護観察対象者を積極的に雇用し、立ち直りに協力する協力雇用主の役割は、とりわけ重要である。

    宝塚市でも、協力雇用主会「アトムの会」が、保護司の方々と連携しながら活動されている。

    兵庫県では、国の就労奨励金に加えて、保護観察者等を雇い入れた協力雇用主等に人件費を支援する刑務所出所者等雇用導入促進事業を行っている。また、県では、保護観察者等の就労を促すため、就労を希望するものの、就職に至らない対象者に対し、ビジネス研修や職場体験等を組み合わせた、保護観察対象者等就労支援プログラム事業を実施している。

    そこで、これらの事業がどれだけの雇用につながっているのか、兵庫県下の協力雇用主の登録者数と実際の雇用者数、雇用された対象人数は何人か、その効果をお答えいただきたい。

    ○労政福祉課長(入江浩子) 兵庫県内の協力雇用主は、神戸保護観察所からの聞き取りによると、令和4年3月時点で845社、うち実際に雇用している雇用主は23社、雇用されている対象者は47人である。

    ○ねりき恵子委員 お答えいただいた。

    実際の就職に結びつくのはなかなか難しいという実態があるというふうに思う。今、お答えいただいたように、登録雇用主の数は、平成28年度は505社であったけれども、今お答えいただいた、現在は845社と増えているけれども、実際の雇用主数と就職に結びついている人数は、現在では23社で47人ということである。

    今も、国が最大72万円を支給する、刑務所出所者等就労奨励金に加えて、県が最大32万円を支給する出所者等導入促進事業を行っているけれども、この県の制度は、支給対象者を初めて保護観察対象者を雇用する雇用主に限っていること、支給期間も4ヵ月という短いものになっている。協力雇用主の皆さんは、支援者の更生ほど、人生の立ち直りを支援する強い気持ちで、この事業に取り組んでおられる。再犯防止の要である就労支援に苦労を重ねているこの協力雇用主の皆さんに対して、さらに支援金の増額や支給対象の拡大など、拡充が求められているというふうに思っている。

    また、登録雇用主の業種拡大にも課題があると思っている。現在、823社ある登録雇用主の大半が建設業だと言われている。宝塚でも、協力雇用主の16社のうち、建設業が13社、クリーニング業、理美容業、不動産など、サービスが3社という状況である。これまで、多くの建設業の方々が努力していただいた結果ではあるけれども、保護観察者をより多く就職に結び付けるためにも、多種多様な業種の企業が登録雇用主になってもらえるよう、行政として支援が要るのではないか。

    兵庫県はこれまでも、国に先駆けて、様々な事業もされてきた。入札時に加点がある制度であるとか、今のこの協力雇用主への支援金も、国に先駆けて行ってきた。そういった意味で、やはり県として、もっと努力をすべきだというふうに思っている。

    一方で、再犯防止推進計画を県でも策定の、今、検討が進められているので、いい機会だというふうに思う。

    そこで、就労、再犯防止推進計画の策定に合わせて、支援対象者の拡大や支援金の増額、登録雇用主の業種拡大など、更なる登録数の増、そのための研修や啓発活動の強化など、協力雇用主への更なる支援の拡充を求めるが、お答えいただきたい。

    ○労政福祉課長(入江浩子) 県では、協力雇用主に対して、委員のおっしゃっていただいたとおり、入札契約制度における優遇措置やシンポジウム等による意識啓発、NPO法人兵庫県就労支援事業者機構に配置した就労支援員による相談対応のほか、国の奨励金に上乗せする他県に例のない人件費補助等を実施しており、現状でも相当踏み込んだ対応を行っていると考えている。

    一方、協力雇用主の登録数と比べて、実際の雇用は確かにあまり進んでいない。その要因の一つは、おっしゃられたとおり、協力雇用主の登録業種とやはり出所者等の希望業種とのミスマッチとも考えられることから、この解消に向けて、様々なチャネルを通じて、製造業や運送業など就労希望が多い業種への登録を働きかけていく。

    また、協力雇用主による対象者の雇用を後押しするため、雇用主の声を聞きながら、ニーズの高いテーマを取り上げた研修を実施するほか、協力雇用主に対する「矯正施設見学会」を通じ、刑務所出所者等へ就労支援の現状について理解を深める機会の提供も検討していきたいと考えている。

    毎月、県、神戸保護観察所、就労支援事業者機構が対面で情報交換を重ねており、信頼関係を築いている。今後も再犯防止推進計画検討委員会ワーキングループを通じて、各機関と連携を密にしながら、協力雇用主を更に拡充し、出所者等の就労実現を目指していく。

    ○ねりき恵子委員 対象の業種の拡大など、支援の拡充についてもお答えいただいた。

    支援金も他県に例を見ない取組をされているところであるけれども、やはり本当にご苦労されている、人間を育てるということで、ご苦労されている雇用主の皆さんに、更なる支援の拡充を求めて、次の質問に移る。

    次は、男女賃金格差是正についてである。

    コロナ禍、女性の貧困が浮き彫りになり、多くの女性が非正規労働であったり、正規労働でも男性より女性の賃金が低い、男女賃金格差の問題が大きく影響していると思う。

    先日発表された、今年のジェンダーギャップ指数を見ると、日本は146ヵ国中116位である。特に、経済分野が低く121位、昨年の117位より悪化をしているところである。G7中、最下位という、こういう状況であるけれども、その大きな要因は、男女賃金格差だと指摘がされているところである。

    さきの一般質問でも、日本共産党県議団のきだ議員が、この件に関して質問をしたけれども、国も男女別賃金の実態把握公表の企業への義務づけをされたところである。これが、一定実現し、期待がされるところであるけれども、やはり、さらに実効ある取組が求められているというふうに思う。

    さきの一般質問でのきだ議員の質問に対し、知事は、賃金格差の問題は大変重要な問題だと、企業が経営の中でどのように反映していくかが軸であると考えると、そんな中で、県としてどのようなことができるか、いろいろな形でしっかりやっていきたいとも答弁された。しっかりやっていきたいという中身で、やはり女性のキャリアアップ支援などをされているけれども、さらに一歩踏み込んだ、特に中小事業者が賃金格差是正の取組が実際にできるような直接支援が必要だと考えている。

    例えば山形県は、社会福祉法人を含む中小業者が、50歳未満の女性、非正規労働者の時給を30円以上上げた場合に助成金を支給する制度を作っている。このように、兵庫県としても、例えば、先ほど来質問があった、大学生向けの修学金返済支援制度のように、直接企業へ支援をする制度、女性の地位向上、正規雇用、女性管理職登用、賃金アップなどを促す企業、事業者へ、インセンティブを与えるための奨励金など、直接支援をする制度を作るべきだと思うが、県当局の決意をお答えいただきたい。

    ○労政福祉課長(入江浩子) 男女の賃金格差は、出産・育児や介護等の理由で離職や非正規雇用を選択するケースが多いこと等による勤務年数や雇用形態、管理職比率の男女差異が主な原因と認識している。

    ライフスタイルに合わせて雇用形態を自由に選択し、処遇等も性差や雇用形態による差別がなく受けられることは重要である。このため現在、パートタイム・有期雇用労働法に基づき、同一労働同一賃金への取組が進められている。

    こうした中、国では、非正規労働者の正規化や処遇改善を促進する「キャリアアップ助成金」や、事業所内の最低賃金を30円以上引き上げた事業者に対する「業務改善助成金」などにより賃上げを促進しているところである。また、県では、先日の財政状況のほうでもご答弁させていただいたとおり、経済の好循環により物価上昇を上回る賃金引上げを目指して、新事業展開応援事業等で事業者を支援しているところである。

    今後も、国制度も活用しながら、県内企業の賃金上昇につながる施策に取り組んでいきたいと考えている。

    ○ねりき恵子委員 全体の賃金アップにつながるように、処遇改善に向けて取り組んでいただいているということであるけれども、やはり先ほど指摘したように、ジェンダーギャップ指数がなかなか上がらない、その一番の要因が男女賃金格差であるということを、ぜひ産業労働部として、正面から受け止めていただいて、改善策も検討していただきたいという要望を申し添えて、私の質問を終わる。ありがとうございました。

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