議会報告

  • 2022年10月06日
    予算・決算特別委員会

    2021年度決算特別委員会 総務部、財務部、危機管理部 ねりき恵子

    ○ねりき恵子委員 日本共産党県会議員団のねりき恵子である。

    まず初めに、女性の視点で防災対策を進めることについて伺う。

    今年5月、内閣府男女共同参画局が地方公共団体における男女共同参画の視点からの防災復興に係る取組状況についての調査結果を発表した。

    これは令和2年度に策定された災害対応力を強化する女性の視点、男女共同参画の視点から、防災復興ガイドラインの徹底活用とガイドラインに基づく地方公共団体の取組状況をフォローアップし、見える化することが目的で、今後、毎年実施される。

    全国の市区町村の6割で防災危機管理局の女性職員がゼロという記事が目を引いた。この調査結果で、都道府県では防災危機管理部局の女性職員がゼロだったのは、秋田、富山、福井、沖縄の4県、女性職員比率の平均は11.2%で、兵庫県は11.5%、地方防災会議の女性委員の比率は、東日本大震災を経験した宮城県は20.3%、全国平均16.1%に対し、兵庫県は12.7%という実態である。

    兵庫県41市町のうち24市町、約6割の市町で防災管理部局の女性職員がゼロということも大きな問題である。

    私たちは阪神・淡路大震災を経験し、避難所生活で様々な女性の人権が守られなかったことを身をもって体験し、女性の視点を避難所計画など、防災対策に位置付けることが強く求められてきた。そのことがやっと内閣府のガイドラインに反映された。スフィア基準の視点にもつながると考える。

    今回の内閣府のガイドラインには、災害は自然現象とそれを受け止める側の社会の在り方により、その被害の大きさが決まると考えられていて、被害を小さくするには、社会要因による災害時の困難を最小限にする取組が必要であること、中でも人口の半分は女性であり、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分配慮された女性の視点からの災害対応が行われることが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須であることが位置付けられ、都道府県、市町村の防災危機管理担当部局、男女共同参画担当部局が女性の視点からの災害対応を進める際に参照できるよう、基本的な考え方、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階において取り組む事項が示されている。

    このガイドラインに基づき、兵庫県地域防災計画も令和3年9月に改定され、地域防災計画修正や避難所や避難場所の設置、運営等の応急対策、復旧・復興対策など、災害対策のあらゆる場、組織における女性の参画を促進すること、併せて障害者、高齢者等の要配慮者の参画を促進することである。

    また、救援物資、避難所の設置、運営等の対策面において、要配慮者や女性や子育て家庭のニーズに配慮することとすると、しっかりと位置付けられた。

    しかし、今回の内閣府の調査結果は、女性の視点が地域防災計画に反映されていても、実効あるものになるかどうかが問われる。

    阪神・淡路大震災を経験し、防災対策をリードしてきた兵庫県として、まず兵庫県の防災危機管理部局の女性職員の配置を宮城県並みに2倍に増やすことが求められている。

    女性職員比率を上げるための目標と、具体的な対策を伺う。

    ○危機管理部総務課長(多田敦生) 昨年末時点の内閣府の調査において、現危機管理部の女性職員の比率は11.5%で、全国平均11.2%をやや上回っていたが、女性職員の働きやすい環境づくりに取り組み、女性目線での防災施策を更に推進していくことが重要と考えている。

    現在、施設面では、女性専用の宿日直室やシャワールームを確保するなどの配慮を行っているが、子育て、介護など家庭を優先する必要がある職員にとっては、危機管理事案への対応等、負担に感じる業務があることも事実である。

    しかし、危機管理においては、特定の職員が不在であっても対応できる体制づくりが重要で、これを徹底することが、多くの職員にとって働きやすい環境づくりにつながると考えている。

    具体には、事務局訓練やそれを踏まえたマニュアル見直しを行い、誰もが不在の職員の代わりができるような体制を整える。

    さらに、危機管理であっても、家庭事情等によって対応できない場合があることについて、本人が負い目を感じず、周囲も納得して協力するよう、職員の意識改革も進めていく。

    これらにより、女性はじめ多様な職員が働きやすい環境を整え、女性職員等の意見や感性を施策に取り入れていく。

    ○ねりき恵子委員 お答えいただいた。女性の働き方という点で、非常に防災部局に従事するのは難しい面もあるが、働く環境を整えることで、更に充実を図っていただきたい。

    そして、さきの内閣府の調査結果で、男女共同参画の視点からの防災をテーマにした研修訓練の実施状況で、未実施の中に兵庫県が含まれている。カウントの仕方ではないか。もしかしたら、報告の仕方というか、そうではないかと思うが、防災対策は、日頃からの意識啓発や訓練が重要なのは言うまでもない。防災危機管理担当部局や男女共同参画担当部局だけでなく、人権や高齢者、障害者など、部局横断的な横のつながりが災害対策には重要で、ガイドラインにも女性の視点からの災害対応を進める際に参照できるよう、基本的な考え方、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階において、取り組む内容が示されている。

    県として、計画的な研修や訓練をしっかりと位置付け、具体的にこの研修や訓練を進めていくべきである。

    また、地域での防災を担っている防災リーダーについても、女性防災リーダーの増員とともに、全ての防災リーダーの方に対し、男女共同参画の視点からの防災復興ガイドラインなど、改定された地域防災計画の理解と実践を推進するための研修が必要だと考える。その取組を県として支援をしていくべきだと考える。

    併せて、計画を推進していくためにも、職員向けガイドブックや県民向けガイドブックなどの作成も有効だと考えるが、併せて伺う。

    ○危機管理部総務課長(多田敦生) 防災対策への女性視点での取組については、今年8月に県立男女共同参画センターが、地域防災と女性をテーマとした公開講座を開催した。ひょうご防災リーダー講座は、女性に特化したものではないが、避難所での女性への配慮を学ぶ訓練プログラムもあり、近年は受講者数の3割超を女性が占めている。

    また、地域防災計画の作成等を担う兵庫県防災会議に女性委員の参画を促すため、来年1月の改選に向け、女性候補のリストアップや面談を進めており、市町にも同様の対応を求めている。

    今後も訓練や研修、更には必要に応じて啓発冊子等を作成することにより、女性の視点を踏まえた防災対策の充実を図っていく。

    ○ねりき恵子委員 ぜひ進めていただきたい。日頃から女性の視点で備えておくことが大事であるので、様々な防災の研修、訓練、その点で今回の改定された、つくられたガイドラインに基づいた意識啓発が必要であるので、更なる充実を求めて、お願いをして、次の質問に移る。

    2番目は、私立学校授業料軽減補助制度の拡充についてである。

    高校授業料無償化実現のため、私学授業料軽減補助の拡充を一貫して、これまでも要望してきた。2020年4月から国の就学支援金が拡充され、年収590万円未満世帯まで、全国平均授業料相当額39万6,000円が国から補助され、年収590万円から910万円未満世帯には、11万8,800円が補助されている。

    国の就学支援金制度に上乗せをして、県の授業料軽減補助制度も拡充されてきた。年収590万円未満世帯には1万2,000円が上乗せされ、それまでの県の支援のなかった年収790万未満世帯には10万円、年収910万円未満世帯には5万円の支援が行われるようになった。

    しかし、年収590万円未満世帯については、令和元年度の平均授業料40万8,000円をカバーし、実質無償化だと県は説明しているが、令和4年度の県内私学の平均授業料は44万580円である。実質無償化にするためには、更に3万2,500円の増額が必要である。

    更に授業料に施設整備費などを加えた平均経常費は55万7,930円にも上り、実質無償化には補助額の大幅な増額が求められる。早急に現在の県内私学の平均授業料44万580円をカバーする支援額の増額を行い、県内私学の実質無償化に近づけることを求める。

    ○教育課長(飯塚知香子) 委員ご指摘のとおり、令和2年度から国において就学支援金制度が拡充され、併せて、兵庫県としても県独自に上乗せ補助を行うことによって、大きく就学支援の制度が充実したのではないかと思う。

    しかしながら、ご指摘のとおり、必要な世帯に対する実質無償化が全て実現できたと認識していない。県内の授業料は、授業料そのものについては、全国の平均値の44万円と本県の平均値の44万円は、ほぼ同額である。

    本県としては、まずはベースとなる国の制度について、国に対して590万円未満世帯への補助額の引上げに加えて、年収590万円以上の世帯の補助額の引上げを併せて強く要望している。

    また、施設整備金については、本県では対象としておらず、ベースとなる国の制度も施設整備金については対象外としており、多くの都道府県についても対象外としているが、一般的に、私立高校については、公立高校に比べると、比較的設備が充実していることもあり、現時点では一定の受益者負担を求めても不均衡に当たらないのではないかと考える。

    引き続き国に対して、先ほど申し上げた590万未満世帯への補助額の引上げ、また590万円以上世帯の支給額に格差が出ている世帯への補助額の引上げ、これを併せて強く要望することで、実質的な無償化に向けた取組を努力していく。

    ○ねりき恵子委員 ぜひ国に強く要望していただきたいと私たちも思っている。

    590万円という今の一つの指標は、実質、制度ができたときよりも、金額が、今、平均収入が上がっているので、590万円という制限を更に引き上げていくことが必要だと考えるが、その点についてはどうか。

    ○教育課長(飯塚知香子) ご指摘のとおり、国の制度において実質無償化の対象とされた年収590万円という基準は、制度設計がなされた平成23年時点の子供のいる世帯の収入の中央値と承知をしており、そこから随分年月がたち、直近の子供のいる世帯の収入の中央値でいくと、670万円という数字になっている。高収入とは言えない世帯は、その辺まで数字が上がっており、この点についても、590万円という基準自体を670万円にまで引き上げること具体的な数字を指摘して、国に強く要望を継続している。

    ○ねりき恵子委員 今お答えいただいたように、590万から670万円に上がっているということで、ぜひここを埋めていただきたい。

    もちろん国に要望するのは当然であるが、県としても、ここを努力していただきたい。私たちは、まず所得制限自体を設けるべきではないということが基本的な考え方であるが、改めてここを拡充をしていただきたい。

    県としても努力をするべきだと思う。また、行革で半減されてきた県外私学に行かれている方の差額、これも県内私学に行っている方と同額に戻すべきだと思うし、また、多子世帯への支援金、大阪などでは行われているが、そういった拡充も必要だと思うが、お答えください。

    ○教育課長(飯塚知香子) 現行において、国の制度に加えて、県においても、県内の世帯の収入等の状況に応じて、特に中間所得世帯に対して上乗せ補助をしているが、このように国の今後の支援の動向も含めながら、県として、県内の私立高に通われる世帯の方の実情に応じて、県の補助の最低機会というか、県内の生徒さんが学ぶ意思のある方が希望する教育を受けられるような最低機会を経常費補助とのバランスも考えながら、継続的に検討していくことは重要である。

    県外通学の生徒に対する支援は、少子化が進む中、県内私立高の受入の許可としては、余力がある状態なので、基本的に、県内生徒さんには県内校を選択していただきたいという思いがあるが、一方で、通学上の理由などから、県外校を選択する県民の方の配慮として、相互扶助制度のある京都府には2分の1、それ以外の近隣府県には4分の1で、補助額を設定している。

    県内通学者と同額とはなっていないが、逆に言えば、京都府以外で、域外通学者への補助制度を維持しているのは本県独自ということでご理解をいただきたい。

    繰り返しになるが、多子世帯等、今後の県内の世帯の状況、実情、よくご意見等、お聞きしながら、最低機会となる政策の検討に向けて努力を続けていくので、よろしくお願いする。

    ○ねりき恵子委員 670万円という数字も出てきたので、拡充を求めて、私の質問を終わる。

    よろしくお願いする。ありがとうございました。

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