議会報告

  • 2022年10月11日
    予算・決算特別委員会

    2021年度決算特別委員会 産業労働部・労働委員会 入江次郎

    ○入江次郎委員 共産党の入江である。産業立地条例の効果の検証を求めて伺う。

    8月31日、トヨタ自動車は電気自動車向け電池生産に日米で7,300億円、国内ではパナソニックとの共同出資による子会社プライムプラネットエナジー姫路工場など4ヶ所に4,000億円を投資すると発表した。

    ご存じのとおり兵庫県産業立地条例では、県内で新たに設備投資を行った企業に対し、設備投資額の3%、上限なしで補助金が支出される仕組みになっている。これまでも県内への進出企業、県内で設備投資をした企業197社に、約261億円が支出され、そのうち約130億円がパナソニック1社に支出された。仮に報道されたように、プライムプラネットエナジー姫路工場への設備投資が決まり、条件を満たせば、世界で最も力のあるパナソニックとトヨタの出資企業に対し、巨額の県税が補助金として支出されることになる。トリクルダウンの経済政策が破綻したことは、誰の目にも明らかである。産業立地条例は、条例をつくって今年でちょうど20年目を迎える。社会情勢に合わせて条例の見直しが必要である。

    行財政制度運営方針では、他の地方公共団体の事業水準と比較して、著しく均衡を逸している事業について、他団体の水準を基本に検討するとある。また、事業実施に係るトータルコストとその効果の比較、検証等を通じて、最小の費用で最大の効果を発現するとしている。この視点に立ってお伺いする。

    産業立地促進条例は、20年前の平成14年に、雇用の創出を大きな目的につくられた。平成14年の有効求人倍率と現在の有効求人倍率についてお答えいただきたい。

    また、現行のひょうご経済・雇用活性化プランでは、県内企業が抱える課題や部門別人手不足の割合などの記載があるが、それぞれご説明いただきたい。

    また、令和3年度の設備投資補助金と雇用基準補助金の支出企業数と補助金支出額をお答えいただきたい。そのうちの製造業の企業数と製造業への補助金支出額、それぞれ製造業が占める割合についてお答えいただきたい。

    ○地域産業立地課長(大西利政) まず、有効求人倍率だが、平成14年の産業集積条例施行時の有効求人倍率は0.44である。直近の有効求人倍率は、令和4年8月で1.05倍となっている。

    続いて、現行のひょうご経済・雇用活性化プランに記載の、兵庫産業・雇用の現状と課題においては、人手不足が深刻化しているというような記載となっている。それに記載の2017年度の職種別の求人求職状況として、介護サービスに次ぎ、生産工程で新規求職者マイナス新規求人数の数が三角の2万2,664人となっている。

    続いて令和3年度の実績だが、設備投資、雇用補助金について29社、合計約11億5,000万円の支出である。そのうち製造業は23社、約10億7,000万円であり、企業数で約79%、金額で約93%を占めるという状況となっている。

    ○入江次郎委員 要するに平成14年に条例をつくったときは、有効求人倍率0.44だったので、これは雇用の拡大ということを目的につくったが、今1.05まで回復していると。

    中小企業活性化プランでは、人手不足の業種として介護に次いで製造部門で人手不足が発生していると、これ中小企業は答えている。先ほどお答えいただいた令和3年度の企業立地補助金の79%が製造業に支払われて、そのうちの93%の補助金、額でいうと93%が製造業に支払われているということだと思う。だから、人手が足りない、しかも製造業で人手が足りないと県内の企業は言ってるのに、外からどんどん製造業を呼び込んでいるというミスマッチが僕は起こっていると思う。

    次に、補助金は2002年度、平成14年に産業立地条例が施行されて以降2021年度までに197社の企業に対し261億円が支出された。冒頭にも触れたが、そのうちの約5割に当たる130億円が、パナソニックグループ1社に支出されている。

    そこでお伺いするが、2021年度の補助金支出先企業を資本金別に大企業とそれ以外の企業に分類し、それぞれ企業数と支出額をお答えいただきたい。それぞれ大企業が占める割合についてもお答えいただきたい。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 先ほどご答弁させていただいたとおり、令和3年度の実績では合計29社、11億5,000万円で、そのうちの大企業については18社、約7億4,000万円である。企業数で62%、金額で64%ということになっている。

    ○入江次郎委員 答弁あったように、補助金支出額11億5,000万円のうち約7億4,000万円、65%が大企業に支払われているということである。これまでトリクルダウンの経済政策で大企業が利益を上げれば、やがてその利益が家計や働く人への賃金へとしたたり落ちてくるとして、大企業をひたすら応援する政治が、この30年間、国を挙げて行われてきた。しかし、その結果、日本は先進国の中で唯一経済成長が止まり、賃金の上がらない国へとなってしまった。

    一方で、大企業の内部留保は過去最高の500兆円を超え、空前の規模に今、積み上がっている。投資額の3%を補助し、大規模投資をする大企業ほどその恩恵が大きい、全国的にもまれなこの補助金制度を見直すべきだと思う。

    行革の視点でも、他の地方公共団体の事業水準と比較して、著しく均衡を逸している事業について、他団体の水準を基本に検討するとある。上限なしの3%というのは、全国でも二つか三つ程度の都道府県しか僕は持ってないと聞いているが、改めてこの設備投資が大きければ大きいほど、これ有利に働く、この制度は僕は見直しが必要だと思うが、答弁を求める。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 産業立地条例の目的については、地域経済の活性化、それから地域での雇用の創出である。この目的を達成するため、その時々の社会経済情勢を踏まえ、県議会の議決もいただき、見直しを行ってまいった。最近では平成27年に、東京一極集中からの回帰であるとか、若者の流出抑制、管理を目指し、本社機能の移転や・・支援をしてきたというところである。今後とも県会の議決をいただきながら、その時々の社会経済状況を踏まえ、適正に支援を行い、県内への企業立地に取り組んでまいりたいと考えている。

    ○入江次郎委員 20年前と社会情勢が大きく変わったということは、僕、前半さんざん言っているのだが、その下で見直しを求めてるのだが、それに対する答弁がなかった。

    次に、こうした巨額の補助金が大企業の投資動向にどのような影響を与えているか。補助金制度が兵庫県を投資先に選定している決定的な要因になっているのか。補助金制度が、これ行革でも言われているように、最小の経費で最大の効果を発揮しているのか。条例をつくって20年目を迎えるが、この検証を強く求めてお伺いしていきたいと思う。

    経済産業省が工場の立地動向調査というのをやっている。都道府県別の企業誘致件数を見ると、兵庫県は平成26年4位、次が2位、4位、2位と、当局は補助金の効果として企業の立地件数は常にトップクラスだと、この間、宣伝されてきた。しかし、産業立地条例ができる平成13年以前、例えば平成8年は兵庫県の企業誘致件数は全国で3位、平成9年も全国で3位となっている。つまり、産業立地条例ができる以前から、兵庫県の企業立地件数というのは全国でトップクラスということである。

    当局が以前に、こういう答弁をしている。例えば、補助金がそのまま兵庫県だけなかったとしたら、ひょっとしたら件数が落ちているのではないかという答弁をされている。巨額の補助金を支出するに当たって、ひょっとしたらで政策決定するのは、僕は具合悪いと思う。

    条例ができる前も条例制定後も、兵庫県の企業誘致件数は変わらず上位を占めている。とりわけ大企業には巨額の補助金が支払われている。最小の経費で最大の効果を発揮することが求められている自治体として、補助金支出が企業の投資動向に、とりわけ大企業の投資動向に決定的要因を与えたかどうか、これはしっかり20年目を迎えて検証していただきたいと思うが、答弁を求める。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 経済産業省が実施している工場立地動向調査において、立地場所の選定理由という項目がある。その中で、兵庫県への立地理由として、令和3年の調査では、本社への近接性が17%と最も多く、続いて工業団地、あるいは地価が安いが続き、その次に自治体の誠意、積極性及び自治体の助成、これが合わせて10%という形になっている。

    また、これまで支援した立地企業へのアンケート調査においても、本社、事務所の近接性に次いで、自治体の助成が25%という形になっている。このようなことからも自治体の支援制度、あるいは支援体制というものが、立地決定要因につながっているものと考えている。大企業・中小企業を分けた分析はないので、その点は申し訳ない。

    ○入江次郎委員 この補助金の、先ほどからずっと明らかにしているが、その多くが大企業に支出されている。260億だったか、その半分がパナソニック1社に支出されている。だからその大企業の立地先の選定が、この補助金という制度があるからここを選んだと。その効果の検証、最小の経費で最大の効果を発揮せよと行革で求められているのであれば、その調査はしっかりすべきだと思う。

    先ほど、3番目に自治体の誠意、補助金というのが挙げられたが、この調査、言われたように大企業・中小企業分けての調査ではない。もう全部ひっくり返して調査をして、こういう数字が出てる。

    姫路市は、僕、以前にも紹介したが、企業立地推進政策に伴う調査分析業務といって、これだけ大きな冊子で調査している。この調査結果では、その企業の投資動向にどういう影響を与えたかということで、中小企業においては奨励金の交付が受けられるということが、突出する形で顧慮した点に挙げられている。大企業については、インフラが充実していること。これが挙げられている。

    だから、先ほどの調査でも、恐らく中小企業がこの立地先の決定要因として、補助金があるということを僕は選んだということで、こういう結果になっていると思う。ただ、大企業が立地先の選定に、この補助金を僕は選んで進出先を決めているとは、これ到底思えない。ですから、改めてしっかりとした、県民の納得、ひょっとしたらとかそういうことではなくて、納得のいく説明できる検証をしっかりしていただきたいと思う。

    更にお伺いしていきたいと思う。県は、多様な働き方として、先ほども答弁あったが、本社機能のある事務系職種、研究開発拠点への企業誘致を、平成27年度から新たに進めている。目的はどこにあるのか教えていただきたい。令和3年度に支払われた賃料補助金額、これも教えていただきたい。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 東京一極集中を是正して、活力ある日本社会の維持を目指す国の地方創生に向けた取組に連動し、県においても若者の県内定着とUJIターンを促進するため、県外流出抑制対策の一つとして、産業集積条例を改正し、本社機能の立地への支援を創設した。

    企画や管理業務、研究部門など、企業の中核を担う本社には、若者や女性の就業が期待できることから、本社機能立地にはオフィス賃料の補助金新設や、設備投資補助の補助率拡充など、工場等の立地支援に比べて支援策を強化しているところである。

    令和3年度の賃料補助の実績だが、44件で2,021万円の実績である。

    ○入江次郎委員 要するに、東京一極集中是正のため。それで、これまでも地域創生のほうでも言われていたが、若い女性が本社機能のあるオフィスを目指して東京に行っていると。それを兵庫県に定着させるために、本社機能のあるオフィスを呼び込むために、この賃料補助を制定したということであった。

    僕、地域創生戦略の折に改めてこれを聞いた。東京のオフィスに若い女性が、東京にオフィスがあるから若い女性が東京に行ってるのか、それともほかの理由で東京に行っているのかということを聞いたら、その資料を持っていないということであった。ただ、東京で働いている女性が、本社機能のオフィスで働いている女性が多い。ただ、それだけということである。だから、オフィス機能があるから東京に行っているということではないということであった。

    今、地域創生戦略の見直しがされているのをご存じだと思うが、その中で、これ随分、見方が今変わってきている。例えば、女性は東京より大阪府への転出超過が多いということが、これ今新たに分かってきている。先ほど、本社機能のあるオフィスに女性が仕事を求めていると言われていたが、今のこの見直しの地域創生戦略の中で、女性の志望業界は何かご存じか。女性が望んでいる志望業界。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 申し訳ない。地域創生戦略の見直しのところ、現時点では把握できていない。申し訳ない。

    ○入江次郎委員 先ほど、女性が本社機能のあるオフィスを目指して東京に行ってるから、これ新たに27年度から制度をつくったと言っているが、これ女性が志望している業界、全く違うのである。女性の志望業界、14.3%で圧倒的な第1位がサービス業、その次が病院など医療関係、その次が製造業Aとある。その後が学校など教育。その五つ目にようやく商社、事務系の商社というのがようやく入ってくる。だから、賃料補助制度ということで、これ27年度から新たに制度をつくっているが、ここでもミスマッチが起こっている。

    さっきからずっと言っているように、県内では中小企業のとりわけ製造業が、これ人手不足で悩んでいるのに、製造業ばかりを呼び込んでくる。社会情勢も、もう大企業は内部留保が500兆円もたまってだぶついているのに、更にこれ世界一力のあるパナソニックやトヨタの出資会社に更に補助金を支出する。

    今、社会増、社会減が大問題になっているが、そこでも女性が流出するのは、東京に流出するのは事務系の職場があるから東京へ流出していると言っているが、女性が志望している業界というのは、これ全く違う。だから、本当にこれ全てが僕は今、ミスマッチが起こっていると思う。改めて20年目を迎えて、しっかりした検証を強く求めるが、ミスマッチが起こっていると思わないか。しっかりこれ検証していただきたい。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 産業立地条例については、その時々の社会経済情勢を踏まえ、県議会の議決をいただきながら、これまでから見直しを行ってきた。今後についても、その時々の社会経済情勢を踏まえ、毎年度の予算も議会に提案しながら、引き続き適正に支援を行い、県内への企業立地に取り組んでまいりたいと考えている。

    ○入江次郎委員 やり取りの答弁に全然なっていない。僕はずっと明らかにしてきた。ミスマッチが起こっているのではないかと。ミスマッチが起こっていると思わないかと聞いているが、どうだ。

    ○地域産業立地課長(大西利政) 平成27年に本社機能の立地支援であるとか、そういうものを創設し、若者の人材の定着であるとか、UJIターン、還流というものを図ってまいった。一方では、人材確保、委員ご指摘のとおり、人材不足というのが続いている。それについても一方ではいろいろな対策をとっている。その両輪があって、県内経済の発展が図れるのではないかと考えている。

    ○入江次郎委員 その対策がミスマッチだと言っているが、答弁がない。改めて行財政運営方針でもうたっている、他の地方公共団体の事業水準と比較して、著しく均衡を逸している事業について、他団体の水準を基本に検討する。そして、最小の費用で最大の効果を実現する。こういう視点を踏まえた第三者機関の検証を、私は強く求めたいと思う。

    時間がないので次に移る。

    兵庫県奨学金返済支援制度のサポート強化を求めてお伺いする。

    兵庫県では、平成28度より、中小企業就業者確保支援事業として、兵庫型奨学金返済支援制度をスタートさせ、中小業者、若者にも大変喜ばれているところである。兵庫県奨学金支援制度とは、30歳未満の若者が県内の中小企業に就職した場合に、制度を設ける中小業者が3分の1、県が3分の1、本人が3分の1を支出し、5年を上限に奨学金返済の支援をしようとするものである。ただ、これまでも申し上げてきたが、いい制度であるにもかかわらず、実績があまりにも少ないということである。

    平成29年度の実績は、対象者目標1,500人に対し、実績は148人。対象企業数は47社。予算執行率は54%にとどまった。その後、平成30年度は304人、85社。令和元年からは対象者目標500名と引き下げて、令和元年は383人、109社。令和2年は427人、122社。令和3年は516人、124社へと順調に増やしてはいるものの、当初目標の1,500人にはまだまだ及ばない。とりあえずは令和3年は変更した500名目標を達成し、516人となったわけだが、当初目標1,500人の3分の1程度である。コロナ、あるいは物価高で制度充実は多くの学生に求められている。目標設定を1,500人へ再び戻し、周知徹底をしっかりと行い、この制度の活用を促進することと併せ、制度の拡充も求める。

    ○労政福祉課就労対策官(平野 謙) 兵庫型奨学金返済支援制度は、中小企業の人材確保を支援するため、奨学金を返済している従業員を経済的に支援する企業へ補助する制度として、平成28年度から実施している。補助期間を5年にした際に、目標人数を1,520人としたが、平成30年度の利用者は304人、令和元年度は383人であった。現実的な目標設定となるよう、目標者数を500人に見直した。

    企業の制度導入が想定と比較して伸び悩んだ理由としては、アンケート等を踏まえると、中小企業にやはり一定の3分の1という一定の負担が生じること。また、他の従業員との公平性に係る懸念などを挙げられている。

    今後は、人手不足を背景に、当制度のニーズがより高まると予想している。コロナ禍で国が給付型の奨学金を拡充しており、貸与型の奨学金は減少しているという要素もある。だが、一旦目標は達成したわけである。需要に応じた新しい目標値の設定について検討をする。

    これまでハローワークなどの関係機関や他の県事業と連携したチラシ配付、企業訪問による個別の案内など様々な手法で周知を図ってきた。引き続き、当制度を知らないので使わないという企業がなくなるよう周知に努め、県内中小企業への若者世代等への就職と定着を支援してまいる。

    なお、制度の拡充については、やはり費用対効果の観点から課題があると考えている。当面は現行制度の枠組みを基本としつつ、まずは制度の周知に努めてまいる。

    ○入江次郎委員 大企業には十分な効果の検証をすることなく、しかも力のある、税金投入する必要もないところに、これだけの巨額の税金を投入しておきながら、奨学金というのは、今一番求められているところである。そこの政策転換して、しっかり充実させていただきたいということをお願い申し上げて終わる。ありがとうございました。

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