議会報告

  • 2022年10月06日
    予算・決算特別委員会

    2021年度決算特別委員会 総務部、財務部、危機管理部 入江次郎

    ○入江次郎委員 日本共産党の入江である。

    早速質問に入る。

    県は毎年、県民意識調査を行っているが、この県民意識調査の中で、県の行っている仕事を18項目挙げて、県政の評価をアンケート方式で県民から毎年聞き取りをしている。

    その18項目の中に、雇用の安定というのが挙げられているが、県が行ってきたアンケート調査の中で、この雇用の安定の施策は、この10年間、県民からどのように評価されているのか、お答えいただきたい。

    ○広聴官(福浦和広) 県民意識調査における県政への評価のうち、雇用の安定と職業能力の開発については、過去10年の調査において、努力が必要との回答が、やっているとの回答を上回っている状況となっている。

    一方で、努力が必要との回答割合は10年前と比べて13.5%減少しており、改善傾向となっている。

    ○入江次郎委員 改善傾向とか言われるんだけれども、この18項目の中で、10年間ずっとこの雇用の安定に対して努力が足りないという評価はずっと1位、2位ずっとである、雇用の安定については。

    これ、項目いろいろあって、行革への努力とか高速道路の整備とかこういうのも入っているが、もうそんなのを押しのけて雇用の安定というのはこの10年間毎年1位、2位をずっと占めている。

    その県民の雇用の安定に努力してほしいと、その思いを踏まえて、質問に入っていきたいと思う。

    平成25年の4月から、労働契約法が改正された。無期転換ルールが導入され、令和4年の4月で9年目を迎えている。

    ご存じのとおり、この無期転換ルールというのは、たとえ1年更新の有期労働契約であっても、連続更新して5年を超えて更新された場合は、労働者からの申込みによって、期間の定めのない無期契約に転換しなくてはならないというふうになっている。

    そこで伺うが、多くの外郭団体や指定管理者が労働契約法が改正された直後に有期労働者の雇用契約を改正し、無期転換申込権が発生する5年を限度に雇い止めにすると規則を多くの外郭団体や指定管理が変更している。なぜ労働契約法改正直後に5年を限度に雇い止めとしているのかお答えいただきたい。

    ○県政改革課長(篠井省吾) 先ほど委員からもお話のあった平成24年に労働契約法が改正され、平成25年から有期労働契約について、一つには、無期労働契約への転換、二つには雇い止め法理の法定化というようなルールが規定されたということになっている。

    先ほどの質問であるが、このことを契機の一つとし、当然、法の趣旨にのっとりながら、団体ごとに職員の状況や業務内容、経営状況などを勘案して、有期契約における雇用契約の雇用年限の設定等について取扱を定めたものと認識をしている。

    ○入江次郎委員 篠井課長からいただいた無期転換ルールハンドブックであるが、この中には、無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではないと書いてある。

    そのほかにもこのハンドブックの中には、例えば、仮に1年契約で働いていたとしても、実質的には会社の事業運営に不可欠で、恒常的な労働力であることが多く、ほぼ毎年自動的に更新を繰り返しているだけと言える。このような社員を期間の定めのない労働契約の社員として位置付け直すことは、むしろ自然なことであり、実態と形式を合わせる措置と言える。

    無期転換は特別なことでも、また大変なことでもなく、より適切な雇用関係にしていくための取組なのであるということで、恒常的な業務には、業務はずっと残っているのに、人だけ入れ替えている。こういう恒常的な業務の場合は、無期転換にすることがごく自然なことであると、ハンドブックの中に言われている。

    僕、この9月の16日の建設常任委員会で、土地開発公社の審査があり、具体的にお聞きした。

    土地開発公社では、15名の非正規の労働者の方を雇っていて、5年目迎えている、この法契約が改定されて5年目を迎えているが、そのうち13人の人はなぜか5年がたつ前にもう自主的に辞めてしまったということである。残り二人の方は5年目を迎えた。土地開発公社は、どうしたかといったら、この二人の方は無期転換しないということで契約解除している。その後、その職場は残っているのかと聞くと、その職場は残っていると、その職場に正規か非正規どちらを充てたかというと、非正規は出ている。だから、職場は残っているのに、非正規の労働者を繰り返し繰り返し置き換えているだけ、業務はあるのに人だけ置き換えているという、こういうことをやっている。

    この無期転換のハンドブックでは、恒常的な労働力、恒常的な職場には、職員を無期転換に配置しなさいと、転換しなさいよとアドバイスがされているのに、土地開発公社はそういうことをせずに2名の方を契約解除にしている。なぜそういうことをするのかと、僕、公社の方に聞いたら、議事録を持ってきたが、こう答えている。公社も県の行革の中で動いており、新規の採用はしないと、できないということが進められている。無期転換になってしまうと、プロパー職員として雇用するという形になってしまい、この雇用契約の前に雇用条件として5年を超えては雇用しないということを前提として契約を結ばせていただいていると言っている。

    だから、最初の紹介で、無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは法の趣旨に照らして好ましくないと言っている。ただ、公社の専務は、無期転換になってしまうとプロパー職員なっていると。それは行革で止められているから無期転換できないと言っている。

    最初に紹介したように、県民の一番の願いは、雇用の安定ということになっているのに、行革が無期転換、雇用の安定を妨げているんじゃないのかなと僕は思うが、公社の職員も専務もどう対応していいか分からないと思う。行革では、もうプロパーを増やすなと、ただ、法の趣旨では恒常的な業務には5年たてば無期転換にしなさいよと、法の趣旨ではこうなっている。行革が優先されるのか、それとも無期転換ルール、法の趣旨が僕は優先されると思うが、公社に対して行革ではなく、この無期転換ルール、法の趣旨で進めるよう言うべきじゃないか。

    ○県政改革課長(篠井省吾) ご質問の件であるが、行革の中で、公社等の職員の採用に当たり、正規職員の採用については、公社等の経営状況も勘案しながらいろいろ協議を受け、判断をするというような形を取っている。

    今のお話であるが、当然、委員おっしゃられるように、法にのっとった対応するというのは、それは当然のことであるというふうに思っており、平成29年も平成30年もその法の趣旨を踏まえて対応するように通知をしている。

    また、公社等においては、本指針にのっとって非正規の職員の無期雇用に転換したというケースも当然ある。

    当然、非正規雇用を無尽蔵に取れば、公社の経営等には影響するので、場合によっては我々としては指導等を行う場合ももちろんあるが、法の趣旨にのっとって対応するというのは当然であり、公社等自身が経営状況であるとか、団体の状況を勘案しながら適正に対応していただくというのが基本であるというふうに思っている。

    ○入江次郎委員 ということになると、行革で縛られていると、無期転換にできないということは間違いであるということは、それはきっちり各外郭団体に通達なり助言なり出すべきだと思う。行革があるから無期転換にできないと言っているんだから、これは法の趣旨と照らして違うので、行革があるから無期転換できない、これは正すように各外郭団体に指導なり助言なりしていただきたい。

    ○県政改革課長(篠井省吾) 公社等の受け取りがどうなのかというところは、各公社等によってちょっと今委員がおっしゃられたような状況があるということであるので、我々としては、改めて法の趣旨、無期雇用の無期転換ルールの、そこの法の趣旨のところについては、一番最後に通知したのが平成30年ということであり、委員、先ほどおっしゃられたとおり、10年近くたっているというようなこともある。

    改めて、こういうルールがあるということについては、各公社等に通知をするなど検討したいと思う。

    ○入江次郎委員 土地開発公社の答弁を聞いていると、法の趣旨を十分理解できていないなと僕思ったので、改めてしっかり指導していただきたいと思う。

    次に、兵庫県勤労者協会について伺う。

    指定管理というくくりで、所管の立場で答えてもらったらいいと思うが、労働契約法が改正された平成25年4月以降に、ここでは145人が雇用されている。ただ、そのうちの138人は、5年を前に、これも自主的に辞めたとの報告を勤労協会から受けた。勤労者協会というのは、もうご存じのとおり、労働者の福祉の増進を推進する協会なのに、5年を前に138人も辞めているというのは、よほど労働条件が悪いのかなというふうに思う。このことは後でまた正すが、こういう現象は、勤労者協会だけではなく、多くの指定管理者や外郭団体で起こっている。

    総務省通達では、労働条件の向上が指定管理者に求められている。

    例えば、これは総務省の通知であるが、指定管理者を導入してから様々な留意すべき点も明らかになってきたということで、指定管理者において、労働法令の遵守は当然のことであり、労働条件の適切な配慮がされるように留意することとあるが、5年を前に9割近くの非正規労働者が辞めているが、労働条件が悪いかどうか分からないが、改めて、この指定管理者に対して通達に基づいて労働条件への配慮ということを徹底していただきたいが、答弁お願いする。

    ○県政改革課長(篠井省吾) 少し繰り返しになってしまうが、有期契約における更新年限の設定については、団体により勘案する事情が異なる。法の趣旨にのっとって、法の趣旨に沿って団体ごとに判断し、対応することが基本であるとは考えている。

    ただ、このたび、この5月に指定管理者のガイドラインを改正し、その中で職員の継続雇用に関することという、募集要項の記載に当たり、職員の継続雇用に関することの注意書きを追記をした。先ほどおっしゃったように、無期転換ルールの適用を意図的に避けることを目的として、無期転換申込券が発生する前に雇い止めを行うなど、労働契約法の趣旨に照らして望ましくない対応が行われないよう留意するようにという追記も行ったところである。引き続き適正に対応していく。

    ○入江次郎委員 追記も行ったが、勤労協会に145人中138人が5年以内に自主退職している。残りの7人、この人は5年目を迎えたが、ここも土地開発公社と同じように、無期転換されずに、5年目を迎えて、申出があったけれども、契約が更新されなかった。指定管理者にいろんなとこへ電話して聞くと、なぜ5年目が来ているのに無期転換しないのかというと、指定管理者はこう答える。県との契約が3年である、指定管理。だから、次契約が更新されなかったら、労働力が余ってしまうから無期転換の契約をすることができないと言う。

    だから、追記でそういうことを言っておきながら、現場では指定管理の更新がされなかったら、労働力が余ってしまうから、無期転換できないんだと答える。

    今、行革の中で、指定管理者を全面的に公募にするとか、そういうことが言われているが、指定管理を導入することによって、働く人の声を不安定にさせているんじゃないのかと思うが、どういう認識をお持ちなのか。

    ○県政改革課長(篠井省吾) 指定管理者の原則公募につきましては、民間活力の導入によって県民の利便性向上を目的として進めている。

    先ほど委員のおっしゃった雇用の関係については、繰り返しになるが、ガイドラインで継続雇用に関することということで、例えば、現指定管理者のもとで管理運営業務に従事する職員のうち継続雇用を希望する者の雇用に配慮するようにという募集要項を定めるなど、対応をしていく。

    ○入江次郎委員 追記で配慮するようにということだが、実際にはなってない。だから、しっかり改めて指導していただきたい。

    次に進む。同じように、県立大学では、現在、48名の非正規の研究員がいる。この48名は全て学位を取得している。優秀な研究者ばかりである。ただ、そのうち来年3月末に大学の研究員は、5年じゃなくて10年となっているが、10年を迎える非正規の研究者が2人いる。10年間にわたって先進的な研究に携わってきた優秀な研究者ばかりである。こうした優秀な研究者が雇い止めされるのは、県立大学はもとより、兵庫県全体にとっても大きな損失である。大学側が65歳まで雇用する財源がないことを理由に、雇用を延長しない事例も全国で相次いで報告がされている。

    もし県立大学でもそういう理由であるならば、県が財源を担保し、優秀な研究員が安心して研究に没頭できるよう、財政支援をし、雇用の安定を図ることを要望するが、答弁を求める。

    ○大学振興官(森本 昌) 兵庫県立大学の非正規研究員については、国の科学研究費補助金や企業との共同研究の対象となった特定の研究プロジェクトにおける研究業務の一部を担わせるために雇用している。

    研究プロジェクトは、概ね2年から3年の期間で終了することが一般的であるため、それに従事する研究員の募集や採用時の雇用契約に当たっては、当該研究プロジェクトの周期、または最初の採用から10年という期間の周期を明示して、本人の同意を得ている。

    また、県立大学での無期労働契約による雇用としては、現在、県立大学においては教職員としての正規採用以外には想定されていない。県立大での正規採用に当たって、教員として研究だけでなく、教育の業務も求められることから、最適任の人材確保のため、教員人事規程により、広く公募の上、教授会や法人の人事委員会で過去の研究業績などを総合的に判断し、審議を行っている。

    正規採用を行うに当たり、継続的に研究員を続けていたということだけでは、自動的に無期契約に転換できるというものではなく、一定の競争的な審査を経ていただくという必要がある。

    また、研究員については、基本的に、自身の研究分野での研究業績を積み重ねていくことが最大の目的とされているので、必ずしも1ヵ所の研究機関なり、大学なりに、長期にわたって雇用されることが、必ずしも本人のメリットにはならず、それぞれの研究分野を深められる部分をそれぞれ見つけて、研究所なり大学へ移っていただくことも一つの本人のメリットと考えている。

    ○入江次郎委員 繰り返しになるが、県民調査でも明らかなように、県民が県へ最も望んでいる施策は、雇用の安定である。その声に応える施策を進める上でも、まずは県の外郭団体、指定管理者、県立大学法人などで働く非正規労働者の労働条件が民間のモデルになり得るよう、県がイシニアを発揮することを強く要望して、終わる。

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