議会報告
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私は、日本共産党県議団を代表し、上程中の請願第73号ないし第80号ついて、不採択でなく採択を求め、討論します。
請願第73号「日本政府に『女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める』意見書の採択を求める請願」についてです。
女性差別撤廃条約の実効性を高めるための選択議定書が国連総会で採択され、2000年12月22日に発行しました。
しかし、日本は1999年の議定書の審議に参加したにもかかわらず、23年たった今でも議定書を批准していません。日本は2021年のジェンダーギャップ指数で146か国中116位、G7で最下位と世界に後れを取っています。
国会では「議定書に批准していないことが、世界から遅れている要因ではないか。議定書採択をテコに大きく進化している世界各国の流れに加わるうえで、早期に批准することが必要ではないか」と、指摘されています。
地方議会でも、現在意見書採択は10府県を含み、164議会で採択され、広がっています。兵庫県議会として、ジェンダー平等に向けた取り組みを強めるためにも、請願趣旨に賛同し、採択を強く求めます。
請願第74号「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早い民法改正を求める意見書」を国に挙げることを求める請願
日本人同士結婚したらどちらか一方の姓を名乗らなければならないという夫婦同姓を法律で強制的義務とされているのは世界で日本だけです。そして姓を変えるのは96%が女性です。国民世論でも7割以上が選択的夫婦別姓の導入に賛成しています。国連の女性差別撤廃委員会も日本政府に対して、繰り返し「法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別であり、ただちに改正すべきだ」と勧告しています。
1996年には、法務省の法制審議会が、選択的夫婦別姓制度の導入を含む民法の改正を答申していますが、今にいたるまで四半世紀たなざらしのまま、法改正がされていません。
「夫婦別姓」の選択肢がなく、夫、妻ともどちらかの姓を名乗らなければならない現在の民法は、女性にとっても男性にとっても人権問題です。「二人とも夫の姓を名乗る」「二人とも妻の姓を名乗る」「夫も妻も結婚前の姓を名乗り続ける」ことが自由に選択できる「選択的夫婦別姓の導入へ、一日も早い民法改正を求める意見書」を、国に上げることを求める本請願の採択を強く求めます。
請願第75号「社会福祉事業に関わる人材確保を求める請願書」についてです。
この3年間のコロナ禍、物価高騰の影響で、福祉職場でこれまでも課題だった施設基準や職員配置基準の抜本的改善の必要性が改めて浮き彫りになりました。
また、やむなく人材派遣会社を利用せざるを得ない福祉職場が、これまで以上に増えています。年収の30~40%に設定されている紹介料が経営を圧迫し、その結果、直接雇用されている職員の賃金アップがままならず、職員確保がさらに困難になる悪循環に陥っています。県が県下の全ての福祉事業所に責任を持ち、賃上げや処遇改善などの施策を充実させ、職員の確保を行うこと、福祉職場が職員確保のためやむなく利用する人材派遣会社の紹介料の実態などを調査把握し、是正することを求める、本請願に賛同し、採択を主張いたします。
請願第76号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書」についてです。
新型コロナの感染拡大が、第8波の入り口に入ったと言われています。また、円安、ウクライナ危機などにより、食料品や電気・ガスなど生活必需品の値上がりが続き、消費者だけでなく、価格転嫁が出来ずに苦しむ中小零細企業にも大きな打撃となっています。物価の高騰は、所得の低い人ほど影響が大きく、パート・派遣・契約・アルバイトなど非正規雇用やフリーランスなど弱い立場の労働者の暮らしを直撃しています。
コロナの感染拡大が始まった2020年以降英・独・仏など世界では、最低賃金を大幅にひきあげ、内需拡大をすすめ、経済危機を克服してきましたが日本は、直近2年間も3%程度しか賃金の引き上げがされておらず、物価の上昇に追い付いていません。
日本共産党は500兆円を超えた大企業の過去最高の内部留保金のほんの一部に課税し、その財源で中小零細企業の支援を強化して、そこで働く労働者の最低賃金1500円を実現することを提案しています。
働く人や国民の生活を底上げし、購買力を高めることで、地域の中小零細企業の経営も改善させる地域循環型経済の確立が可能となります。
最低賃金法第9条は、「労働者の健康で文化的な生活を営むことができるよう」にするとしています。
よって、最低賃金を1500円以上に引き上げること、全国一律最低賃金制度の確立を進めること、最低賃金引上げによる中小企業負担を軽減するため、そこで働く労働者の社会保険料負担や税の減免制度などを実現することの3点を求める本請願の採択を求めます。
第77号 県立高校の統廃合計画を見直し、少人数学級によって教育の充実を求める件 採択を主張
兵庫県教育委員会は、2022年7月14日、少子化を理由に、県立高校統廃合計画対象校を発表。その後、県教委OB、県教委、市教委らで構成する検討委員会を立上げ、8月~11月のわずか4カ月の間にたった4回の議論の末に、第1学区では神戸北高校を神戸甲北高校へ、伊川谷高校を伊川谷北高校へ、第2学区では西宮甲山高校を西二宮北高校へ、第3学区では三木北高校と吉川高校を三木東高校へ、第4学区では家島高校、網干高校を姫路南高校へ、夢前高校を福崎高校へ統廃合する基本計画を発表しました。
子どもたち、保護者、地域からは「高校の選択肢が狭まる」「通学時間が長くなってクラブ活動ができなくなる。通学費も大変・・」「少子化の今こそ、少人数学級実現し、教員の過重負担も軽減し、子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を」などの声が多数出ています。
採択を求める第一の理由は地域住民に丁寧な説明がされていないということです。
県教委は、記者発表の場で「丁寧に基本計画を住民に説明したい」と、述べました。しかし、本来であれば基本計画策定前に地域で住民説明会を開催し、地域住民の声を十分に聞いた上で、その声を基本計画に反映すべきです。
地域の高等学校は、地域の子どもたちに対し教育的効果を発揮することが第一義的役割であることはいうまでもありません。併せて、地域の学校は、地域住民にとっても欠かせない役割を担っています。
例えば、地域住民の命を守る防災施設としての役割です。最も多くの対象校があげられた第4学区では、網干高校、夢前高校、家島高校がそれぞれ統合されると発表されました。それぞれの高校は避難所にも指定されています。
仮に、基本計画通りに統廃合がされ、学校施設まで取り壊しということになれば、姫路市が前之庄地域、網干小学校区で想定している想定避難者数に対し避難所施設が不足してしまいます。学校がなくなるということは、子どもたちにとって学校が遠くなるということだけでなく、地域住民からすれば命を守る避難所まで遠くなるということです。
これはほんの一例です。県教委はこうした事実も把握しないまま、地域の声も聞かないまま、住民説明会を開催することなく基本計画を発表しました。統廃合計画を見直して、住民説明会を開催し、まずは地域住民の声を聞くことから始めるべきです。
第二の理由は 高校統廃合によって子供たちの通学負担がますます増えるからです。
兵庫県は県職員が公舎に入居できる条件として90分以上の通勤時間を要することを条件としています。兵庫県公舎入居規定通りに姫路市家島町から公共交通を利用して通学時間をシュミレーションした場合、JR姫路駅で公共交通に乗り換えた時点で既に81分にもなります。県職員だけでなく、高校生の通学時間も90分が限界です。
仮に、このまま統廃合計画が進められ、県立網干高、県立家島高、そして姫路市が公表した市立飾磨高が廃校になると、山陽電車沿線の公立高校は姫路南高校だけになり、家島町からギリギリ90分圏内で通学できるかできないかの範囲に姫路南高校だけになります。
また、夢前高校と福崎高校の統廃合を議論した検討委員会でも、教員から「福崎・夢前間の自転車での通学は難しい」、中学校長からは「長距離で歩道もない道路を自転車で通学する方法しかなくなると考えられ、受験を諦めざるを得ない生徒も出てくるのではないか」等々の意見が出されています。
また、平成29年にまとめられた兵庫県学区拡大検証委員会では「県立高校の受験制度は複数志願制度なのに、交通アクセスの関係で第一志望しか進学できない状況がある」と委員から指摘され、その改善が県教委には求められています。
こうしたことを踏まえると、複数志願できる2つ以上の県立高校を90分以内の通学圏内に設置することが県教委の最低限の責任です。統廃合計画を進めればますます高校の選択肢は狭まってしまいます。
第三の理由は、少子化の今こそ少人数学級を実現する絶好の機会だからです
高等学校の教員配置基準(常勤)は概ねクラス数で決まることになっています。現在高等学校の教員配置基準は40人学級に常勤教員一人が配置されることになっています。県教委は、1学年6~8クラス、つまり40人学級×6クラスで1学年240人規模を適正規模とし、第4学区(中・西播磨)では少子化の影響で2022年度の1学年平均学級数が4.5学級しかなく、1学年180人規模だから、適正規模に満たないとして統廃合を進める理由にしています。しかし、文科省は「適正規模の教育的効果の検証はされていない」としています。
一方で、文科省は少人数学級の教育的効果を認めています。例えば高等学校でも少人数学級を実現し、教員配置基準を30人学級あたり1人とし、30人学級×6クラスで1学年180人規模にすれば、教員の過重負担も軽減し、子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を行うことができます。小人数学級は知事の選挙公約でもあります。
世界では、20以下の少人数学級と、小規模学校が主流です。日本の対GDP比教育予算はOECD加盟国39か国中、下から8番目という最下位レベルです。教育に予算を充てない国に未来はありません。県教委がいう「少子化だから統廃合」でなく、少子化だからこそ学校施設を増築することもなく少人数学級の実現が可能なのです。
よって、県立高校の統廃合計画の見直しと、少人数学級を求める本請願に賛同し採択を求めます。
請願第78号すべての子どもたちへの行き届いた教育をめざし、35人以下学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求める請願書についてです。
国が、少人数学級を求める長年の要望と世論に押され、40年ぶりに学級編成基準を見直し、小学校を35人学級としたことは大きな前進です。さらに中学校の35人学級が政府の骨太方針に盛り込まれ、高校の少人数学級も検討されているところです。
全国25県が小・中学校全学年で35人以下学級を実施する中、中学校で実施していないのは広島県、大阪府、兵庫県の3府県のみです。兵庫県では、今年度から不十分ながら中学での35人学級が選択できるようになりました。高校も含め全ての学年で35人学級を実現すべきです。さらに、20人学級をめざして定数改善を進めていくことが求められています。
また、特別支援学校には施設設置基準がないことが、過大・過密など劣悪な教育環境を作ってきました。文部科学省の令和元年度調査では、県下の教室不足数は137室、そのうち県立学校は91室にものぼります。昨年やっと国が特別支援学校の最低基準を定める設置基準を初めて制定しました。
速やかに特別支援学校施設の改善に取り組まなければなりません。
通常の小中学校の特別支援学級で学ぶ生徒は増え続け、1クラス8人の定員をさらに少人数にという要望は切実です。
また、教育費の負担は、公立小学生で年平均10万2千円、公立中学校は約16万7千円、公立高校も授業料を除く負担は約26万円にもなります。
日本の高等教育にかかる高額費は大きな社会問題です。大学生の半分が少額金を借りざるを得ず、その多くが利子付きであり、卒業と同時に高額な借金を背負い、社会人の第一歩から生活が破綻する若者が続出する等、学費無償化は喫緊の課題です。
よって、国及び兵庫県の責任で、小・中・高での35人学級を早期に実現し、「20人学級」を展望し、少人数学級をさらに前進させること。県立高校の統廃合計画の方針を撤回すること、お金の心配なく学べるよう教育費を増額すること、高校の学費無償化、私学助成の増額、県独自の返済不要の給付型奨学金制度の創設、特別支援学校の増設と、施設・設備の充実、特別支援学級の定数改善を求める本請願の採択を求めます。
請願第79号「教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成に関する件」についてです。
2020年4月から国の就学支援金制度が拡充し、制度の改善が進められてきました。
しかし、とりわけ、生徒本人を含め2人以上の子どもを扶養している世帯の経済的負担は重く、「多子世帯加算」の所得制限をなくしてほしいという要望は切実です。
また、この間の県行革の方針に基づき、県外私立高校通学者と、県内私立高校生への補助に格差をつけていることは、学費無償化に逆行するもので一日も早く解消すべきです。
また、私立小中学校の授業料負担が重く、国による実証制度が2021年に終了してしまいました。今年度は、コロナ禍のもと所得の激変緩和措置が行われていますが、実証制度で対象になっていた低所得世帯は対象にならず改善を求める声は切実です。
私立学校は、建学の精神に基づき特色ある教育を行いながら、公教育の一端を担っており、教育環境の整備とともに、公私間格差をなくし、県に私立学校の学費軽減補助制度の拡充や経常費補助の増額、私立小中学校の就学支援補助を求める本請願の採択を主張します。
請願第80号「東播磨地域に小中高のある特別支援学校の新設を求める件」
現在東播地域には知的障害の子どもが通える県立特別支援学校が2校あります。しかし、児童生徒の増加が続き、教室不足がかつてないほど深刻です。
県教委は財政難のおり、東播地域の新設は早くても令和6年としていますが、今既に限界の過密状態で、この先も近隣市町の動向から入学希望者が減少する見込みはありません。
よって東播地域に小中高のある特別支援学校を早急に新設する事、障害のある子どもが豊かな教育を受けられるよう、学校の教育条件を整える事を求める本請願の採択を求めます。
以上、議員の皆様方のご賛同をお願いしまして討論を終わります。