議会報告
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私は、日本共産党県議会議員団を代表し、上程中の議案の内、第95号議案、第105号議案、第106号議案、第109号議案、第110号議案、計5件について反対し、その主な理由を述べます。
議案第95号「個人情報の保護に関する法律施行条例」についてです。
昨年、2021年5月デジタル関連法が成立しました。デジタル関連法は、国や自治体等の行政機関が持つ膨大な個人情報の「データ利活用」を成長戦略に位置付け、企業に開放し、いわば「儲けのタネ」として企業の利益につなげるものです。日本共産党は、国会で関連法に対し、個人のプライバシー侵害、地方自治の侵害、国民生活への影響、利益誘導・官民癒着の拡大といった多くの問題があるとして反対しました。
関連法の中の重要な柱の一つが個人情報保護法の改定です。民間、行政機関、独立行政法人、各自治体の個人情報保護条例等の規定、運用がバラバラであることを理由に全体の所管を個人情報保護委員会に一元化、全国共通のルールを設定したうえで、法の範囲内で自治体独自の保護措置を認めるとしました。各自治体が設けてきた個人情報保護の規制をリセットし、法の縛りがかけられたもとで、今回の個人情報保護法施行条例制定が提案されたものです。
個人情報保護条例は、1970年代から80年代にかけて、自治体が持つ個人情報のコンピュータ処理が広がる中、電算処理に係る個人情報保護条例制定から始まり、それが個人情報保護全般を保護する条例となり、政府が個人情報保護法制定の検討を始めた1999年時にはすでに約半数の自治体が条例を制定しており、2003年には全自治体が制定しました。兵庫県は1996年に制定しました。自治体の個人情報保護制度は国に先んじて条例が整備され、内容も発展させてきた地方自治の象徴的存在の一つということができます。
自治体の条例では、個人情報の収集は本人から直接収集するなどの収集の制限、目的外利用・外部利用の制限、オンライン結合の制限などの原則が定められ、例外とする事例は、審議会の意見を聞くなどを定めています。しかし、今回の施行条例は、今まで築き上げてきた規制が大きく後退することになります。
個人情報保護法改訂による共通ルールの最大の目的とされるのは「匿名加工情報制度」と情報連携を自治体に行わせることです。「匿名加工情報」とは、特定の個人を識別できないように加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報で、「加工」されたことで「非個人情報」となるものです。そのため本人同意なく第3者、民間事業者への提供など、目的外利用が可能になりました。当分の間、「匿名加工情報」の利活用の定期的な提案募集を都道府県と政令市に義務付けました。そのために自治体が持っている「個人情報ファイル」を公表することになっています。「匿名加工をする」といくら言っても、本人同意なく目的外に流用し企業の儲けのために外部提供することが行政の仕事と言えるでしょうか。
自治体が保有する個人情報は、公的権力を行使して取得したり、申請・届け出に伴い義務として提出されたものです。住民サービスに関わる個人情報の宝庫ともいわれています。本来、個人情報の防波堤となるべき兵庫県が、改訂された法のもとに「個人情報保護条例」を廃止し、「法施行令条例」に改変することには賛成できません。
第105号議案 県営尼崎西昆陽住宅建築工事請負契約の締結についてです。
県営住宅の建替そのものについて、反対するものではありません。しかし、今回の建て替えは尼崎西昆陽住宅160戸と、尼崎武庫之荘鉄筋住宅40戸、併せて現在200戸あるものを尼崎武庫之荘鉄筋住宅を廃止して尼崎西昆陽住宅へ集約して新築し160戸へと、40戸削減しようとするものです。
住宅の確保が難しい低所得の方や高齢者の方の増加など、県営住宅の需要はますます高まっているもとで低廉な家賃で住宅を供給する県営住宅の管理戸数を削減する本議案には賛同できません。
第109号議案 公の施設の指定管理者の指定(兵庫県営住宅神戸地区(西区・明舞地区除く))、第110号議案 公の施設の指定管理者の指定(兵庫県営住宅阪神南地区(尼崎市・西宮市・芦屋市))についてです。
まず、109号議案についてです。これまで兵庫県営住宅神戸地区は、県の出資団体である住宅供給公社が指定管理者でした。しかし、本議案では、住宅供給公社に代わって、TC神鋼不動産サービス㈱が兵庫県営住宅神戸地区の指定管理者へ公募し決定しました。
県営住宅事業は、県事業と県民が最も深く関わる事業の一つであり、私たち県会議員も多くの相談を受けます。TC神鋼不動産サービス㈱の事業計画を見ましたが、入居者の利便性に関する提案や、集会所、広場、駐車場の活用案までもが黒塗りで見ることができません。これでは、県民の代表である県会議員が、県民生活と深く関わりのある県営住宅事業を県民目線でチェックをすることができません。
次に第110号議案については、兵庫県営住宅阪神南地区(尼崎市・西宮市・芦屋市))を、これまでと同じ株式会社東急コミュニティーに指定管理者の指定をしようとするものです。同社の事業計画書では、防災、災害対策の対応まで黒塗りで見ることができません。
県民生活に深くかかわる県営住宅事業については、民間事業者を指定管理者にすべきでありません。以上の理由で本議案に反対します。
最後に、第106号議案 公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立先端科学技術支援センター)についてです。
本議案は、兵庫県立先端科学技術支援センターの指定管理者を新たに国際ライフパートナー(株)に2023年4月1日から2028年3月31日まで、5年間同社を指定するものです。国際ライフパートナー(株)の事業計画書の人員配置計画をみると常勤のセンター長はじめ、スタッフの契約社員などが配置される予定です。議案審査に関わって、雇用契約書等の資料の提出を求めましたが(議決を受けて、契約となるので)提出できないとの回答がありました。そのため国際ライフパートナー(株)が県内で、全国で指定管理をすでに受託されている施設、例えば西宮の県立総合体育館、猪名川町の奥猪名健康の郷の事業計画書で確認したところ黒塗りの資料が提出されました。これでは、同社が指定管理者にふさわしいかどうかを判断することができません。よって第106号議案に賛同することができません。
以上、議員各位のご賛同をお願いして、私の討論とします。