議会報告

  • 2022年10月24日
    本会議

    第359回本会議 請願討論 いそみ恵子

    私は、日本共産党県議団を代表し、上程中の請願第69号、第70号、第72号について不採択でなく、採択を求め、討論します。

    まず、請願第69号「日本政府に核兵器禁止条約の参加、調印、批准を求める意見書提出の件」についてです。

    本年9月22日、核兵器禁止条約に新たに5か国が署名、2か国が批准書を国連に提出、現在、署名国は91か国、批准国は68か国になりました。

    被爆者のみなさんは、世界に向けて「広島・長崎を繰り返させてはならない。核の使用も威嚇も許さない」という明確なメッセージを命がけで訴え、送り続けてきました。これが大きな力となり、核兵器禁止条約は、2017年7月7日、国連で122か国の賛成で採択され、2021年1月22日、正式発効しました。

    本条約は、請願趣旨にあるように「核兵器は、破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するもの」と断罪し、「核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇」にいたるまで、核兵器に関わるあらゆる活動を禁止し「抜け穴」を許さないものになっています。また、核保有国の条約への参加の道も規定するなど、核兵器完全廃絶への枠組みも示しています。

    核兵器の廃絶は、人類の生存に関わる緊急、死活の課題であるとともに、国際紛争の解決に武力の行使や武力による威嚇を禁止している日本国憲法に照らしても、また、人類で唯一国民が被爆の体験を持つ戦争被爆国である日本政府が、積極的に世界に働きかけ推進していくべきものです。しかし、日本政府はいまだに本条約に参加していません。

    今年6月にウィーンで「核兵器禁止条約第一回締約国会議」が開かれました。この会議にも締約国から、日本はオブザーバー参加すべきだと再三呼びかけられていたにもかかわらず、日本政府は「核保有国と非核保有国の橋渡しをする」という理由で参加せず、各国から大きな批判が寄せられました。今会議には、NATOなどアメリカと軍事同盟を結ぶドイツやノルウェーなど5か国がオブザーバー参加し、ドイツの「立場の違いはあるが、心を開いた対話と討論が必須。そのためにドイツはここにいる。」やノルウェーの「核軍縮を推進し、2極化に対抗するため、すべての国の建設的対話を求める」などの真摯な発言が満場の拍手で歓迎されました。これこそが真の「橋渡し」だと思います。この会議で採択された「ウィーン宣言」では、「核抑止論」をきっぱりと排し「核兵器の脅威を根絶するには核兵器廃絶以外にない」という固い決意が表明されました。

    先月の9月29日には南あわじ市議会で「日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める請願」が採択され、兵庫県では12市町へ増えています。

    被爆者の平均年齢は84歳を超えました。日本政府は「長崎を最後の被爆地に。生きているうちに核兵器をなくしてほしい」という被爆者の訴えを受け止めるべきです。兵庫県議会は、2017年全会一致で「非核平和宣言」を採択しています。唯一の戦争被爆国の政府として、核兵器禁止条約に参加、調印、批准し、世界から核兵器をなくす積極的役割を果たすべきとの請願趣旨に賛同し、採択を強く求めます。

    次に、請願第70号「福祉施設の諸物価高騰等にかかる財政的支援を求める件」についてです。

    3年に及ぶコロナ禍の中、感染対策のかかりまし経費や、休所・閉鎖による減収、特に報酬算定が日額制の施設では、その減収の影響は甚大です。

    さらに、ウクライナ侵略や円安等による石油、食料品など諸物価の高騰が、財政をひっ迫し、請願要旨にあるように、事業所の存続さえ危うい状況が生まれています

    保育所や高齢者・障害者施設では給食の食材費、通所施設の送迎車運行では運行費に影響があり、ある事業所では今年度のガソリン代が例年より100万円増えて運営を圧迫しています。就労継続支援事業所などでは、中小企業からの下請け作業の発注の減少やPRイベントの中止により、製品の販売が困難になっています。

    今回の補正予算では、社会福祉施設等に対し、利用者負担の増加の抑制と、社会福祉施設等が継続的、安定的に光熱費等物価高騰対策の一時支援金を計上されていますが、支給単価は入所施設は1人あたり1万円、通所施設は1人あたり3,600円で、さらなる支援が求められています。

    よって、兵庫県内の福祉事業所に対して、諸物価高騰にかかる財政的支援を早急に行うことを求める本請願に賛同し、採択を強く主張します。

    最後に、請願第72号「学校給食への公的補助を強め、給食無償化の推進を求める件」についてです。

    新型コロナウイルス感染症の影響による経済の悪化が、とりわけ子育て世代に貧困と格差を広げ、経済的に困難な家庭が増加しています。その上に、海外からの食糧供給が気候変動、紛争などにより、不安定化し、さらに、円安が追い打ちをかけ、食品価格の高騰が給食費値上げにもつながっています。

    本請願の趣旨にあるように、給食費は、保護者負担であり、学校給食実施状況等調査で、全国平均で小学校が年間に47,773円、中学校が54,351円と大変重いことから子育て世代に大きな負担になっています。

    学校給食は、戦後まもなく、こどもの栄養状態の改善を目的に始められ、今日では、食を通じ、こどもの心身の健全な到達を目的とし、2005年に制定された食育基本法が食育を「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるもの」と位置づけ、また、国の第4次食育推進計画では、「学校給食を『生きた教材』として活用することで食育を効果的に推進する」とし、給食が学校教育の重要な柱となりました。

    様々な家庭の事情により、給食が唯一の栄養源というこどもたちもいる中で、セーフティーネットとしての学校給食の役割は、重要であり、給食費無償化を求める声は、益々、大きくなっています。

    県内の中学校では、明石市、たつの市、小・中学校は、相生市、加西市が無償化しており、国の新型コロナ対応地方創生臨時交付金を活用し、例えば西宮市、川西市などで新たに6市町が給食費を無償化する自治体も広がっています。

    自治体間で格差が生じないよう県として、公費を投入し、教科書などと同様に県内の自治体が学校給食無償化が進められるようその支援を求めています。

    兵庫県議会は、この6月「憲法は、第26条で、教育基本法は、第4条で、学校教育法は、第6条で、それぞれ義務教育の無償を定めている」として、「学校給食の無償化を求める意見書」を全会一致で採択しています。

    よって、学校給食への公的補助を強め、給食無償化を進めることを求める本請願の採択を強く主張します。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。

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