議会報告

  • 2022年09月30日
    本会議

    第359回本会議 一般質問 きだ結

    日本共産党県会議員団 きだ結です。

    1.まず、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。

    オミクロン株による第6、7波の感染爆発で、発熱外来がひっ迫し検査を受けられず、また入院や宿泊療養施設入所ができず自宅や高齢者施設で亡くなった方も多くおられます。死亡者は10歳未満にも広がりました。兵庫県は人口100万人あたりの死者が全国第2位と深刻で、対策強化は必須です。

    9月26日からの国の全数把握見直しに伴い、医療機関で陽性と判定されても発生届の対象外となる感染者は、県の「陽性者登録支援センター」に登録が呼びかけられています。登録すれば、症状悪化時の入院や宿泊療養施設入所の調整、パルスオキシメーター貸し出しがなされます。

    同時に国は、重症化リスクがある方の受診を保障するために、それ以外の方について自己検査の上、電話と検査結果の画像で医師が感染を認定し、早く療養に入れる仕組みの導入を7月から都道府県に強く要請し、33都道府県、県内では神戸市と西宮市が導入しています。

    ところが兵庫県は、県独自の「自主療養制度」に固執しています。これは、軽症で基礎疾患がない等重症化リスクが小さいとされる方に、自己検査を勧め、陽性となった場合、保健所の介入なく療養に入るものです。神戸市や西宮市と違い、保健所医師による感染認定はないため、投薬も公費でなく、食料支援や宿泊療養入所調整はせず、パルスオキシメーター貸し出しもありません。症状悪化時には、改めて医療機関を受診してコロナ患者だと診断されてから医療対応が始まります。これでは手遅れになりかねません。

    そもそも重症化リスクが当初の症状や基礎疾患の有無、年齢などだけでは計れないことは、国立感染症研究所の調査で、今年1月~8月の20歳未満の死亡者のうち半数は基礎疾患が無かったこと、73%の方が発症後1週間以内に急変して亡くなったことからも明らかです。

    高齢者、介護、障害者施設では入院が必要な患者が施設に留め置かれ、多数のクラスターが発生し、死者数も過去最多です。この留め置きの問題はどうしても解決が求められています。

    そこで、
    ①発熱外来拡大や臨時検査センター設置などで検査体制を拡充すること、感染認定や自宅療養者の支援のためあらゆる手段で保健所の医師、看護師の体制強化を図ること
    ②「自主療養制度」を改め、神戸市、西宮市、他の多くの都道府県と同じように、自己検査の陽性者を医師により感染認定し、陽性者登録支援センターへの登録で、受診調整や食糧支援など療養支援を行う対象とすること
    ③高齢者等施設の感染者留め置きをきっぱりやめ、原則入院とするとともに、必要なケアを確保した療養施設を整備することを求めます。

    [齋藤知事答弁] 県では、感染拡大期においても安全・安心な医療を提供するため、コロナ対応の病床確保に努め1,712床の体制を確保するとともに、発熱等診療・検査医療機関を約1,800カ所まで拡充してきた。また、無料検査を実施し、検査体制の充実も図っている。

    保健所については、応援職員の派遣や保健所業務支援室、夜間保健所支援センターの設置などにより、業務軽減を図りつつ、重症化リスクがある方への対応に注力するなど重点化している。

    あわせて、重症化リスクが低い自己検査等で陽性となった方が、医療機関を受診することなく療養を始める県独自の自主療養制度を8月から開始した。自主療養者は食糧支援や宿泊療養等の支援を受けられないが、健康管理は適切に行われることを理解した上で県に登録するもので、体調悪化時には、登録画面の提示により迅速かつ円滑な受診につながるよう、医師会とも調整し実施しており、一定の評価をいただいている。

    高齢者施設の入所者など重症化リスクの高い感染者は、引き続き届出対象であり、医師が入院必要と判断した場合は、迅速に入院調整を実施するなど、患者の生命・健康を守っていく。

    県としては、医療資源の有効活用や一般医療とのバランスも考慮しつつ、患者が適切なタイミングで必要な診療・治療を受けられる医療体制の充実・強化に取り組む。

    2.次に、高齢者補聴器購入補助制度の恒久化についてです。

    難聴は、年齢を重ねることで、誰でも起こり得る症状です。

    家族との会話が成り立たなくなったり、テレビやラジオの音が聞こえにくくなれば、生活の質に関わります。人の話が聞こえにくくなれば、友人・知人・サークルなどコミュニティの場に参加することも、外出することも億劫になり、心身の健康に大きく影響します。

    難聴には補聴器が有効ですが、日本で補聴器の使用者が少ないのは、日本補聴器工業会(2018年)調べで補聴器1台の平均購入額が15万円と高額であること、また認定補聴器技能者など専門家が少ないため、聴こえに合った調整が受けられず、購入しても結局使っていない方が多いからとされています。

    2018年12月議会で、日本共産党県議団が提案した「国に補聴器購入補助を求める意見書」が全会一致で採択され、その後も私たちは本会議などあらゆる場面で制度化を求め、今年度、調査事業としてですが、都道府県レベルでは初めての補聴器購入補助が実現しました。

    同時に、2万円の補助では補聴器は買えないと断念された方もおられます。明石市など県内4自治体が補聴器購入補助制度を持っていますが、今回市町制度との併用が可能だったことで、補助制度を持っている市町からの応募が多い結果となりました。

    また、兵庫県は、「障害者等による情報の取得及び利用並びに意思疎通の手段の確保に関する条例」、いわゆる「ひょうご・スマイル条例」で、県民誰もが安心して暮らし、自己決定による能動的な社会参画を通したユニバーサル社会づくりの推進を掲げています。

    高齢難聴者は、日常生活や社会生活において、円滑な情報の取得・意思疎通に相当な制限を受ける状態にあるのですから、十分な支援を実施することがこのスマイル条例からも求められます。

    加えて、早期に補聴器を使用することが、脳の言葉の聞き取り能力を落とさないために重要であることから、難聴の有無を早めに知ることが大切です。

    [Q] そこで、国に補聴器助成制度創設を求めるとともに、今回の補聴器購入補助を1年限りの調査事業で終わらせず、助成額を増額し、調整費用も対象にした県の恒久的な制度とすること、市町の高齢者の健診で聴力検査も行えるように支援することを求めます。

    [県担当者答弁] 本調査事業は、コロナ禍で高齢者の社会参加活動が低下している中、加齢性難聴者の補聴器使用と社会参加活動との関連性を調査するためデータを収集するものであり、協力いただいた方に、調整費用を含めた補聴器購入費を支援するものである。

    なお、補助額は、県内市町の補助金額を考慮して設定したものであり、適切なものと考えている。

    現在、413名の応募があり、順次補聴器を購入し使用しており、令和5年1月からは、社会参加活動等の状況に関するアンケート調査の実施を予定している。

    恒久的な制度化は、加齢性難聴が全国共通の課題であるため、県独自の個別対応ではなく、広く全国に適用される制度として国において対応されるべきものと認識している。この調査結果を活用して、国への制度提案を行ってまいりたい。

    また、高齢者医療確保法に基づき実施する、市町国保の特定健診や後期高齢者健診は、生活習慣病の早期発見・重症化予防を目的とし、聴力検査は国庫補助の対象となっていないが、実施主体である市町や後期高齢者医療広域連合から意見を聞き取ってまいりたい。

    3.次に男女の賃金格差是正についてです。

    性別による差別・格差のない社会=ジェンダー平等社会の実現に向けて、男女の賃金格差是正についてお伺いします。

    厚労省2021年賃金構造基本調査では、賞与を含めて、時給換算で正規・非正規、男女でみると、正規男性2,850円を100とすると、正規女性は1,884円で66%、フルタイム非正規女性は1,351円で48%、パート女性は1,305円で46%です。

    国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」では、男女別の平均年収は、男性532万円に対し、女性は293万円で、その差239万円。40年間勤務とすると生涯年収は約1億円の差となります。退職金や年金など老後に大きな影響を与えます。

    このような男女賃金格差は、「男は仕事、女は子育て、仕事はパート、アルバイト」という性別役割分担と一体不可分であり、“社会の中心は男性”として、女性の社会的地位の低さや、家事・育児をもっぱら女性に担わせることを固定化する経済的土台となっています。

    したがって、男女賃金格差の是正は、女性差別の解消、女性の地位向上、真の女性活躍へ大きな保障となるものであり、政治が正面から取り組むべき課題です。

    男女賃金格差の要因の1つは、従来女性が多く働いてきた介護、福祉、保育などのケア労働の賃金が他産業より低いことがあります。厚労省の「令和3年賃金構造基本統計調査」では全産業平均33万4,800円に対して、保育士は、25万6,500円、介護職員は、25万600円と、月8万円の差があります。

    この7月8日、日本共産党国会議員団が繰り返し求めてきて、男女の賃金格差解消への第1歩となる「男女別賃金の実態把握・公表の企業への義務付け」が実現し、政令改正されました。

    公表を力に、女性が多く働く介護や保育などケア労働分野の賃金引き上げ、女性が多い非正規労働者の賃金引き上げのために中小企業支援と一体に最低賃金を全国どこでも時給1500円に引き上げること、非正規雇用の正規化などが急がれます。

    同時に県独自でもできる取り組みはあります。

    山形県では、女性の賃金向上の目的で、ケア労働職場である社会福祉法人含む中小企業等に働く50歳未満の女性非正規労働者の時給を30円以上増額した事業者への助成金制度を作り、働く女性の賃上げを誘導しています。

    また東京都などでは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換する際の国のキャリアアップ助成金に上乗せを行って、促進を図っています。

    [Q] そこで、女性の賃金向上、正規雇用増、女性管理職の登用を促す企業・事業者への奨励金制度など、男女の賃金格差是正のためのインセンティブ制度をつくることや、国の助成金の活用を提案します。

    また、兵庫労働局に最低賃金引き上げの要望を提出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

    [齋藤知事答弁] 男女間の賃金格差は縮小傾向にはございますが、依然2割以上の差がございます。その解消に向け、国は本年7月から従業員301人以上の企業に賃金格差の開示を義務付けたところでございます。

    賃金格差の主な要因は、勤続年数や管理職比率の差にあると言われております。県では女性のキャリアアップ形成の研修やトップ層の意識改革セミナーを実施するほか、企業を個別に訪問し、国の助成金の活用も含め指導助言等を行っております。また、女性の就労が多い福祉の分野では、県独自で民間社会福祉施設に対する人件費支援を行うことが、結果女性の賃金上昇にも資していると考えております。

    今年度新たに創設いたします女性活躍認定制度では、賃金差や管理職の登用率、非正規から正規への転換の実績等の取組状況を見える化し、企業の自主的な取組を促してまいりたいと考えております。こうした取組が賃金格差の是正の後押しになると考えております。

    賃金格差の是正はあくまで企業の自主的な取組で行うということが国の基本的な考え方でありますことから、ご提案の企業への個別の奨励金等のインセンティブ制度を県独自で行うということは考えておりません。

    なお、本県の最低賃金については、労使公が対等な立場で審議する地方最低賃金審議会での議論を経て兵庫労働局長が決定する、というものでございます。地方の実情を反映した適切な賃金水準が決定されているものと認識しております。

    [きだ再質問] 男女賃金格差のところで知事にお答えいただきましたけれども、企業が自主的に行う問題だということなんですけど、今例で申し上げました、正社員でも男性正社員100に対して、女性の正規雇用は77%であり、非正規の女性であれば4割代ということで、本当に生きていけないような状況です。国も今回男女賃金格差の公表を企業に義務づけたということですけど、これを国任せにしていいのか、ということが地方自治体に問われると思います。企業の自主的な取り組みを誘導する政策は考えられると思います。例えば大学生の奨学金返済支援等は三者がやっています。そういった形で是非検討していただきたい、と考えますがいかがでしょうか。

    [齋藤知事答弁] 賃金格差の問題は大変重要な問題だと思っております。企業が経営の中でどのように反映していくか、ということがまず軸になると考えております。そんな中で県としてどのようなことができるか、啓発であったりとか、いろんな形でこれからもしっかりやっていきたいと思っております。

    4.次に、ジェンダー平等についてもう1点、痴漢対策の強化についてです。

    女性や子どもにとって、もっとも身近な性暴力は痴漢です。その被害はなかなか訴えることができず、人生の深い傷となります。

    私は昨年12月末、大学入試に遅れられない受験生を狙う卑劣な痴漢加害、それを煽るネット上の書き込みがあると相談を受け、年明けから各鉄道事業者に赴いて、また政務調査会の場で兵庫県警に、それぞれ受験シーズンの痴漢対策強化、「痴漢は犯罪」「被害に遭ったら、見たら通報を」と呼びかけるアナウンスや、ホームや車内のパトロール強化などを要望して参りました。

    1月26日には、議員団として県警、教育委員会などに痴漢対策と被害受験生の救済措置などを申し入れました。

    この結果、消極的だった鉄道事業者も変化し、県内のほぼすべての駅・ホーム、或いは電車内でアナウンスが流され、鉄道警察隊はホームや車内で、地域交番は構内外で警備、と対策が講じられました。その後も対策は進み、神戸市交通局は「痴漢に遭ったら見たら 迷わず110番」と呼びかける優れたポスタ―を市営地下鉄車内などに貼り出しています。

    昨年10月、我が党の小池晃参議院議員が本会議で、「電車に乗る、道を歩くーそんな当たり前の日常が性暴力の危険にさらされていることを政治が無視していいのか」と国に痴漢などの実態調査を求めたのに対し、内閣府が16歳から24歳の若年者に初めて痴漢を含む性暴力被害の実態調査を行い、6月17日、調査結果が発表されました。

    それによると、回答した若年者の4分の1が痴漢含む性暴力に遭っていること、被害に遭った時、警察に相談したのは9%にとどまり、家族や友人も含め「誰にも相談しなかった」人が36・6%にのぼります。その理由は、「恥ずかしくて誰にも言えなかった」、「相談しても無駄だと思った」というものです。

    被害後の変化では「外出するのが怖くなった」など、性暴力が心身に負わせる傷の深さを示しています。

    兵庫県の令和3年度の列車内の痴漢事犯の認知・検挙件数は、
    迷惑防止条例違反は、認知75件、検挙19件、
    刑法の強制わいせつ罪は、認知11件、検挙14件となっています。

    痴漢は性暴力、犯罪であるにも関わらず、被害後、圧倒的に多くの女性が通報も相談もしていないのが実態です。まず、通報しようと思える環境づくりが必要です。

    [Q] そこで、痴漢は犯罪であること、加害者が悪いのであって、被害に遭った女性に非はないこと、女性への注意喚起ではなく、被害に遭った時通報を呼びかける動画やスライドを作り、駅構内や車内で流すこと、車内からでも躊躇なく110番通報していいこと、警察は防犯カメラなど情報を収集し犯人検挙が可能であることなどを大々的にアピールすることを求めます。

    合わせて、鉄道事業者と県警の合同訓練など連携強化、鉄道警察隊の増員を求めます。

    加えて、加害根絶のため、今策定中の「兵庫県再犯防止推進計画」に痴漢加害者の更生を位置づけることを求めます。

    [県担当者答弁] 痴漢対策の強化についてお答え致します。

    議員ご指摘のとおり、列車内等で敢行される痴漢は悪質な犯罪であり、県警察で は取締りの強化や被害の防止に努めております。

    鉄道警察隊では、ゲーム会社とコラボして若者にアピールするデザインのポスターを作製配布したり、駅構内でのキャンペーンを実施するなどして痴漢撲滅を訴えております。また、駅や列車内で、目撃者に対して警察への通報や被害者に対する積極的な声掛けを求めるショートムービーを上映するなど広報啓発活動を推進し、痴漢行為を許さない環境作りにも努めております。

    被害の届出や相談に対しては、申出人の要望に応じて警察官が列車に同乗したり、犯行時間の防犯カメラを確認して、行為者を特定するなど、捜査を徹底しております。

    鉄道警察隊では、本年8月から女性警察官7名を兼務で増員配置し、列車内等における警戒や捜査活動を強化しております。

    再犯防止推進計画での取扱いについては、県と連携を図ってまいります。

    今後とも、鉄道事業者との連携を強化し、被害防止のための対策の推進、被害に遭った場合の通報や相談しやすい環境の整備等にも努めてまいります。

    [きだ再質問] 女性に注意喚起を求めるのではなくて、痴漢に遭ったり、見たらまず通報して下さいということを全面的に掲げた動画であったり、ポスターであったりというものを是非作っていただきたいと思いますが、もう一度答弁していただきます。

    [県担当者再答弁] ただいまご質問がありましたことは確かにあるのではないかなと思いますので、被害者の方が相談しやすいように、被害者の方に非があるのではなくて、周りの人が手を差し伸べるとか、そういったことにも配慮した広報啓発活動等にも努めてまいりたい。

    5.次に、学校給食無償化についてです。

    2005年に制定された食育基本法は、食育を「生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるもの」と位置付け、また国の第4次食育推進基本計画では「学校給食を『生きた教材』として活用することで食育を効果的に推進する」とし、給食が学校教育の重要な柱となりました。

    また、様々な家庭の事情により、給食が唯一の栄養源という子どもたちもいる中セーフティーネットとしての学校給食の役割はますます重要です。

    加えて、憲法、教育基本法、学校教育法で義務教育は無償と定め、給食費もその対象にすべきというのが文科省の認識です。

     

    しかし、現在、給食費は保護者負担であり、2018年度学校給食実施状況等調査で、全国平均で小学校が年間に47,773円、中学校が54,351円と大変重いことから、学校給食無償化を求める声は大きく、負担軽減を行う自治体が増えています。

    2017年度「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」の調査結果では、1,740自治体のうち、小中学校とも無償が76自治体、それ以外の一部無償・補助を実施しているのが430自治体で、それ以降も増えています。

    千葉県はこの9月議会に第3子から給食無償化する補正予算を提案しました。

    兵庫県下では以前から、相生市、加西市が小中学校で、明石市、たつの市が、中学校で無償化を実施しており、一部補助を合わせると17市町が負担軽減を実施しています。

    今回、西宮市、川西市など新たに6市町が交付金活用などで無償化を実施しています。

    [Q] 兵庫県議会は、6月議会で共産党議員団が提案した「国に学校給食の無償化を求める意見書」を全会一致で採択しました。

    そこで、義務教育の一環である学校給食の無償化を国に求めるとともに、県として市町への支援を決断すべきです。ご答弁ください。

    [県担当者答弁] 学校給食は学校給食法第4条に基づいて、学校設置者の任務として実施することとされており、その経費については、同法第11条で、施設、設備の費用及び運営費のうち、修繕費と調理業務従事者の人件費は設置者の負担とされ、それ以外の経費は児童生徒の保護者の負担とされています。

    昭和29年の文部事務次官通達は「保護者の経済的負担の現状から給食費の一部を補助する場合を禁止するものではない」とするもので、これを踏まえ、学校設置者である市町が支援している状況でございます。国のH29年度調査では、小学校・中学校とも学校給食無償化を実施しておりますのは、ご指摘の通り全国1,740団体中76団体と4.4%であり、本県では今年度当初で2団体のみでございます。また、学校教育法第19条に基づき、経済的理由で就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対しては、市町村の義務として、国の就学援助制度を活用した助成がそれぞれの保護者にされています。

    このため、義務教育における学校給食の無償化については、義務教育の無償化の一環として捉えるのであれば、本来、国が行うべきものであり、県教育委員会としても、市町の意見を踏まえながら、給食費を無償の対象範囲として捉えるよう国に求めていくことも検討してまいります。また、設置者として実施すべきということであれば、これは本来の趣旨に基づき市町の判断で行うべきものであります。

    6.次に高校統廃合計画についてです。

    県教委は7月14日、「県立高等学校教育改革第3次実施計画」にもとづき、全日制県立高校125校のうち、2025年度に統廃合する学校名を発表。第1学区の神戸北・神戸甲北、伊川谷・伊川谷北高校はじめ第4学区まで14校を6校に統合するというものです。

    対象校では、校長・教頭、学識経験者、県教委、市町教育委員会で構成する「統合検討委員会」を設置し、傍聴者は、わずか5名と制限しながら、生徒・保護者、教職員、地域住民には、十分な情報提供もせず、説明会すら開いていません。

    「検討委員会」は、今年12月末までに基本計画を決定し、来年の12月末までに実施計画を策定。2025年4月1日開校すると、拙速にすすめています。

    しかし、それぞれの地域では、高校の存続を求める要望が急速に広がり、「父母・生徒の意見も聞かず、一方的に進めるのは、納得いかない」など、住民説明会等を求める声が相次ぎ、県教委は説明会を行うことを表明しましたが、統合前提の「基本計画」策定後では意味がありません。

    県教委は、法令上、根拠のない1学年6~8学級を「望ましい学校規模」として、それ以下の規模の学校を統廃合の対象にしています。1学年6~8学級になれば、配置できる教職員が増え、多くの選択科目で専門の教員による指導が受けられ、活発な部活動等が展開できるとしています。

    しかし、県単定数を増やすなどして、学級定数を40人から30人にして、学級を増やせば、教職員も増え、より充実した専門的な指導が可能ですし、逆に統廃合することで通学時間が増え、部活動等に支障を来たすのではありませんか。

    先日、議員団で訪問した県立千種高校は、全校生徒112名、1学年1クラスの小規模校です。先生は、「小規模だからこそ生徒とじっくり向き合える。授業は、さらに少人数に分けて実施し、毎年、国公立大進学の実績もあげている。中学の時に不登校だった生徒も、小規模ということで安心して過ごせるようになり、今では、元気に登校するようになっている」「もっと教員を配置していただければ、さらに充実させることができる」と率直に語られました。

    かつて高校で47人学級が当たり前だった時に、全国に先駆けて40人学級に踏み出したのが兵庫県です。

    Q そこで、少子化を理由にした統廃合ありきの計画を推し進めるのではなく、「基本計画」策定前に生徒・保護者、教職員、地域住民への説明会を開き、丁寧に県民の意見をきくこと。それぞれの高校を存続させ、一人一人の生徒にきめ細やかな教育を進められるよう、知事公約の30人学級を、県立高校で早急に取り組むことを求めますがいかがですか。

    [県担当者答弁] 県立高等学校教育改革第三次実施計画の策定に当たりましては、 令和3年度に県下10地区での、小学校、中学校でのPTA対象の説明会や、市町教委・市町行政代表を対象といたしました説明会を行い、意見聴取を行ってまいりました。また、本年7月の統合対象校の公表に際しましては、学校毎にPTA・同窓会代表への説明や、生徒全校集会での説明、保護者への周知等を行ってきたところでございます。

    これまで、対象校毎の検討委員会を2回開催し、継承・発展させるべき教育活動等の議論を行ってまいりました。会場のスペースや、コロナ対策の影響も鑑み、傍聴定員を5名としておりますが、傍聴の申込みが定員5名を超える会場はない状況にございます。現在、学校毎に教職員による議論や生徒アンケート、地域自治会・PTA・同窓会代表等の学校評議員を含めた、地域関係者の意見聴取を行っております。

    統合校に関する説明・周知については、進路選択に影響する中学生や保護者、中学校関係者に対して、単に統合を行うことではなく、魅力と活力ある学校づくりに向けた、統合校の特色を示していくことが欠かせないと考えております。そのためにも、学校教職員や生徒、地域関係者の意見も参考に策定をいたします、基本計画を丁寧に説明してまいります。その際には、地域の方々の参加も検討してまいります。

    県立高校での30人学級につきましては、学校全体の生徒数が増えなければ、配置できる教職員数は増えないということになるため、多様な学びを展開できないと考えております。また、多額の人件費の財源も必要となります。引き続き、国の制度としての定数改善と財源措置を要望してまいります。なお、平成4年度からの40人学級導入にあたりましては、生徒急減による教職員定数の激減緩和措置として、国が平成5年度からの40人学級の標準法化に先立ちまして、あくまで全国を対象とした制度として交付税措置とセットで措置されたものでございます。本県が先導して行ったものではございませんので、ご理解いただきたいと思います。

    今後とも、新たな未来を切り拓いていく高校生が成長し、自己実現を果たせる高校教育の充実に取り組んでまいります。

    7.最後に、土砂災害など防災対策予算についてです。

    2018年の西日本豪雨災害、2019年の東日本台風、2020年の7月豪雨、そして先日の台風第14号、15号による九州・中国、東海地方などでの河川氾濫や土砂災害など、近年、地球温暖化のもと自然災害が激甚化・頻発化しています。

    災害から国民の命と財産を守ることは政治の要であり、従来の延長線上ではない、防災対策が求められています。

    ところが、国の7兆円規模の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策(18~20年度)」、15兆円規模の「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策(21~25年度)」は、国際競争力強化の名のもと、高速道路など大規模開発の従来型公共事業に重きを置き、国民の命と財産を守るための防災・減災対策予算は後回しにされています。

    兵庫県でも、2020年度、2021年度の土木部・まちづくり部「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の予算は889億円、うち砂防事業は109億円に対し、高規格道路事業には、169億円もつぎ込まれています。

    兵庫県では、砂防関係の整備率が土石流対策37.2%、地滑り対策34.3%、急傾斜地、がけ崩れ対策24.1%にとどまり、このペースでは完了するのに後100年以上かかると言われています。

    東灘区では、土砂災害警戒区域・特別警戒区域に指定されている地域の世帯数は5,505世帯、100年に1度の大雨による洪水・浸水想定区域に指定されている地域の世帯数は15,573世帯と、被害が起こった時の規模は甚大です。

    例えば、これまでも大雨でがけ崩れが起きていた地元・住吉台の、あるマンションの裏手は急傾斜地で、平成30年にマンション側が対策を要望した結果、今年ようやく本庁へ急傾斜地崩壊対策事業の新規着手を予算要望する段階になりました。

    しかし、測量など事業着手のための予算は2023年度も既にいっぱいで、早くとも2024年度以降となり、実際の工事着手は2026年度以降となり、住民の皆さんの不安は大きく、1日も早い着工が必要です。このような箇所は県内にたくさんあると思います。

    Q そこで、公共事業政策を大きく転換し、予算と人的資源の重点的、優先的な配分で防災・減災事業を加速化することを求めます。

    合わせて、国負担が1/2に留まる「急傾斜地崩壊対策事業」などの国補助率の引き上げや県単独事業となっている維持管理費を補助対象とすることを国に要望することを求めますがいかがでしょうか。

    [県担当者] 社会基盤整備は、頻発化・激甚化します自然災害への事前防災対策だけではなく、経済活動・企業活動を支えます高規格道路や港湾施設など新しい成長の種となる整備も必要でございます。

    特に高規格道路は、人流・物流の動脈といたしまして多くの企業や県民の皆様に利用されており、また救急救命活動や災害時の緊急物資輸送等にも欠かせない重要なインフラでございます。大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路、山陰近畿自動車道など高規格道路の早期完成を目指してまいる考えでございます。

    ご提案にありました維持修繕工事の補助化に対する国への要望につきましては、補助対象外となっている小規模施設の更新工事を含みまして、すでに実施してございます。今後も継続していきたいと考えてございます。また、砂防工事など補助率の引き上げにつきましては、「急傾斜地法」など法律で上限が定められておりますが、国の財源にも限りがある中では、上限設定はやむを得ないものと考えてございます。

    なお、ご質問にございました東灘区の急傾斜地事業につきましては、県が平成30年に要望を受けました後、工事箇所を含みます周辺のマンション7棟約400戸お住まいでございますが、居住者の皆様の同意収集これは工事中の騒音発生でありますとか工事用車両が通過いたしますので、それの同意をとるという行為でございます。これを市と連携して進めておりまして、この9月25日に全て同意が得られたというところでございます。今後、早期の事業着手を検討してまいります。

    今後とも、安全・安心で豊かな県民生活を支えられるよう社会基盤整備を着実に進めてまいります。

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