議会報告

  • 2022年06月09日
    本会議

    第358回本会議 請願討論 庄本えつこ

    日本共産党議員団の庄本えつこです。

    私は、日本共産党県議団を代表して、上程中の請願第66号、第67号について不採択ではなく、採択を求め、第68号について賛成の立場で討論します。

    まず、請願第66号「日本政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求める意見書提出」の件についてです。

    本請願は、趣旨にあるように2017年7月7日、歴史的な核兵器禁止条約が採択され、2021年1月22日に正式発効しました。本条約は、現在、86か国が署名し、61か国が批准し、この6月21日からウイーンで第一回締約国会議が開かれます。

    広島・長崎の被爆者は、「核兵器は、地球の破壊、人類の絶滅をもたらすもので、核兵器廃絶は人類的課題である」と訴え続けてきました。それが世界を動かし、核兵器禁止条約に結実しました。

    核兵器禁止条約は、核兵器が破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものと断罪して「悪の烙印」を押しました。条約は、核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇に至るまであらゆる活動を禁止しています。同時に被爆者や核実験被害者への援助を行う責任も明記しており、核兵器廃絶への大きな一歩となる大変すぐれたものです。

    今、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵略に合わせ、核兵器使用の威嚇を行っています。これは、人類と国際社会に対する重大な挑戦であり、国連総会第1号決議、また核兵器の使用・威嚇を禁じた本条約に明確に違反し、さらに今年の1月にロシア自身も調印した「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」との五大国共同声明にも反する暴挙です。核兵器の先制使用を国家の基本戦略にすえ、自国民に甚大な被害が出ようと、その使用をためらわない指導者の下で、ウクライナでの戦争は、核兵器をめぐる世界の現状が大変危険なものであることを浮き彫りにし、「核抑止」が全く無力であることが明らかになりました。核兵器の使用を止める唯一の保障は、核兵器を廃絶するしかありません。

    広島・長崎を体験した日本政府は、「核兵器禁止」の世論を高める先頭に立つこと、そのために本条約に参加、調印、批准することが強く求められています。現在、全自治体の約4割にあたる630を超える地方議会、県内では、11の議会が意見書を採択しています。また、この4月、国会に「日本政府が核兵器禁止条約に署名・批准することを求める署名」が96万538筆提出されました。県議会は、2017年、全会一致で「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を採択し、日本の被爆者が世界に呼びかけた「ヒバクシャ国際署名」に前知事と県内すべての首長が署名しています。

    よって日本政府が核兵器禁止条約をただちに調印、批准し、唯一の戦争被爆国として核兵器全面禁止・廃絶責務を果たすよう、意見書提出を求める本請願の採択を強く求めます。

    次に、請願第67号「後期高齢者医療費窓口負担2割の撤回を求める意見書提出の件」についてです。

    昨年2021年6月、75歳以上の医療費窓口負担2倍化が盛り込まれた健康保険法一部改訂法案が、日本共産党、立憲民主党などが反対する中、賛成多数で可決、成立しました。コロナ禍のもと国民が苦しんでいるさなかに、高齢者の命にかかわる法案を数の力で通してしまいました。

    この法律が実施されると今年10月から、75歳以上の単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯では合計年収320万円以上で、約370万人が2割負担となり、高齢者一人当たりの負担増は年間5万2000円にも上ります。兵庫県では約16万人が対象となります。

    国会審議の中で、多くの問題点があきらかになりました。第1に、コロナ禍で精神的にも経済的にも疲弊している高齢者の受診控えが進んでいる中での負担増は、さらなる受診控えを招くことが、各種調査で明らかになっていることです。厚労省は、負担増によるつまり受診抑制により、医療給付費が年間1050億円減ると試算しています。高齢者が、必要な医療が受けられなくなることを前提にしていること自体問題です。政府は「健康悪化には結び付かない」と強弁していますが、高齢者にとって通院や薬を減らすことは病状悪化に直結します。

    第2に、政府が2割負担導入の口実にしている「現役世代の負担上昇を抑える」ことはできないということです。今回の2割負担導入によって軽減される現役労働者の保険料負担額は1人当たり年間たった350円、月にして30円にすぎません。現在22歳の人の場合、74歳までの52年間での保険料の軽減額は、わずか平均2万円程度です。その後75歳以降は毎年平均3万4,000円の負担増になります。現役世代も人生全体で見れば、負担は軽くなるどころか大幅に増えます。

    第3に、改定法では、2割負担の対象は「政令で定める」とされ、今後は国会に諮ることなく政府の判断で対象者の範囲をどこまでも広げることが可能になり、際限のない負担増に道を開くことになるなどです。

    75歳以上医療費窓口負担2割化は、高齢者の暮らしといのち、健康、人権に大きな影響を及ぼし、高齢者の生きる権利を奪うものになりかねません。日本医師会からも「高齢者に追い打ちをかけるべきでない」との意見が出されています。県議会も2020年12月議会で「75歳以上後期高齢者医療の窓口負担2割への引き上げの慎重な対応を求める」意見書を採択しました。

    政府の言う、制度の持続可能性や現役世代の負担軽減を本当にはかろうとするなら、減らしてきた国庫負担を元に戻すことです。応能負担の原則にそって、患者負担は低額に抑えて、必要な医療を給付するのが、公的医療制度の本来のあり方です。先進国では、医療費の窓口負担は無料が当たり前です。

    よって、請願の趣旨に賛同し、採択を強く主張します。

    次に請願第68号「特別支援学校統合計画を見直し、教育の充実を求める件」についてです。

    本請願は、文教常任委員会において全会一致で採択されました。

    県立豊岡聴覚特別支援学校と県立出石特別支援学校の統合について、日本共産党として予算委員会で「統合中止」を求め、また、議員団として知事と教育長に統合撤回を申し入れしていました。

    県はこの4月に「統合後の新しい学校像検討会議」を教育委員会に設置し、教職員代表や保護者などの意見を聞くとしています。保護者をはじめ学校関係者は、この話し合いを十分に行ってほしい、特に、但馬、丹波地域の聴覚障害児の発達と自立支援に関わってきた豊岡聴覚特別支援学校の役割をさらに発展させることを願っておられます。通学区や寄宿舎の存続、高等部設置による早期から青年期まで一貫した専門性の高い聴覚障害教育の充実を求めています。

    一方、出石特別支援学校で学ぶ知的障害の子どもたちの教育条件の充実も求められています。現在の出石特別支援学校には自由に使えるグラウンドやプールがありません。特別支援学校の設置基準に基づき、施設整備の充実が必要です。

    聴覚障害と知的障害という種別の違う、それぞれの障害にふさわしい学校整備が望まれます。今後検討会議で、請願者の願いである特別支援教育の充実について十分に検討することをあらためて申し延べます。

    以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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