議会報告

  • 2022年03月14日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <教育委員会> きだ結

    ○きだ 結委員 日本共産党のきだ 結である。

    まず、少人数学級の推進についてお伺いする。

    日本共産党県議団は、学校における少人数学級の推進を県にも国にも繰り返し求めてきた。

    昨年、国は、小学校での35人学級を決断し、今年度、小学校2年生、来年度は小学校3年生の35人学級を措置している。

    兵庫県は、2008年、小学校4年生で35人学級を導入して以来、14年ぶりに来年度中学校において1学年で35人学級と少人数授業を選択できるようになった。

    中学校での少人数学級の導入は、今年度行われた新学習システムあり方検討委員会の議論に基づき検討されてきたと考えるが、どのような議論で中学校での1学年での35人学級の選択が可能になるようにしたのか。

    また現在、各自治体で選択の検討が行われていると思うが、現時点で35人学級を選択する自治体がどれぐらいになるのか、お答えいただきたい。

    ○学事課長(塚本 崇) 兵庫型学習システム、中学校35人学級導入の経緯である。

    国の方針である令和3年度からの段階的な小学校35人学級の実現、新たに小学校高学年における専任教員による教科担任制の導入等も含めて、新学習システムあり方検討委員会において、これまでの新学習システムの評価・検証、今後のシステムの推進内容について検討されて、全ての子供たちの可能性を引き出す指導の一層の充実を図るため、来年度から兵庫型学習システムを導入することとしたところである。

    具体的な推進内容については、小学校においては、小学校に教科担任制を配置し、教科担任加配と、これまで兵庫県が独自に進めてきた学級担任の交換授業等を組み合わせ、国が指定した教科担任制の優先教科の指導の充実を図ることとしている。

    また、中学校義務教育学校後期課程であるけれども、各学校が数学や英語などの少人数授業と35人学級編制を選択できるようにし、学校や生徒の実情に応じたきめ細かな指導の充実を図ることとされたところである。

    今回35人学級を選択する中学校は、2月中旬の段階ではあるが、9市7町28校である。現在も各市町の教育委員会と調整を行っている。

    ○きだ 結委員 どのような議論で、中学校にも35人学級を導入することにしたのかということについて、はっきりお答えはなかったけれども、先ほど、全ての子供たちの力を引き出す指導の強化という一環で、35人学級がやはり有効であろうという判断をされたんだと思う。

    それで今お答えがあったように、9市7町で今検討しているということだが、事前の聞き取りでは、思ったほど、35人学級を選択している自治体は少なそうだという話だった。

    今おっしゃっていたあり方検討委員会の1月の報告書によると、中学校における加配教員の活用についてアンケートの中で、「少人数授業より中学校全学年への35人学級を導入すべき」、あるいは「中学1年生で導入すべき」が、合わせて中学校教員で53.6%、中学校で51.9%で、それぞれ5割以上は35人学級が望ましいと思うという答えである。

    そうした回答であったにもかかわらず、今おっしゃったような35人学級を選択する自治体が少ないというのは、1学年だけという選択制にするということとか、あと他学年との配置やバランスなどを考えると難しい面もあるということなど、運用上の困難もあるのではないかと思う。

    事前の聞き取りでいただいた資料によると、小学校5・6年生で35人学級にした場合、229、中学校全学年で35人学級にした場合、346の学級増となり、合わせて575学級の増となるが、現在の加配教員、今、3・4年生の少人数編制活用分以外で1,021人を活用すれば、今でも小学5・6年生、中学校全学年で35人学級は可能であるとお聞きをした。

    知事は公約に30人学級の推進までおっしゃっている。この際、現在の加配を活用してでも要望の強い少人数学級を小学校5・6年、そして中学校全学年に広げるべきではないかと思う。

    そしてまた、国には加配の振替でない定数改善を中学校全学年まで迅速に進めるように求めるべきだと考えるが、いかがか。

    ○学事課長(塚本 崇) 学級編制の在り方は、国に権限と責務があることから、国が措置すべきとの考えのもと、本県として、これまでから様々な機会を捉えて、35人学級編制の速やかな拡大、それに伴う計画的な定数改善の着実な実施を国に要望してきた。

    今回の令和4年度政府予算案では、小学校における段階的な35人学級の推進、小学校高学年の教科担任制の推進など定数改善を図るとされているが、これらの定数改善は段階的な定数改善であること。また、加配定数からの一部振替が含まれることから、更なる少人数学級を推進する定数改善は図られていない。

    来年度から実施する兵庫型学習システムで活用する国の加配定数は、小学校4年生35人学級編制や高学年での教科担任制に対応していく必要がある。

    さらに中学校全学年で35人学級編制を実施する場合、学級数増に伴い教科ごとの時間数も増加するため、学級担任に加えて相当数の専科教員が必要となる。また、教室の確保が必要となるといった課題もある。こういった課題に対応するためには、国による制度改正が不可欠である。国に対して学級編制基準の引下げ、定数改善について引き続き要望していく。

    ○きだ 結委員 一義的には、国がしっかりと定数改善をするということがもちろん図られないといけないと思うけれども、小中全学年で少人数学級をしているという都府県は24府県になっている。中には、私も全部調べたわけではないけれども、京都市なんかは、学年によると、市の単費でやっているというところもあるので、ぜひ、国待ちにせず、もちろん国に要望はしていただくとともに、やはり県独自で少人数学級の導入を重ねて求めておきたいと思う。

    さらに、今回の中学校1学年での35人学級編制は、神戸市は、今のところ適用しないとされている。やはり県教委として、これをどう考えるのか、好ましいのか好ましくないのか、これを端的に答えていただきたい。

    神戸市教育委員会にもちろん第一義的な責任があるという前提で述べるが、言うまでもなく、同じ兵庫県内で、神戸市の中学校と神戸以外の中学校で学級規模が違うなどということはあってはならないと思う。県と神戸の中学校は取り残され、県内の教育格差を生むものである。

    この点について答えていただきたいけれども、もしこれが神戸市は別だということでおっしゃるのであれば、極めて無責任だと言わざるを得ない。県教委は兵庫県全体の教育に責任を持っていない。責任を持っているのは、県と神戸以外の学校だけであるという宣言しているようなものである。

    権限の問題ではない。これは中学校給食でも同じだったけれども、県教育委員会は、神戸市が行っているデリバリー弁当方式ではだめだという認識を持ちながら、県教委は、神戸市には情報提供という点だけで何もおっしゃらなかった。私は神戸市に物を言ってくださいとさんざん要求したが何もされなかった。神戸の中学校給食改善が大きく遅れた一因となったと言える。今回も不利益を被るのは神戸の中学生である。神戸市に対して、情報提供にとどまらず、少なくとも県と同じ措置を取るように強く要望することを求めるが、いかがか。

    ○学事課長(塚本 崇) 義務標準法第4条第2項において、学級編制は、当該指定都市の教育委員会が当該学校の児童または生徒の実態を考慮して行うと規定されている。指定都市であり、住民に身近な基礎自治体である神戸市の教育委員会がその状況を把握し、学級編制について判断するものと考えている。

    本県教育委員会が神戸市の学級編制について指導する権限はない。

    なお、市町での今回の35人学級の実施状況など、神戸市から問合せ等があれば、丁寧に対応していく。

    ○きだ 結委員 権限の問題ではないと言った。今、権限がないというふうにおっしゃったけれども、兵庫県教育委員会は兵庫県全体の責任をやはり持っていただきたい。だから、重ねて神戸市に情報提供は2回したということだったけれども、情報提供ではなくて、この際神戸市さんもするべきではないかというふうにぜひおっしゃっていただきたいということを重ねて要望して、次にいく。

    次に包括的性教育についてお伺いする。

    コロナ禍でDVや性暴力が増え、中高生から望まない妊娠相談が急増していると報じられている。妊娠を誰にも相談できずに若い女性が一人で出産し、乳児を遺棄するといった痛ましいニュースもある。背景には、日本の性教育の遅れがある。日本では、性教育が圧倒的に足りていない。学習指導要領には、小学5年の理科と、中学1年の保健体育で、人の受精や妊娠の過程は取り扱わないとする歯止め規定があり、授業で性交や避妊について教える妨げとなっていると指摘されている。

    今、子供たちはネットやスマホを通じて様々な性情報に簡単に触れられる環境にある。科学的な知識や人権意識を身につけられないままゆがんだ情報に触れれば、予期せぬ妊娠に直面したり、性暴力、性犯罪の被害者、加害者になる危険が高まる。

    この間、私ども痴漢加害という問題について取り組んできたが、痴漢をしている人は、女性が実は黙っているのを喜んでいるものだというふうに感じているというのが、この更生プログラムに携わっている先生がおっしゃっている。これはゆがんだアダルトコンテンツの内容がそれを反映しているということである。

    性暴力、性犯罪をなくし、互いの性を尊重する人間関係を築くために、科学的な包括的性教育が必要だと考える。

    包括的性教育は、ユネスコが各国の研究成果を踏まえ、WHOなどと協力し、2009年にまとた国際セクシュアリティ教育ガイダンス、2018年に改定されているが、ここで提唱された。科学的な根拠に基づき、人権、ジェンダーの視点に立って、子供、若者の発達、年齢に適した知識、態度、スキル、技能の獲得を可能にする教育内容が示されており、近年の性教育のグローバルスタンダードとなっている。

    そこでまず、包括的性教育について、また、その必要性について、県教育委員会の認識をお伺いする。

    ○義務教育課長(村田かおり) 兵庫県教育委員会としては、学校教育においては、教育基本法に定める学校教育の目的等を受け、学校教育法のもと定められた学習指導要領に基づき、小中高の発達段階に応じて、保健や道徳、特別活動などを含めた教育活動全体で学習を行っている。

    委員がおっしゃられたユネスコが示す包括的な性教育については、日本なりに学校教育活動の様々な場面で取り組んでいるというふうに受け止めている。

    ○きだ 結委員 必要性とか評価について、余りはっきりお答えがなかったけれども、一つだけ言わせていただければ、学習指導要領だけれども、特にこれを実は超えてはいけないという内容ではない。学習指導第1章、中学校学習指導要領なんかでも、教育課程の編制における共通的事項の内容の取扱の中でも、例えば先ほど言った歯止め規定なんかについても、全ての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度を示したものであり、学校において特に必要がある場合には、この事項にかかわらず、加えて使用することができると。ということで、先ほどの歯止め規定なんかも、やはりそれを必要であるというふうに判断したらできるということなので、ぜひ、包括的性教育についても研究を深めていただきたいと思う。

    日本で性教育というと、第二次成長や生殖の仕組みや性感染症などというふうに思われがちだが、先ほど言った包括的性教育は、非常に広い内容と視野を持ったものである。先ほどの国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、5歳から18歳を主な対象に、一、人間関係、価値観、人権、文化セクシュアリティ、ジェンダーの理解、暴力と安全確保、健康とウエルビーイングのためのスキル、人間の体と発達、セクシュアリティと性的行動、性と生殖に関する健康の8つのキーコンセプトを軸に、それぞれの年齢に適したカリキュラムを適用できるようにまとめられて、そのための知識、技能、スキルをしっかりと習得できるような内容になっている。これを段階的に継続的に繰り返し行うようになっていて、先ほども言ったように、世界各国での教育政策の参考とされている。

    特に、2009年にガイダンスができてから、先ほど2018年に改定と言ったけれども、それまでほかのコンセプトの中に散りばめられていたジェンダーの理解と暴力と安全確保を項目として前面に立てられた。

    ジェンダーの理解、特にジェンダーギャップ指数、相対的に格差の大きい国として、まだまだ男女格差があるという状況から、特に日本において、このジェンダーの理解は非常に重要だと思う。そこには性暴力の問題、ハラスメント、性的同意という言葉もトピックの中に位置付けられている。

    それで付け加えると、この国際的な多くの調査をレビューした分析では、こうした適切な性教育、包括的な性教育の実施というのは、性行動を活発化させないという実証結果が出ているということも付け加えておく。

    そこで生涯にわたり幸せに生きる力を子供たちから引き出し、子供たちを性暴力の加害者にも被害者にもさせない包括的性教育にぜひ着手をしていただきたいと思う。国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づき、性教育の内容を充実していただきたいと思う。専門家の知見を取り入れる研究会を立ち上げるなど、進めていただきたいと思うが、いかがか。

    ○義務教育課長(村田かおり) 性犯罪や性暴力は被害者の尊厳を踏みにじる行為で、心と体に深刻な影響を及ぼすものであり、その根絶に向けた取組が求められているというふうに思っている。

    学校においては、学習指導要領に基づき、保健や道徳、特別活動等により発達段階に応じて指導しており、特に命とか、そういう生命についてはその理解が深まるように、まずは国が作成している教材や指導の手引を活用するように各学校には周知している。

    加えて不安や悩みを抱える児童生徒に対しては、相談窓口を周知し、関係機関につなぐように指導している。

    また、昨年度より管理職や生徒指導担当者等を対象として講師を招聘し、性暴力の対応の難しさや被害者や加害者、傍観者にならないといった性暴力被害に関する内容を取り入れた研修も行っている。今後とも児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう、指導の充実に努めていく。

    ○きだ 結委員 神奈川県などでは、今回のこのガイダンスを受けて、次の性指導の手引の中には、このガイダンスを取り入れてぜひ改善したいということも議会で答弁されている。

    先ほど、性暴力の対応についての研修を行っておられると、もちろんそれは大事なことだけれども、ここで言ってるのは物すごく広い、本当に人間関係のスキルにも関係するような性教育なので、ぜひ進めていただきたいと思うし、性犯罪、性暴力の被害者支援をしてこられた先生方からも、この包括的な性教育の必要性が再三指摘されている。県教育委員会には重い責任があって、しかし同時に、この包括的性教育の取組次第で人権尊重の大きな可能性が広がるということを指摘して、次にいく。

    県立学校への生理用品の配置についてお伺いする。

    コロナ禍のもと、経済的困窮から生理用品を買えない生理の貧困がクローズアップされた。そのような中、全国的に生理用品の無償配布が広がり、兵庫県でも県有施設などへの生理用品無償配布が行われた。学校トイレへの生理用品配備も行われ、県教育委員会においても現在県立学校に対し、生理用品のトイレの設置への検討をと、今、各県立学校に文書を送付されている。

    そこでまず、現在、県立学校の生理用品の配備で、トイレに設置している学校がどれぐらいあるのか、お伺いする。

    ○体育保健課長(北中睦雄) 昨年10月時点での県立学校における生理用品のトイレへの設置状況調査では、11校が設置、66校が設置を検討中であったが、その後は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、多くの学校で臨時休業措置等が実施されるなどの状況を踏まえ、学校生活に一定の平常化が見られる時期に調査することとしている。

    ○きだ 結委員 先ほど、11校は確認をされたということだけれども、私の地元の例えば、11校の中に入っていなかった御影高校なんかもやっているとか、宝塚の高校もやっているということで、相当もうトイレに設置が進んでいるのではないかと思う。それで、ぜひこれを進めていただきたいけれども、非常にやはりこれは好評で、地元東灘高校と御影高校にお伺いして、トイレを設置している状況をお伺いした。

    それで、保健室に取りに来るようにと言っているとき以上に、やはり使用があるということで、やはりニーズがあるんだなというふうに先生も感じているということだった。それから女子生徒何人かに学校の近くで会ったときに聞いたけれども、気兼ねなく使えて本当に助かっているというふうにおっしゃっていた。ぜひ、次に進めて、トイレ個室への設置を進めていただきたいと思う。

    そこで、この事業を更に進めると同時に、ジェンダー平等の観点から、トイレットペーパーと同様のものとして位置付けていただき、トイレ個室への設置に踏み出していただきたいと思うが、いかがか。

    ○体育保健課長(北中睦雄) ご質問にあったような内容について、まず、生徒が学校生活を安心して送ることができるようにするためにも、まずは、経済的な理由で生理用品を購入できない生徒に対しては、家庭における生活を支援することが必要と考えている。

    このため、県立学校では早期から公費で購入し、生徒の問題の兆候を発見できる対面での提供を基本として対応しているところである。

    引き続き、個室を含めたトイレ内への設置については、対面を基本としながら、生徒がより使いやすい工夫を行うよう学校を促していく。

    また、生理用品については、昨年通知をしたとおり、公費による購入が可能であることから、各学校の維持管理運営費で対応するよう、今後も指導していく。

    ○委員長(浜田知昭) きだ委員に申し上げます。

    申合せによる質問時間が経過しておりますので、コメントに移行お願いいたします。

    ○きだ 結委員 生理用品については、ぜひ進めていただきたいということと、最後、タブレットの質問を用意していたが、コメントというか要望だけである。今、公費で負担しようとしているのは24府県5政令市あるので、自己負担なく公費で実施すること、教育の機会平等の観点からも重要だと思うので、ぜひ兵庫県にも公費負担していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わる。

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