議会報告

  • 2022年03月11日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <県土整備> 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 皆さんおっしゃっているが、今年は阪神・淡路大震災から27年目、そして、今日は東日本大震災から11年目の日である。私も亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたいと思っている。

    1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では、県内で24万9,560棟の家屋が全半壊し、6,434人の貴い命が犠牲となった。そして、地震直後に亡くなった約5,500人のうち、約9割の方が住宅・建築物の倒壊により命を奪われたものであることが明らかになり、住宅・建築物の耐震化の重要性が認識されたものである。

    この教訓を踏まえ、県では、住宅の耐震化において全国でも先導的な施策を実施してきており、2006年の建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、兵庫県耐震改修促進計画を策定し、県内の住宅・建築物の耐震化の目標を設定し、目標達成のための施策を進めてきている。しかし、南海トラフが迫るもとで、建物の耐震化改修は更に急がれていると考える。

    まず、住宅の耐震化についてお伺いする。

    兵庫県耐震改修促進計画では、当初、2015年までに住宅耐震化率97%にするとの目標だったが、2016年3月の計画改定では、2015年までの耐震化率97%は難しいとし、この目標年度は2025年度の目標となった。

    そこで、住宅耐震化の現状を伺う。現在、直近の達成率、現在の耐震改修補助事業の内容についてお教えいただきたい。また、97%目標が10年先延ばしになった要因についてお答えいただきたい。

    ○建築指導課長(近都 学) アンケート調査によると、耐震性を有しない戸建て住宅の所有者の約6割が耐震改修工事を予定していないものの、そのうち約4割は自己負担が100万円未満であれば工事を行う意向を示している。これを踏まえると、耐震化に要する費用負担の大きさが耐震化が進まない要因の一つであると考えられる。このため、県では、耐震改修工事のほか、命を守るために最低限必要な部分改修や防災ベッドの設置等、建物所有者の経済状況等も含めた様々なニーズを想定した支援制度を設けている。

    こうした取組の中で、耐震化率であるが、平成30年時点で住宅の耐震化率90.1%であるから、令和7年の耐震化率の目標97%に向けては、平成30年時点の想定値が90.2%であるので、概ね順調に進捗していると認識している。今後とも市町や事業者と連携しながら、住宅の耐震化を進めていきたいと考えている。

    ○庄本えつこ委員 先延ばしの要因、これは答弁にあったように、高額ということで改修工事を諦めた方が多いなどだと思う。高額のため諦めたというのが本当に大変だなと思っているところである。

    兵庫県の耐震補強工事の補助は、戸建て住宅1戸当たり工事に要する経費の5分の4までで、上限100万円、市町の上乗せがあるということである。

    同じように南海トラフで大きな犠牲が予想される高知県の施策をお聞きした。高知県でも2017年に策定した耐震改修促進計画で費用負担が大きな問題と指摘しており、その後、耐震補強工事に要する経費に対して、最大155万3,000円の補助に引き上げた。その結果、2017年に策定した耐震改修促進計画の2020年度中間目標85%を達成し、4年間で86%の耐震化率になった。

    もちろん兵庫県の住宅耐震化率は全国的には高い水準にあるということを存じている。しかし、南海トラフなどに急いで備えるなどの観点から、補助額の引上げなど更なる促進策を検討するべきだと考えるが、いかがか。

    ○建築指導課長(近都 学) 県では、市町と連携し、耐震改修に係る県民のニーズを把握しながら、支援を充実させてきた。今年度から、戸建て住宅では、100万円程度の低額な耐震改修工事に対する補助率を従来の3分の1相当から5分の4相当に引き上げた。また、マンションでは、所得要件の撤廃などによる申請手続の簡素化を図るとともに、建替工事への補助制度を新設した。

    また、今年度の制度拡充に併せて、戸建て住宅の低コストな耐震改修工法を紹介するリーフレットを作成し、市町と連携して普及啓発を行っている。例えば一般的な工法によれば190万円程度かかる工事費が、低コスト工法によれば130万円程度に抑制でき、その場合の補助金100万円の交付を受けると、30万円程度の自己負担で耐震化が可能となる。今年度の制度拡充と低コスト工法の普及により、建物所有者の費用負担は大きく軽減されるものと考えている。

    引き続き市町と連携し、補助制度等のPRを行いながら、住宅の耐震化を推進していく。

    ○庄本えつこ委員 ご努力されていることは分かるが、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県として、補助額の引上げなど、住宅耐震化率引上げの更なる促進策を検討していただき、耐震化率を飛躍的に伸ばして、早期に目標達成することを重ねて要望したいと思う。

    次に、多数利用建築物の耐震化についてお伺いする。

    阪神・淡路大震災では、住宅とともにビルの被害も顕在化された。耐震改修促進計画には、多数利用建築物の耐震化について、2020年実績で91.2%、2025年度目標を97%として、現在施策を進めていただいている。

    しかし、多数利用建築物については、見過ごされた耐震化だとされる指摘もある。1月17日にNHKで放映された「見過ごされた耐震化」という番組があった。商業ビルやオフィスビル、倉庫など、住宅以外の建物は全国に少なくとも450万棟以上あり、そのうち1981年以前の古い基準で建てられた建物は、耐震診断を求められているが、その結果の公表が義務付けられているのは学校や病院などとそのほかの大規模多数利用建築物で、およそ1万6,000棟にとどまっているとされている。中規模多数利用建築物、小規模多数利用建築物、そして、それ以下の小さな多数利用建築物の耐震化の実態は明らかにされていないということである。

    兵庫県において、直近の多数利用建築物の規模別耐震化等を出していただいた。旧耐震総数に対する耐震化率は、大規模多数利用建築物で88%、中規模多数利用建築物で79%、小規模多数利用建築物で64%であることは分かったが、それぞれ規模別の耐震化率は把握されていない。そして、3階建て1,000平米以下の更なる小規模な多数利用建築物については、実数なども把握されていない。

    そこで、多数利用建築物について、旧耐震総数に対する耐震化率が低水準にとどまっている中規模多数利用建築物、小規模多数利用建築物の対策の強化、更には、それより多数存在するとされる3階建て1,000平米以下の規模の小さな多数利用建築物の実数や耐震化率の把握とともに、耐震改修促進のための施策などを検討する必要があると考えるが、いかがか。

    ○建築指導課長(近都 学) 県では、耐震化に係る国の支援制度を活用し、耐震診断が義務付けられた大規模多数利用建築物のほか、中規模及び小規模多数利用建築物についても耐震化の支援を行っている。

    こうした取組の中、令和2年の多数利用建築物の耐震化率は91.2%で、令和7年度の97%に向けた令和2年時点の想定値が91.8%であることから、概ね順調に進捗しているものと考えている。

    多数利用建築物の耐震化支援については、各市町において大規模多数利用建築物の耐震化を優先し、補助事業化が進んでいる一方で、中規模及び小規模多数利用建築物の事業化が進んでいない。このため、まずは中規模・小規模多数利用建築物の補助制度を設けていない市町に対し、事業化を働きかけていく。

    また、小規模多数利用建築物よりも更に規模の小さい建築物については、法的に所有者が耐震診断や耐震改修を行う努力義務がないこと、また、行政が耐震診断等の指導・助言等を行う対象となっていないことなどから、実態把握等は行っていない。しかしながら、これらの建築物の安全確保についても重要であることから、国の動向を注視し、対策の方向性が示された場合には、県としても適切に対応していく。

    ○庄本えつこ委員 この大規模多数利用建築物の耐震化促進と併せて、中規模・小規模建築物、更には3階建て1,000平米以下の規模の小さな多数利用建築物耐震化、特にこの小さな多数利用建築物耐震化というのは、本当にたくさんあるので、国を待つことなく、実態を把握して、対策を県として講じることを再度要望して、質問を終わる。よろしくお願いする。ありがとうございました。

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