議会報告

  • 2022年03月10日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <農政環境> 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 日本共産党の庄本えつこである。兵庫県地球温暖化対策推進計画改定案についてお聞きしたいと思う。

    兵庫県地球温暖化対策推進計画改定案が提案され、本日までパブリックコメントが実施されている。改定案概要には、計画改定の背景、趣旨として、昨年10月から11月に開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議COP26の成果文書に、世界の平均気温の上昇を摂氏1.5度に抑える努力を追求することを決意すると明記され、この10年間での行動を加速する必要があるとされたことに触れている。

    兵庫県の地球温暖化対策推進計画もこのCOP26の合意を踏まえたものにする必要があると考える。

    そこで、まず、このCOP26の成果文書には、石炭火力発電についても言及されていると思うが、どのように記述されているか、お答えいただきたい。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 昨年11月に開催されたCOP26で採択されたグラスゴー合意では、グリーン電力の実装と省エネルギー措置の急速な拡大等による低排出なエネルギーシステムへの移行に向けた技術の開発、実装、普及等の加速を求めると記載されており、その中で排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の低減、いわゆるフェーズダウンに向けた努力を加速させるとされている。

    合意文書の中では、石炭火力発電に関する排出削減対策の内容や対策を実施する期限について明確に示されていないと認識している。しかしながら、石炭火力発電所については段階的な廃止も含め、今世紀半ばでの温室効果ガス実質排出ゼロへ向けた対策を更に推進するということであると認識している。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 お答えのとおりである。

    それでは、この排出削減対策というのは、具体的にはどのようなことを指しているとお考えか。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) お答えする。

    排出削減対策というふうに示されている、今申し上げたとおり、明確には示されていないところである。ただ、排出削減対策と申すのは、COの排出ゼロへ向かう対策というふうに考えていて、今世紀半ばでの温室効果ガス実質排出ゼロへ向けた対策というふうに考えている。

    ○庄本えつこ委員 改めて、この排出削減対策というのは、国際的には、CCS、CCUSなどといわれる炭素を回収、貯留、そして再利用する技術であり、二酸化炭素の排出をゼロに抑えるものである。

    COP26では、こうした排出削減対策の講じられていない石炭火力発電は段階的に削減、お答えのとおりだが、廃止するということが合意されたわけである。

    それでは、先月1日に県内で新たに稼働されたコベルコパワー神戸第二の神戸発電所3号基は、COP26で指摘された排出削減対策とされるCCSやCCUSは施されているのか、計画があるのか、お答えいただきたい。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) お答えする。

    県で聞き取りをした状況であるが、コベルコパワー神戸第二発電所については、現在のところ、CCSの導入はされていないというふうに聞いている。

    ○庄本えつこ委員 排出削減対策はなされていない、CCS、CCUSなされていないし、計画にもないということだと思う。

    この神戸発電所3号基は、新たにCOを346万トン排出するとされているものである。COP26の合意を踏まえれば、この新規石炭火力発電所は稼働すべきではないと考えるが、県としての認識を伺う。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 委員ご指摘の神鋼発電所については、県は発電所の稼働の許認可を行う立場にはないが、環境影響評価手続の知事意見において、最も高効率でCO排出量の少ない発電設備の導入、売電先を含め、施設の稼働によるCO排出量を増加させないことを求めている。

    神鋼が昨年5月に発表した中期経営計画では、2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップとして、2030年度までにアンモニア混焼の検討を開始し、2050年に向けてCOフリーアンモニアの専焼やCOフリー都市ガスへの燃料転換を進めていくこととされている。

    県としては、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、引き続き排出削減について指導していきたいと考えている。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 お答えいただいたけれども、神戸製鋼の中期経営計画では、アンモニア混焼開始は2030年以降になされるとのことである。しかも、これらアンモニア混焼などのいわゆるゼロエミ化について言及した岸田首相がCOP26で化石賞を受賞したように、とても削減抑制策とは言えないものである。

    そしてこれは、10年間の行動を加速させるという合意にも反するものである。温暖化対策推進計画改定案には、石炭火力発電について廃止、燃料転換等も含めた積極的な削減策に取り組むよう指導、援助を行うとあるが、不十分ではないかと考える。

    COP26の成果文書も踏まえ、2030年までなど期限を切って、石炭火力発電所の段階的削減を計画的に進める等を明記し、神戸製鋼の新石炭火力発電所の稼働停止を国、事業者に求め、その他の石炭火力発電所についても削減計画を求めるべきだが、いかがか。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 県では、条例に基づいて、事業者が2030年度排出抑制計画を作成する際には、必要に応じて石炭火力発電の廃止、燃料転換等も含めた削減策を盛り込むように県が指導助言する旨、温暖化対策推進計画の改定案にも記載させていただいている。

    発電所のCOフリー水素、COフリーアンモニアの専焼、それぞれ燃料転換については、抜本的な設備の見直しが必要となるケースが多いために、技術開発の支援について国への要望等も行い、企業の脱炭素に向けた情報配信するなど、2050年のゼロカーボンを目指していきたいというふうに考えている。

    ○庄本えつこ委員 本当に気候変動が大変な問題なので、神戸製鋼についてもきちんと辞めていく方向で、ぜひ頑張っていただきたいと思っている。

    それでは次に再生可能エネルギーの抜本的導入についてである。

    COP26水準の温暖化対策を進めるために、日本共産党は、気候危機打開2030戦略を発表し、2030年には温室効果ガスを2010年度比60%削減、省エネによりエネルギー40%減、再エネを50%に引き上げることが求められていること、省エネ・再エネのための投資を行えば、大きな経済効果も生まれることを明らかにした。

    兵庫県の計画改定案では、2030年の再エネ導入目標が30%で、現状では2020年実績で13%にとどまっている。これは世界から見ても低い、日本全体の水準よりも更に立ち遅れた状況になっている。そのことを踏まえて、地域自立型の再生可能エネルギーの導入についてである。

    再生可能エネルギーの導入を抜本的に進めるための鍵は、地域主導で、地域の状況に根差した再生可能エネルギーの導入を促進していくことだが、来年度の県の施策として、地域主導型の再生可能エネルギーを導入するためにどのような事業を行い、どのぐらいの目標で導入しようとしているのか、教えていただきたい。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 現在見直している温暖化対策推進計画では、再生可能エネルギーの導入目標を現状47億キロワット/hの約2倍となる100億キロワット/hとしていて、今まで以上の導入ベースが求められる大きな目標であるというふうに認識をしている。

    委員おっしゃるように、再エネの導入には地域主導型の取組が重要であり、県内でも神戸市灘区の六甲川や宍粟市の黒土川などの小水力発電など、地域が主体となった再エネ導入の取組が行われており、これを県も支援させていただいているところである。

    県では、この支援として、地域創生再エネ発掘プロジェクトにおいて立上げ時の取組支援や基本調査、各々のフェーズにおいて補助を行うとともに、設備の導入に対して補助、また無利子貸付けなども行っている。来年度も引き続きやってまいる。

    また、地域循環共生圏の構築を目指すために、里山の未利用材をチップ化し、ボイラー燃料として活用するバイオマス熱利用の実証事例なども進めている。

    再エネ相談窓口の設置、市町と連携するセミナー等、事例の発信、再エネ導入等による地域づくりを具体化するリーダーの養成など、幅広い支援、施策を行って、地域での再エネ導入の機運醸成を図ってまいる。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 いろいろ努力されるということは分かるけれども、いただいた資料によると、地域自立型の再生可能エネルギー導入を目的にした施策の来年度予算額は合計で5,300万円程度で、ほかの施策も使えるものもあると言われたけれども、やはりこれでは十分ではないのではないかと思う。

    2019年12月に都道府県として初めて気候非常事態宣言を行った長野県は、昨年6月、2050年ゼロカーボン達成を目指し、中期目標となる2030年度までを計画期間とする長野県ゼロカーボン戦略を策定した。

    戦略では、2030年までに温室効果ガスの正味排出量を2010年度比60%削減、再生可能エネルギーによるエネルギー自給率を82.6%、2050年には139.6%などの目標を掲げている。長野県の担当者に伺うと、再生可能エネルギーを促進するための最大の施策は、地域主導型発電の支援で、そのためにゼロカーボン基金を創設し、収益納付型補助金により、FITを活用した地域主導型発電を支援している。

    これまでにソフト事業である相談勉強会を30件、ハード事業として再エネ施設建設7件を支援、2021年度の予算は1億8,100万円、そして2022年度の予算は2億3,200万円を計上しているとのことである。

    長野県の一般会計予算規模は、2022年度で兵庫県の約45%だから、2022年度の地域循環型の再エネ施策への予算は、兵庫県の約10倍の規模になる。

    兵庫県として、再生可能エネルギー導入の年ごとの目標を持ち、収益納付型補助金のような工夫もしながら、しっかりと財政投資を行い、地域自立型、地域分散型の再生可能エネルギーの支援強化を思い切って図ること、2030年度の再生可能エネルギー導入目標を抜本的に引き上げることを求めるが、いかがか。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) お答えする。

    近年、民間のノウハウや資金を活用する新たな手法として、初期投資なしで太陽光発電が設置できるPPA方式が注目されている。県としても、ひょうご版再エネ100事業などでこの手法を用いて、効果的に県内の太陽光発電を更に促進してまいりたいというふうに考えている。

    また、本県独自の再エネ導入施策として、委員ご指摘のものと、もう一つ施策として、平成26年度から再エネを導入する地域団体等に対して、ひょうご環境創造協会と連携して、上限5,000万円の無利子貸付けを行っている。地域の小水力発電の導入等で既に活用が進んでいるものである。

    更に再エネ導入を検討している地域団体の対象としてワークショップ、アドバイザー派遣など、地道な取組、理解の促進も図ってまいる。 なお、ご指摘の導入目標であるが、国の再エネ導入目標は、36から38%という数値だけれども、これは本県に立地していない大規模ダムによる水力発電分約10%が含まれており、現在見直し中の県目標30%は実質的に国を上回るもので、達成には相当な努力が必要であるというふうに考えている。新たな手法も駆使しながら、再エネ導入を加速してまいるので、どうぞよろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 私たち共産党は、2013年度比ではなく、2010年度比で考えるべきだ、計画をするべきだというふうにずっと申し上げている。ぜひそのことも考えていただきたいと思う。

    経産省の第6次エネルギー計画の概要を読んだ。COP26が求めているものからはほど遠いなというのが感想である。自然環境に本当に兵庫県は恵まれているし、再エネのポテンシャルはとても高いと思う。農林水産、経済、・・・など、農政環境部が主導して、県庁挙げて気候変動、地球温暖化対策に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わる。

    ありがとうございました。

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