議会報告

  • 2022年03月09日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <産業労働> 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 日本共産党の庄本えつこである。共産党県議団の本県議会における質疑、一般質問でも指摘しましたけれども、コロナ禍の下、再び時間短縮を要請されている飲食店をはじめ、中小・小規模事業者は本当に大きな打撃を受け続けている。全ての中小業者をどう守り、救っていくのかが大きな課題であり、それは政治の責任として国と県が一体となって取り組むべきものだと思う。

    感染拡大防止協力金の第10期の申請が始まったが、給付要件の枠組みは変わらないまま20時以降の営業をしている飲食店に限られており、感染対策を講じながら営業を続けている喫茶店など、もともと20時前までの飲食店は対象にならない。必要な業者に必要な支援が行われない状況が続いている。

    ある喫茶店は、もともと夕方までの営業だったため、協力金支給の対象にはならない。感染防止のためにアクリル板を用意し、椅子の数も減らすなど、できる限りの要請に応えているのに協力金がもらえないのは不公平だと訴えている。

    共産党県議団は、これまで何回も自粛に見合う保障をと求めてきた。

    そこで、時短要請対象飲食店だけでなく、コロナ禍の影響を受けている喫茶店など昼間の営業の飲食店も協力金の対象にするべきだと考える。また、飲食店への野菜や鮮魚店などの納入業者なども対象にした県独自の支援を求めるがいかがか。

    ○経営商業課長(川西正孝) 新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金は、国の基本的対処方針に基づいて、県の時短要請に応じた飲食店に支給される。

    このため、本来の営業時間が例えば20時前までの飲食店などには時短要請の対象にならないので協力金は支給されない。

    原油・原材料価格等の高騰対策として実施している県独自の一時支援金がある。飲食店向けは感染防止対策を徹底する観点から、新型コロナ対策適正認証店を対象に、飲食店以外は特に困窮し緊急性の高い事業者、これ売上げが50%以上減少した月次支援金の受給者であるが、ここに支給対象を重点化している。

    また、県独自の取組として、飲食店向けに3回にわたって「がんばるお店安全安心PR応援事業」等により、感染防止対策等事業継続のための取組を支援してきた。

    コロナの影響を受けている事業者は多岐にわたっており、県単独で支援制度を作ることは財源面からも困難である。このため、商工会・商工会議所等と連携して国の事業復活支援金等の活用に向けて、きめ細かな相談対応を行っている。

    今後も、引き続き中小企業が直面する状況に応じてきめ細かな支援を行い、中小企業の事業継続をしっかりと支えてまいる。

    ○庄本えつこ委員 いつもと同じ答弁をいただいているが、中小企業の皆さんて本当に真面目で頑張っていらっしゃる方が多い。そして、税金も一生懸命払おうと努力もされているので、県が本当に応援していくということが大事だと私は考えているところである。

    さらに、国の支援策、県の支援制度など、どの支援策からも対象外になっている事業者がいます。これは産業労働委員会でも紹介したことがあるが、ある小規模製造工場の事業者の例をご紹介する。この方の親御さんは県の活性化センターに何度も通い、センターの指導、援助で新事業にチャレンジし、着実な経営を続けていたのを継いだものです。コロナ禍で仕事が減ったが、給付要件に少し足りないことで支給を受けることができないまま、従業員の生活を守るために借金を重ねて必死に営業を続けている。

    給付要件に少し足りないというのは、例えば50%以上の減少が条件のとき、売上げが53%で、つまり47%の減少、3%の壁である。また、30%以上減少が条件のときは、1ヵ月は30%以上減少したが、3ヵ月平均だと売上げが71から72%、減少が29から28%で1%、2%の壁が立ちはだかったという具合である。

    この方の例のように、給付要件の壁により対象外になり、支援から取り残されている事例は多くあると言われている。

    鳥取県では、2月3日第8弾の事業者支援として、職種を問わず、この1月、2月の2ヵ月間の売上額が19年、21年のいずれかの年の同月比で30%以上減少を要件に最大で40万円の応援金を県独自に支給を、そういうことを発表した。

    石川県でも国の事業復活支援金に県が独自に売上減少額に応じて上乗せを給付し、コロナ禍で苦しむ中小業者を直接支援している。

    県内では西宮市、尼崎市などが独自の支援を行っている。

    ちなみに、この方は尼崎にお住まいですけれども、工場が伊丹市にあるため全く支援を受けることができない状況である。コロナウイルスによる深刻な影響は災害に匹敵するものである。県は中小企業振興条例の理念に則り、コロナの影響を受け営業が深刻な全ての中小・小規模事業者に、例えば社会保険料の企業主負担分を県が補助することなどを含めた県独自の直接支援を考えるべきであるが、いかがか。

    ○経営商業課長(川西正孝) 県独自の支援策については、先ほど申し上げた一時支援金、これについては業種を問わず、飲食に限らず飲食以外の事業者の方も対象にして支援をさせていただいたところである。

    また、その他、がんばるお店事業の関連でも、先ほど申し上げたとおりである。加えて、このコロナの関係で様々な事業者の方が経営に支障をきたしているという状況にあるので、地元の商工会・商工会議所で相談対応を充実強化させていこうということで、3年度に引き続いて4年度においても経営指導員のOBの方であるとか、専門家の方を臨時的に雇い、相談対応を強化していくといったことも予定している。地域の商工会議所等に足を運んでいただいて相談をしていただくということで、そこに十分な手当てをして対応していきたいというふうに考えている。

    ○庄本えつこ委員 本当に寄り添ったという言葉をよく使っていただくけれども、経済を担っている中小業者への応援もぜひ今後とも工夫してやっていただきたいというふうに思う。

    次に、中小・小規模事業者の融資についてである。

    2021年度の当初予算では、中小企業融資制度を8,000億円としたけれども、借り手が予想したよりも少なくて、2022年度は5,000億円となった。なぜ借りる人が少なかったのだろうか。

    中小・小規模事業者の団体である兵庫県商工団体連合会にお聞きした。コロナ禍の下、中小企業の営業を守るために国が行った信用保証料と利息を国が負担する、いわゆるゼロゼロ融資はたくさんの業者が利用した。しかし、それが終わると県の制度融資を利用する業者が少なくなったとのことである。県の制度融資は使いにくいというのである。コロナ禍の下、信用保証料を払わなくては貸してもらえない。利子も払わなくてはならない。県の融資の信用保証料の金利も高くないんですけれども、それもつらいということである。伴走型融資は更に信用保証料も低く抑えているということであるが、やはり払わなくてはならないということで、借りたくても借りられないということであった。さらに、借りようとするとき、信用保証協会、金融機関の審査と二重の審査があることも利用しにくいとのことであった。過剰融資を防ぐという意味は理解しているところであるが、芦屋市・西宮市は融資300万円までは信用保証料を市が負担する。神戸市は40歳まで金額に制限なく保証料ゼロ、40歳以上は半額負担する。

    そこで、国が行ったゼロゼロ融資を県独自で行う必要があると考える。その際、返済据え置きを5年とか10年とかの長期据え置きも含めた制度にしてほしいと考えるが、いかがか。

    ○地域金融室長(沖田謙吾) 無利子・無保証料融資、いわゆるゼロゼロ融資ですけれども、国の支援を受けて全額国庫で令和2年5月から令和3年5月まで実施した。

    現在実施している県独自のコロナ対策資金、これの貸付利率は0.7%と全国最低水準である。また、伴走型経営支援特別貸付、これについては保証料負担が軽減されている。また、政府系金融機関においては実質無利子・無担保融資も現在も継続されている。

    足元の資金需要を見てみると、ゼロゼロ融資が令和3年5月に終わり、その後、6月以降制度融資の実績はコロナ前の平年ベースとなっている。また、政府系金融機関の融資実績についても同様の傾向にあり、資金需要は落ち着いているという状況にある。一定、ゼロゼロ融資で資金が事業者のほうに行き渡ったことが原因だと考えている。

    また、官民の現在の融資制度の現状や足元のこの資金需要の状況を鑑みると、委員ご指摘のあったゼロゼロ融資の再開ですけれども急務ではないと考えている。

    ただし、今後の経済情勢や国の動向を踏まえて適切に対応していきたいと考えている。また、県単独でゼロゼロ融資を創設するということについては、財源の課題があるので困難であると考えている。

    今後とも条例の理念に照らし、中小企業の事業継続に必要な資金需要にしっかりと応えてまいる。併せて金融機関や信用保証協会に対して、事業者から条件変更等の申込みがあった場合には弾力的、柔軟に対応していただくよう再三文書等により要請しているので、引き続きあらゆる場を活用して柔軟な対応を県としても求めていきたいと考えている。

    ○庄本えつこ委員 時間の関係で要望をさせていただく。

    今、条件変更のことが出たけれども、この条件変更についても業者からは要望がある。例えば、返済金の金額を少なくしようとすると、その時点での残額分について返済期日までの保証料を再計算されて払わなくてはならないということがある。その金額が高額であった場合払うことができず、条件変更をしたくてもできないという業者が多くいるとのことである。

    さらに、借換えをすればいいのではないかという意見もあるが、借換えというのはあくまでもう一度借り直しをする、一から借金をし直すということで、条件変更とは別のものである。ですから、条件変更をして返し続けたいという業者に対して、その保証料を県が負担してくれたらどれだけいいかというふうな要望があるので、ぜひ考えていただきたいと思う。

    県はウクライナ情勢、原油価格上昇に関する金融特別相談窓口を設置して、信用保証協会もその窓口の一つとなっている。であるならば、つまり本当に中小企業を助けたいという思いがあると思うので、だからこそ今、このコロナ禍で中小・小規模事業者を支援する立場からゼロゼロ融資、条件変更時の保証料を県が負担するというような制度の創設をぜひ考えていただきたいということを申し上げて質問を終わる。ありがとうございました。

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