議会報告

  • 2022年03月07日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算特別委員会 <企画県民①> 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 災害時の安否確認などにつながりやすい公衆電話について質問をする。

    1900年9月に、東京の上野・新橋の両駅構内の2ヵ所に、自動電話と呼ばれる最初の公衆電話が設置された。それ以降、商店などの店先に、店頭に黒電話を設置した委託公衆電話とか、それから目立つように赤電話になり、その後、100円玉が使える黄色電話になったりボックス型の青電話とか、そうやって公衆電話が便利になってきたわけであるが、そのときにカード式公衆電話が登場してから、1995年には全ての公衆電話がカード式になったというように、本当に便利になってきたのが公衆電話である。

    ただ、90年代後半には携帯電話の一般的な普及が始まり、日本社会の公衆電話は都心部を中心に急激に減少の一途をたどっている。兵庫県も例外ではなく、公衆電話が減少している。そのことについての認識や評価について、短くて結構であるので、何かコメントがあればお願いする。

    ○防災支援課長(西島健治) 常設の公衆電話については、全国で平成21年度末の28万3,000台から令和2年度末で14万6,000台と減少している。

    一方で、災害時の応急対策として、避難所等に臨時に特設公衆電話が設置されることとなっており、その数は全国で平成26年度の約4万1,000台から、令和元年度には8万2,000台となるなど、事前設置型の特設公衆電話用回線の設置が進んでいるところである。

    防災局においても、災害時用の特設公衆電話など、災害時の通信手段としては有効と考えている。以上である。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 特設公衆電話についてもよく知っているというか、調査をしたところである。今、1年間に1回も公衆電話を使わないという人が本当に増えており、NTT西日本も利用率の低い公衆電話の撤去を続けているわけであるが、それを後押ししているのが総務省である。公衆電話の設置義務を緩和し、設置基準を現行基準の市街地は約500メートル四方、その他は約1キロメートル四方に1台以上から1キロメートル四方2キロメートル四方に見直すとしている。これらにより、4分の1に激減する見通しとなっている。

    でも、本当にそれでいいのであろうか。阪神・淡路大震災時、緑の公衆電話が大活躍をした。今年の1月16日付神戸新聞に、阪神・淡路で存在感を発揮、公衆電話を守り続け27年という記事がある。尼崎の東園田にある特別養護老人ホーム園田苑を運営する阪神共同福祉会の理事長にインタビューしたものである。震災のとき、園田苑は緊急物資の受入拠点となった。避難者も受入れ、近隣におにぎりを届け避難生活を支えてきた。

    さらに、阪神間にある全ての高齢者施設の情報を取りまとめる責任者になり、固定電話が不通になる中、園田苑にある公衆電話で、毎朝、被災状況、避難者数、救援物資の不足・充足度など県や市に報告し、午後から国からの支援情報も含め、県や市から返事を受け取るということを尼崎市の仮設住宅入居が落ち着くまで行った。

    それだけでなく、入所者や避難者の家族からかかってくる電話を受けることも公衆電話が活躍をしたわけである。

    この公衆電話は、地域に開かれた高齢者施設という役割をNTTが重視して2台設置したものである。震災時、公衆電話が被災者と、そして家族を支えたものである。

    2011年3月11日、東日本大震災が発生した日は、首都圏では携帯がつながらないという大混乱に陥り、そんな中で災害時に回線が混んでもつながりやすい公衆電話から発信は難なくつながった。東京都内の帰宅困難者は公衆電話に殺到し、災害に強い電話として再確認されたものである。

    災害時、携帯電話は電源がないと使えなくなる。固定電話は不通になってしまう。公衆電話は、連絡を取るための言わば最後のとりでとも言えるのではないであろうか。この公衆電話が、利用額が低いという理由で撤去され続けている。

    阪神・淡路大震災の1995年3月には、兵庫県内3万3,319台あったものが、2021年3月には83%減の5,798台、6分の1になる。今は、5,000台前後まで減っている。

    園田苑でも、利用額が4,000円以下ということで撤去を要請されているが、交渉して1台だけは確保している。理事長は、公衆電話のありがたみは被災した者にしか分からない。でも次の災害は確実に来る。過去の体験を伝えていきたいと言っておられる。

    公衆電話は、通常のダイヤル通話や110番などの緊急通報、災害用伝言ダイヤル、児童相談所、全国共通ダイヤルなど、電報以外の機能はほとんどある。また、暗い夜に公衆電話ボックスの明るさは防犯のためにも役立っているという話もある。何かあったときに公衆電話は本当に必要ではないであろうか。採算だけでなくすべきではないと考えるが、いかがであろうか。

    ○防災支援課長(西島健治) 一般的に公衆電話は、常設公衆電話と災害時の特設公衆電話があると思っている。総務省が審議会の答申を得て削減計画を近年打ち出したところで、今後の削減というのは、今、申した常設の公衆電話の俗に第一種公衆電話についてのものかと思っている。

    先ほど答弁で申し上げた災害時の応急対策としての臨時の特設電話の公衆回線は、増えているという現況になっている。防災部局として、ユニバーサルサービスをベースにした第一種の公衆電話の削減について、コメントを申し上げる立場にないというのが現状であり、その辺りをご理解いただきたいと思う。

    阪神・淡路大震災のとき公衆電話が活用されたのも、私ども身をもって知っている。ただ、公衆電話、この27年間、情報機器がいろんな形で変わってきたと思っている。その辺も踏まえて、また入れるべきところは見ていきながら、状況は注視していきたいと思っている。よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 特設公衆電話、事前設置というのがあるのは、先ほども申し上げたが、今、兵庫県内には4,005台、私が数えたのはもう少し多かったがある。でも、これは避難所が開設されたときに設置管理者が電話機を設置して初めて利用可能になるものである。

    この間の全国の災害時、施設管理者が電話機がどこにあるか分からないとか、設置方法を知らなかったりとか、そうした例がたくさんあったと聞いている。だからこそ、常設の公衆電話が必要だということを申し上げたいわけである。いざというときに、すぐに使える緑公衆電話が必要である。

    県として、避難所になる可能性の高い高齢者施設への緑電話の設置を促して、利用額の補助などを支援するべきと考えるが、いかがであろうか。全廃されたら困ると言っている人が、80%を超えている。もし常設の公衆電話が半分減らされたら困ると言っている人が、50%を超えている。これは、NTTのアンケート調査である。

    それで、カードが使えるということがミソである。この緑電話の避難所となる可能性のある高齢者施設への支援をぜひお願いしたいと思うが、いかがであろうか。

    ○災害対策課長(中道一義) 委員ご指摘のとおり、県内で現在特設公衆電話の設置、事前のものであるが、県内の全避難所の約半分に当たる避難所で約4,000台設置されている。そのうち、社会福祉施設においても約200台が設置されているということである。

    県としても、県の避難所管理運営指針などにおいて、市町が避難所に特設公衆電話を設置することを推奨させていたいただいており、今日に至っているわけである。

    今後も防災職員が市町に訪問させていただき意見交換などをする場合があるので、こういった機会などを設け、特設公衆電話の設置を市町にも働きかけていきたいと思っている。さらに、万が一災害が発生した場合には、NTTなどの電気通信事業者に対し、通信手段途絶の解消と併せ、避難所における特設の公衆電話の設置を要請していきたいと考えている。

    今後とも、市町や電気通信事業者とも連携をし、避難者のニーズも踏まえ、社会福祉施設をはじめとする避難所での通信手段の確保に取り組んでいきたいと考えているので、よろしくお願いする。

    ○庄本えつこ委員 時間が過ぎているが、最後に再度、コメントさせていただく。

    特設公衆電話を災害が起こったときに、すぐに設置できる条件はないわけである。阪神・淡路大震災のときにも、うちの近くの公園に設置されて本当実家とのやり取りがよかったが、それも次の日だったと記憶している。であるから、避難所になる可能性のある高齢者施設などに常設の公衆電話が必要だということを申し上げているわけである。それに対する県の支援をぜひお願いし、質問を終わる。ありがとうございました。

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