議会報告

  • 2022年03月28日
    予算・決算特別委員会

    2022年度予算組み替え案 提案説明 きだ結

    日本共産党県会議員団のきだ結です。日本共産党の2022年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。

    齋藤元彦知事は、2022年度の新年度予算編成について、「県政改革方針」に基づき、持続可能な行財政基盤を確立し、新型コロナウイルス感染症への対応、人口減少・超高齢化・多発する災害・温暖化・経済構造の変容など挑戦すべき課題に立ち向かい、躍動する兵庫の実現に向けた施策を推進するなどと説明しています。
     しかし、実際に編成されている新年度予算案は、「県政改革方針」にもとづき、投資事業では、伊丹新庁舎や大型アリーナ等は凍結となりますが、総事業費5000億円ともいわれる播磨臨海地域道路など不要不急の基幹道路八連携軸などは、推進する一方、新型コロナウイルス感染症対策は不十分、高齢者・福祉施策などを切り捨て、多発する災害や地球温暖化対策にも消極的な予算案となっています。これでは、コロナ禍で苦しむ県民の暮らし、福祉を支える予算案とはいえません。

    日本共産党県議団は、県提案の2022年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる予算として、22年連続となる予算組み替え動議を提案するものです。

    組み替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業71項目、合計397億円(約1.7%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源など約135億円を、県政改革方針で削られた高齢者・福祉施策等の回復、新型コロナウイルス感染症対策、気候変動対策、ジェンダー平等対策、子育て・教育の充実、中小企業、小規模農業支援、災害対策の充実など30項目の増額に充当しています。
     また、県債の発行額を、一般会計と2つの特別会計で、211億円抑制しています。

    それでは、主な内容について説明いたします。
     第1の柱は、県政改革方針で削られた高齢者・福祉施策などの回復です。県は、新たな行財政運営方針として県政改革方針を提起しましたが、私たちは、新たな県民サービスの切り捨てを含むとして反対しています。
     本予算組替え動議では、県政改革方針で2022年度に削られていた廃止あるいは見直しがなされている障害者小規模通所事業所への補助、100歳高齢者祝福事業、音楽療法定着促進事業、人生いきいき住宅助成事業、県民交流バス実施事業費などを回復しました。
     なお、私たちが繰り返し要望してきた高齢難聴者への補聴器購入補助について、新年度で県は、高齢者補聴器活用状況調査事業として予算措置をおこないました。私たちは、この事業が恒久制度となるように引き続き要望するとともに、動議では、400人に2万円の補助から5000人に4万円の補助を行う規模に拡充する提案を行っています。

    第2の柱は、新型コロナウイルス感染症対策です。
     わが党は、新型コロナウイルス感染症対策について、16次にわたる申し入れをおこなってきました。知事提案予算案では、国庫を財源とする検査・医療体制充実や中小企業支援などの予算が一定反映されていますが十分とは言えません。組替え提案では、検査、ワクチン、病床確保等の予算を新たに10億円計上しています。
     新型コロナウイルス感染拡大への対応では、その要となる保健師などの職員を削減してきたことが、大きな影響を及ぼしています。国は、地財計画において今年度、新年度で保健所の保健師を増員し、兵庫県では、2年間で24人の増員措置がなされているにもかかわらず、県での保健師増員は、2年間で18人にとどまっており、不十分です。本提案では、保健師をさらに11人増員し、保健所のひっ迫状況の緩和をおこないます。

    第3の柱は、地球規模の気候変動対策です。
     兵庫県は、新・兵庫県地球温暖化対策推進計画の検討をすすめており、2050年のカーボンゼロを目指すとしていますが、2030年度の温室効果ガス削減目標は2013年度比で48%、2010年比に換算すると41.7%で不十分です。COP26でのグラスゴー合意では、「世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑える努力を追求する決意」が謳われ、そのためには、2030年には、2010年比で45%の削減が必要とされています。そこで、組替え提案では、兵庫県の新地球温暖化対策推進計画の2030年の温室効果ガス削減目標を先進国なみの2010年比60%に引き上げ、産業部門での実効ある削減措置や兵庫県から新設も含めた石炭火力発電所を段階的に廃止するための予算を新規で計上しました。
     さらに2030年までに50%の再生可能エネルギーの導入をすすめるために、地域自立型の再生可能エネルギーを設置するための「再生可能エネルギー普及総合支援事業費」を新規で2億円計上しています。

    第4の柱は、ジェンダー平等の兵庫をめざすための施策です。
     男女の生涯賃金格差は、1億円とも言われています。県内企業の中での男女賃金格差の実態などを明らかにさせながら、本提案では、女性の正社員を雇用した中小企業に100万円の補助を行い、女性の正規化を促進するための事業を新設しました。

    第5の柱は、子育ての支援を強めるための組み替えです。
     伊丹市が7月から中学3年生までのこどもの医療費無料化にふみきり、これで県内41市町中37市町が、中学3年生までの子どもの医療費無料化にふみだすことになります。組替え提案では、全県で、中学まで、通院・入院とも所得制限なしで無料化にするため、59億円を計上しました。
     従来より私たちが主張していた国民健康保険料の子どもの均等割減免について、国は、新年度から未就学児の均等割の半額免除を実施するとしています。大きな成果ですが、組替え提案では、18歳未満のすべての子どもの均等割を免除するために、10億4千万円を計上しました。
     また第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、1億7800万円増額しています。

    第6の柱は、教育の充実をはかるための組替えです。
     県は、新年度、新たに中学校の1学年で35人学級を選択できるようにしました。私たちは、まず中学全学年までの35人学級の早期実現を求めています。組替え提案では、小学校5,6年生の35人以下学級を実施するために、教職員229人増員する小学校職員費を約16億6千万円増額しました。

    さらにコロナ禍において、高学費や生活費で苦しむ学生がひろがっているなか学費無償化、教育費の支援は喫緊の課題です。
     国の高等教育修学支援新制度が行われていますが対象人数があまりにも少なく、求められる現状にこたえるものとはなっていません。
     県独自の高等教育修学支援制度を創設し、年間36万円を1000人に給付するため、3億6000万円計上しました。

    私立高校の授業料軽減補助について、兵庫県の平均授業料が43万4000円に増額されていることから、県内の私立高校に通う年収590万円未満世帯者に対し、2万6千円の増額ができるよう措置しています。

    高校でのタブレット端末は、すべて公費負担で行うことを要望しており、組替え提案では、新年度から公立私立高校に通う生徒全員に、公費で貸与できるように措置するために、14億4000万円を計上しました。

    第7の柱は、医療・福祉分野への支援を強めるための組み替えです。
     とくに行革で削られた福祉医療制度の復活をおこないます。
     老人医療費助成制度を復活させ、重度障害者(児)の医療費助成は、所得制限の世帯合算方式をやめる予算に増額します。難病患者の医療費について、国の制度改変によって有料化された非課税の患者自己負担額を無料に戻すため4300万円を増額します。
     また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。

    第8の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
     とりわけ中小企業に対し、融資ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
     京都府と連携して行っている「兵庫型奨学金返済支援制度」については、一人当たりの支援額を3万円上乗せするために、2100万円増額しました。
     県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2千万円を計上しています。
     中小企業振興のために中小企業者団体なども参加し、双方向で知恵をだし、意見交換ができる中小企業振興会議費を新たに計上しました。
     兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。組替え提案では、とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、5000万円の予算を確保しました。

    第9の柱は、南海トラフなど災害対策の拡充のための組替えです。
     今年は、阪神淡路大震災から27年、東日本大震災から11年、南海トラフへの備えも加速させる必要があります。予算審査では、阪神淡路大震災で大きな犠牲者が発生した住宅・建物の耐震化について、とくに見過ごされている3階建1000㎡以下の多数利用建築物への対策を求めました。組替え提案では、住宅耐震化促進のために補助額を50万円上乗せする予算を計上しました。
     また災害対策の要となる土木職員は、行革で削減され、慢性的な人手不足におちいっています。組替え提案では、全ての土木事務所に1名の増員、13名分を増員する予算を計上しています。

    第10の柱は、過大な需要予測などに基づく大型投資事業や、大企業呼び込みのための産業立地補助金、病床削減のためのなど削減した予算についてです。
     コロナ禍においてますます過大な見込みとなった基幹道路八連携軸などの事業費や調査費等が計上されている播磨臨海地域道路や大阪湾岸道路西伸部整備事業支援、また園田西武庫線などの道路関連事業費について約131億5千万円、国が負担すべき国直轄の公共事業について約116億円を削減しました。
     過大な見込みで事業化された但馬空港、神戸空港など空港関連費について10億5千万円削減しました。
     本社機能誘致など、呼び込み型の企業誘致に頼った地域経済の振興策には限界があります。パナソニック尼崎の撤退によって、失敗が明らかになっている産業立地促進補助約15億円を削除しました。
     県は、地域医療構想にもとづき、コロナ禍でも、2020年度120床、2021年度は376床の急性期病床の削減を決定し、すすめています。新型コロナ感染症対応をふまえ、病床削減ありきの地域医療構想は撤回し、病床削減はやめるべきです。組替え提案では、病床削減を進める病床機能転換・再編統合等支援事業費を19億円削減しました。
     また温暖化対策としての実効力が見込めない水素事業は、全事業削除しました。
     不公正な同和行政が残る事業、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
     県会議員の海外視察については、コロナ禍のなかで大きく見直しました。

    以上が予算組み替え提案の主な内容です。
     県政改革方針にもとづく県民サービス切り捨てを見直し、新型コロナウイルス感染症対策、気候変動・災害対策、県民の命と福祉・くらしを守る施策を充実させ、ジェンダー平等など、だれもが安心して暮らせる兵庫県とするための日本共産党兵庫県議団の組替え提案に対し、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、提案説明を終わります。ありがとうございました。


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