議会報告

  • 2022年03月30日
    本会議

    第357回本会議 22年度当初予算・関連議案反対討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党議員団を代表して、上程中の第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第10号議案、第15号議案ないし第18号議案、第20号議案、第22号議案ないし第25号議案、第29号議案、第34号議案、第37号議案、第38号議案、第40号議案、第42号議案、第43号議案、第45号議案ないし第47号議案、第49号議案、第51号議案について、反対の立場で討論をおこない、第53号議案について意見を述べます。

    まず第1号議案「令和4年度兵庫県一般会計予算」、関連して第15号議案「令和4年度兵庫県国民健康保険事業会計予算」、第16号議案「令和4年度兵庫県病院事業会計予算」、第29号議案「職員の給与などに関する条例及び公立学校教職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例」、第45号議案「兵庫県学校教職員定数条例の一部を改正する条例」、第46号議案「兵庫県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例」、第49号議案「兵庫県行財政運営方針の変更」についてです。

    反対の第1の理由は、コロナ禍のもと、財政状況が厳しく、また、県民の暮らしが大変であるにもかかわらず、大型開発、不要不急の高速道路建設を進め、福祉、医療、教育などを削る予算になっているからです。

    1980年代にはじまり、90年代に本格化した大企業が利益を挙げればその利益がやがて家計に滴りおちるというトリクルダウンの経済政策、いわゆる「新自由主義経済」は“強い経済”をつくるといううたい文句とは反対に、「賃金が上がらない」「成長できない」「競争力の弱い」、そして、コロナのようなパンデミックにも “もろく弱い経済”であることが明らかになりました。

    その原因は、賃金を引き下げて人を使い捨てにする労働法制の規制緩和、社会保障削減、大企業・富裕層減税の穴埋めとしての消費税連続増税などの悪政です。

    兵庫県でも国の施策を追随してきた結果、実質賃金が下がる一方で物価指数は上昇し、その結果、県内GDPは20年以上20兆円前後で成長が止まったままとなっています。

    新年度予算案は、新たな行財政運営方針となる「県政改革方針」に基づくとしています。

    もともと行財政運営方針の3年目の見直しを検討する当初は、330億円の財源不足が生じるというものでしたが、ベースラインケースへの見直し、県債管理基金への内部・外部基金の集約の解消など反映する中で、財源不足額が440億円に増額、それを投資的事業、事務事業等を見直し、2028年度までの財源不足が140億円まで抑えられるとしています。

    しかしその中には、ひょうご地域創生交付金、地域再生大作戦などの削減、経過措置などがあるものの、障害者小規模通所援護事業、100歳高齢者祝福事業、老人クラブ活動強化推進事業、音楽療法定着促進事業、県立障害者高等技術専門学院の運営体制の見直し、商店街の活性化施策、バス対策費補助、一般型人生いきいき住宅助成事業など、高齢者、福祉施策、業者支援の廃止・見直しなどが含まれています。

    ある首長から、「コロナ禍でやることなのか」との意見も寄せられており、齋藤知事が公言する「誰も取り残さない県政の推進」とも矛盾するものです。

    一方、投資的事業を見直すとしていますが、播磨臨海地域道路事業等、全国2位と言われる不要不急の高速道路網をさらにすすめる基幹道路八連携軸構想は温存しています。これらの大型投資事業こそ見直し、切り捨てようとしている高齢者、福祉事業等、県民サービス事業の廃止、見直しは撤回すべきです。

    また、民間呼び込み型の県庁舎再整備計画、県管理施設の民間委託なども含まれており、公共施設を民間の利益追求の場とすることになり認められません。

    県政改革というなら、破綻した新自由主義的な大企業優遇・大型開発優先のトリクルダウン型の経済施策から、県民の暮し、子育て、雇用、福祉を温めるボトムアップ型の経済政策へ抜本的に転換し、県財政を健全化させる改革が必要です。

    コロナ禍のもと、保健師不足が指摘され、南海トラフなどの大災害に備え土木部門でも人員不足が指摘されています。しかし、感染症対策等に必要な保健師の増員については、国の地方財政計画で2年間に24人の増員措置がされているのに、18人にとどまっています。

    学校教職員については、コロナ禍、国も少人数学級を認め、小学6年生までの35人学級を5年間かけて実施する定数改善の方向を示し、新年度は小学校3年生で実施されます。

    県内の小学生の人数が増えることで小学校の定数は71人増えること、中学校で少人数学級を選択できるようになったことなど改善点はあるものの、学級増分の教員人数は増やすことなく、これまでの加配教員の定数内の教員を充てるもので、実質教職員定数減となります。

    定数内の加配教員を使えば、小学5・6年生、中学生の35人学級が実現できます。県教育委員会としてコロナ社会での子どもたちの健康と安全を守り、一人一人にきめ細かな学習指導ができるよう決断すべきです。

    また、昨年の条例改正に基づき、一般職の管理職手当、会計年度職員の期末手当の削減などの職員給与の引き下げがあり認められません。県人事委員会からも、「減額措置は平成12年度から長期にわたり継続され、令和3年度は減額率が引き上げられる」が、「あくまでも機関も限定した緊急的・臨時的なものとすべきであり、職員のモチベーションの維持・向上や人材確保の観点からも、できる限り速やかに解消されるよう」求められています。

    第3の理由は、消費税増税分で急性期病床削減、公的公立病院の統廃合を進め、地域医療構想を進める予算になっていることです。この10年来、県立病院の統廃合により、494床削減されてきました。急性期病床は2020年に120床減らされ、2021年12月末に消費税増税分を財源に、376床を削減する計画を示しました。2021年度は、一年を通して、コロナとのたたかいをすすめてきており、例えば加古川医療センターはコロナ病床の使用率が急増するもとで、三次救急が原則停止されるなど、医療現場はひっ迫。その結果、病院にも、宿泊療養施設にも入れず、自宅で命を失うといういたましい状況がくりかえされています。そのなかで、公的公立病院の統廃合により、病床を削減するなどの地域医療構想を推進する予算は認められません。

    また、コロナ対策も不十分です。社会福祉施設のPCR定期的検査は3回目のワクチン接種にかかわらず再開したことは評価しますが、クラスターが発生する可能性が高い病院や学校、保育所などでも、必要な時に検査できるように拡充すべきです。

    さらに、ひょうごこころの医療センター許可病床数478床を稼働病床数254床に削減、がんセンター許可病床数400床を377床に削減することは認められません。

    国民健康保険事業については、各自治体が保険料軽減のため行う一般会計からの繰り入れを解消する方針は変わっていないことと、医療費水準を納付金に反映させないことで県内自治体に痛み分けすることを継続していることから反対です。

    第4の理由は、産業政策の中心が、中小企業支援、第一次産業支援になっていないことです。コロナ禍のもと飲食業をはじめとする県内中小企業は十分な補償がないまま、大きな打撃を受けており支援拡充が必要です。

    大企業に対しては、産業立地促進条例により大企業呼び込みのために、上限なしの補助金制度を今後も続けるとしながら、中小企業予算は従来通りの融資が中心になっています。産業立地条例については、制定時の「仕事がない」から「人手不足」へと社会情勢が大きく変化していること、市町からも「企業誘致が雇用の創出や人工流出抑制にはあまりつながらない」など、見直しを求める声が上がっています。

    大企業優遇の産業立地条例は見直し、県の経済を支えている、中小企業への直接支援を行うべきです。

    また、農業分野では、「ブランド化」「法人化」「大規模化」などに偏っています。兵庫県農業の基盤となる小規模農家を支えるため、直接支援などの施策の充実を求めます。

    第5の理由は、兵庫県地球温暖化対策がCOP26などの国際水準と比較しても不十分だからです。

    県が新たに示した2030年度までの温室効果ガス削減目標は、2013年度比48%としていますが、これは2010年度比に換算すると41.7%になります。COP26では、温度上昇1.5℃以内に抑えるためには、2010年度比45%の削減が必要だと確認されています。その水準を下回る目標で、不十分です。さらなる目標値の引上げが必要です。

    さらに2030年までの今後わずか8年の間に現行からおおよそ半分のCO2排出量を削減しなければ人類の未来はないと言われている危機的状況にあるにもかかわらず、アンモニアや水素等、実用化されていない未開発の技術を前提とした温暖化推進対策計画になっているからです。

    知事は提案説明の中で「水素社会の推進」として3億5千万円、の予算を計上し、姫路港におけるカーボンニュートラルポート形成策定費に3000万円が含まれています。現在、実証実験されているオーストラリアからの水素は、精製、輸送過程で大量のCO2を発生するなど、現段階では温暖化対策に逆行しかねません。今ある技術の活用を思い切ってすすめ、再生可能エネルギーの導入を抜本的に飛躍させるべきです。

    第6の理由は、教育予算が2021年度より削減され、県予算に占める割合も15.3%で2020年の19%より減らされているからです。コロナ禍さらにきめ細かな対応が必要であり、拡充を求めます。

    私学経常費補助は、交付税措置の増額の内、授業料軽減補助に充当分、事務費削減分を継続して削減しています。

    授業料軽減補助についても、県内私学の平均授業料が2万6千円上がった分の補助額の上乗せで年収590万円未満世帯の実質無償化を進めること、年収710万円未満世帯から910万円未満世帯への上乗せ補助をさらに拡充し、私立高校学費の実質無償化へ努力すべきです。

    また、来年度の県立高校入学生から生徒用タブレットを自費購入させる方針です。低所得者世帯の12000台分は無償貸与しますが、購入が難しい家庭には、返済が必要な奨学金の利用を促しています。ICT教育の充実のためにも経済的格差を生まないためにも高校生全員に公費で端末機器を準備すべきです。

    次に第2号議案「令和4年度兵庫県県有環境林等特別会計予算」、関連して第4号議案「令和4年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」についてです。

    環境林特別会計予算では、1億円の新たな取得費が計上され、一般会計の繰り入れなどから宝塚新都市用地、小野市山田用地、三木中里用地などの借金返済のために約72億円が公債費特別会計へ繰り出されています。

    また、公共事業用地先行取得特別会計予算では、用地先行取得事業費として30億円が計上され、小野市場用地等の用地費にかかる起債償還のための公債費特別会計への繰り出しがあります。過去の先行取得用地の失敗や、未利用地の時価評価について県民に明らかにしないままの新たな予算付けは、認められません。

    次に第5号議案「令和4年度兵庫県営住宅事業特別会計予算」についてです。

    県営住宅の建て替えは必要ですが、全体として管理戸数削減を伴う建替え事業であり、賛同できません。

    次に第10号議案「令和4年度兵庫県母子寡婦福祉資金特別会計予算」については、福祉的な対応が必要な事業を民間回収業者に委託しているのは相応しくないことから反対です。

    次に第17号議案「令和4年度兵庫県水道用水供給事業会計予算」についてです。

    今年度の受水団体の平均供給単価は120円です。段階的に料金は下がってきているとはいえ、過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制により、全国水道用水給付団体との比較で全国平均89円6銭のところ、兵庫県は119円4銭と高い水道料金を市町に押し付けていることから反対です。

    次に第18号議案「令和4年度兵庫県工業用水道事業会計予算」についてです。

    大企業に不当に安い価格で工業用水水道料金が据え置かれているため、認められません。

    次に第20号議案「令和4年度兵庫県地域整備事業会計予算」についてです。

    県は、一般財源は使わず県民に負担をかけるものではないといって、この間、開発事業を進めてきましたが、コロナ禍によって淡路国際会議場やホテルの経営状況が急速に悪化しています。日本共産党は、地域整備事業について、公金を投入する事業ではないと、採算性も含め、当初から反対してきました。また、個々の事業の収支も明らかにされていないため認められません。

    次は第22号議案「令和4年度兵庫県地域創生事業会計予算」についてです。

    小野産業団地には小野長寿の郷構想の一部が含まれており、すでに医療・福祉機関が進出しています。構想見直しの報告もないまま産業団地事業を進めるのは問題です。

    また、三宮東の再整備事業については、地域の中小企業や住民から反対の声が上がっており、神戸市とともに推進することは認められません。

    次は第23号議案「令和4年度兵庫県流域下水道事業会計予算」、第47号議案「流域下水道事業についての市町負担額の決定」についてです。

    流域下水道事業は公営企業会計となり、施設の改善などの費用が使用料負担という名目で市町の追加負担となることから反対です。

    次に第24号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」についてです。

    行政書士・製造保安責任者・販売主任者・液化石油ガス設備士、宅地建物取引士資格試験手数料などの試験手数料が値上げとなります。

    県立総合衛生学院の授業料等については、看護学科の授業料は値下げされるものの、助産学科、歯科衛生学科は値上げ、入学料も値上げです。他府県の公立専修学校と比べても突出して安いということはなく公立施設として、現状の授業料などを維持すべきです。

    また、県立弓道場に新たに多目的会議室や更衣室などが整備されることに伴う使用料金を定めるものですが、更衣室のロッカー代は利用者の利便性からも無料にすべきです。

    70歳以上の高齢者講習内容及び講習手数料は、年齢や認知検査の結果によってそれぞれ区分されていたのを、講習内容と手数料が一元化され70歳以上の普通免許所持者の大半が講習手数料の引き上げになります。

    コロナ禍のもと、物価上昇もあり、暮らしがひっ迫している中、使用料等の値上げは認められません。

    また、職業能力開発促進法施行令の一部改正により、技能検定のうち陶磁器製造の職種が廃止されることに伴い、陶磁器製造の技能検定試験手数料の廃止が含まれています。国家検定制度である技能検定、合格すると合格証書が交付され「技能士」と名乗ることで、働く上でモチベーションにもつながります。一律に受検者数で切り捨てるべきではありません。

    畜舎等の建築及び利用に関する認定手数料の制定についてです。畜舎には建築基準法が適用されますが、畜舎の建築に係る負担が畜産業者の経営を圧迫しているとして、建築基準法の基準によらず新たに畜舎等の建築及び利用の特例に関する法律が施行されたことに伴い、新たに申請手数料を定めようとするものです。

    新基準は、畜舎内の避難経路計画等を立て、都道府県が認定すれば建築基準法を適用せず、畜舎を建築・増築できるようにしようとするものです。

    農水省は新基準について「震度6強から7の地震で倒壊する恐れがある強度」とした上で、そこで働く労働者に対し「倒壊する恐れがある畜舎だと周知し、避難訓練も行う。人的被害が生じれば労働基準法に基づき使用者が保証する」と、しています。しかし震度6強と言えば、立って歩けないほどの揺れであり、農水省の云う避難経路計画は全く無意味です。耐震基準を後退させるのは本末転倒であり、建築費の負担に対しては、国や自治体が必要な財政支援をすべきです。

    次に第25号議案「兵庫県税条例等の一部を改正する条例」についてです。

    地方税法の一部改正等にともない個人県民税では、住宅ローン減税が縮小され、所得税と住民税から差し引く控除率は、年末のローン残高の1%から0.7%に引き下げるほか、残高の上限を現行の4千万円から3千万円に引き下げるなど一連の改正で住宅取得者が受ける減税規模がこれまでの最大400万円から最大273万円に縮小することになり、反対です。

    また、法人事業税では。県内唯一の特定ガス供給業者である大阪ガスの法人事業税をこれまでの課税方式を収入割から収入割と付加価値割・資本割に、標準税率を1%から、超過税率についても0.065%からそれぞれ軽減するもので、大阪ガス1社で約6億円の法人事業税の減収になり、大企業への優遇税制です。

    さらに、付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額により法人事業税を課される法人にかかる法人事業税の所得割について、400万円以下、400万円超から800万円以下、800万円超の3段階の所得区分による税率を廃止し、800万円超に一本化することにより、中小事業者の税率が上がることになり認められません。

    次に第34号議案「兵庫県立兵庫津ミュージアムの設置及び管理に関する条例」、第51号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立兵庫津ミュージアム)」についてです。

    いずれも兵庫津ミュージアムの設置管理条例を改正し、アクティオ株式会社に指定管理を行わせるものです。同施設は、幕末・明治期に設置された最初の兵庫県庁を復元した「初代県庁館」と「ひょうごはじまり館」が並び立つ全国でも珍しいミュージアムで、兵庫の歴史、五国の魅力や多様性を発信する拠点になる重要な施設です。本来、県が公の施設として管理すべきです。また、議会の議決を経ずに利用料金の変更が可能という点からも賛同できません。

    次に第37号議案「兵庫県立自然公園条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案は自然公園法の一部改正に伴い県立自然公園条例の一部を改正しようとするものです。改正案は、県立自然公園の街並みを整備するため市町や事業者等で構成される協議会が利用拠点整備改善計画を作成し、知事が計画を認定した場合、計画に記載された事業の実施に必要な許可等を不要にしようとするものです。

    国のもとでモデル的に先行実施された国立公園満喫プロジェクトでは十和田八幡平国立公園内で、天然のブナ林10本以上を伐採し湿原に張り出す展望デッキを拡幅しました。展望デッキの拡幅は紅葉シーズンの朝日が見えるたった2週間の誘客目的のために行われました。住民が知ったのは工事開始以降ということで地元では大問題になったということです。

    伊勢志摩国立公園では、外資系企業と三井不動産の共同事業として投資目的の分譲型ホテル建設が認可されましたが、中央審議会では国立公園利用に対する公平な利用機会が提供できないとの批判が相次ぐ中での認可事例となりました。

    県立自然公園では、砥峰高原のすすき、猪名川町の屏風岩などが特別地域に指定されていますが、これらの公園も改善計画が認可されれば、展望デッキの設置や分譲型ホテルの建設などが可能になってしまいます。

    現行条例では県立公園の公園計画の決定や変更申請について、知事は審議会の意見を聴いて3年程度の期間を経て慎重かつ丁寧に認定の可否を決定することになっていますが、改正案では審議に必要な期間は示されていません。仮に申請事業者の利益を保護するために行政手続法等が適用されることになると審査期間が大幅に短縮されることも否定できません。

    また、民間事業者等による大規模な公園計画の変更等が認められる条例に改正しようとしているにも関わらず、認定前の改善計画は県民に周知されず県民が意見を言える仕組みが十分に整っていません。協議会へ住民団体等が参加できる制度にこそはなっていますが、それでは不十分です。県立公園は広域の県民が利用し、親しまれている施設です。広く県民へ周知し、県民目線で県民一人一人が意見を言える仕組みこそ必要です。

    次に第38号議案「知事の権限に属する事務に係る事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案はマンションの建て替え等の円滑化に関する法律、長期優良住宅の普及に関する法律などの一部改正に伴い、知事に提出される認定及び許可の申請書の受理に関する事務を新たに各市町が処理しようとするものです。知事に提出される認定及び許可業務はそれぞれ専門的な知識が必要なため、市町に業務を任せるのでなく県がその職務にあたるべきです。

    次に第40号議案「空家等活用促進特別区域の指定等による空家等の活用の促進に関する条例」についてです。

    現行の建築基準条例第4条では「建築物の敷地は道路に4m以上接しなければならない」としています。しかし本議案は、重点整備地区に指定された区域については狭隘道路や旗竿敷地であっても接道長さが4m未満2m以上確保されていればホテル・旅館等への用途変更を可能にするものです。現行条例が接道長さを4m以上を求めているのは、消防車が消防活動をしているその脇を避難者が避難するために必要な長さだと言われています。防災基準の規制緩和であり認められません。

    次に第42号議案「建築基準条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案は「土地利用に関する計画が定められた区域」については、「知事が市町長の意見を聴いて指定する区域」及び「市町長の申し出に基づき知事が指定する区域」を日影規制の対象区域から除外しようとするものです。条例制定後の1978年以来43年間ではじめての規制緩和です。

    提案説明では「インターチェンジ周辺などで工場などの立地を誘導する計画において、日影規制が適用されるため施設設置計画に支障を来す可能性がある」などとしています。しかし、本議案はインターチェンジ周辺などの産業拠点だけでなく、知事が指定した区域であれば住宅街も対象になります。その際には市町、審議会、住民の合意形成を必要としていますが、影響を受ける住宅や土地所有者個々人の同意までは求めていません。日照権は、司法判断でも確立された県民の財産や生活にかかわる大切な権利です。開発を優先し、住民の権利が侵害されるようなことがあってはなりません。

    次は第43号議案「都市計画法施行条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案は県が条例で区域を指定することによってY区域であっても、許可申請者が避難に関する書面を提出することをもって住宅等の新築の許可を行えるようにするものです。例えば土砂災害警戒区域のY区域の場合、2階建て以上の建物で、且つ市町の長が認めた避難計画が作成されていれば住宅建築が認められることになります。建築基準法の立て付けはY区域の土砂災害では建築物は崩壊しないということになっており、本議案はそれを前提にした改正になっています。しかし、そうであればY区域の2階建てに住む住民はそもそも避難の必要はないということにもなり兼ねません。過去の自然災害では、想定外の災害によって2階へ垂直避難した方でも命を落とすケースが多く報告されています。

    本議案は県民の命を脅かし、県民に誤ったメッセージを発することにもなり兼ねず認められません。

    最後に、第53号議案「公の施設の指定管理者の指定(兵庫県立障害児者リハビリテーションセンター)」については反対しませんが、意見を申し上げます。

    今回の指定管理者の指定については、再来年度からすべて公募にするために1年間と期限を切るものです。

    当センターは、長年の要望と運動でつくられたもので、専門の知識や技術が必要であり、大道会に県からお願いして指定管理者になっていただいたものです。今、軌道に乗ってきて、新たに更生相談所の機能も持ち給付支給の判定ができるように準備を始めたところに、次の指定期間1年というのは、不安と新たな書類作成など、現場に混乱と負担をもたらしているとお聞きしました。

    公の施設の指定管理者について、1年で期限を切るべきではないし、それぞれの施設の専門性や役割を無視した公募制は見直すべきです。

    以上、議員各位の賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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