議会報告

  • 2022年03月01日
    本会議

    第357回本会議 一般質問 入江次郎

    ●県政改革方針実施計画案についてお伺いします

    兵庫県では、この間の県行革によって、こども、重度障碍者、ひとり親家庭への医療費助成制度を削減し、さらには65歳~69歳の老人医療費助成制度を廃止するなど、本来であれば行政が最も手厚い措置を講じなければならない部分をばっさり削減してきました。

    さらに2018年までの11年間で県職員を3割削減する一方で、民間活力の導入をうたい文句に、指定管理制度の導入などを推進してきました。しかし、行財政特別委員会でも指摘をしましたが、指定管理者制度導入後、多くの施設で利用者数は逆に減少し、そのもとで働く労働者の多くが不安定で低賃金の非正規労働者です。兵庫県でもそうであうように社会保障を削減し、働く人の賃金を抑制してきたことこそが、成長が止まった日本経済の最大の問題であることが今や明らかになっています。

    兵庫県でも、こうした利益と効率を最優先する国の新自由主義的な政策を追随してきた結果、県内GDPは20年以上にわたって20兆円前後で成長が止まったままです。実質賃金は2015年を100とした場合2000年は115.2、2020年は100.9と20年間で14.3ポイント低下しています。一方で消費者物価指数は2020年を100とした場合1990年は90.9、2021年は99.3と物価指数は8.4ポイント上がっています。コロナ禍のもとでも食料品はじめ電気料金、ガソリン価格など物価の上昇が相次いで起こっています。

    この30年間、消費税増税、社会保障の負担増などで物価は上昇する一方で、労働法制の度重なる規制緩和によって低賃金で不安定の非正規雇用が拡大し、その結果GDPの6割を占める個人消費は低迷し、国でも県でも経済成長が止まったままになっています。

    それにもかかわらず、今回の県政改革方針実施計画案では、県民の暮しに直結する、福祉事業、バス対策費補助、老人クラブ活動強化推進事業、商店街の活性化施策等々を廃止・見直しする案が次々と提案されています。パブリックコメントに寄せられた県民からの意見は「子どもや障害者に対する補助事業の廃止は見直すべき」「誰も取り残さない県政に矛盾する」等々、県民の暮しに係る事務事業の存続を求める声が次々挙がっています。ある自治体首長は、「だいたいコロナ禍でやることではない」「弱者支援をやらずに何のための行革か」と、厳しい意見を私たちのもとにもお寄せいただきました。

    また、行財政運営審議会では委員から「制度のはざまで助けることのできない人もいるということを忘れないでほしい。こうした活動の意義を評価し、支援する県政改革であることをのぞむ」という意見があり、さらに“職員数を3割削減した平成30年4月1日の職員数を基本とする”とした一次案に対し「本当に適正配置となるのか疑問が出てくると思う。職員の理解を得た上で」と、指摘しています。これに対し兵庫県職員組合は、“平成30年4月1日の職員数”の見直しを、県当局へ申し入れしています。

    県政改革案に対し、県民・市町・首長・職員から次々と事業存続、職員の適正配置などを求める声が次々と寄せられていたにもかかわらず、提案されている案では経過措置を設ける等に留まっています。

    その一方で、最も公助を必要としない大企業をさらに優遇する「産業立地条例」や、地元建設業者の受注率が4割程度しかない基幹道路8連携軸計画等の大型投資事業は見直しがされていません。

    Q. 1990年代に本格化した大企業優遇、大型開発優先のトリクルダウン型の経済施策は、兵庫県経済でもそうであったように“強い経済”をつくるといううたい文句とは反対に、「賃金が上がらない」「成長できない」「競争力の弱い」という、“もろく弱い経済”にしてしまいました。提案されている県政改革案は撤回するとともに、これまでの県政運営を抜本的に見直し、県民の暮し、子育て、雇用、福祉を温め、公共工事は地元建設業者が直接受注できる防災・減災型へ転換し、成長が止まったままの県経済から抜け出すためにも、強くて県民にやさしい県経済へ転換する本当の意味での県政改革を求めます。

    当局答弁 私が目指す「躍動する兵庫」の実現には、持続可能な行財政基盤の確立が不可欠である。その信念に沿い、今回の「県政改革方針(案)」をとりまとめた。
     事務事業の見直しにあたっては、その多くは時代の変化への的確な対応、事業水準の適正化など社会情勢の変化に伴い、その必要性が低下した事業などについて、廃止・縮小を行ったものであるが、単なる歳出削減型の見直しではなく、ビルドを重視した見直しに取り組んだ。
     なお、ご指摘の産業立地条例を活用した企業立地の促進は、地域の雇用を創出し、地域経済を活性化させる極めて重要な取組であると認識している。
     投資事業では、新たに本県実負担が増加しない範囲で緊急措置事業と通常事業との間で事業費を振り替えることが可能な仕組みを設け、県民の安全安心に直結する道路や河川の日常的な維持管理を充実させる。ご指摘の基幹道路八連携軸については、各地域の課題に対応し、ポストコロナ社会の経済発展、県民生活の安定に必要不可欠であることから、将来の財政負担に配慮しつつ、国庫補助等の有利な財源も活用しながら、計画的に進めていく。
     一般行政部門の定員については、平成30年4月1日の職員数を基本としつつ、保健師や児童福祉司を増員するなど時々の行政課題に的確に対応できる、メリハリのある職員配置を行っていく。
     今後とも、県議会はもとより、市町、関係団体、広く県民との対話を重ね、しっかりと理解を得ながら県民ボトムアップ型の県政を進めて参りたい。

    再質問 答弁 令和4年度当初予算案で、ビルドという方向で大きく三つの方向で新しい成長を作っていく、そして五国の魅力を高めていく、そして安全安心な地域社会をつくっていくと、この方向性が大きな意味でのビルドだということで私はとらえておりますので、そこはまたご理解いただけるようにご説明していきたいと思っております。
     奨学金の件につきましては、私自身も大学のときには、親の家計が急変しまして、大体月15万ぐらいの奨学金を数年間もらって、これかなり利子もありまして、巨額の負担にはなったんですけども。それがあったおかげで何とか卒業できたいう経験をしております。そういった意味で今のコロナで苦しい状況にある学生さんに対して何とかご支援させていただきたいという思いはあるんですが、やはり県の厳しい財政状況の中で、お1人お1人の給付をやろうとすると、お1人数万円でも、かなりの金額の大きな事業になりますから、ちょっと今の中では難しいというのが率直なところで、これは予算発表のときも含めて、県民の皆さんにもご説明させていただいているというところです。どういった形でできるかということについては、国の制度の状況も注視しながら、引き続き、既存制度の内容も含めて検討はして参りたいと思いますけども、令和4年度の時点では今の状況ではちょっと難しかったという点、ご理解いただければと思っております。

    ●次に新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします

    2月15日全国知事会は政府に対し「オミクロン株による感染拡大の危機的状況が国民に正しく認識されるよう強く発信すること」「無料のPCR等検査の拡充など感染防止対策を迅速に行うこと」などを求める緊急提言を出しました。

    新型コロナウイルスの最も厄介なところは無症状の感染者が無意識のうちに感染を次々と拡大させていることです。これまで日本共産党県議団は一貫して、無症状感染者を早期に発見するために川崎重工業が開発したPCR検査ロボットなども活用し無症状感染者を速やかに保護し隔離するための体制強化を求め続けてきました。しかし県は、「効率が悪い」などと言って一貫して無症状感染者を対象にした検査を否定してきました。

    県は第6波の入り口となった昨年末からようやく国の方針にもとづき、県内に350カ所、1日1万件のPCR等無料検査を目標に実施しました。しかし、1日1万件、1週間換算で7万件の検査目標に対し、最も多い実績でも1月24日~30日の1週間で2万493件、目標に対し30%程度の検査実績に留まっています。さらに、県は、外来医療の逼迫や、検査キットの品薄などを受け、当初認めていなかった、検査を行わずに医師が判断するいわゆる「みなし陽性」を認める事態になっています。これでは感染がどのように広がっているのかの全体をとらえることができず、感染対策が成り行き任せになっていると言わざるをえません。

    こうした検査体制の遅れが感染急拡大の波を抑えることができずに、医療ひっ迫、自宅療養者の置き去り、死者数の拡大など、今日の事態をより深刻にした一つの大きな要因となっているのではないでしょうか。

    Q. 第6波の感染者数を一刻も早く抑え込み、新たな感染拡大の波を速やかに把握するためにも、今度こそ無症状で感染の不安のある人を対象とした無料のPCR等検査を県の責任で抜本的に拡充すること。また、高齢者施設、障害者施設等でのクラスターが今も拡大しています。しかし、高齢者施設、障害者施設で働く従事者への集中的検査は2週間に1回程度です。入所者にいたっては入所時のみの検査に留まっています。定期検査を頻回に行い、無症状感染者を速やかに発見し保護する体制を整えること。保育所、こども園、学校など対象を拡大すること。を求めます

    また、オミクロン株は感染力は強いが重症化率は低いということが強調されていますが、感染者数の増加に伴ってコロナが引き金になり既往症の重症化で死亡する方は第5波を超え、2月の死亡者は386人で1月の13.8倍にも上っています。また、入院することができずに自宅で亡くなられた方は県が把握しているだけでも1月以降で20人にもなり2月末時点の病床使用率は未だ68%にもなっています。さらに救急搬送困難事案は神戸市消防局管内で昨年12月第3週に19件だったものが、今年1月第3週は54件、2月第3週は150件となり、昨年12月と直近を比較すると救急搬送困難事案は8倍にもなっています。緊急に医療を必要としている方が医療を受けられない深刻な状況が今も続いています。

    それにもかかわらず、県はコロナパンデミックが発生する以前の2016年に作成した地域医療構想を推し進め、コロナ禍の昨年でも急性期病床を120床削減し、令和3年12月末時点の計画では当面346床削減することになっています。さらに新年度も地域医療構想を推進する予算として約28億8千万円を計上しさらなる急性期病床の削減を推進しようとしています。

    感染者が未だ毎日3千人~4千人単位で確認され、死亡者数・重症化患者も増加傾向にあります。入院ベッドのさらなる確保が求められています。さらに第6波の教訓を生かした新たなパンデミックに対する医療体制の強化が今度こそ必要です。

    Q. コロナ禍で最も必要とされている急性期病床を削減する地域医療構想は直ちに撤回することを改めて強く求めます。

    当局答弁 現在、新規感染者数は減少傾向にありますが、病床利用率が高止まりするなど予断を許さない状況です。
     感染拡大防止には、適切な行政検査が行われることが重要であり、これまで県としては、処理能力の増強、対象者の拡大など体制の充実に努めて参りました。また、国の方針に基づきまして、感染不安を感じる無症状者を対象とした無料検査については、現在約360カ所体制確保しています。当面の間、実施して参りたいと考えています。
     なお、高齢者入所施設等の従事者に対する頻回検査についても、国通知に基づき、事業継続を支援するため、引き続き実施して参ります。保育所等における定期検査についても、子どもの重症化リスク等も踏まえ、優先順位を考慮し対応して参ります。
     県では、昨年10月以降、「次なる波」に備え、様々な対策に取り組んで参りましたが、国の想定を上回るオミクロン株の感染力(デルタ株の約3倍)により、第6波は感染者数が大幅に増加しました。
     いわゆる「みなし陽性」については、感染急拡大に伴い、陽性者の同居家族が有症状となった場合には、感染の可能性が高いため、医療関係者の意見も踏まえ、医師の判断により臨床症状のみでの診断を特例的に実施しているものであります。
     地域医療構想については、高齢化の進展による医療需要の増大に対応するために、地域完結型医療体制を構築しようとするものであり、病床の削減を目的とするものではありません。現在、各圏域において、コロナ対策も踏まえ、感染症対策は今後どうあるべきかということも重要な要素として、医療機関の自主的な取組みのもと、地域医療構想調整会議で協議されています。県としても、引き続き地域医療構想を着実に推進して参ります。

    ●次に補聴器購入補助制度についてお伺いします

    2018年12月議会に、日本共産党県議団が提案した補聴器購入補助を求める意見書が全会派一致で採択されました。その後も私たちは本会議などあらゆる場面で制度化を求め、この度の新年度予算案で実現しました。調査事業としてですが、都道府県レベルでは補聴器購入補助制度を実施するのは兵庫県が初めてと伺っています。私たちの元にも高齢者の皆さんから歓迎の声がたくさん寄せられています。

    全国では既に43自治体で実施されており、東京都千代田区では高齢者からの要望が強く一人当たりの補助額を5万円に倍化、東京都新宿区では自己負担2000円で現物支給するなどの取り組みが広がっています。

    県内では昨年7月から明石市が補聴器購入費助成制度を実施しています。明石市の職員にお伺いしたところ「一人あたり二万円、150人分の予算に対し、1月末時点で予算を大幅に上回る240件もの申請があった。兵庫県を始め県下10市町以上から制度への問い合わせがあって大変注目されている」とのことでした。新年度からは県内で新たに相生市、養父市、稲美町が補聴器購入補助制度を実施するとのことです。補聴器助成制度創設への県民の期待が高まっています。

    Q. WHOは「難聴の治療は高齢者にとって様々な要因を大幅に改善する可能性がある」としています。各自治体ではコロナ禍のもと、また高齢化社会を迎える中で、高齢者が住み慣れた地域で自分らしくいきいきと暮らすことのできる施策を模索しています。県はモニタリング後に、効果の検証を行い制度創設を国へ提案するとしていますが、国へ制度創設を求めることと併せて、今回の調査事業を恒久的な制度とすること、助成上限額のさらなる増額と対象者を増やすことを求めます。

    当局答弁 コロナ禍の外出自粛による体力・気力の低下が認知症の進行や要介護状態に繋がることが懸念されております。高齢者の社会参加活動の維持・継続のため、様々な方策を講じる必要があると認識しております。
     今回の事業は、中等度難聴の高齢者約400人に購入費用を助成することで、実際に補聴器を使っていただきます。その上で、補聴器の使用が社会参加にどのように影響するかについての調査を令和4年度に実施し、効果を検証して参ります。
     一方、補聴器による認知症リスクの低減効果につきましては、WHOが科学的根拠が未だ十分でないという見解を示していますので、国が研究を進めております。県としては国の研究の動向を見極める必要があると考えております。
     恒久的な制度化につきましては、加齢性難聴が全国共通の課題であることから、県独自の個別対応ではなく、広く全国に適用される制度として、国において対応されるべきものと認識しております。この度の調査事業で、補聴器の使用が社会参加促進につながるという結果が得られた場合には、国への制度提案として活用して参ります。

    ●製鉄記念広畑病院の後医療について

    2017年2月に県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編基本計画が発表されました。計画は2022年5月を目途に両病院を統合再編し、姫路市内に新たに新県立病院を整備しようとするものです。また、製鉄記念広畑病院の後医療には三栄会ツカザキ病院が医療機関を新たに設置しようとするものです。

    姫路市内に新県立病院が整備されることを歓迎する一方で、市南西部に住む住民からは不満の声が次々と挙がっています。

    2018年3月に兵庫県、姫路市、製鉄記念広畑病院、三栄会ツカザキ病院、4者が主催する住民説明会が開催されました。住民からは「製鉄記念広畑病院は28診療科あったけれど、わずか7診療科になってしまう。外科も麻酔科も産婦人科もなくなる。これでは県が住民に約束してき“製鉄記念広畑病院が担ってきた医療機能確保にならない”」等の不満の声が次々と出ました。地元紙は「紛糾の説明会」と書きました。これに対し県は「出発地点が7診療科であって、ツカザキ病院に対し診療科目を増やすよう求めていきたい」と、住民に対し説明しています。

    Q. 後医療機関の診療科目数がわずか7診療科目では住民の理解は得られません。県が住民に説明したようにさらなる充実を求めます。また、後医療機関の開院時期について住民は1日も早く望んでいます。後医療機関の開院時期についてお答えください。併せて、新県立病院開院により閉院となる製鉄記念広畑病院と県立姫路循環器病センターの入院患者及び外来患者への医療提供体制は特別な配慮と案内が必要です。どのようにされているのかお答え下さい。

    当局答弁 広畑病院の後医療については、平成29年12月の中播磨圏域健康福祉推進協議会医療部会において三栄会から具体的な構想の提案があった。
     その中で、効率的で充実した外科治療の観点からツカザキ病院に外科機能を集約し、内科救急2次輪番を担う後医療機関と一体的な運用を行うことで同医療部会の了承を得、姫路市も市南西部の医療提供体制が一定確保できると判断した。
     後医療の診療科目数は、現時点では増やすことは難しいと聞いているが、総合診療科が配置されることから、特定の臓器・疾患に限定しない多角的な診療が一定行えるものと承知している。
     後医療機関の開院時期は、建物改修や一定の準備期間が必要なことから、広畑病院の閉院後1年以内としているが、三栄会としても出来るだけ早期の開院に向け努力されている。
     閉院となる両病院の患者については、本人の意向を基本とし、高度医療が必要な患者は引き続き新病院で診療を、軽症患者や他の医療機関を希望する患者は医師会の協力も得て近隣の医療機関を紹介するなど、地域全体で患者の意向に沿った適切な医療が提供できるよう準備を進めている。
     なお、特に地域での対応が必要な慢性期の透析患者については、患者の希望や利便性を確認の上、ツカザキ病院をはじめとする医療機関に移っていただくこととした。
     新病院への移行にあたっては個々の患者の意向を十分に勘案し、患者が不安を抱かず両病院の閉院後も困らないようにしっかりと対応していく。

    ●次に事業者支援についてお伺いします

    年明け早々の感染急拡大で、再び時間短縮を要請されている中小・小規模事業者からは十分な補償がないことに怨嗟の声があがっています。

    そのような中、全業種を対象に新たな国の「事業復活支援金」制度の申請手続きが始まりた。しかし、岸田首相が総選挙で公約した「持続化給付金並みの給付金とは程遠く、その支給額は、半分以下にとどまり、当時あった家賃給付金もありません。「事業復活支援金」の上限額は、以前の二つの給付金を合わせた額の8分の1しかなく、これでは、年度末を控えて事業継続の見通しが立ちません。

    コロナ禍で困窮するすべての事業者の営業と暮らしを守るために長期的な見通しを持てる県の直接支援がどうしても必要です。

    鳥取県では、2月3日、第8弾の事業者支援として、業種を問わず、この1,2月の2か月間の売り上げ額が19年~21年のいずれかの年の同月比で30%以上減少を要件に最大で40万円の応援金を県独自に支給すると発表しました。石川県でも国の事業復活支援金に県が独自に売り上げ減少幅に応じて上乗せ給付し、コロナ禍で苦しむ中小事業者を直接支援しています。

    そこでお伺いします。

    Q. コロナ禍で売り上げが減少している中小、小規模事業者に「家賃支援金」の再支給と、「事業復活支援金」は、持続化給付金並みに増額し、迅速な支給を行うよう国に働きかけることを求めます。
     石川県などのように「事業復活支援金」への上乗せ支援を行うなど県独自の支援を行うこと。
     また、コロナ禍の影響を受けているのは夜間営業の飲食店だけではありません。時短要請対象飲食店だけでなく、喫茶店など昼間営業の飲食店や飲食店への納入業者なども対象にした県独自支援を求めます。

    当局答弁 県では独自の事業者支援策として、国の事業復活支援金に先がけ、事業継続を応援する一時支援金を支給することとしております。これは現下の原油や原材料の高騰で、経営が逼迫する中小企業、飲食店を幅広く支援しようとするものです。
     また飲食店向けには3回にわたり、「がんばるお店“安全安心PR“応援事業」等により、感染防止対策やテイクアウトなど、事業継続のための取り組みを支援してきたところです。
     新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金は、国の基本的対処方針に基づき、県の時短要請に応じた飲食店に限り、国の交付金をもとに支給しております。時短要請の対象とならない飲食店に県が単独で支援することは、制度の趣旨や財源からも困難であると考えております。
     コロナの影響を受けている事業者は多岐にわたっており、県単独で包括的な支援制度をつくることは財源面からも困難ですので、全国知事会等を通じて国の事業復活支援金の増額と、家賃支援金の再支給について要望をしているところです。
     まずは原油対策の一時支援金の年度内の支給に努めまして、中小企業の事業継続を下支えしていきたいと考えております。その上で、来年度は5千億円の制度融資枠を確保しておりますので、金融機関と連携して、資金繰りに万全を期すとともに、返済猶予や条件変更等にも柔軟に対応してまいります。今後も商工団体等と連携し、中小企業の事業継続をしっかりと支えてまいります。

    ●学生支援についてです。

    新型コロナ禍のもと、多くの学生のアルバイトシフトが減らされ、「学費や生活費を稼ぐ見通しが立たない」など、学生や若者に大きな影響が及んでいます。令和3年9月に日本学生支援機構が発表した学生生活調査では、大学生の学生生活費のうち63.4%を学費が占め、「家庭からの給付のみでは修学に不自由・修学継続困難、家庭からの給付なし」と答えた学生が31.5%を占める厳しい状況です。アルバイトなしでは大学に通えない学生は2割にも及んでいます。

    文部科学省が昨年行った「新型コロナウイルスの影響を受けた学生への支援状況等に関する調査」では「コロナを理由とした中退者数」は昨年より1.8倍、「休学者数」は1.7倍に膨れ上がっています。政府は対策として『学生等の学びを継続するための緊急給付金』を創設しましたが、支援対象となる学生の要件が厳しく、希望する多くの困窮している学生や若者には給付金が届いておらず、食べることに事欠くほど状況は深刻です。県内の青年団体が行っているフードバンクでは、多くの学生が集まり、学生生活の実態調査を行ったところ、「学費の減額」や「給付金の支給」などの声があがっています。

    さらに令和2年4月からスタートした授業料等減免・給付奨学金がセットになった高等教育修学支援新制度がありますが、住民税の非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象で、成績基準などをクリアした学生が学校推薦で選ばれるなど、あまりにも要件が厳しく、全学生のうち8%にしか支給されていません。

    また入学金という制度は、他の先進国にはない日本独自の制度です。私立大学で平均約25万円、国立大学、県立大学はさらに高い28万2,000円、さらに県立大学は県外の入学者に対しては42万3000円と高額で、県立大学進学への足かせともなっています。

    日本の高等教育にかかる費用は高額で、学生の2人に1人が、平均300万円の奨学金を借りています。そして、卒業と同時に高額な借金を背負い、社会人としての生活をスタートしています。

    Q. 知事は公約で「家計が急変した学生に対し、返済不要の県独自の奨学金の創設」を掲げたにも関わらず、新年度予算案では財源不足を理由に見送りました。困窮する学生にあまりにも冷たい予算案と言わざるを得ません。困窮する学生への支援は、長引くコロナ禍のもとで、待ったなしの課題です。県独自の給付型奨学金制度をつくり、学生が学び成長する権利が保障されるよう支援することを求めます。
     知事の答弁を求めます。

    当局答弁 学ぶ意欲のある若者の教育機会確保に向けた支援につきましては、全国的な課題であると認識しています。
     国では、令和2年度より修学支援新制度を創設したほか、コロナ感染症拡大の影響を踏まえ、「学びの継続のための緊急給付金」やアルバイト収入が大幅に減少し生活に困窮する学生が対象の無利子奨学金貸与を実施し、全国一律に低所得世帯の学生への支援を行っております。
     こうした国による支援制度について、県としても高校生の就学支援金より要件が厳しい国の修学支援新制度の所得要件の緩和などを国に対して引き続き要望しているところでございます。
     また、昨年設置されました内閣総理大臣を議長とする教育未来創造会議では、「新たな時代に対応する学びの支援」として、学生に対する教育費等への支援について議論されようとしています。
     県独自の給付型奨学金制度につきましては、県の厳しい財政状況を考慮に入れながら、昨年度から創設された国の新制度や既存の奨学金制度による効果、今後の国による制度拡充に向けた動向も踏まえながら、引き続き検討していく必要があると考えております。

    再質問 答弁 奨学金の件につきましては、私自身大学の時に親の家計が急変し、月15万円くらいの奨学金を数年間受けて、かなりの利子もあり巨額の負担になったが、そのおかげで卒業できたという経験をしています。
     コロナで苦しい状況にある学生さんに対して支援したい思いはあるが、県の厳しい財政状況の中で、一人一人に給付しようとすると一人数万円でもかなりの金額の財政的な事業になる。今の時点ではなかなか難しいと予算の発表にあたって県民の皆様にもご説明しております。どういった形で出来るか国の制度の状況も注視しながら、既存制度の内容も含めて検討してまいりたい。
     令和4年度の時点では難しかった点ご理解頂ければと思います。

    ●最後に、気候危機対策についてです

    昨年11月、イギリスグラスゴーで開催されたCOP26では、「工業化前からの温度上昇を1.5℃以内にするための努力の追求の決意」「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的削減」「この10年間での行動の加速が必要」等が合意されました。

    兵庫県は、この合意もふまえて、3月末を目途に新たな地球温暖化対策推進計画を策定しようとしていますが、不十分と言わざるを得ません。

    改定案で示された2030年度までの温室効果ガス削減目標は、2013年度比48%ですが、これは2010年度比に換算すると41.3%になります。COP26では、温度上昇1.5℃以内に抑えるためには、2010年度比45%の削減が必要だと確認されています。その水準を下回る目標で、十分とは言えません。さらなる目標値の引上げが必要です。

    「段階的削減」が求められる石炭火力発電所については、何ら具体的な削減方策がないどころか、2月1日、神戸製鋼所による新たな石炭火力発電所の営業稼働を容認しています。新たに稼働が開始された神戸発電所3号機は、年間346万トンものCO2を新たに排出し、温暖化対策に大きく逆行します。しかも国際的な排出削減策とされるCCS(炭素回収・貯留)技術等の導入計画はなく、検討されているのは、2030年以降にアンモニア混焼20%から行うというもので、その場合でもわずか4%の排出削減しかありません。新たな石炭火力発電所の営業稼働は、削減の規模もスピードも世界の認識とまったく逆行するもので、県として事業者、国に稼働中止を求めるべきです。県内の石炭火力発電所は、既設6基、新たな新設1基が予定されています。温室効果ガスの主要排出源となるこれら県内石炭火力発電所の全廃計画を盛り込み、実施すべきです。

    知事は、提案説明の中で、「脱炭素社会の切り札といわれる水素エネルギーの普及を加速させる」とし、「水素社会の推進」として、3.5億円の予算を計上しています。しかし、現在、実証実験されているオーストラリアからの水素は、精製、輸送過程で大量のCO2を発生するなど、現段階では温暖化対策に逆行しかねません。アンモニアや水素等いまだ実用化されていない新技術を前提にするのではなく、石炭火力発電所は廃止し、今ある技術の活用を思い切ってすすめる再生可能エネルギーの導入を抜本的に飛躍させるべきです。

    しかし改定案では、2030年までの新たな再エネ比率の目標はわずか30%で、国の第6次エネルギー基本計画で示された36%~38%よりも大幅に低い目標しか示されていません。地域主導型の再生可能エネルギー導入支援を思い切って強め、再エネ比率を抜本的に引き上げることが求められます。

    私たちは、兵庫県がCOP26水準の気候危機対策をすすめるには、2030年度までの温室効果ガス削減目標を欧米並みの2010年比60%を削減し、そのために、エネルギー消費を4割削減、再生可能エネルギー電力で50%賄うことが必要と考えます。

    Q. 以上をふまえ、県策定の新たな地球温暖化対策推進計画に、①県の地球温暖化対策推進計画改定案の2030年度温室効果ガス排出削減目標を2010年比60%への引上げ、②神戸製鋼所の新設石炭火力発電所も含め県内石炭火力発電の全廃計画の策定、③2030年度再エネ導入目標の50%への引上げ、④地域主導型再エネ導入促進のための補助施策の強化などを盛り込むことを求めますが、いかがですか。答弁を求めます。

    当局答弁 2050年カーボンニュートラルの実現には、この10年の取組が重要であると認識しております。県の48%削減目標は、国の全国共通の対策を重厚長大産業が集積する本県に当てはめた場合、35%削減にとどまるところ、産業界等とも対話を重ねまして、条例に基づく排出抑制計画制度等による最大限の削減努力を積み上げて設定した意欲的なものと考えております。
     また、石炭火力発電につきましては、昨年4月、資源エネルギー庁が示しました方針に従い、非効率な石炭火力発電が順次廃止されていくものと考えておりまして、神戸製鋼の新設の発電所に対しましては、売電先を含めCO2排出量に見合う削減を求めますとともに、2050年ゼロカーボンに向けまして、バイオマスや、あるいは再エネの電力等を使って製造時にもCO2を出さない、いわゆるCO2フリーアンモニアの混焼、さらには専焼への指導を続けてまいります。
     再生可能エネルギーにつきましては、国目標36~38%に対しまして、本県に立地していない黒部ダム等の大規模水力発電所の分が約10%その内には含まれております。県の目標30%は実質的にこの国の目標を上回るものでして、その達成には相当な努力が必要であると考えています。このため、建物の太陽光発電の設置はもとより、駐車場、そして、ため池、荒廃農地などの活用といった、新しい手法も駆使しまして再生可能エネルギーの導入に努めて参ります。
     また、地域主導型の再生可能エネルギーの導入に対しましては、今年度から無利子融資を拡充しました。また、来年度は補助対象に営農型の太陽光発電を追加する予定でございます。さらには再生可能エネルギーの事業化に向けて、地域のリーダーとなります人材の育成にも力を入れまして、積極的に支援を行ってまいりたいと思っております。

ページの先頭へ戻る