議会報告

  • 2021年10月14日
    予算・決算特別委員会

    2020年度決算特別委員会 教育委員会 いそみ恵子

    ○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。よろしくお願いする。

    早速質問に入る。

    特別支援学校設置基準制定に関わって幾つか質問する。

    文部科学省は、9月24日、障害がある子供さんが通う特別支援学校の教育環境改善のため、同学校を設置するための最低限の基準である設置基準を初めて制定し、都道府県知事に通知した。10年以上にわたり基準策定を求める57万人分の署名を国会に提出されてきた保護者の皆さんや関係者の皆さん、そして教職員の運動が重い扉を開け、私ども日本共産党も国会で繰り返し制定を求めてきた。そして、昨年11月、山下よしき参議院議員の参議院文教科学委員会での質問に対して、当時の萩生田文科大臣が設置基準の必要性を初めて認める答弁を行った。私もこの問題についてずっと県議会で取り上げ続けて、本当にうれしく思っている。

    そこで質問をする。今回の文科省の通知の内容、とりわけこの設置基準制定の趣旨について、まず伺う。

    ○特別支援教育課長(小俵千智) 特別支援学校の設置基準については、在籍する児童生徒等の障害の状態に応じ、必要となる施設や整備が様々なことから、国はこれまで一定の基準を設けることは困難としてきた。このため、本県では、独自に策定した特別支援教育推進計画などを踏まえ、必要な教育ができるよう計画的に整備してきたところである。

    このたび国が示す設置基準は、全国的に在籍者数の増加により慢性的な教室不足が続いており、特別支援教育の教育環境を改善する観点から制定されたものである。

    制定に当たっては2点、1つには、特別支援学校を設置するために必要な最低限の基準である。2つには、地域の実態に応じた適切な対応が可能となるよう、弾力的かつ大綱的に規定されたものと認識している。

    ○いそみ恵子委員 ただいま答弁があったように、今回は慢性的な教室不足が続いているこの特別支援学校の教育環境を改善することをこの設置基準、ここの制定の趣旨に掲げている。この設置基準では、改めて特別教室や、それから図書室、また自立活動室を校舎に備えるべき施設と、このように規定されたと思うが、この点について答えてほしい。

    ○特別支援教育課長(小俵千智) 今、ご質問があった必要となる最低限の一つの趣旨として、普通教室、また特別教室等も含めるが、普通教室とそして図書室、職員室、自立活動室が規定されたということは私たちも認識しているところである。

    ○いそみ恵子委員 今ご答弁いただいた。普通教室、それから特別教室、音楽室など、そして図書室、自立活動室、校舎に備えるべき施設だと、このように今回の制定基準で規定されたということで、特に確認をしておく。

    そこで次の質問である。全国の特別支援学校の在籍数は2019年までの20年間で1.62倍に激増している。一方、学校数を数えてみると1.15倍にとどまっている。学校の過大化、過密化が進んだ結果、教室が足りず、一つの教室をカーテンで二つに仕切ったり、また、校舎に備えるべき施設である図書室や特別教室を潰して普通教室に転用するなど、様々な問題が全国で起きている。文科省の調査でも全国で3,162の教室が不足している。

    その中で、県内の公立特別支援学校、20年度の教室不足の状況とそれから、県立27校だが、プレハブ、借用教室、特別教室、そして職員室など管理者室を普通教室に転用しているのはそれぞれ何施設か伺う。

    ○特別支援教育課長(小俵千智) 2020年度とおっしゃったところではあるが、手元の資料によると令和元年度の資料になる。公立特別支援学校の教室不足に関する文科省調査、これが令和元年度にされているので、それによると、本県の教室不足数は137室となっている。このうち、県立学校は91室となっている。

    県立学校の教室不足数91室のうち39室については、教育委員会と学校の間で必要性を現在も精査しているところであり、教育活動には著しい影響は見受けられないということで不足とは認識していない。残る52室については、早期の解消に努める必要があると認識している。

    これまで、普通教室を確保するため、教育活動への影響を最小限にしながら、特別教室や更衣室を転用したり、多目的教室を間仕切りして使用、また、仮設校舎を設置するなどの対策を行ってきた。

    しかしながら、狭隘化が著しい地域においては、今後も児童生徒数の大幅な減少が見込まれないと判断したことから、令和元年度より増築を基本とし、適地があれば新設校の整備も含めて検討を始めてきたところである。

    ○いそみ恵子委員 今、詳しくご答弁いただいた。

    それで、先ほども言われたように、文部科学省の調査、3年ごとということであったので、それで振り返ってみると、先ほどは2019年度だった。2016年の文科省の調査では、兵庫県内では133の教室が不足しているので、今回更に2019年で教室不足数が増えたということである。それから、教室、廊下の間仕切り、また体育館、倉庫、準備室などの転用もある。これを放置していいんだろうかと。普通学校では考えられないことである。

    それで、先ほど紹介した9月24日の文科大臣官房文教施設企画防災部長初等中等教育局長から、各都道府県教育委員会教育長、県知事などへの通知では、この20年度から24年度までの期間、集中取組期間に教室不足の解消に向けて集中的に取り組むための計画、集中取組計画をこの20年度末までに策定するよう求めていたが、兵庫県は既に策定をされたと聞いている。

    この集中取組計画では、先ほど指摘をした教室また廊下の間仕切り、体育館や倉庫、準備室などの転用などあってはならない状況の中で、これらを含めると、県立で見ると、先ほど91教室が不足していると、このように推計がされているわけである。それで、これは具体的にどの地域か。それを答えていただきたいということと、それから、今回の設置基準を踏まえて、これをいつまでに改善する計画になっているのか。その点について伺う。

    ○特別支援教育課長(小俵千智) 本県においても国の通知を踏まえ、令和2年度末に県立特別支援学校の教室不足解消集中取組計画を策定した。

    その計画の中で基本的な考え方として2点。1つには、特別支援教育を必要とする児童生徒を受け入れる普通教室を確保すること。2つには、普通教室を確保するための特別教室の転用が教育活動に著しい影響を及ぼさないこと、この2点を基本的な考え方としている。この方針に基づき、特に狭隘化の著しい阪神地域の知的障害特別支援学校について解消対策に取り組んでいるところである。

    まず、阪神特別支援学校については、校舎を増築し、この9月から供用を開始している。次に、芦屋特別支援学校については、令和4年4月武庫川特別支援学校を開校すべく、現在、旧尼崎養護学校の既存校舎の改修を行っている。さらに、こやの里特別支援学校については、令和6年4月開校を目指し、阪神北地域新設特別支援学校の整備を進めているところである。

    また、阪神地域以外の地域、狭隘化傾向にあるのは、東播磨地域になるが、そちらについては、またほかにも市町教育委員会と連携しつつ地域の実情や児童生徒数の動向を注視していかなければならないと考えているが、その対応に当たっては、整備手法も含めて慎重に検討していきたいと考えている。時期については、できるだけ速やかにと考えているところだが、整備手法も含めて慎重な検討が必要と考えているところである。

    ○いそみ恵子委員 先ほど詳しくご報告をいただいた。本当に大変な努力をされているということは私も十分承知している。今のあってはならないような状況、普通学校では考えられない、そういう状況のもとで障害を持つ子供さんたちが通っている。これを何とかしなければならないという、そういう県民の皆さんからの強い要請なども受けて今努力をされているということは十分承知をしている。

    しかし、先ほどの計画、この特別期間の間に整備する計画、その中で見ると、37教室の整備については、足りない、不足している教室、これは、まだ3年後である。それから、残りの15教室、先ほどご答弁をいただいた阪神地域以外の東播磨地域のこの施設の教室ということで、これが何と7年後である。これで果たしていいのか。現在の第三次推進計画は、2023年度まで、特にこの15教室については含まれていない。

    今回制定された設置基準に基づいて、現在の第三次推進計画に続いて第四次の推進計画も私はこれは必要だというふうに思う。これも策定していただき、そして、予算も要求して、前倒しで推進する必要があると考えるが、この点についていかがか。

    ○特別支援教育課長(小俵千智) まず、教育活動への制約が大きい阪神地域の3校について優先し、取り組んでいるということを申した。新設校を2校開校するということは、整備に必要な日数等を考慮すると、早くても令和6年度となる。したがって、阪神地域以外の地域については、先ほども申したが、整備手法については引き続き検討するものの、その後の対応とならざるを得ないと考えている。

    さらに、お話のあった推進計画について、現計画は令和5年度までの期間となっている。今ちょうど折り返しの地点となっているということである。この間においても、特別支援教育を取り巻く情勢が変化していることから、改めて今年度現況や今後の推計を把握し、推進計画に示す教育の実効性を高めるために、必要な点について推進方策を見直し、整備することとしている。これらの取組を重ねて評価検証した上で、また国の動向を見ながら、状況に応じて次期計画の策定も検討していくものと考えている。

    いずれにしても、今後とも共生社会の実現に向け、教育環境の整備も含め、一人ひとりの可能性を引き出す、伸ばす特別支援教育の充実を図っていきたいと考えている。県議会においてもご理解とご支援のほどよろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 今、詳しくご答弁をいただいた。それで、整備手法、阪神地域以外の地域については整備手法についても検討するもののまだまだいろいろと検討しなければならない課題があるということと、それから次期推進計画、これも現在の第三次推進計画、これも見直しも含めてやりながら、次期推進計画についても考えていくという、こういう答弁をいただいたというふうに思うが、それで、予算要求に関わる問題である。それで新たな推進計画に関わる問題であるので、私は、最後に教育長からぜひ積極的なご答弁をいただきたいというふうに思う。よろしくお願いする。

    ○教育長(西上三鶴) もともとの現在の第三次推進計画をつくったときにも今のままでは駄目だなということで、県議会のご理解もいただいたし、市町のご協力もいただいて仮設校舎の建設、また本当に2校の新設というのは画期的なことだというふうに思っている。私としては、その姿勢を引き続き持ちながら取り組んでいきたいと思っているので、ぜひご支援よろしくお願いしたいと思う。

    ○いそみ恵子委員 その姿勢をしっかりと守っていただいて、ぜひ積極的に予算も確保して進めていただきたいというふうに思う。

    それで、私こういう問題についてずっと取り上げ続けてきた。それで、20年前だったと思うが、初めて取り上げる上で様々な特別支援学校、調査に入った。それで、一番最初に伺ったのが実は姫路の県立姫路、今、しらさぎ特別支援学校だが、そちらのほうに伺い校長先生や関係者の皆さんと懇談をさせていただいた。それで、学校内案内していただいた。そのときに見た光景は今でも忘れられない。それは、阪神・淡路大震災の災害物資として全国から支援の一つとして送られてきた災害の防災倉庫だった。そこで子供たちがひしめき合うように授業を受けていた。私はもう本当にこんなことを許していてはいけないということをつくづく思い、その後、取り上げて、とうとう現在の姫路しらさぎ特別支援学校へということで結びついたかなというふうに思っている。

    文科省がようやく特別支援学校の設置基準について光を当てて、初めて制定するということになった。だから、様々なこの設置基準に基づいてしっかりとこれからもこの特別支援学校を更に充実させていただきたいということを最後に申し上げて私からの質問を終わる。どうもありがとうございました。

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