議会報告
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○いそみ恵子委員 西宮市選出の日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。よろしくお願いする。
早速質問に入る。
津門川地下貯留管整備事業について質問する。
津門川は、西宮市中央部を南北に流れ、東側に合流する延長約3.5キロメートルの2級河川である。
津門川周辺は、阪急西宮北口駅はじめ、高度に都市機能が集積し、JR東海道本線、国道2号などの阪神間を結ぶ重要な交通網が東西を横切っている。
外側地域では、過去から豪雨により浸水被害がたびたび発生し、近年でも、1999年、2013年に上流部で床上浸水などの被害が発生するなど、周辺住民の命や暮らし、経済活動等への被害を減らすための対策が求められてきた。
今回の事業計画では、阪急西宮北口駅北西部の国道171号付近から東側、河口までの区間に、地下トンネルをシールド方式で整備する計画とお聞きしているが、20年度のこの取組と、それから現在の進捗状況について伺う。
○河川整備課長(勝野 真) 津門川沿川は、西宮市の中心市街地にあり、マンション等が密集していることから、河川断面の拡幅が困難である。
このため、豪雨時に流水を一時的に貯留する管路を津門川の地下に整備し、治水安全度の向上を図ることとしている。
2020年度の取組としては、地下を掘進するシールドマシンの発進場所となる立坑の設置に先立ち、支障となる公園の移設工事を行ったほか、貯留水を放流するための電気・機械設備の詳細設計、沿川自治会への工事説明等を行った。
今年度は、騒音対策のための防音ハウスの設置など、本格的な工事実施に向けて準備を進め、8月2日には着工式を行った。
現在、シールドマシンの発進立坑を整備しており、来年の春にはこれを完成させ、来年度からシールドマシンによる掘進を開始する予定である。
○いそみ恵子委員 今、ご報告をいただいた。
順調に進捗しているということであるが、この事業は大変重要な事業である。その推進には、やはり住民の皆さん地域の皆さんの協力が大変重要であると思うが、この地域住民への協力ということで、住民への説明会はいつ何ヵ所で行われたのか。
それから参加者の皆さんは何人ぐらいだったのか。
それから様々な意見も出ていると思う、要望も。住民からの意見・要望はどのような状況だったのか伺う。
○河川整備課長(勝野 真) 工事に先立ち、2019年度からこれまでに事業計画や工事内容について、津門川沿線の17自治会長と4連合自治会長に対し、延べ37回の説明を行うとともに、地元住民に対して延べ9回、約120人の方々に説明を行ってきた。
これら説明会で出された主な意見は、一つに、工事車両に対する歩行者の安全を確保すること、二つに、工事に伴う騒音・振動など、日常生活や建物への影響を出さないよう努めることの二つであった。
また、昨年10月に東京外環トンネル工事で地表面陥没事故が発生したことから、津門川で同様の事故が起こらないかを心配する声もあった。
○いそみ恵子委員 この計画、地下貯留管を整備して、先ほどもご報告あったが、地域の治水安全度向上を図るもので、貯留量は25メートルプール56杯分とお聞きしている。
川の水が増えると新設する越流堰から水を流して貯留管にためて大雨が終わるとポンプでくみ上げ、川に戻す仕組みだそうである。
この地域では台風や梅雨前線に伴う豪雨で浸水が続いて、この工事に大変期待を寄せておられる。
であるので、先ほど説明会、ご報告をいただいたが、皆さん本当に協力的にいろいろとご意見も言われていたと思うが、特にそういう中で、先ほどもご報告あったように、やっぱり不安の声が出ている。
昨年10月、東京で東京外郭環状道路、いわゆる外環道のトンネル工事が行われて、調布市の住宅街で道路が陥没し、その後その周辺で3ヵ所の空洞が確認されている。
直径16メートルの巨大な掘削機、シールドマシンが地下47メートルで工事を進めており、その真上であった。
これは、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法、これに基づき、いわゆる大深度地下法に基づく工事で初めて起きたこういう事故である。
であるので、ここで質問するが、この津門川地下貯留管の工事は、この大深度地下法に基づいて行われているのか、その点について伺う。
○河川整備課長(勝野 真) 大深度地下の公共的使用に関する特別措置法は、主に通常利用されていない地下40メートルより深い地下空間を上下水道や電気、ガス、地下鉄や地下河川などの公共性の高い事業に限り使用することができると定めている。
津門川地下貯留管は、シールドマシンを発進させる立坑部が40メートルより深いものの、貯留管本体の深さは、全区間にわたり40メートルより浅い位置であるため、特別措置法の適用対象とならない。
○いそみ恵子委員 今お答えをいただいたとおりである。
大深度地下法に基づくこの事業は、そういう事業ではないんだと、対象外だということで確認をしておきたいと思う。
事業計画で見てみると、地下の貯留管は直径4.9メートル、約1.7キロメートル整備し、今後の将来計画では約3.8キロメートル整備することになっている。
流入立坑を立てではまず、深さ約20メートルであるが、放流立坑付近では先ほども言われたように約41メートルの深さとなっている。
工事に当たって、地盤状況、これを把握するためのボーリング調査などはもちろん行われたと思うが、このボーリング調査については、何ヵ所で行われたのか。
それからまた調査の結果、どのようなものだったのか伺う。
○河川整備課長(勝野 真) 設計に必要な地質調査ボーリングについては、トンネル標準示方書のシールド工法編に基づき、概ね200メートル程度の間隔で実施し、地質・地層の確認を行うとともに、地盤強度や地下水位の確認なども併せて行った。
具体には、平成27年度に概略設計に必要な3ヵ所、平成29年度に予備設計に必要な8ヵ所の計11ヵ所で調査ボーリングを実施した。
なお、調査結果では、工事に大きな支障となる特殊な地質等は確認されなかった。
○いそみ恵子委員 今、ご報告いただいた。
一般にシールドトンネル工事というのは、100メートルから200メートル間隔で調査が行われるのだそうである。
それで、今回の実施事業では約1.7キロメートルとなっているので、単純に計算して200メートル間隔としても8.5ヵ所は必要だと思うが、その点では先ほどご報告あったように合わせて11ヵ所と。そういうことなので、ボーリング調査としては妥当なもので、それから地盤の状況についても大丈夫だったということであった。
しかし、外環道のトンネル工事の場合は、そうはならなかった。なぜそういうふうになったのか、大深度地下工事では、地上に住宅街があるためにボーリング用地が確保できない。国交省の2018年の大深度地下主要技術指針、同解説ではこのことを認めている。
土地利用が複雑化、高度化している大都市ではある程度の間隔でボーリング調査を実施せざるを得ないとしており、事前の地盤調査がおろそかになることを容認しているというわけで、今大問題になっているわけである。
それで、今取り組まれている西宮の津門川地下貯留管工事、それはそういうことではないということ、このことを改めて先ほど来からのご答弁も聞かせていただき、そのことを確認しておく。
くれぐれも大変重要な事業である。事故がないように事業に取り組まれる、このことを強く求めて質問を終わる。ありがとうございました。