議会報告

  • 2021年10月07日
    予算・決算特別委員会

    2020年度決算特別委員会 企画県民部、部外局 いそみ恵子

    ○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。

    水素エネルギーの推進に関わって質問する。

    政府は、水素社会の実現を目標に、2030年頃の本格導入に向けたコストの低減を目指し、水素基本戦略に始まり、水素燃料電池技術開発戦略、グリーン戦略でもカーボンニュートラル社会に不可欠で、産業競争力の基盤として、水素産業の創出を強調している。

    エネルギー貯蔵手段に加え、化石燃料などの代替、熱利用や還元製鉄などにも着目、21年度当初予算では、経産省と環境省で合計678億円を計上している。経産省では燃料電池自動車の普及促進や、そのコア技術である革新的燃料電池技術の研究開発、全国320ヵ所の水素ステーション整備、水素製造インフラなどに612億円が計上されている。

    そこで質問する。本県では、水素社会先導プロジェクトの20年度の予算と決算額についてお答えください。

    ○ビジョン課参事(水エネルギー担当)(小寺寿充) リーディングプロジェクト推進費について、予算現額が99万6,000円、支出済額が47万8,777円。

    以上である。

    ○いそみ恵子委員 今お答えをいただいたが、予算額と決算額についても少ないという状況である。

    2点目、水素社会の実現に向けた取組の推進として、兵庫水素社会将来構想に基づいて、県内で進めている実証プロジェクトとして、未利用エネルギー由来水素サプライチェーン構築実証が行われているが、その事業主体と進捗状況、今後の見込みについて伺う。

    ○ビジョン課参事(水エネルギー担当)(小寺寿充) 県内で進めている水素サプライチェーンの実証事業についてお答えする。

    未利用エネルギー由来の水素サプライチェーンの実施構築の実証事業が県内で進められており、概要としては、オーストラリアの未利用エネルギーである褐炭、これから液化水素を製造し、長距離、大量に輸送して、日本で荷揚げするまでの技術実証を行い、水素サプライチェーンの構築を目指すものである。

    事業主体として、水素関連企業から成る技術研究組合CO₂フリー水素サプライチェーン推進機構で実証が、国の支援を受けながら進められている。

    これまでに実証に向けての設計であったり、設備や船などの政策、船を製造した後は試運転が行われており、今後、実際に液化水素をオーストラリアから運ぶ実証の運転が行われる予定と聞いている。

    今後の見込みは、今は比較的小さな規模の船で実証しているが、今後、もう少し大型船の商用化による実証を行った上で、商用化に向けて取組が進められていくと承知している。

    ○いそみ恵子委員 今、お答えをいただいたが、県内でもそういう取組が行われている。エネルギーとしての水素の活用は、これは選択肢の一つと考えている。しかし、先ほども概要で説明があったが、水素製造に関わって、オーストラリアに大量に存在するとされる低品質な石炭である褐炭から、現地で水素を含むガス化を行い、その後、液化水素にして、長距離、大量に海から運搬する計画は、製造においても、運ぶ過程においても、大量のCO₂を発生させるものであり、今、世界の流れである低炭素社会の方向から逆行するものである。その点についてどのような見解を持っているのか。

    ○ビジョン課参事(水エネルギー担当)(小寺寿充) 現在進められている褐炭プロジェクトについては、液体の水素を海上輸送する技術を確認するための実証と認識している。

    それを運ぶことによって、船から二酸化炭素ということがあるかもしれないが、この実証の中では、液化水素を運ぶということを確認するものと認識している。

    ○いそみ恵子委員 液化水素を運ぶということで、実証していくことで研究が進んでいる。このプロジェクトに関わって、CO₂を地下へ貯留して、閉じ込めて、カーボンフリーのエネルギーとして水素をつくることで、いろいろと研究も進んでいっている。

    CCS、つまり二酸化炭素回収、貯留技術と呼ばれるものは、この課題については大変様々な課題がある。そういう中で、例えば、CO₂を他の気体から分離させて回収するときにかかるコストの問題だとか、CCSを進めるために、十分な量のCO₂を貯留するための安定的な地層を見つけだすことは大変大きな課題である。その点についてどのような見解をお持ちか伺う。

    ○ビジョン課参事(水エネルギー担当)(小寺寿充) CCS技術について、県の見解という質問だと認識している。

    CCS技術については、現在、例えば、国内であれば、国の研究機関や民間企業が、国内で様々な実証が進められていると認識している。

    委員ご指摘のとおり、地中にCO₂を圧入するといった技術である。例えば、北海道で進めている事業では、圧入したのが、モニタリング調査が実施されていると認識している。

    その調査については、国の研究機関などで進められているので、県としては、その状況をしっかり注視していく。

    ○いそみ恵子委員 今、国だとか様々な研究機関で実証のプロジェクトが進められ、水素エネルギーの開発へ向けて様々な努力がされていることは十分承知している。

    しかし、CCSの技術、二酸化炭素、貯留技術と呼ばれるものはプロジェクトの中でCO₂を他の気体から分離させ回収する。それにかかるコスト、安定的な地層が日本列島の中であるのかという点は、様々な課題も、プロジェクトを進めている中で、課題として上がっている。国もその点については承知している。

    地下へCO₂を閉じ込めてやるということは、確かにそのときはそれでいいけど、原発の核のごみと同じようになるのではということで、何らかの形でそれが放出されてしまうとCO₂削減の流れに逆行してしまうということで、心配もしている。

    国が先頭に立って、県としてもこういう技術を様々な形で今やっているが、そういう点について、ぜひ注視もしていただきたい。この点についてどうか。

    ○ビジョン課参事(水エネルギー担当)(小寺寿充) CCS技術の実証については、国の研究機関などで実施していると承知している。委員のご指摘のような課題がある。それを実証やモニタリング調査などを行っていく中で明らかになっていくものと認識している。

    一方で、国の水素基本戦略については、海外の安価な未利用エネルギーとCCSとの組合せ、これが一つと、または安価な再生可能電気といったものから水素を大量調達するアプローチを基本にしている。

    CCSだけで、今進んでいるわけではないという状況と認識しており、今後、それらのアプローチにより、安全性の確保はもとより、安定的な供給、経済性、環境への適合性も図られた取組がされていくものと認識している。

    ○いそみ恵子委員 今お答えをいただいた。今、EUなどで進められているように、コストが低下した自然エネルギーが十分普及した後に、余剰電力を用いて水素を製造するのが、今、国際的な認識になっている。

    水素ステーションの整備は、県内わずか3ヵ所、供給もままならない。自然エネルギー普及の課題そのままに、水素の産業競争力や実用化のめども立っていない。新技術を前提にするのではなくて、今、気候危機という非常事態の中で、人類には2030年までに緊急にCO₂の大幅な削減が求められている。

    そういう状況のもとでは、新技術の開発も大変重要なことではあるが、既存の技術だとか、実用化のめどが立っている技術を積極的に普及、導入することで、直ちにCO₂削減に踏み出すことが、人類にとって課せられている課題であることを強調させていただいて、この問題について終わる。

    以上である。

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