議会報告

  • 2021年10月12日
    予算・決算特別委員会

    2020年度決算特別委員会 農政環境部 いそみ恵子

    ○いそみ恵子委員 日本共産党県会議員団のいそみ恵子である。

    まず、兵庫県地球温暖化対策推進計画の見直しについてお聞きする。

    午前中の北上委員、また先ほどの関口委員と重なる部分もあると思うが、よろしくお願いしたいと思う。

    今年のノーベル物理学賞に地球温暖化を予測する気候モデルの開発者、眞鍋淑郎氏ら3人が受賞したことがホットな話題になっている。高まる気候危機の反映でもあると思う。

    今年8月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は第6次評価報告書を発表し、人間の影響が温暖化させてきたことには、もはや疑う余地はないとし、温室効果ガスの排出抑制に応じた五つのシナリオごとに、世界の平均気温上昇を評価、どの場合でも2040年までに上昇幅は1.5度に達し、最悪のシナリオでは今世紀末までに4.4度上昇すると予測されている。

    一方、報告書は、最も排出量を減らすシナリオでは、21世紀の最後には1.4度に収められるとし、そのためには、2030年までのこの9年間の取組が鍵だと指摘している。

    そこで、質問の第1は、2030年の温室効果ガス削減目標についてである。

    パリ協定が求める温度上昇を1.5度に抑えるために、国連IPCC「1.5度特別報告書」では、2030年までに温室効果ガス排出を2010年比で45%削減が必要としているが、日本政府が掲げる2013年度比46%は、2010年比で比べると42%と、あまりにも低過ぎる。国際研究機関などからの日本への要請は、2013年比62%、2010年比では59%の削減が必要とされている。

    兵庫県は、20年度改定された推進計画では、削減目標が35から38%と、日本の目標からも、国際社会からの要請からも、大きく立ち後れている。

    IPCC提起の2010年比45%削減は、兵庫県では2013年比51%、国際社会が日本に求める2010年比50%から60%は、兵庫県では2013年比56%から64%の目標が必要となる。

    日本政府の46%にとどまらず、国際社会からの要請に応える2013年比56%から64%の削減目標を定める必要が私はあると考えるが、いかがかお答えいただきたい。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 本県は3月に「兵庫県地球温暖化対策推進計画」を見直し、温室効果ガス削減目標を大幅に引き上げたところである。先ほど部長も答弁したが、年度内に県計画を再度見直す予定としている。

    現在、国において「地球温暖化対策計画」の改定及び「第6次エネルギー基本計画」の策定作業中である。国の新たな取組や方向性が示される予定となっている。

    県においては、現在、事業者のヒアリングを開始したところである。国が示す内容を県の産業構造に当てはめ、県独自の新たな取組を検討し計画案をつくる予定としている。もちろん環境審議会で審議をいただき、パブリックコメントで広く県民から意見を募る予定にもしている。2050年カーボンニュートラル達成に向けた削減及び再エネ導入目標の強化を含む計画に見直していきたいと考えている。どうぞよろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 先ほどのお答えと同じだったと思う。それで、年度内にこの現計画を見直す予定だということなので、先ほども申し上げたように、日本のその目標からも、それから国際社会から要請されている目標からも、やっぱり大きく立ち後れているのが今の兵庫県の実態だと思う。ですから、ぜひ野心的なそういう目標を高く掲げて、頑張っていただきたいと思う。

    質問の2点目、既存、つまり、既にある石炭火力発電所の全廃についてである。

    温室効果ガス削減のために、国連は日本に対し石炭火力からの計画的な撤退を強く要請している。2030年までの段階的な廃止を求めている。

    しかし、政府の第6次エネルギー基本計画案では、2030年度の発電量に占める石炭火力の割合を26%から19%にするのみで、石炭火力からの撤退を表明していない。政府の方針に追従する計画では、世界から取り残されるばかりである。

    現行の県の地球温暖化対策推進計画では、条例に基づく事業者の温室効果ガス排出抑制の推進、兵庫県特定物質排出抑制計画に関する指針に基づき、必要に応じて石炭火力の廃止、転換等も含めた積極的な削減策に取り組むよう指導、援助とあるが、これでは実行力がなさ過ぎる。

    兵庫県には石炭火力発電所は、現在、コベルコパワー神戸1・2号機、住友大阪セメント赤穂工場、電源開発高砂1・2号機、日本製鉄広畑製鉄所広畑7号機の6機がある。これら石炭火力発電事業者に廃止を求めているのか。次期計画には県内の石炭火力発電所をいつまでに全廃するのか、明確な方針を示すべきである。具体的に検討されているのか、お答えいただきたい。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 国においては、2018年7月に閣議決定をされたエネルギー基本計画において、2030年に向け、非効率石炭火力のフェードアウトに取り組むこととされている。今、委員がおっしゃった県内の既存の石炭火力発電は、これに該当をする。

    また、本年4月に資源エネルギー庁が公表した「石炭火力検討ワーキンググループ中間とりまとめ」では、2030年度に向けた非効率石炭火力のフェードアウトに向けた対応の方向性として、省エネ法による新たな規制的措置が検討され、石炭単独のベンチマーク指標の新設、発電効率目標の引上げ、アンモニアや水素混焼への配慮措置が新設された。ですから、発電効率を引き上げないと、2030年度に向けたフェードアウトの対象になってくるということである。

    委員ご指摘のとおり、県温対計画において、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた取組の方向性として、石炭火力発電の廃止・停止などを含め、化石燃料から水素などへの転換の方針を示している。県計画でも明確にゼロカーボンへの道筋として示しているので、どうぞよろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 今、お答えをいただいた。

    それで、引き続きちょっと質問していく。

    3点目の質問は、新たに設置する石炭火力発電所の建設・稼働中止についてお聞きしていく。

    全国では9機、兵庫県では2機の新たな石炭火力発電の新設が行われている。神戸製鋼の新設2機の石炭火力発電所計画に対し、環境影響評価を行い、温暖化ガスなどの対策について、当時の井戸前知事は、採用可能な最も高効率で二酸化炭素排出量の少ない発電施設の導入などの意見を附された。しかし、新設の石炭火力発電所で採用している超々臨界圧発電設備は、従来型の亜臨界圧や超臨界圧と比べて、1キロワットアワーの電力を作る際の二酸化炭素の排出量は、わずか30グラムから70グラムの削減であり、LNGの450グラム削減と比べて微々たるものであり、削減効果は低いものである。

    二酸化炭素抑制策とされるアンモニア混焼や、先日、企画県民部に水素エネルギー開発に関わってお聞きした二酸化炭素の回収、貯留技術も実証実験中であり、めどが立っているわけではない。

    新発電所2機の温室効果ガスの年間直接排出量は692万トンと試算され、現在稼働中の2機と同等の大量の温室効果ガスを排出するとされ、世界から大変危惧の声が寄せられているところである。

    環境影響評価を行った2018年時点では、国の2030年の温室効果ガス削減目標は26%で、兵庫県も26.5%であった。しかし、この3年を経て、現在、更に気候危機が進み、世界の削減目標も引き上がるなどの情勢も変化している中で、新発電所の温室効果ガス排出は、目標達成に向けて大きな足かせになっている。県の新たな地球温暖化対策推進計画策定に際し、神戸製鋼の新設石炭火力発電の影響を評価し直して、建設・稼働中止を求めるべきだと私は考える。いかがであろうか。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) コベルコパワー神戸第二の石炭火力発電については、委員おっしゃるとおり、環境影響評価手続で知事意見を出している。委員のご指摘のとおり、最も高効率でCO₂排出量の少ない発電設備の導入を求めるとともに、売電先を含め、施設の稼働によって排出するCO₂を増加させないことを求めている。

    また、神戸製鋼が本年5月に発表した中期経営計画では、2030年までに石炭火力発電でのバイオマスやアンモニア混焼の検討を始め、2050年に向けてアンモニア専焼の取組を進めていく予定とされている。2050年カーボンニュートラルに向けたロ一ドマップが公表され、取組を進めていくこととしている。

    県では、環境の保全と創造に関する条例に基づき、2030年度に向けた目標の提出を求め、それに基づき、毎年度、CO₂排出状況の報告を求め、結果については事業所ごとに公表することとしている。CO₂の排出削減については引き続き指導していく。よろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 今、ご答弁いただいたが、やはり2050年ゼロカーボン、世界が、国際社会が求めている。2030年までのこの9年間が本当に大切である。ですから、そういう点で、この石炭火力発電の新増設、本当に今こそ中止すべきだということを強く申し上げておきたいと思う。

    それで、4点目の質問だが、巨大排出源への排出抑制策についてお聞きする。

    石炭火力発電所とともに温室効果ガスの巨大な排出源に対する抑制策が必要となっている。

    県の環境の保全と創造に関する条例対象の1,066事業所の2018年度の排出量は3,195万4,000トンで、県全体の50.5%を占めているが、そのうち神戸製鋼や日本製鉄、関西電力、電源開発、川崎重工、住友大阪セメントなどの電力、鉄鋼、セメント業など、わずか20の事業所で約2,491万4,000トンもの温室効果ガスが排出され、条例対象事業所排出分の実に78%、県内排出量全体の約40%となっている。

    しかし、現在、推進計画に盛り込まれている温室効果ガス排出抑制計画報告制度は、目標設定や削減実施の手だてなどは企業の自主性に委ねられており、実効力に大変乏しいものとなっている。

    計画の見直しに際し、少なくとも県内の巨大排出源である、例えば年間8万トン以上排出している事業所、上位20程度の事業所に対して、温室効果ガス削減目標と計画、実施状況の公表などを義務化する協定を結んで、未達成の場合には課徴金を課すなどの実効力ある対応をすべきだと考えるが、お答えいただきたいと思う。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 本年3月の温対計画の改定を受けて、本年7月に環境の保全と創造に関する条例の施行規則を改正している。この中では、エネルギー使用量が原油換算で年間500キロリットル未満の工場等への対象拡大、500キロリットル以上1,500キロリットル未満の工場の事業所単位での削減計画実績報告の公表、1,500キロリットル以上の工場等の事業所単位での公表について強化を行っている。

    工場等の2030年度目標値の設定については、工場等ごとに生産効率の改善や省エネ設備の投資等々、最も効果的にCO₂削減が進む内容とする必要があると考えている。

    このため、削減目標については、委員おっしゃるような事業者任せにするのではなく、計画内容を精査するとともに、排出量の大きい工場等に対しては、特にヒアリングを行うなど、しっかりと指導していきたいと考えている。よろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 先ほどあった自主性に任せるのではなく、ちゃんとヒアリングもやって指導していきたいという内容の報告だったと思う。答弁だったと思う。

    それから、事業所ごとというのも、私たちがずっと事業者ごとじゃなくて、ちゃんと事業所ごとにきちっと見ておく必要があるんじゃないかということも言い続けてきた。そのことが、今、生かされていると思うが、やはり課徴金などを含めて、何らかのやっぱりそういう強い強制力をもって、こういう削減に向けて努力をしていただきたいと思う。

    それで、5点目の質問である。化石燃料から再生可能エネルギーへの大転換についてである。

    温室効果ガスの排出抑制を進めるために、化石燃料からの撤退と併せ、省エネの推進とともに、再生可能エネルギーへの大転換が必要である。

    県は、産業部門で化石燃料から水素エネルギーへの転換をうたっているが、さきの水素エネルギー開発に関わって指摘させていただいたが、そもそも水素の精製、調達において、大量のCO₂を排出するという大きな課題があり、2030年までのこの短期間の9年で技術を確立しながら進めるというのは無理があると思う。

    一方で、兵庫県の2020年の再生可能エネルギー発電量は47億キロワットアワーで12%の比率であり、日本全体の再エネ比率22%よりも大幅にやはりここでも後れている。目標で見ても、現行の県の2030年の発電比率目標も22%で、国の36ないし38%程度という目標よりも更に低く不十分である。

    日本共産党県会議員団は、2050年ゼロカーボンに向け、再生可能エネルギーは2030年までに、少なくとも発電比率50%に引き上げることが必要と考える。そのためには、県内各地で地域の潜在力を生かした小規模な再生可能エネルギー発電を多数整備し、有効かつ大規模に活用する体制をつくることが必要である。

    これらの点を踏まえて、県として検討している2030年までの再生可能エネルギーの新たな発電比率目標や、具体的な方策などをお答えいただきたいと思う。

    ○温暖化対策課長(上西琴子) 現在見直し中の国のエネルギー基本計画の案では、委員おっしゃるとおり、2030年度の電源構成に占める再エネの割合が36から38%程度に引き上げられる見込みである。

    県は、3月に改定した兵庫計画において、再生可能エネルギーの2030年度導入目標を強化し、2050年カーボンニュートラルを掲げ、エネルギーは化石燃料から再生可能エネルギーや水素にシフトしている社会像を描いている。今後、県計画の見直しについても、更に強化をしていく予定にしている。

    県では、平成26年度から地域の取組を支援し、地域創生!再エネ発掘プロジェクトにより、地域主導の再エネ導入を促進してきた。今後、特に太陽光発電については、県内の農地やため池、駐車場といった、これまであまり設置の進んでいなかった部分にも設置を加速し、更なる導入拡大を促進していきたいと考えている。よろしくお願いする。

    ○いそみ恵子委員 具体的なこの発電比率目標だとか、具体的なそういう中身はちょっと触れていただけなかったのは残念である。

    それで、私、最後に申し上げたいのは、この点で大変大事なのは、再生可能エネルギーで発電した電力を優先的に利用する、優先利用原則を確立することが大事だというふうに思う。

    国も再生可能エネルギーの主力化というふうに言っているが、実態は発電量が過剰になると、まず太陽光や風力での発電が電力系統から外されて、原発や石炭火力での発電が最優先になっている。国の課題でもあるかもしれないが、県としても再生可能エネルギーの優先利用原則を確立していただき、再生可能エネルギーへの大転換を図ることを求めて、次の質問に移りたい。

    次は、ひょうごフードドライブ運動の拡充について、幾つかお聞きをしたいと思う。

    まず、コロナ禍の中で、生活困窮する方々や、アルバイトが激減して日々の食事にも困窮する学生の実態をフードバンクなどの活動を通じて私もずっとお聞きしてきた。県下でもそれぞれの地域でこのコロナ禍の中、日々の食事もままならない困窮世帯などに、フードバンクや、それから子ども食堂などの活動が活発に行われてきた。

    こうした中、家庭で余っている食品をごみにせず、それを必要とする福祉団体などにスーパー等を通じて寄附をし、食品ロス削減を図るフードドライブが、先日、この県庁内でも実施されたという報道もあった。

    それで、まずこの「ひょうごフードドライブ運動」、20年度のその運動の取組内容についてご報告いただきたい。

    ○環境政策課長(谷口 明) 日本においては、「食品ロス」が年間約600万トン出ている。このうち、家庭系の食品ロスについては約276万トンとなっており、1人当たりに換算すると、毎年約22キログラムの食品が捨てられている計算となっている。

    県においては、これら食品ロス削減の一環として、家庭で余っている食品をスーパー等を通じて福祉施設等に寄附をするフードドライブ運動を推進している。

    昨年では、令和2年12月、この関係団体、スーパー、行政等を構成員とするひょうごフードドライブ推進ネットワークというものを設置し、運動の全県展開を図っており、昨年度においては、実績として食品が合計で約14トン集めることができた。また、受付窓口となる店舗については、現在、スーパー6社が23市町に展開している157店舗まで広がっている。

    県においても自ら率先して取組を進めるために、先月28日と29日、初めて本庁でフードドライブを実施し、点数にして444点、重量にすると100キロを超える食品が集まったところである。これらの食品については、福祉に理解のあるNPO法人を通じて福祉施設等に配分されることとなっている。

    このフードドライブは、我々環境部局としては、食品ロス削減の喚起を中心に実施しており、配分先のマッチング等、そういう課題解決を図りながら引き続き進めたいと考えている。

    ○いそみ恵子委員 今、ご報告をお聞きしたけれども、本当に大変有意義な取組だと思う。それで、やはり困窮世帯も対象とされて、子ども食堂だとか、市町の社会福祉協議会、フードバンクなど、福祉団体などでの食品利用がこの運動の中で想定もされているが、この点については、今後、どのように広げていこうかというふうに思っているのか、その点についてご報告いただきたい。

    ○環境政策課長(谷口 明) フードドライブについては、食品の受付とか保管、あと支援団体への引渡し、それから配分の決定、最終的には福祉施設への引渡し等、各工程において、自主的にご協力いただけるそういった団体を探し、マッチングする必要がある。こういったなかなか手間のかかる話ではあるが、今後はこういった団体、更にご協力を呼びかけ、活動の輪を広げていきたいと考えている。

    ○いそみ恵子委員 今、マッチングはもう本当に県がしっかりとやっぱり環境サイドで頑張っていただきたいと思う。

    フードドライブは、あくまでも食品ロスを削減するという環境サイドの大変重要な取組だと思う。福祉団体等を通じて食品をお渡しする対象が困窮世帯も含まれているので、ぜひコロナ禍の中で、困窮されている世帯にも更に届くように、また困窮する学生にも届くように、大学などでも積極的に取り上げていただきたい、広げていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わる。以上である。ありがとうございました。

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