議会報告

  • 2021年10月22日
    本会議

    第355回本会議 請願討論 入江次郎

    私は、日本共産党県議団を代表して、上程中の請願の内、請願第49号、第51号、第52号について不採択ではなく、採択を求め以下討論します。

    請願第49号「日本政府に核兵器禁止条約の参加・調印・批准を求める意見書を提出することを求める請願」についてです。

    これは、原水爆禁止兵庫県協議会はじめ7団体から提出されています。国連加盟国の60%を超える122か国の賛成で核兵器禁止条約が2017年7月7日、採択されました。

    昨年、批准した国は、発効要件である50ヶ国に達し、今年、1月22日条約は、正式に発効しました。そして現在、チリが56番目の批准国となっています。

    本条約は、核兵器について破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものとして、核兵器の開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇に至るまで、あらゆる活動を禁止し、「抜け穴」を許さないものとなっています。

    また、核保有国の条約参加の道を規定し、被爆者や核実験被害者への援助を行う責任も明記されています。

    国連事務総長は、条約に基づいて第一回締約会議を来年3月に招集しています。日本政府は、核兵器のない世界をめざしてリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役をつとめると、みずから明言したとおりの行動が求められています。

    速やかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求める「ヒバクシャ国際署名」には、ご承知のとおり、井戸敏三前知事も賛同署名し、県内の29市12町のすべての市町長も賛同しています。また、三木市議会はじめ、県内の9つの議会で、「日本政府に核兵器禁止条約の参加・調印・批准を求める意見書」が採択されています。

    兵庫県議会においても、唯一の戦争被爆国として、一日も早く核兵器禁止条約の署名、批准を行うことを国に求める本請願の採択を強く求めます。

    請願第51号「コロナ禍において、子どもたちの命、健康や学習権を守るために、少人数学級の促進を求める件」についてです。

    変異株など感染力が強まる中、厚労省が改めて、「学校では2メートル以上間隔を開けることが望ましい」と注意喚起しており、感染防止対策の強化のためにも早急に1クラスの人数を20人程度にする検討が必要です。

    県教育委員会が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響に関する心のアンケート」でも、約半数の児童生徒が何らかのストレスを抱えていること、保護者の認識以上に児童生徒が高いストレスを抱えていることが明らかとなり、こども達への心のケア、きめ細かな学習支援のためにも少人数学級が急がれます。

    国が、少人数学級を求める長年の要望と世論に押され、40年ぶりに学級編制の標準を見直し、小学校を35人学級としたことは大きな前進であり、今年6月の「骨太方針」では、中学校の35人学級の検討も盛り込まれました。

    いま全国25県が、小・中学校全学年で35人以下学級を実施している一方で、中学校で実施していないのは、広島、大阪、兵庫の3府県のみであり、兵庫県でも早急に35人以下学級が求められています。

    先の知事選挙で斎藤知事は「30人学級について具体的に検討を進めたい」と掲げられ、多くの県民から期待の声が寄せられています。ところが、今議会の一般質問の答弁では、「教職員の確保や財源など多くの課題がある。」と少人数学級の推進に後ろ向きです。知事は、行財政運営方針をゼロベースで見直す方針を打ち出しているのですから、少人数学級についても検討課題にあげ、実現に向けた努力が求められます。

    児童生徒の置かれている現状を直視し、子どもたちの不安に寄り添いきめ細かな学習を保障することが県の責務です。県として、30人学級を見通し、小・中学校全学年での35人学級を早急に実施することが求められており、本請願は不採択でなく採択を求めます。

    請願第52号 コロナ禍において、児童生徒の健康と学習権を守るために、生理用品を学校トイレ個室に設置することを求める件についてです。

    コロナ禍、社会的弱い立場の女性の貧困問題が浮き彫りとなり、その一つとして、生理の貧困の実態が日本のみならず世界中で大きな問題となっています。

    国際NGO「プラン・インターナショナル」が今年4月実施した調査でも、金銭的理由で生理用品を購入できない、ためらった女性は約4割に上り、生理用ナプキンの交換回数を控える、生理用品が買えずにトイレットペーパーで代用する、生理の時は学校を休まざるを得ないなど事態は深刻です。

    世界では、生理をめぐる不平等に目を向けジェンダー平等を実現していく取り組みが広がっています。2013年国際NGO「WASHユナイテイッド」が、すべての人の月経衛生、健康を促進するために5月28日を「世界月経衛生デー」を提唱し、生理用品の非課税や無料配布、学校や公共施設のトイレ個室への設置などの取り組みが世界で進んでいるところです。

    国会でも取り上げられ、内閣府男女共同参画局は今年8月「生理の貧困にかかる地方公共団体の取り組み」の第2回調査を発表。何らかの対策を講じている自治体は全国581に上り、5割の自治体が学校へ配備し、その内、学校トイレへ配備しているのは61自治体で、予算措置を講じているのは200自治体と広がっています。

    兵庫県内をみると、18市町が生理用品の無償配布に取り組んでいるものの、多くが防災備蓄を活用するもので、独自の予算を組んでいるのは4市町、トイレへの配備は明石市のみです。

    愛知県、千葉県では、県として予算を組み、学校トイレへの設置を推奨し県がイニシアチブを発揮しています。兵庫県でも、県が率先して対策を講じることが必要です。

    県教育委員会も、県立学校での生理用品の取り扱いの実態や生徒の状況を把握するための調査が行われ、各校の公費から生理用品を保健室へ配備し、必要な生徒へ直接配布することで、生徒の健康や生活支援につなげるよう取り組まれています。

    県教育委員会は、学校トイレへの配備について、衛生管理上問題があるといいますが、生徒は、保健室へもらいに行くことについて心理的負担も大きく、全国の先進例などを参考に工夫し学校トイレへの配備をすべきです。

    生理の貧困というとらえ方にとどまらず女性が健康で文化的な生活をする権利、学習する権利を保障し、男女の差なく学習環境を整える責任を県教育委員会が果たすことが求められています。

    そのためにも、トイレットペーパーがトイレに設置されているように、生理用品も本請願で求められているようにトイレの個室へ常備することが必要です。

    よって、本請願の採択を求めます。

    以上で討論を終わります。

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