議会報告
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私は日本共産党県議会議員団を代表して、上程中の議案の内、第122号議案、第124号議案、第129号議案、第130号議案、第131号議案、第136号議案、第137号議案、計7件について反対し、以下主な理由を述べます。
はじめに、第122号議案「令和3年度兵庫県一般会計補正予算(第5号)」についてです。
本補正予算案は、新型コロナウイルス感染症第5波と、今後を見据えた医療提供体制、保健所の体制強化、検査機能の充実、ワクチン接種体制等の整備、中小企業支援、学生の就職支援等、ほとんどが必要な予算であると考えますが、予算案の中に、社会基盤の充実・強化施策として直轄事業の中に、事業として初めて予算化された名神湾岸連絡線事業が含まれています。
名神湾岸連絡線は、沿道環境の改善などを目的に、名神高速道路と阪神高速道路5号湾岸線をつなぐために計画されている約2~3㎞の自動車専用道路で、事業費は、約600億~700億円といわれており、今回は、調査費として計上されています。
今道路には、名神高速からつながる部分で高さが最高で28メートルにも上る複雑なジャンクションも予定されています。
事前に国と県により行われた環境影響評価審査や住民説明会では、住民らから、騒音や大気汚染などによる健康被害を心配する声、連絡道のルートにかかっている事業者の方たちから、移転などによる不安などが多く述べられており、事業に対する住民合意は得られていません。
また環境影響評価準備書に対する市長意見では、国に対し環境保全対策を求め、連絡線ルートについても、周辺に住居や学校、福祉施設等が位置し、事業実施による生活環境への影響は大きいと指摘しています。
名神湾岸連絡線は、もともと過大な全総計画に位置付けられており、大阪湾岸道路西伸部と一体となって広域的な道路ネットワークを形成し、阪神高速神戸線の渋滞緩和、災害時ネットワークの確保などの効果が見込まれるとしていますが、新型コロナウイルスの感染拡大をふまえ、人流のあり様が見直されるべきときに、コロナ前の過剰な事業を遂行することにも同意できません。
次に、第124号議案「個人番号の利用、特定個人情報の提供等に関する条例及び個人情報の保護に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
この条例改正の根拠となる法律は、「デジタル社会形成基本法」「デジタル庁設置法」など6つのデジタル関連法ですが、個人情報保護制度の統合一元化、マイナンバー利用の情報連携の拡大、マイナンバーカードのスマホ搭載や発行・運営体制の変更等々が盛り込まれています。民間・行政機関・独立行政法人3本の個人情報保護法制を一元化し、自治体に関する部分は公布後2年以内に個人情報保護委員会のガイドラインに基づき条例を制定します。自治体に対し、国が示した解釈に従って制度の運用を求め、国の個人情報保護委員会の監督下に置き、条例を定めた際の個人情報保護委員会への届出など自治体の条例づくりに口を狭める仕組みを導入しようとするものです。
さらに、都道府県・政令市にオープンデータ化を義務化し、全自治体にオンライン結合を義務化しています。現在、自治体によっては国より厳しく個人情報を保護し、独自の規制を行っていますが、これらは、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけるもので、地方自治の侵害です。また、公的部門における「個人情報は、民間部門に合わせることで、範囲が縮小されてしまいます。法制度の統合一元化は、個人情報保護を後退させるものです。
そして、データ利活用を強力に進めるための司令塔として設置されるのがデジタル庁です。デジタル庁の長及び主任大臣を内閣総理大臣とし、事務を統括するデジタル大臣を置き大臣には、関係行政機関の長に対する勧告権等を規定します。また、デジタル監を置くことで、「大臣の政治判断をより迅速、的確に行わせることが可能となる」としています。政府全体のデジタル化に関する重要な基本方針を策定し,施策の達成時期を定める重点計画の作成を担い、国の省庁にとどまらず、補助金を出している自治体、医療・教育といった準公共部門の民間事業-者に対しても、予算配分やシステムの運用について口をはさむことが可能です。デジタル監も民間出身、発足時の人員約500人の内、100人以上を民間からの非常勤職員としていますが、企業に籍を置いたまま、給与補填を受けて働くことになります。日本共産党は、特定企業の利益を優先するような政策の推進などや官民癒着が広がる恐れについても指摘してきましたが、平井デジタル大臣がNTTに接待されていた事件は、共産党がまさに指摘していたことが現実に行われていたもので、許しがたいことです。プライバシーの侵害、地方自治の侵害、国民生活への影響など、本議案に反対です。
次に第129号議案「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定」についてです。
本水利施設は、1970年から1992年に第1期工事が施行され、第二期工事は2013年から2021年に行われ、約50年にわたる工期が今年度で終結します。
本事業は3つのダム整備を含め幹線水路などを整備し、加古川水系農地へかんがい用水を供給する県下最大、全国でも有数のかんがい用水事業です。
しかし、国策によって農地面積は減少し、1972年の当初計画では、受益面積8363haとしていたものが、2020年実績は7013haにとどまっています。甲子園球場のグラウンド面積に換算すると約1000個分もの過大な需要予測だったということです。
国の失政による過大な設備投資のツケを市町に求めるべきではありません。
次に第130号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」についてです。
本議案には、県道園田西武庫線が入っています。園田西武庫線は、三菱電機敷地内を含め尼崎市内を東西に走る道路で、総事業費約198億円かけて整備するもので、このうち約55%が三菱電機の敷地1万8600㎡の用地買収、物件移動の補償費に充てられ、合わせて108億円にも上ることから、従来から事業そのものに反対しています。
今後整備予定の東園田側、藻川工区では、用地問題、道路設計などについて住民から、何度も要望や提案がされており、住民合意が得られていないことからも賛同できません。
次に第131号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。
本事業は、総事業費約958億円を投じ、神戸地区と淡路地区合わせて330ヘクタールに及ぶ巨大な公園整備を進めようとするものです。
2017年に改定された国営明石海峡基本計画では、神戸地区の入園者目標を75万人と想定していますが、2020年度の入園者数は、約3万4千人で、想定数のわずか4.5%、もっとも多かった2019年度でも、4万6千人、6.1%にしかすぎません。
神戸地区には隣接して、しあわせの村という県民に親しまれている公園があり、公園整備事業として必要性のない国直轄事業に地元負担を求めるべきではないことから反対します。
次に議案136号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区国道175号AB-2ランプ橋上部工事請負契約の締結」、第137号議案「一般国道178号浜坂道路Ⅱ期浜坂第2トンネル(仮称)建設工事(西工区)請負契約の締結」についてです。
これらの道路は、渋滞解消や生活の利便性などが目的の一つですが、高規格道路である必要はありません。しかも、これまでも何度も指摘してきた通り、破綻した第5次全国総合開発計画に位置付けられたものです。
全総計画は半世紀にわたって、東京一極集中の是正を最大の目的として全国各地に高速道路を張り巡らせてきましたが、東京一極集中は是正されておりません。20年、30年も前につくられた全総計画をもとにした県の基幹道路八連携軸計画は抜本的に見直すべきです。
以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。