議会報告
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日本共産党の入江です。早速質問に入ります。
1.新型コロナウイルス感染症対策について
日本共産党県議団はコロナ封じ込めを戦略目標にすえ、ワクチンの安全・迅速な接種、無症状者に焦点をあてた大規模PCR検査、自粛要請に見合った十分な補償、この3本柱の対策強化を県に求めてきました。これらも踏まえて以下質問します。
①病床確保について
兵庫県では入院が必要なのに入院できない入院調整者がピーク時の5月5日で1831人にもなりました。国・県が一体となって進めてきた一連の医療改革、つまり効率と採算性を最優先する通常のギリギリの医療体制では、ひとたびパンデミックが発生するとたちまち立ち行かなくなってしまう事が明らかになったのではないでしょうか。
神戸新聞は、県内で自宅や宿泊施設で療養中や入院待機中に症状が悪化し、死亡した人が5月18日までに29人になったと報道しました。
神戸市長田区の介護老人保健施設「サニーヒル」では、入所者の8割以上の102人と職員38人が感染し、5月24日時点で入所者31人が死亡しましたが入院できたのは3人だけで28人が施設内で亡くなっています。入所者の家族はしんぶん赤旗の取材に対し「医師がいるといっても夜間は不在と聞いています。入院できず施設で亡くなるやなんて医療放棄、棄民に等しい。国の対策の遅れで塗炭の苦しみをあじわわされている。人災や」と語っておられます。県対処方針では入所者が感染した場合は「入院・宿泊施設での療養が原則」となっていますが、重症化しても入院できずに亡くなってしまったということです。
それにもかかわらず兵庫県は、病床数を削減する地域医療構想を推進し2020年度のパンデミック最中に、最も必要とされている急性期病床を120床削減しました。しかし、地域医療構想は2016年に策定されたもので大規模パンデミックの推計は全くされていません。
令和3年4月に見直しされた保健医療計画には地域医療構想について「医療機関の自主的な取り組みを基本とした必要な検討を行っている」と、記載しています。
大規模感染症パンデミックが医療需要予測に全く含まれていない地域医療構想を推進し、今もっとも必要とされている急性期病床を削減するのはあまりにも無理があります。医療機関の自主的な取り組み任せではなく、県として急性期病床を削減する兵庫県地域医療構想は白紙にし、いま必要な病床を確保することこそ必要ではありませんか答弁を求めます。
答弁:井戸敏三 兵庫県知事 地域医療構想は、住民が住みなれた地域で生活しながら、状態に応じて適切で必要な医療が受けられるようにすることが狙いです。まず、①病床の機能分化や連携を図ること、②在宅医療の充実等を進めることなど、地域完結型医療体制を整備することを目的にしています。もとより、病床の削減を目的とするものではありません。
なお、ご指摘の急性期病床の見直しでありますが、地域に必要な医療機能の低下を来さず、限られた医療資源を効率的に活用し、機能分化・連携を進めるため、地域において慎重に検討された結果であると承知しております。
国は昨年8月、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、地域医療構想に関する取組みの進め方について、今後の状況や地方自治体の意見等を踏まえ、改めて整理のうえ、提示される、ということになっております。現時点では、必要に応じて地域医療構想調整会議で検討を行うよう都道府県に求めている状況であります。
本県では、新型コロナウイルス感染症対策に対して各医療機関に求められる役割等も踏まえながら、圏域における感染症対策はどうあるべきかということを重要な要素の一つとして、関係者間で検討を行うよう要請しています。これを受けて各圏域では、地域の実情も踏まえた医療機関の自主的な取組みのもと、地域医療構想調整会議において検討が行われているものと承知しております。
県としましては、地域医療構想の推進にあたって、①「病床の適正化」については、病床の稼働状況に加えて、新型コロナウイルス患者への対応等、必要な医療機能を維持できるかどうか、地域で十分に検討・確認された取組みでなければならないと考えています。
また、②「病院の統合再編」についても、病床や院内の動線確保など感染症への対応状況はどうかなど、感染症対策も考慮して支援しております。
引き続き、構想区域や病院毎の医療需給に関する現状把握や将来推計を県として独自に行うなど、地域医療構想調整会議における議論の活性化に向けた支援を行ってまいります。あわせて、新型コロナウイルス感染症など新興感染症の感染拡大時にも対応可能な医療提供体制の構築に向け検討を深め、住民が安心して必要な医療が受けられるよう地域医療体制の強化を図っていまいります。
なお、今日の新規感染発生者数は、月曜日でありますので、22名という状況でございます。これは3月の下旬の初めごろの水準です。さらに収まることを期待しております。
②PCR検査等について
また、5月28日付神戸新聞は「兵庫県の新型コロナウイルス感染者に占める死者の割合を示す死亡率が26日時点で2.9%に上り緊急事態宣言が発令されている10都道府県で最も悪い数字だった」とし、「高齢者施設でのクラスターが多発した影響もあるとみられる」と、報道しました。さらに姫路市に数字を求めたところ2020年1月~2021年5月10までに姫路市内の高齢者入所施設での感染者数は109人で、その内14人の方が亡くなっています。死亡率約13%という驚きの数字です。兵庫県は数字を公表していませんが同様の傾向にあることは明らかです。高齢者施設で感染者が発生するとたちまち重症化し、医療体制を逼迫させることが改めて浮き彫りになりました。
厚労省は都道府県宛に、集中的検査実施計画の実施を通知し、「高齢者施設等で働く職員を対象に週1回程度検査を実施して下さい」と、しています。しかし兵庫県の検査頻度は「月2回程度」、その上に3月の集中的検査の実施率は緊急事態宣言が出された10都道府県の中で兵庫県は最低の22%、4月の検査実績は対象施設数のわずか9.7%に留まっています。
少なくとも国通知通りの週1回の検査頻度とし、実施率を引き上げること。さらに対象者、対象施設を高齢者・障害者施設だけでなく医療機関・学校・保育園などにも拡大し、週1回の頻度でPCR検査を拡充することを求めます。
また、これまで感染者数が減少すればPCR検査数も減らすなどし、感染のリバウンドを繰り返し起こしてきました。
現在、駅前、職場、大学など、人の多く集まる場所を対象に感染の予兆と感染源を把握することを目的としたPCRモニタリング検査が行われています。モニタリング検査の2月22日~5月30日までのデータを見ると、兵庫県では1日平均57件程度の検査数にすぎず陽性率は0%、お隣の大阪府では1日平均429件程度で陽性率0.21%、人口規模が兵庫と同じ福岡県では326件程度で陽性率は0.38%です。兵庫県は余りにも少なすぎます。これでは感染の予兆や感染源を把握することは到底できません。29日に開催された全国知事会では「インド株の予兆を捉え、抑え込む必要がある」との意見が多数出されました。それならばモニタリング検査数を大幅に引き上げ、大規模検査によって速やかに感染拡大の予兆を把握し、今度こそ感染のリバウンドを抑え込む具体化な取組を行うべです。県民への感染対策のお願いだけでなく国と連携し県が積極的役割果たすことを求めます。
答弁:井戸敏三 兵庫県知事 新型コロナウイルス感染症の拡大防止には、必要な行政検査が適切に行われることが必要です。県としては、処理能力の拡充、対象者の拡大によりその体制の強化に努めてきました。
高齢者施設の従事者に対する検査について、県としては3月に県内8健康福祉事務所管内の特別養護老人ホーム入所系の218施設に月1回実施、4月からは全健康福祉事務所管内を対象に、有料老人ホーム等居住系サービスを行う施設も検査対象に加え、感染拡大地域を中心に概ね月2回程度実施することとし、「集中的実施計画」等に基づき検査を強化しています。この結果、検査対象の高齢者施設804施設のうち約半数の431施設が受検されています。
検査を受けなかった施設の検査を受けない理由としては「検査を受けるための業務負担」などの声もあります。したがいまして、引き続き受検手続の簡素化など、各施設が受検しやすい環境を整えていくとともに、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく要請も行うなど、検査の積極的な利用を働きかけてまいります。
モニタリング検査については、政府が「商店街」や「駅」等で不特定の無症状者を対象として実施されているわけでありますが、本県も3月上旬から、これに協力してきました。政府からは、今後は、多くの人が出入りし感染リンクが比較的高いと考えられる「事業所」や若者が出入りする「学校」等を対象とした定期的検査を優先して実施する方針と聞いています。県としては、今後も国に協力し、県下の大学、専修学校、保育園、事業所等にもモニタリング検査への協力を呼びかけて活用を促していきます。ただ、このモニタリング調査でありますが、仮に陽性者が何人か出ましても、その方がどなたか判明しない調査方法となっています。したがって、まさに社会的な流行のチェックには役立つかもしれませんが、個人の対応にはちょっと難があります。こんな状況でございます。
今後も感染拡大防止に向け、引き続き、検査体制の強化に努めてまいりますので、よろしくご指導いただきたいと思います。
2.県行革の見直しについて
次に「県行革」の見直しを求めて質問します。
新型コロナ感染症パンデミックは、県の保健・医療・福祉体制の脆さを露呈しました。これまでパンデミックや大規模災害が発生するたびに人員不足が指摘されてきたにも関わらずそれに耳を貸すことなく県行革を推進し、公衆衛生体制を脆弱にしてきた井戸県政の責任も問われます。
2009年に大流行した新型インフルエンザでも、新型コロナウイルス第1波・2波でもそれぞれの検証報告書によって保健師不足が指摘されました。しかし、県は行革の名のもと中核市へ移行した明石市分を除いても2007年時点の152名から116名へと保健師を36名も削減し、県所管の保健所も2007年度時点の25か所から12か所へと統廃合してしまいました。
さらに今年度、国は地財計画上兵庫県に対し、感染症対応保健師など20名を財政上措置していたにもかかわらず、県は感染症対応の保健師8名しか増員していません。
感染者数が600人を上回った4月、保健所職員からこういう声が共産党県議団へ寄せられました「事務職でも、臨時職員でも保健所に人を派遣してください。精神的にも肉体的にも限界を超えています。死人が出ます。事務の応援だけでもと上司が動いていますが、全くすすみません」。という悲壮感漂う内容です。
人員不足は保健所業務だけではありません。土木部門でも人員不足が過去の大規模災害検証報告書で繰り返し指摘されているにもかかわらず総合土木職職員を2007年度時点の1,073名から814名へと大幅に削減してきました。
さらにはこども医療費助成、重度障害者医療費助成、ひとり親家庭医療費助成など、医療費助成制度も、削減が繰り返され、制度設計時には無料化だった老人医療費助成制度は2017年に廃止してしまいました。その上に、国による75歳以上の医療費窓口負担の2倍化が追い打ちをかけています。
井戸知事と一体となって県行革を推進してきた当時の金沢副知事は、令和2年6月25日の兵庫県将来構想研究会の中で2050年の兵庫県の将来を見据え「想定していなかったことが今起こっている。南海トラフは、終わった後になっているかもしれない、ひょっとしたらパンデミックを2,3回経験した、そういう社会になっている可能性もある」と、ご挨拶されています。
県行革を中心となって推進してきた当時の副知事がこう言っているのです。それならばいつおこってもおかしくない南海トラフ等の大規模災害、発生頻度が高まっている新型ウイルス感染症パンデミックに備え、これまでの県行革を見直し、今度こそ検証報告書に耳を傾け適切な人員配置と体制整備を行うべきではありませんか?答弁を求めます。
答弁:職員の配置にあたりましては、行財政運営方針におきまして、平成30年4月の職員数を基本に、県民サービスの維持・向上と新たな行政課題や行政需要の変化に的確に対応することとしております。
その上で、危機事案が発生した際には、新たな組織の設置、職員の重点配置、庁内連携や自治体間の職員応援、非常勤職員の配置や業務委託の活用、全庁横断の対策本部の設置等によりまして、必要な業務執行体制を確保することとしています。
新型コロナウイルス感染症への対応では、県内初の感染者が確認されました昨年3月、対策本部を設置するとともに、感染症等対策室やワクチン対策課の新設など3度にわたり体制拡充を行いました。保健所の感染症業務への対応につきましては、令和3年度は保健師を8名増員し、再任用職員を含めまして、地方交付税上の保健師措置人数を6名超える配置とするとともに、庁内からの派遣や元県職員の保健師や潜在看護師の応援を得ているところでございます。このほか、民間委託の活用によりまして、派遣チーム、1日最大69名によります保健所の事務補助を実施しております。
また、自然災害への対応につきましては、災害発生時の被害状況に応じまして、災害復興室等の新たな組織の設置や職員の重点配置によりまして体制の強化を図ってまいりました。総合土木職につきましては、事業量に応じた配置とした上で、積極的な経験者採用によりまして、即戦力となる人材の確保に努めています。
ご指摘の福祉医療制度については、新行革プランにおきまして、県議会や行革審議会等の審議も経まして、将来にわたって持続的、安定的な制度として維持するために、必要な見直しを行ったところでございます。
今後とも、危機事案に対応する本部体制、そして課題に応じた組織の整備とともに、さらには、行政のデジタル化等を踏まえた業務改革、働き方改革を推進いたしまして、メリハリのある人員配置等によりまして、必要な業務執行体制を確保してまいりたいと考えています。
3.事業者支援について
次に休業要請に応じた十分な補償を求めて質問します。
3回目の緊急事態宣言が6月20日まで再延長されました。その中でもとりわけ大きな打撃を受けているのが、飲食業を中心とした中小業者です。営業時間短縮、休業などの要請が2年にわたって続き、宣言の延長によってさらなる減収が強いられています。
長期化する休業要請によって中小飲食業者の資金繰りは限界です。協力金を速やかに支給することのできる体制整備が必要です。また、資金繰りが苦しいのは休業要請されている飲食業だけではありません。人流抑制による影響が中小小売業者を直撃しています。あるブティック経営者は「売り上げは一昨年の7~8割落ちている。協力金の支給もなく本当に苦しい」。美容院の経営者も「毎年ゴールデンウィーク前は、旅行に行くために髪をきれいにするお客さんで賑わうが、今年は全くなく本当に大変」等々の声がたくさん私たちのもとにも寄せられています。
休業要請に応じた十分な補償と協力金の速やかな支給、打撃を受けているすべての中小業者・個人事業主、生活困窮者への十分な生活支援が必要です。
全国知事会は「持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支援を行う」ことを政府に緊急提言しています。提言が実現するまで県として引き続き力を尽くすとともに、県として協力金の迅速な支給をするための最大限の体制整備を行うこと、協力金の対象にならない中小事業者への支援制度を県独自で創設することを求めます。
答弁:中小企業の事業継続と経営立て直しのため、コロナ融資を軸として、累計1兆2千億円に及ぶ大規模な融資を実行しています。引き続き、今年度も8千億円の制度金融枠を用意し、事業者の資金繰り支援に万全を期していきます。
休業・時短要請に応じた飲食店等への協力金については、提出書類を簡素化し、180人体制により給付事務に努めており、3月末までの要請に係る協力金は概ね支給を完了している。4月以降の協力金は、緊急事態宣言発出までの分割支給も可能とし、機動的な支給を進めるなど、中小企業の資金繰りに配慮している。今後、さらに審査体制を100人程度増員し、飲食店、大規模集客施設等に係る協力金の早期支給に取り組みます。
また、地方創生臨時交付金を活用して、①飲食店の休業・酒類提供禁止による影響を受けた酒類販売事業者には、国の月次支援金の要件である売上減少50%以上を30%以上に緩和、②コロナ禍の環境変化に応じて中小企業が行うビジネスモデルの再構築や新事業展開に対し、商工会議所・商工会と連携して国補助金の対象とならない事業費150万円未満の取組を応援するなど、コロナ禍で影響を受けた中小企業に対し県独自の支援を実施します。
持続化給付金、家賃支援給付金の再支給や月次支援金の支給対象の拡大等については、引き続き、機会を捉えて国に要請していきます。今後とも、国と連携して中小企業が直面する状況に応じた支援を講じていきます。
4.学生支援について
次に学生支援についてお伺いします。
コロナ禍が長引く中、大学生の学生生活にも大きなしわ寄せが起こっています。
学生は飲食店などのアルバイトが激減するなかで、授業料の納付が厳しい、また食べることに事欠く下宿生も多く出てきています。
今、青年団体が全国的に、また県内でも各地で食料・生活用品支援を行っていますが、どこでもたくさんの学生がやってきているとのことです。「留学をするためにあらゆる出費を切り詰めて生活している。1か月の食費は1万円。この食糧支援があるからやっていける」「バイトに全然入れない。今月はついにバイトがゼロになった」など、寄せられる声は深刻です。また部活再開のために、活動によってはPCR検査を実費で受けなければならず金銭的に大きな負担になっているという声も寄せられています。
各大学では、感染対策に心を砕き、対面授業を追求しながら、経済的な理由で大学での学びをあきらめる学生を生まないよう支援をしています。
関西学院大学では、年収が一定以上になるまで返済を猶予する奨学金制度を創設。甲南大学では、高等教育修学支援新制度に該当しない家計急変世帯に対し、授業料減免制度を創設。県立大学でも、入学金と入学年次の前期授業料を新たに減免制度の対象にしました。
大学ならではの学生生活を保障し、経済的な理由で退学する学生を一人も出さない決意で支援をしている大学や大学生への支援が県として必要ではないでしょうか。
対面授業や部活動が再開できるよう、感染対策費用への支援や国のモニタリング制度を使い大学での定期検査を県として行うことを求めます。
また、「学生支援緊急給付金」の再支給や高等教育修学支援新制度の対象拡大を引き続き国に強く求めること、各大学が行っている国制度に該当しない学生へ支援に対する助成、県独自の給付型奨学金や下宿生への家賃補助など、考えられる手立てで大学生への支援を求めますがいかがでしょうか。
答弁:大学生の教育機会を確保しつつ、新型コロナウイルスの感染拡大防止を図るため、県は、県内大学に対して、知事メッセージ等の通知、国のガイドラインに基づく感染防止対策の徹底を要請して参りました。加えて、今年度当初から、若い世代の感染が増加したことを踏まえ、新たに若い方・学生向け啓発動画を作成し、教育活動の場での活用や学生一人ひとりへのメール送信等によるプッシュ型の呼びかけの強化を求めております。
また、国立大学・私立大学については、国が運営費の支援等を行っていることから、国に対し財政支援を要望しており、県が設置者である県立大学については、県が感染防止対策の追加支援を実施しております。
このほか、国は希望する事業所・大学等での無症状者を対象とした定期的なモニタリング検査に加えて、今般、大学等への最大約80万回分の抗原検査キットの配付による積極的検査の実施、大学施設におけるワクチン接種の推進に取り組むこととしています。県としましては、国の方針を踏まえながら、こうした取組に協力して参ります。
長引く感染拡大の影響でアルバイト収入が減少するなど経済的に困窮する大学生等への支援について、県としては、高校生の就学支援金より要件が厳しい国の修学支援新制度の要件緩和、さらには支援対象経費の拡充等を国に要望して参りましたが、先月19日に行った国への緊急提言において、改めて国の支援強化を求めました。
併せて、県独自の施策として、本定例会に提出した補正予算案において、経済的に困窮する私費留学生100人対する緊急奨学金の追加支給や、大学コンソーシアムひょうご神戸と連携した就職に困窮する学生・既卒者等に対する追加策として、のべ学生400名、企業20社程度の参加を想定しているWeb就職セミナーの実施経費を計上しております。
このような取組を通じて、今後とも、県内で大学生が安心して学びを継続できる環境づくりを進めて参ります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
5.少人数学級の実施について
次に速やかな少人数学級の実施を求めてお伺いします。
コロナ禍のもと、子どもたちの健康を守り、安心して学べる環境をつくるためにも、少人数学級の実現は、待ったなしです。小学校で国の措置として、35人学級が実現したことは、大きな前進ですが、とりわけコロナ禍のもと国民が求めているのは、20人程度の少人数学級であり、感染対策上も中学と高校を40人学級のまま放置することは、許されるものではありません。
政府は「ゼロ密」が望ましいと、呼びかけているのに、教室では「密接」「密集」状態が続いています。これほど深刻な矛盾は、ありません。
また、子どもの学びの格差の広がりとストレスの継続という点からも、少人数学級が急がれます。県教委がコロナ禍のもとで3回にわたって実施したアンケート結果でも「むしゃくしゃしたり、いらいらしたり、かっとしたりする」の質問に、小学校高学年で、「かなりある」「非常にある」と答えた児童は17.8%、中学校では15.1%となっています。
感染症対策からも、学びの格差の広がりとストレスや不安から子どもたちを守るという観点からも、一人ひとりの子供たちに丁寧にかかわることのできる本格的な少人数学級が求められています。
今年度県教委では、「新学習システムあり方検討委員会」を設置して、現在推進している新学習システムを見直すとのことですが、コロナ禍のもとで教室での身体的距離の確保は保たれるのか、ストレスを抱えた子どもたちの不安や悩みに教員が正面から向き合い丁寧に応えることができるのか、このことが問われます。
群馬県では、「5年間かけて35人学級」ではなく、今春から小学校と中学校の全学年で35人学級を実施しています。少人数学級への要望は長くありましたが、40年ぶりに学級編制基準が見直されコロナ禍のもとで実現したことは「密状態にある教室を速やかに子どもたちにとって安全な場所に」という保護者や教員たち、世論の声に押されてのことだったはずです。子供の数が減少するからといって教員数を削減するのではなく、兵庫県においても、直ちに小学5・6年生、中学生全学年での35人学級を実施し、速やかに30人学級を目指すべきです。答弁を求めます。
答弁:この度、国におきまして、義務標準法を改正し、小学校の学級編制の標準を今年度から5ヶ年かけて35人に引き下げました。加えまして、令和4年度から、外国語・理科・算数につきましては、専科教員による教科担任制を導入することとなっております。
本県におきましては、学力向上と小・中との円滑な接続等を目的に、県独自に小学校4年生までの35人学級、5・6年生での兵庫型教科担任制、中学校での少人数授業等の新学習システムを実施しておりますが、国の制度が円滑に実施できますよう、既に「新学習システムあり方検討委員会」を設置し、見直しに着手しているところでございます。
併せまして、国と地方の協議の場が設けられ、今後の教職員定数の在り方、また小学校の35人学級を進める上での課題等について検討が進められます。本県といたしましては、この動向を注視するとともに、必要となる定数改善、中学校3年生までの35人学級の拡大、高校までの少人数学級の早期実現などを引き続き求めてまいります。
30人学級の実現には、財源と人材の確保が必要でございます。県教育委員会といたしましては、まずは、国の制度の円滑な導入に向けて努力してまいります。
6.地球温暖化防止対策について
次に地球温暖化防止対策についてお伺いします。
4月22日、地球温暖化対策推進本部の会合において、菅首相が、2030年度温室効果ガス削減目標の13年度比46%を表明し、5月26日、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする政府目標を盛り込んだ改正地球温暖化対策推進法が成立しました。兵庫県は3月に地球温暖化対策推進計画を改定し2050年実質ゼロ、2030年度の温室効果ガス削減目標を13年度比で最大38%としました。しかし国も県も「パリ協定」で求められる水準からは大きく立ち遅れています。
国際研究機関「クライメート・アクション・トラッカー」はパリ協定の1.5℃目標と整合させるためには、国内の温室効果ガス排出を2013年比で62%削減することが必要としました。県として、国際社会の要請に合致した目標をすえ、実現の道筋を確立するべきです。
3月に国が発表した温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による2017年度の温室効果ガス排出量の集計結果によると、排出量全体の6.3%を県内事業所が占め、都道府県で第4位、県内の神戸製鋼鉄鋼事業部門加古川製鉄所、関西電力株式会社姫路第二(LNG)発電所が排出量全国ワースト30に入るなど排出過多県となっています。
県の環境の保全と創造に関する条例対象1066事業所の2018年度の排出量は、3195万4000tで、県全体の50.5%を占めていますが、神戸製鋼や日本製鉄、関西電力、電源開発、川崎重工、住友大阪セメントなどの電力、鉄鋼、セメント業等わずか20事業所で約2491万4000t温室効果ガスを排出し、条例対象事業所排出分の実に78%、県内排出量全体の約40%となっています。
また石炭や石油などによる電力供給事業者の温室効果ガス排出量は、大部分が別の事業者や家庭などに転嫁される間接排出量になっており、実際には、大量の温室効果ガスを排出しています。温室効果ガス削減は、こうした大型排出源からの排出をいかに抑制するのかが問われます。
県条例は、現在、規則改定が検討されており、事業者ではなく事業所ごとに公表するなど改善も見られますが、目標設定や削減実施の手立てなどは企業の自主性にゆだねられており、実効性ある条例改正が必要です。
石炭火力発電について、先日行われたG7気候環境相会議では、2021年末までに石炭火力事業への政府支援を全面停止することが合意されましたが、全廃には日本政府が反対し、共同声明に盛り込まれませんでした。世界の流れに逆行するものです。兵庫県が、率先して石炭火力発電の全廃に踏み込み、国の姿勢をただすことが必要です。
今年11月、イギリスでcop26が開催されます。県としてCOP26に向け地球温暖化対策推進計画を見直し、2050年カーボンニュートラルへ、2030年削減目標を2013年比62%に引き上げるとともに、大規模排出事業者等への上限規制や炭素税・排出量取引制度等のカーボンプライシング導入等、実効性あるものにすることを求めます。石炭火力発電所の全廃計画を策定・実行し、神戸製鋼の石炭火力発電新設については、中止を求めることを要請します。ご答弁ください。
答弁: 国の46%削減表明を受け、県では、今後COP26に向け示される国の施策や業界毎に対策をまとめるカーボンニュートラル行動計画の内容を踏まえた上で、県計画の2030年度削減目標を見直します。
カーボンプライシングなどの経済的手法につきましては、県独自に大規模事業者が中小事業者の削減を支援し、実際に削減された量をクレジットとして受け取る「CO2削減協力事業」を進めています。
一方、大規模事業者に対する排出枠の設定や炭素税の拡充等は、公平な枠組みの設定が困難であることや規制のない地域への工場等の移転が懸念されるため、全国規模での制度設計が望ましいと考えています。
既設の石炭火力発電につきましては、本年4月に資源エネルギー庁におきまして非効率な石炭火力を順次廃止するとの方向性が示されました。
新設の神鋼の発電所に対しましては、老朽化した発電所の廃止など売電先の対策を含めCO2排出量に見合う削減を指導しておりまして、本年5月、同社は2050年カーボンニュートラルへの挑戦を宣言しまして、同発電所でのバイオマスの混焼やアンモニア発電に取組むとしております。
県内総排出量の約7割を占める産業・業務部門の対策が重要でありますから、条例による排出抑制計画・報告制度の強化や、水素の利活用等グリーンイノベーションの後押しなどによりまして、大幅なCO2削減を目指してまいります。
7.上郡町・赤穂市の産業廃棄物最終処分場建設計画について
最後に上郡町・赤穂市をまたいで進められている産業廃棄物最終処分場建設計画についてです。
上郡町で産廃処分場建設計画に反対する住民らは、昨年秋から産廃建設の賛否を問うため、住民投票の実施を求め署名活動を行い、有権者の53%に当たる6,773筆の有効署名を集め、住民投票条例制定を遠山町長に直接請求しましたが、上郡町議会では賛成4反対5となり、条例案は否決され、条例制定を求める町民と町議会のねじれも起こっている。
現在産廃事業者は事前協議書を県へ提出し、県は協議書をもとに関係市町から意見を求めているところです。ただ、予算特別委員会でも指摘しましたが、協議書には多くの不備や不十分な点があり住民の不安はますます高まっています。例えば事業者は「処分場から排出される放流水は千種川に到達した地点で1600倍に稀釈されるため千種川には影響はない」としています。しかし、最低流量時には稀釈倍率がわずか28倍になることがわが党の指摘で明らかになりました。また、住民が最も不安としている水源地への産廃排水混入の可能性については調査がされていません。これは、調査対象地域を事業者が決定していることによって起こっている問題です。
県は2月に環境影響評価に関する条例施行規則、いわゆる環境アセスを改正し「当該計画は改正アセスの対象になる」と、予算特別委員会で答弁しています。アセスでは、関係地域の決定について住民の意見を聞いたうえで知事が決定するという流れになっています。
改正アセスを活かし、関係地域の決定については住民の意見を十分に聞き反映させることを強く求めます。答弁を求めます。
答弁:廃棄物最終処分場の建設計画につきましては、環境影響に対する県民の関心が高く、事業の特性からも環境の保全と創造に関し事業者がより適正な配慮を行うことが求められます。
このため、環境影響評価条例施行規則を本年2月に改正し、保安林など特別地域が含まれます廃棄物最終処分場の建設について敷地面積10ha以上を、新たに条例の対象としました。
本建設計画は、経過措置の対象となり、準備書手続から環境影響評価が行われる見込みです。ただしこの場合でも、準備書に記載の関係地域や調査・予測結果等に対しまして、住民が意見を述べることができます。
また、県は準備書の内容について専門家による審査を行いますが、仮に関係地域など準備書に記載の内容に不十分な点がある場合には、知事意見として追加調査等を求めることができます。こうした手続を通じまして、環境への影響が科学的に評価され、適切な事業計画になっていくものと考えています。
一方、産廃紛争予防条例に基づく事業計画書の作成過程でも、県は事業者に対しまして、住民や市町からの意見を踏まえ、水質への影響を含めまして、設置計画の内容や生活環境への影響等を適切に調査・検討し、関係者へ丁寧な説明を行うよう指導してまいります。
色々知事への評価もありましたけれども、我々からすれば、この20年間というのは、県民に冷たくて、県民の福祉を支える職員を3割削減したというのは、改めて見直すべきだと思います。金沢前副知事も、想像もしなかったことが今起こっていると。コロナパンデミックが2050年までに、あと2回、3回と起こるのではないかと言っているんですから、次どういう知事になるかまだわかりませんけれども、次の知事には県行革を見直して、大規模災害や次のパンデミックに備えるようにメッセージを発信していただきたいと思います。