議会報告

  • 2018年03月23日
    本会議

    第339回本会議 補正予算案反対討論 ねりき恵子

    私は、日本共産党県会議員団を代表して第122号議案平成29年度兵庫県一般会計補正予算案に反対し、以下理由をのべます。

    第一に北淡路地域活性化プロジェクトが地域循環型の地域活性化策になっていないからです。

    わが党の質疑でも指摘しましたが、「アニメパーク構想」では、遊ぶ、食べる、宿泊するという全ての観光が高速道路内で完結してしまい、地域経済の循環・活性化にはなりません。

    県は、「アニメパーク構想」に来場した観光客を北淡路地域へ循環させるためとして、平成29年7月から、高速道路内の「県立淡路島公園」や「淡路ハイウェイオアシス」などにバス停を設け北淡路を循環させるバス運行を開始しています。しかし、巡回バス1台あたりの平均乗車人員は2,4人に留まっています。

    また、「アニメパーク構想」によって新たに152人の雇用が創出されたとのことですが、そのすべてが非正規雇用です。

    今回の補正予算9億円は、役者やキャストとしてのスキルを研修できるアニメコンテンツシアターを新設する費用ですが、このプロジェクトは「芸能」「観光」「農業」を組み合わせた多様な働き方を提供し、マルチタスクな人材を育成するのが目的といいますが、結局はアニメパーク構想を進める企業・パソナに都合のいい非正規の不安定労働を増やすことにつながりかねません。

    非正規雇用の創出ばかりでは、淡路地域に住み、結婚し、子育てをするという地域創生の目的も果たすことはできません。企業呼び込み型の観光・経済政策では、地域の地場産業も観光業も衰退するばかりです。

    淡路地域が誇る第一次産業と、観光業を連携させ地域に住み・暮らせる循環型の経済・観光施策こそ必要です。

    第二に、東播磨南北道路を整備促進する補正予算案となっているためです。東播磨南北道路のような大型公共工事では発注額に対する地域企業の受注率は極めて限定的です。東播磨南北道路は約60%が高架区間となっていますが、高架区間の工事は、特殊技術を必要とする橋梁上部工事を伴うため、その多くを県外企業が受注しているのが実態です。

    例えば高架区間延長が70%を占める浜坂道路建設工事では、工事発注額の約65%を県外企業と、県内・県外企業とのJVが受注しています。

    質疑でも明らかになりましたが、県内で橋梁上部工事を単独施工できる業者は 社とのことでした。これでは、本補正予算の目的でもある地域企業の活用とはなりません。

    また、東播磨南北道路は、平成26年に南工区が供用開始され、南北交通については渋滞解消に一定効果があったとされています。

    しかし、供用開始後、南北交通の総量は、日量56,700台から64,200台へと7,500台増加し、東播磨南北道路と、加古川バイパス合流地点付近では、新たな車を南北から発生させたことによって加古川バイパス東西交通は日常的に大変な大渋滞となっています。

    地元企業の活用で地域経済を活性化させる補正予算の目的を果たす事業とはなっておらず、新たな高速道路建設は、新たな自動車交通量を発生させ渋滞解消策にもなりません。

    以上が反対の理由です。

    最後に意見を述べておきます。

    ひとつは、収益力や規模拡大に取り組む畜産クラスターの中心的経営者への牛舎整備費用等の支援についてです。

    畜産クラスター事業は規模拡大や法人化が要件とされているため、施設や機械の過剰投資を招き、補助金が畜産農家の実質的な負担減にならないとの批判も少なくありません。

    兵庫県内のクラスター協議会に参入している肉用牛繁殖農家戸数は554戸で全県繁殖農家数の45%、雌牛頭数は16100頭で全県内雌牛頭数の35%に過ぎません。

    要件を見直し、家族経営を含めて地域の多様な畜産経営が計画的に設備投資・更新などに取り組めるよう国へ求めると同時に県の支援を求めます。

    2点目は、介護福祉士修学資金等貸付金についてです。

    平成29年9月から外国人在留資格者に介護が創設され、介護福祉士資格を取得し、介護業務に従事することで長期滞在が可能となりました。本補正予算案では、これを踏まえ県内での介護人材の確保を加速するため、介護福祉士養成施設に入学する留学生に対する修学資金等の貸付原資を助成するとしています。

    すでに始まっている、外国人技能実習制度では、「技能移転」による「国際貢献」を名目としながら、その実態は、低賃金、単純労働力の受け入れであるという構造的矛盾を抱えたまま、深刻な人権侵害を生み出し続けてきました。実習生は、「研修」とは名ばかりの安価な労働力の供給手段とされ、強制労働、低賃金、残業手当不払い、強制貯金、パスポート取り上げ、高額の保証金や違約金、強制帰国、セクハラと性的暴行など、数々の人権侵害が続発し、重大問題となってきました。こうした外国人実習生の実態に対し、日本弁護士連会は、「人権侵害は構造的問題に起因する」として、その早急な廃止を求めています。

    介護人材確保のために、新たに留学生を受け入れるのならば、こうした問題解決の仕組みこそ必要です。

    そもそも、介護分野での深刻な人材不足は、過酷な労働条件と低賃金が大きな要因であるのに、この問題を解決しないまま、労働力確保の目的で外国人労働者の参入をすすめたのでは、矛盾は深まるばかりです。介護分野の賃金アップと長時間過密労働の是正など処遇改善をもとめて、私の討論を終わります。

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