議会報告

  • 2021年03月11日
    予算・決算特別委員会

    2021年度予算特別委員会 農政環境部 入江次郎

    ○入江次郎委員 日本共産党の入江である。よろしくお願いする。

    早速、質問に入る。

    上郡町と赤穂市にまたがる山林を開発し、約300立米にもなる巨大産業廃棄物最終処分場建設計画が進められている。処分場建設に不安を抱き、上郡町で産廃処分場建設計画に反対する住民らは、昨年秋から産廃建設の賛否を問うため、住民投票の実施を求めて署名活動を行い、有権者の53%に当たる6,773筆の有効署名を集め、住民投票条例制定を遠山町長に直接請求したが、上郡町議会では賛成4反対5となり、条例案は否決された。条例制定を求める町民と町議会のねじれも起こっている。

    そこでお伺いする。昨年、事業者は廃棄物処理施設計画の事前協議書を県に提出し、県は事前協議書に対する意見照会を赤穂市・上郡町に行い、先日意見書が返ってきたところである。

    事前協議書は、一定の環境評価が事業者によって行われているが、環境評価の地域については、誰が決定したということになっているか、ご答弁を求める。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 産業廃棄物最終処分場の周辺地域に・・・生活環境に及ぼす影響調査については、国が示している処理施設の生活環境影響評価指針に基づき、事業者が調査対象地域、項目等決めている。

    ○入江次郎委員 端的な答弁ありがとうございます。

    それで、その事前協議書の中で、事業者は……、これちょっと図面で説明させていただきたいけれども、全体の図面を用意してたけれども、ちょっと事情があって使えなくなって、これ局所的な図面だけれども、これが千種川である。大きな川がね。ブルーの部分が千種川である。その千種川に合流しようとしているのが、安室川という川なんですけれども、この千種川と安室川が合流するこの地点、この地点から約10キロメートルぐらい上流に、処分場の建設計画がされている。それで、事業者はその事前協議書の中でこう言っている。浸出処理施設より計画の能力である日量400立米を放流した場合におけるこの地点での希釈倍率を算出すると、いずれも1,600倍以上の希釈倍率となったため、安室川が千種川に合流する地点においての影響はないものと考える。

    つまり、処分場から日量400立米の放流水が流れてくると。ただ、千種川に到達した地点では、1,600倍に希釈されるので千種川は影響ないと。今後も調査をしないと。こう言ってるわけである。

    そこでお伺いする。事業者は、平成26年度の兵庫県公共用水水域の水質等測定結果報告書、これを出典元として調査をしてる。

    お伺いするが、事業者が測定した測定日、2014年8月6日の隈見橋と坂越橋の日量の水量をお答えください。

    ○水大気課長(上西琴子) 千草川の隈見橋及び坂越橋については水質測定のため、月に1回採取を行い、その時点での流速を測定している。この流速に川幅、水深を常時1秒当たりの流量としている。ですから、2014年8月6日の隈見橋における流量は1秒当たり7.79立米、坂越橋における流量は1秒当たり8.19立米となっている。1日当たりというふうにご質問があったが、1日当たりというふうな流量になると、この1秒当たりの流量に60かける60かける24ということでしか算出できないので、その辺り了承願う。

    ○入江次郎委員 さらにお伺いする。

    例えば、隈見橋で1秒当たり7.7、坂越橋で1秒当たり8.1、これに先ほど言われた60秒、60分、24時間をかけると、隈見橋で日量が66万5,280立米、坂越橋で69万9,840立米である。これを事業者のいう放流水400立米で割ると、1,600倍という数字が出てくる。ですから、事業者の出典元はここである。1,600倍に希釈されるという出典元はここであるけれども、再度お伺いしたいけれども、同じ出典データの中で、1988年以降で最も水量の少なかった年月日と毎秒の流量、それぞれ隈見橋と坂越橋でお答えください。

    ○水大気課長(上西琴子) 委員がおっしゃる区間で、最も流量が少なかった時点について申し上げる。隈見橋については2013年6月12日、1秒当たり0.21立米である。坂越橋については2005年10月12日、1秒当たり0.13立米である。以上である。

    ○入江次郎委員 つまり、その数字も同じように0.21超えますね。2013年6月12日、ここに60秒、60分、24時間をかけると日量1万8,144立米、これを400で割ると希釈倍率45倍になる。同じように、坂越橋、毎秒0.13だけれども、これにも60、60、24とかけると、1万1,232立米、これを400で割ると希釈倍率28倍である。事業者は、希釈倍率が1,600倍になるから、千草川に到達した時点では環境に影響がないと。もう今後調査しないと言ってるけれども、これ事業者本当に都合のいい数字だけ出している。過去にさかのぼると、こういう低水量のときがある。私はこの数字を使うべきであると思う。この1,600倍という希釈倍率がいろんなところでミスリードを起こしている。

    例えば、上郡町はこの事前協議書が出されてから、専門家委員会というのを立ち上げ、この事前協議書をそれぞれ分析している。影響のある区域として、周知範囲、周知方法、つまり関係住民、関係地域、これがどこに当たるかという議論をしてるけれども、この中でも専門家が安室川のデータがないため、下流となる論気池、上池、下池、論気川、梨ケ原川、安室川までの周辺流域が該当するものと考えられると、つまり千草川に合流するまでの地域が周知方法、周知範囲するべきところだと、こういうふうに言っている。それで、安室川のデータがないためとこう言ってるのは、この裏づけとすれば、千草川のデータはあると。千草川は1,600倍に希釈されると、そういうデータがあるため、千草川はもう調査の対象に入れないと、こういうミスリードも起こしているし、この専門家の意見をそのまま上郡町も意見照会として上げている。

    今日は、上郡の人も赤穂の人もたくさんこれネット中継で見られている。部長もこれまでに何度か住民の方から直接要望を受けられると思うけれども、この1,600倍という数字は、これ余りにも僕調べてみると、事業者は平成26年のわずか3日だけを取って、その中の一番水量の低いときを取って、この数字を出してきてるんです。坂越橋の水量、僕、倍率25倍と言ったけれども、その事業者が出した日からわずか10ヵ月前にこういう数字をはじき出している。だから、この1,600倍希釈されるから、千草川に影響がないというのは、これ住民の僕理解は得られないと思うけれども、これ部長がお答えいただけないですか。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 少し数字が細かくなるので、私のほうからご説明させていただく。

    委員がおっしゃったその最大排水量400立米というのは、過去20年間の最大の降雨量から算出している。これは、2004年の大変な災害があった年、台風が四つですか、県に上陸した年の水量をもとに、その水量であっても処理できる能力ということで、最大水量ということで計算している。

    この最大水量というのは、最終処分場というのは降雨量に比例して水量が変わってくる。したがって、一般の工場のように常時400立米を流すということではない。先ほど、委員おっしゃられたように、希釈倍率1,600倍というのは、確かに公表されてる直近のデータ、26年度の隈見橋、坂越橋で公共用水・・・のうちの一番最も少ないデータを使ったということを事業者から聞いている。

    あと、降雨量が少ないとき、河川の水量が少ないときこういうところに関しては、当然雨が少なければ最終処分場からの放流水400も出ないし、場合によっては出ないこともある。ただ、これは現在の事前協議書では検討されていないので、その部分については事業者に検証を指導して、希釈倍率についてもどういう形になるかを検討を求めたいと思う。また、その検証結果を踏まえて、影響がある範囲であれば調査範囲に加えるよう指導していきたいと考えている。

    ○入江次郎委員 これも事業者の事業計画書を見ると、例えば、降雨への対応についてということで、浸出水の調整槽、ここの検証結果は過去20年間の最大年間降水量、過去20年間の数字を持ち出している。それで、重要調整池に関する基準、これも既往の降雨量に対して安全かを検証するということで、1976年の数字を持ち出している。千草川の水量だけでわずか1年間のうちの最も少ない水量を出してくるというのは、これは僕住民の理解が得られないと思う。

    先ほど、もう一度検証を指導すると言われてたけれども、今、事業者から出されてる1,600倍率、千草川には影響がないと。少なくともこれは白紙にして、もう一度事業者に調査を求めるということでいいですか。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 先ほども申したように、まず事業者の検証が必要だと考えている。その結果、影響範囲があるのであれば、当然、関係影響評価の対象に加えるべきだと考えている。

    ○入江次郎委員 もう一度確認する。今の事業計画書には、千草川に到達した時点で1,600倍希釈されると。だから、影響を及ぼすおそれがないということで、もう調査の対象にしないとこういう趣旨の計画書になっている。ですから、その部分についてはもう一度検証を求めると。千草川は対象ではないというのは、もう一度検証を求めるということでいいですか。はっきり答えてください。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 委員おっしゃるとおり、そのとおりでございます。検証を求めた結果、影響範囲であれば当然影響調査範囲に加えるということである。ただ、繰り返しになるが、水量が少ない場合については降雨量も少ない、そのときは場合によっては最終処分場からの放流水はゼロということがあるので、その点はご了承いただきたいと思う。

    ○入江次郎委員 いずれにしても、今、住民の中でもそうだし、専門家委員会の中でも、これ1,600倍に希釈されるから千草川には影響ないと、もうそういうミスリードがされてしまっている。ですから、希釈倍率が最も低いときで、これ25倍という数字が出ている。ですから、そういう意味でも住民の不安を取り除くような指導をしっかりしていただきたいということをお願いする。

    次に進みたいと思う。

    これまた住民の方が作ってくれた図面である。

    ここは合流地点であるけれども、その合流地点の上流、川向水源地で与井の水源地というのは、これ千種川の向かい側になるけれども、それぞれ水源地がある。それで、この与井の水源地は、ここに書いているように、上郡町の人口の45%に配水している。地下8メートルが取水しているそうである。この川向水源地というのは、コートの佐用町と上郡町とたつの市、これ重なり合っているけれども、そこの事業所と住民に対して、川向水源地は配水している。ここも地下8メートルから取水している。これ住民の方が聞き取り調査をすると、この上郡駅のちょっと北付近で工事をしたときに、地下水と伏流水の流れが確認できたそうである。そうすると、その伏流水はこの安室川の方向ではなく、千草川の方向に伏流水が流れてたというそういう証言がある。それで、上郡町の地質図を見ると、この辺りは千草川の氾濫原ということで、地下水脈でつながってるんじゃないかという指摘がされている。住民の皆さんは、この与井の水源地とか、川向の水源地に地下水を通じて産廃の水が入り込むんではないかという不安を抱えているけれども、今の事業計画書ではそういう検討はされているか。この水源地に産廃の排水が混入するおそれについて、検討されているかどうか答えてください。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 現在提出されてる事業計画書については、水道水源の話については出ていない。

    ○入江次郎委員 検討されていないということである。それで、さらにお伺いしていくけれども、処分場から下流は先ほど言ったように梨ケ原川、安室川とある。事業者の事業計画書を見ると、放流水への影響ということで、放流先の状況ということで、通称論気川から梨ケ原川、安室川、千草川へと流下すると。そこの利水状況については、これ農業用水しか書いていない。お伺いするけれども、梨ケ原川と安室にはそのほかにどういう水利権が設定されているか。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 委員、ただいまご質問いただいた利水状況には、今現在、水を使ってる状況を書くということになっているので、使ってる状況については農業用水、水利権についてはそこの今の事業計画書に書く欄がないというのが現実である。

    ○入江次郎委員 利水状況の欄、上水道用水、工業用水とこれそれぞれあるが、消されている。その他も含まれて。利水状況をどういう水利権があるかもう一度お聞かせください。

    ○環境整備課長(石岡之俊) そこの記載であるが、その参考のところに直下流の水利権者という形で書かせていただいている。そこの直下流の水利権者のほうに水利状況を書かせているつもりである。

    ○入江次郎委員 直下流の水利権者と放流先の状況ってこれ欄がそれぞれ違う。放流先の状況は直下流だけではなく、千草川の流下するその支流のところまでの水利権のことを言っている。直下流の水利権者が梨ケ原自治会というのは書いてるけれども、放水先の状況ということで、梨ケ原川、安室川、この放流先の状況のことを聞いている。それぞれどういう水利権があるか。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 水利権については詳しくは存じないが、確かに水道水源というのは、この前いつか委員のほうからお聞かせいただいたことはある。

    ○入江次郎委員 ヒアリングのときにこれ何回も言っている。安室川と梨ケ原川には漁業権と安室ダム水道企業団が持ってる上水道の水利権がある。それを確認しとく。

    ○環境整備課長(石岡之俊) 水利権者として、これは聞いた話であるが、赤穂市、相生市、上郡町の安室ダム水道用水企業団が水利権を有しているということを聞いている。また、漁業権については梨ケ原川と安室川にも存在していることを聞いている。

    ○入江次郎委員 そうである。漁業権と上水の水利権がある。リンパツのほうに聞きたいけれども、漁業権については、今後ここは林地開発されるけれども、これ一般論で答えていただいたらいいけれども、林地開発によって影響を及ぼす水利については同意が必要だと。その水利権者の同意が必要だと要綱には書いてるけれども、一般論で結構である。それはそういうことでよろしいか。

    ○森林保全室長(竹下洋一) 一般論であるが、直接影響のある範囲と直接工事を行う区域内で、漁業権、水利権の同意は求めている。

    ○環境整備課長(石岡之俊) そうである。同意が必要である。産廃の条例とかでは、住民の説明をして合意を得る努力とか、そういうことが書かれているけれども、林地開発についてはこれ要綱で同意が必要だということを確認した。

    ○入江次郎委員 質問を続けたい。県は環境影響評価条例、いわゆる環境アセスと言っているが、この環境アセスを作った。最初の答弁で、今の産廃の環境評価では、事業者が環境影響評価をする区域を決定してると言ってるけれども、この環境アセスになるとこの2つ、ここは住民側が意見を事業者へ兵庫県に上げることができることになっている。住民が意見を上げて初めて関係地域を知事が決定するということになっているけれども、この西有年の処分場は、このアセスの対象になるのかどうかということと、今後そのアセスの調査をするときに、住民がその区域の決定に意見を言えるのかどうか、それをお聞かせください。

    ○環境影響評価室長(髙原伸兒) 本事業の敷地には、特別地域、これは鳥獣保護区、保安林など環境の保全の配慮が必要な地域であるが、この特別地域が含まれており、かつ敷地面積が10ヘクタールを超えるということから、環境アセス条例施行規則の改正、今回改正を行ったわけであるが、この改正により新たに環境影響評価条例の対象になる。

    新たな制度を開始する場合には、対象となる事業が一定程度進捗しているものについては経過・・・設定するということが一般的である。本事業が一定程度進捗していると県が確認した場合には、経過措置により準備者段階からの手続開始となる。以上である。

    ○入江次郎委員 もう時間がなくなってしまった。最後は部長がお答えいただきたいけれども、一つ一つの段階で住民の不安が解消されるまで、これ手続は進めないと、環境部長、答弁お願いできますか。不安が解消されるまでは手続を進めないと。

    ○環境部長(田中基康) 今あるアセス条例あるいはカウントの仕方、分母分子の問題ということを課長のほうが申し上げた。これらの手続に則って適正に対処していくということに尽きるというふうに思う。

    ○委員長(水田裕一郎) 入江委員に申し上げます。申し合わせの時間を経過しております。

    ○入江次郎委員 では終わります。ありがとうございました。

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