議会報告
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日本共産党県会議員団、西宮市選出のいそみ恵子です。
7問一括で質問します。
新型コロナウイルス感染症対策の検査体制について
はじめは、新型コロナウイルス感染症対策の検査体制についてです。
2月末で緊急事態宣言が解除されましたが予断は出来ません。ワクチン接種も始まりましたが、安全性・有効性の課題、社会全体での効果が確認されるまでかなりの時間がかかると言われています。ワクチン頼みでなく感染対策の基本的取り組みが引き続き必要です。
日本共産党県議団は、検査で感染者を発見・保護し、感染の連鎖を断ち切ることを繰り返し求めてきました。県もPCR検査能力を現在4050件まで引き上げ、検査対象も無症状の濃厚接触者や、クラスターの発生が懸念される場合、濃厚接触者以外の関係者へと広げていますが、感染者と濃厚接触者の周辺にとどまり、第1波、第2波とも感染者の数が減りかけると同時に検査数が減り、感染再拡大を繰り返してきました。
感染拡大を抑えていくには、症状が出ている方たちや濃厚接触者などの検査と同時に、無症状感染者の発見・保護がカギとなっています。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、緊急事態宣言を解除した後で最も大事なこととして、「感染のリスクの高いところを中心に無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンドを防ぐこと」「感染源を早く予兆する、それによって感染の経緯がしっかりとモニターできる」と発言され、2月25日の分科会の提言には、無症状者に焦点をあてた幅広のPCR等検査が提起されています。
特に医療機関・高齢者施設などは、無症状感染者からクラスター化するリスクと常に隣りあわせです。1月に発生した県内のクラスターの感染者は1482人、その内、1349人が医療機関・福祉施設でのクラスターです。無症状感染者を見つけ出す定期的な検査が有効かつ唯一の方法です。
厚生労働省も2月4日、緊急事態宣言が出ている10都府県に対し、3月中に高齢者施設の従事者等に集中的に検査を実施し、定期的検査も促す事務連絡を発出しました。対象施設には「障害者施設、医療機関が含まれ」、さらに幅広い施設での検査を積極的に行うことを要請しています。
県は今回の国の事務連絡を受けて、高齢者施設の従事者に検査を実施することにしたものの地域も施設種別も限定した実施計画です。国の事務連絡では、都道府県が積極的かつ広く検査を行えるよう十分な財源を確保しているとし、埼玉県、神奈川県、東京都など多くの自治体は、広くかつ定期的検査に踏み出しています。
兵庫県には、川崎重工が開発した自動PCRシステムが愛知県内の大学で試験運転中であるように、検査資源も十分あるのではないでしょうか。
今度こそ、感染者・重症者の大波を繰り返さないために、感染者が減少している今こそ、積極的検査を行い感染の火種を抑え込むべきです。
高齢者・障害者施設、医療機関、そして保育園・学校・学童保育所など接触が避けられない施設において、全ての従事者・入所・入院患者に定期的な検査の実施を求めます。合わせて、医療機関、社会福祉施設が自主的に行う検査について支援を求めますがいかがですか。
○井戸知事答弁 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止には、必要な行政検査が適切に行われる体制が必要であり、処理能力の拡充とともに、順次対象者の拡大も推進してきた。
特にクラスター化の防止のため、社会福祉施設、医療機関、学校等において、陽性者が確認された場合は、濃厚接触者に加え、幅広く関係者に対して検査を実施し封じ込めを行ってきた。また、施設へのウイルス持ち込みを防ぐため、希望する社会福祉施設等を対象に新規の就労職員や入所者の検査も実施している。
県下全ての高齢者・障害者施設、医療機関、保育園、学校等の従事者、入所・入院者への定期的な検査については、費用対効果の面に課題があるほか、国の分科会において「膨大な検査を実施しても陽性者は僅かで、感染拡大防止に対する効果も低い」との指摘もあり、行政検査としての実施は慎重に検討すべきと考えている。
今回、国の要請により、緊急事態宣言対象の都府県には「感染多数地域における高齢者施設の従業員等の検査の集中的実施計画」の策定・実施が求められた。本県では、特別養護老人ホームなど「重症化リスクの高い医療・介護を必要とする高齢者が長期入所する施設」を対象に、11月からの患者発生数が人口10万人あたり100人を超える8保健所管内で、保健所の負担も考慮し民間検査機関を活用し、今月中を目途に検査を行う。なおこれは、感染症法に基づく行政検査としてでなく、事業継続支援を目的とした検査として行うものである。
対象地域や対象施設の拡大などについては、集中的実施計画の結果や今後の感染状況を踏まえ、次の段階で検討する。今後とも、感染拡大防止に向け、検査体制を強化する。国と協力をして繁華街等でのモニタリング調査を行う。
保健所体制の拡充
2項目目は、保健所体制の拡充です。感染拡大による保健所業務のひっ迫は、これまで以上に厳しさを増しました。
超過勤務の実態を見ると、第3波のはじまった昨年12月、月80時間を超えた保健師は15人、今年1月には17人にものぼり、昨年4月から今年1月の10か月間で720時間を超えた保健師が6人もいるなど深刻です。
感染が一層広がる中、陽性者の感染経路追跡にも保健師が不足する事態となり、病床ひっ迫により増え続ける自宅療養者の健康観察ができない事態となりました。
県は、不足する保健師を補足するため自宅療養者の健康観察に看護系大学教員などの緊急の応援態勢をとらざるをえない状況です。
姫路市では感染経路や濃厚接触者の把握を行う「積極的疫学調査」を担当する保健師20人を3分の2に減らして自宅療養者の支援に振り向け、陽性者の追跡・調査をあきらめざるをえない事態となりました。
市中感染の陽性者を保護・追跡する「積極的疫学調査」は感染症対策の基本であり、思い切った保健師の増員と保健所体制強化をはかるべきです。
県所管の保健所は、県行革等により26か所から12か所へと半減、保健師も166人から116人へと3割削減され、人口10万人当たりの保健師数は全国ワースト5位です。
そのため第一波の感染拡大の対応では、会計年度任用職員の保健師・看護師12人を配置。昨年10月には、退職保健師6人の応援に加え、県議団の要請にこたえ、来年度新規採用予定の内2名の前倒し採用がされています。
国は、全国の保健師増員を求める声に押され、感染症対応の保健師を全国で2年間をかけて1.5倍、約900人増員する地方交付税措置をおこなうとされています。しかし兵庫県では、53人の感染症対応保健師に対し、来年度の増員は7人、前倒し2人を除くとわずか5人にとどまっています。さらに国は感染症対応以外の保健師増員の財政措置をおこなうとしていますが、兵庫県では反映されていません。保健師のさらなる増員が必要です。
和歌山県では、全国で行革による保健所統廃合が推し進められた時、災害や新たな感染症に対応するには保健所を減らすべきでないと10カ所の保健所を8カ所へと2カ所の削減にとどめています。この体制の維持が、新型コロナ感染症の発生当初から、徹底した検査と追跡、保護・入院措置を行う「和歌山モデル」を実践し、感染者の抑え込みに成功しています。
兵庫県において、さらに保健師を増員するとともに、半減してきた保健所を増やすなど保健所体制の強化を図るべきです。特に、芦屋健康福祉事務所を宝塚健康福祉事務所の分室とすることを進めるべきではありません。
そこで、感染拡大を防ぐためには、検査と追跡、保護・入院の徹底を行う保健師を国の交付税措置にみあう大幅増員を行うとともに、削減してきた保健所の増設など保健所体制の強化を図ること。芦屋健康福祉事務所の分室化は中止することを求めます。
○当局答弁 本県の健康福祉事務所の保健師については、令和2年度、地方交付税算定上の措置人数112名に対して、正規職員116名、再任用職員12名の合計128名を配置し、新型コロナウイルス感染症への対応、精神保健、難病などの業務に対応してきた。また、クラスター発生など感染症業務の急増に対しては、外部から保健師や看護師などの応援を得るとともに非常勤の看護師を追加配置するなど応援体制を構築してきた。
令和3年度の地方交付税上の保健師措置人数は、感染症対応など18名増加させ130名となる見込みである。県では新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するため、保健師を7名増員し、正規職員は123名、再任用職員を12名、合計135名を配置するとともに、引き続き応援体制の構築や非常勤職員の配置を進め感染拡大防止に取り組んでいく。
県内の健康福祉事務所は、国の保健所設置指針に基づき2次医療圏域毎に一事務所の配置を基本とし、人口又は面積が圏域平均の概ね2倍を超える地域には複数配置している。現在、政令・中核市で5カ所、県所管で12ヶ所を適正に設置し運営している。
とりわけ阪神医療圏域においては保健所設置指針を上回る5カ所の健康福祉事務所が配置されている。芦屋健康福祉事務所は、阪神南県民センター・阪神北県民局の統合方針において、宝塚健康福祉事務所芦屋分室に改組し、分室業務は窓口業務に特化することとしている。
今後、新型コロナウイルス感染症への対応状況を踏まえ、芦屋市に係る感染症対策、難病、精神保健などの業務を宝塚健康福祉事務所に集約するか芦屋分室で実施するについて、引き続き検討する予定である。
いずれにしても、芦屋市が担う保健福祉行政との連携を強化し、住民サービスが大きく低下しないよう配慮するとともに、利便性の向上を図ってまいりたい。
病院への減収補填、財政支援について
3項目目は、病院への減収補填、財政支援についてです。
今、コロナ受け入れ病院、コロナを受け入れていない病院双方がコロナ禍のもと経営悪化に見舞われています。
特に、元々コロナ受け入れ病院でなくクラスターが発生した病院では、多くで感染患者が転院できず留め置きになったため保健所の指示により空床・休止病床が生み出され、莫大な損失をおっています。昨年12月~1月末にかけてクラスターが発生した阪神間のある医療機関では、転院がかなえられず、留め置きにより入院・外来・手術全てストップしたことから、約3億円の減収を見込んでいます。クラスター発生で留め置いた場合、みなし重点医療機関とされ空床・休床補償が支給されることになりましたが、病院全体の機能を保健所の指導によりストップした以上、感染者が発生した病棟だけでなく、病院全体の空床・休止病床について補償が必要です。
一方、コロナ患者を受け入れていない医療機関も昨年春の緊急事態宣言以降、感染回避のための受診抑制により、外来、リハビリ、健診の減少、手術の延期などで著しく減収し経営悪化が深刻です。
2月16日公表された日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の調査結果によると、この冬のボーナスを減額した病院が全体の4割に上り、第3波が拡大した昨年11月以降再び収支が悪化し、夏に比べ経営状況が厳しくなっているとの認識が示されました。このまま続けば疲弊しきって、地域医療を維持することも困難な状況です。
医療機関は、災害時と同様に前年の収入相当の概算払いを繰り返し求めおり、地域医療を存続させるためにどうしても必要です。クラスターが発生した医療機関には病院全体の空床・休止病床について国と県が補償をすべきです。お答えください。
○当局答弁 新型コロナウイルス感染症は、受入病院を含め多くの医療機関に経営上の影響を及ぼしている。そのため県では、診療報酬の加算や空床補償単価引上げに加え、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金事業の拡充、弾力的な運用を国に要望してきた。
また県としても、受入医療機関には空床補償の独自上乗せや運営経費の支援を、その他の医療機関には院内感染防止対策経費等の支援を行ってきた。併せて、最大3年間無利子、保証料全額を免除する「新型コロナウイルス感染症対応資金」を創設するなど医療機関の資金繰りも支援してきた。
国においても、福祉医療機構の融資制度について無利子枠や無担保枠の拡充や、収入が減少した医療機関に令和2年5月分の診療報酬について一部概算払いも実施した。また受入医療機関には、空床補償単価や陽性患者の入院診療報酬の引上げを、一般医療機関には、回復患者の転院受入れや小児外来診療の特例加算も実施している。さらに、新年度は9月末までの間、感染予防策を講じた全ての患者の診療報酬について加算を行うこととしている。県としても引き続き医療機関の状況を注視し、必要な場合は国に要望する。
新型コロナ受入病院以外の医療機関でクラスターが発生し、陽性患者に対応した際には、受入機関と同様に運営経費を支援する。さらに、看護体制を区分し専用病棟等を確保して対応する場合は、当該病棟だけでなく、看護師等の応援のため休止した病棟も対象として、重点医療機関並の空床・休床補償を行う。
今後とも、検査体制の充実に努め、クラスターの発生・拡大を防ぐとともに、万が一クラスターが発生した場合は、感染拡大防止や運営費の支援などを積極的に行っていく。
コロナ禍における中小業者支援について
4項目目は、コロナ禍における中小業者支援についてです。
消費税10%への増税による景気悪化、その上のコロナ禍のもとでの緊急事態宣言により、二重苦、三重苦を強いられている中小業者に直接届く支援策強化が求められています。
コロナ禍での兵庫県内の経済状況は、東京商工リサーチ神戸支店の調査では、昨年、休廃業・解散企業は前年より91件増え、1,428件、全国8位です。業種別では飲食業を含むサービス業が386件と最多、次いで建設業294件です。年度末に向けてさらに廃業者増が危惧されています。
今、中小業者は従業員とともに、コロナを何とか乗り越えたいと必死の努力をしています。しかしコロナ禍での売り上げ減、家賃や人件費などの固定費が重くのしかかり危機的状況に追い込まれています。影響を受けるすべての事業者に対し、損失等に見合う充分な補償を行うべきです。
しかし、政府は中小企業は生産性が低く、新陳代謝が必要だという中小企業淘汰論のもと、コロナ禍での支援の長期化は新陳代謝が阻害されるとし、中小業者の「命綱」とされてきた持続化給付金、家賃支援給付金を一回限りで打ち切っています。
「緊急事態宣言」により影響を受けた事業者に対し、個人30万円、法人60万円の一時金を支給するとしていますが、要件が厳しいうえに額も少なすぎます。
県は、営業時間の短縮要請に応じた飲食店へ1日6万円、解除後は、1日4万円の協力金を支給しますが、十分ではありません。
中小企業を支援する自治体独自の取組も広がり、徳島県は2月1日から飲食店または喫茶店の営業許可を受けている店舗に最大50万円の応援金を支給する事業を開始しました。県内でも神戸市はコロナの影響を受けた中小企業に家賃半額を補助することを発表しています。
中小企業振興条例を制定している県として、飲食店に限らず影響を受けるすべての中小、小規模事業者に対し、県独自の支援制度をもうけて、事業者支援の強化を求めます。時短要請に応じた飲食店への協力金は、事業規模による額とし、定休日も含め全期間の支給とし、早急に事業者に届けることを求めます。
また持続化給付金と家賃支援給付金を要件緩和し再給付を行うとともに、一時金についても要件緩和と額の引き上げ、雇用調整助成金の特例措置のコロナ収束時までの延長、消費税の5%減税を国に求めるべきと考えますがご答弁ください。
○井戸知事答弁 コロナ禍に対応し、県ではこれまで、休業支援金、事業再開支援金、商店街による消費喚起、飲食店の持帰り・出前の促進、地場産業の新事業の展開、県内産業のデジタル活用など業種特性に応じた大規模な給付や補助に取組んできた。
これらは国交付金を活用して行ったものである。一般的には災害など大規模リスク時の自治体の取組としては、より広く多くの中小企業に資金を供給できる融資の役割が大きい。低利かつ保証料等軽減を図ったコロナ貸付の融資額は既に1兆円を超えた。新年度も融資枠8千億円とし、保証料の3/4を補助する伴走型支援特別貸付の新設など資金対策を行うこととしている。加えて、商店街・地場産業・スタートアップ等、きめ細かい中小企業活性化を展開する。
時短協力金は、本県では営業日に対する協力金として支給するため、定休日は支給対象から除いている。一方、休業支援金は事業者単位で支給したのに対して、時短協力金は店舗数に応じた支給とし、事業規模を一定程度反映できるようにした。早期支給のため、緊急事態宣言延長前の2/7までを第1期、それ以降を第2期とし、第1期分は2月末より支給を開始し、第2期分は再度の提出書類をできる限り省き、申請の手間と審査のスピード化を図っている。
持続化給付金や家賃支援金の要件緩和・再給付、一時支援金の要件緩和・額の引上げ、雇用調整助成金の特例措置延長等については、国に対し、全国知事会等を通じて要望している。
一方、消費税は、社会保障の充実や幼児教育・保育の無償化等を支える財源であり、安定的に税収を確保することは、今後の日本の財政構造の安定化に必要な措置と考えている。
国関係施策の拡充については、今後も機会を捉えて現場の実情に即するよう国に働きかけを行い、中小企業が直面する課題に応じたきめ細かな支援を国と連携していきたい。
少人数学級の拡充について
5項目目は、少人数学級の拡充についてです。
全国知事会などによる少人数学級を求める緊急提言や学校関係者などの世論がひろがるなか国は、40年ぶりに公立小学校の学級編成標準を全学年で35人に引き下げ、来年度から段階的に実施する予算を計上しました。また菅首相は、わが党の質問に応え、公立中学校での35人以下学級についても検討するとしました。
しかし教育現場では、「20人程度の分散登校は、子どもたちは落ち着いて学習し、登校をしぶっていた子どもも安心した表情で学校生活を送っていた」などと少人数学級の効果が実感され、段階的ではなく、一刻も早い実現を求めています。
兵庫県では、党県議団が100回を超える質問を繰り返す中、2004年に、全国に先駆けて小学1年生の少人数学級を導入、2008年には小学4年生まで拡充しました。5、6年生については「教科担任制」「少人数授業」を組み合わせた「兵庫型教科担任制」が導入されましたが、1クラスが40人学級となり、学習、生活の両面で一人ひとりにきめ細かな指導ができないというのが現場の声です。
近畿6府県では、すでに京都、滋賀、奈良、和歌山が中学3年生まで35人以下学級になっており、小学校2年生までで止まっている大阪府の次に遅れている兵庫県は、もはや少人数学級後進県です。
小学校5,6年生と中学全学年で35人学級を編成する場合、昨年5月1日現在の児童生徒数で試算すると、549の学級増が必要です。新学習システムに関わる今年度の加配定数1375人のうち小学校2~4年生の少人数学級編成活用分を除くと1041人となります。この加配定数分を活用すれば、中学校3年生までの35人学級の実現は十分可能です。さらに教職員を増やし、欧米諸国であたりまえとなっている20人、30人学級に道をひらくべきです。
県は、国の学級編成標準の改定を機に、新学習システムの在り方を検討するとしていますが、来年度の教職員定数で74人削減しようとしています。本末転倒です。
国の措置を踏まえ、来年度、群馬県が新たに小中学校全学年を少人数学級の対象にしたのを初め、15道県が少人数学級の独自施策を拡充しようとしています。
教職員定数を削減せず、教職員をふやし、加配定数も活用しながら、まず小学5,6年生、中学生全学年で35人学級制の導入を求めます。さらに20人、30人学級実現のための教職員定数を拡充することを求めます。国に対し、小学校の少人数学級の前倒しと、中学、高校までの少人数学級の措置を要請することを求めます。ご答弁ください。
○当局答弁 学級編制のあり方及びそれに伴う教職員定数の改善は、義務教育の機会均等とその水準確保等を保証する責務を有する国において必要な措置を講ずるべきものと考えている。
こうした中、義務標準法の改正により、小学校における学級編制の標準が、令和3年度から5年かけて学年進行で35人となることは、歓迎すべきことである。
しかしながら、①35人学級に必要な定数は、すでに措置されている加配定数からの振替となり、教職員定数の総数に大幅な増はないこと、②令和4年度には、国の制度として小学校5・6年生に教科担任制が導入されることから、本県が行っている教科担任制と少人数授業を組み合わせた兵庫型教科担任制を中心とした新学習システムを改める必要がある。
このため、来年度「新学習システムあり方検討委員会」を設置し、兵庫らしい指導体制が維持できるよう、中学校も含めて、新しいシステムの構築を検討する。既に、小中高校について少人数学級の早期実現を、高校についてはさらに習熟度別少人数指導の充実を、国に提案しているが、今後も必要となる定数改善等を積極的に国に要望していく。なお、教職員定数条例における、教職員の74人の減は、標準法に基づき算定したもので、児童生徒数の減少に伴うものである。
武庫川の総合治水対策について
6項目目は、武庫川の総合治水対策についてです。
今回は、下流域の対策に絞って質問します。
武庫川の下流域の流量の基準点は、甲武橋となっていますが武庫川の低水路幅は、この甲武橋上流の7号床止め堰付近は、約190m、JR線鉄橋下流の3号床止め堰付近では、約130mしかなく、洪水の時は、下流の水位が高くなり、危険水位となり易くなっているのが特徴です。洪水をいかに速やかに安全に下流に流すのかが最大の課題で、「武庫川水系河川整備計画」に基づいて推進することが求められています。
県では、「河川対策アクションプログラム」を「地域総合治水推進計画」に位置づけ、事前防災対策を重点的に進めようとしていますが、頻発する豪雨災害のなかで、「武庫川水系河川整備計画」で位置づけられる、河川整備や堤防補強、貯留施設や遊水地の整備、水田や森林の保護・涵養などの総合的な治水対策の前倒し実施が求められているのではないでしょうか。
越水対策として、堤防補強は、人家側の法面補強が残っており、河川対策では、河床掘削と,阪神武庫川駅の橋脚の補強も新年度予算案に盛り込まれていますが、計画では、10年後の2030年度と遅れています。そして河口部の流れの最も障害となっているのが阪神武庫川駅下流にある潮止堰で、地下水の塩水化対策とも合わせ、その撤去が急がれます。
武庫川水系河川整備計画の目標流量を一日も早く確保し、堤防の人家側法面の補強と、河川対策では、地下水の塩水化対策と合わせて潮止堰を撤去すること。また、河床掘削と阪神武庫川駅橋脚の補強を早急に行い、下流域を豪雨災害から守ること求めますがご答弁ください。
○当局答弁 武庫川の下流部築堤区間については、令和12年度を目標年次とした河川整備計画に基づき、計画的に河川改修を進めており、順調に進捗している。
堤防の人家側法面の補強については、浸透対策として必要な区間7.3kmの整備を平成29年度に完了した。今後は、超過洪水に備えた法面の根元部分の補強を行うこととしている。来年度、国道2号下流の西宮市側約0.7km区間で工事を行う。
河床掘削については、河口からJR東海道線間の全体計画約100万m3のうち河口付近の約12万m3が今年度末までに完了する。来年度は、引き続きその上流側で約13万m3の掘削を行う。
潮止堰の撤去については、阪神武庫川駅の橋脚に近接しているため、橋脚補強の完成後に着手する必要があり、また地下水の塩水化対策のための遮水矢板の設置も必要である。遮水矢板は、全体計画約3.8kmのうち、既に約1.8kmが完了しており、来年度は約1.1kmを施工する。
阪神武庫川駅の橋脚補強については、現在、詳細設計を行っており、来年度の非出水期から工事着手する。
今後とも、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を活用し、下流部築堤区間の早期完成に努める。
名神湾岸連絡線計画の中止について
最後に、名神湾岸連絡線計画の中止についてです。
名神湾岸連絡線計画は、西宮市域での都市計画と環境影響評価の手続きが進められ、1月29日、県の都市計画審議会で日本共産党が反対表明する中、計画案が決定され、国土交通省近畿地方整備局は、2月25日から3月11日まで環境影響評価書を縦覧すると発表、国と兵庫県は、いよいよ事業化に向け、前のめりに進めようとしています。
しかし、住民からは、「道路が4層にもなるジャンクションになれば、広範囲に立ち退きになる」「橋脚によってコミュニティが分断される」「酒蔵への影響はないのか」「実施区域の学校など環境影響調査をしてほしい」などの声が今もなお、溢れています。
環境影響評価準備書に対する市長の意見では、専門部会の意見を踏まえ、最低限の環境基準等を満たすという視点でしか対策が示されていないとして国に対し環境保全対策を求めています。連絡線ルートについても、周辺に住居や学校、福祉施設等が位置し、事業実施による生活環境への影響は大きいと指摘しています。
住民への配慮では、①事業目的や環境影響などについて住民に十分な説明を行い、要望・苦情などに適切に対処すること②事業実施の段階で積極的に情報を発信し、丁寧な説明で十分な合意形成を図ることを求めています。
騒音や振動については、現況から大幅に数値が増加しており、学校や住居等が存在する周辺への影響が大きいと思われると指摘。事業の実施に当たり、沿道環境の改善という目的を達成するために複数の環境保全措置を検討し、可能な限り環境影響を回避・低減すること。微小粒子状物質PM2.5についても予測手法が確立されていないことを理由に予測・評価が行われていないが関係機関と連携し、必要に応じて対策を検討することを求めています。
特に、地域からは、東西に国道43号、阪神高速3号神戸線が横断し、加えて中央部に28メートルのビルに匹敵する巨大なジャンクション、大規模な高架構造物が南北に縦断することで地域が分断される今津地域について、地域コミュニティを維持できるよう強く要望しています。
県も国交省への第2次審査意見書で、市の伝統産業である清酒造りに不可欠な宮水の保全区域内での工事を伴うことから、環境保全措置を着実に実施することを求めています。沿道環境の改善という目的一つとっても、一番大切な住民合意は、得られていません。
コロナ禍のもと、優先させるべき新型コロナウイルス感染症対策、武庫川の河川改修など防災・減災対策にこそ予算を振り向けるべきであり、住民合意が得られていない名神湾岸連絡線計画の中止を国に求めるべきと考えますがご答弁ください。
○当局答弁 名神湾岸連絡線は、名神高速道路と阪神高速湾岸線を結び、大阪湾ベイエリアの高速道路ネットワークを形成する重要な道路である。阪神高速3号神戸線の渋滞緩和、阪神港等の物流機能の強化、関西3空港の一体運用の支援など、大きな効果が期待できる。
これまで、計画段階評価を経て、周辺環境への影響とその対策をとりまとめる環境影響評価、ルートや構造を決定する都市計画の手続を進めてきた。先月25日に都市計画決定告示を行い、また同日から今月11日まで環境影響評価書の縦覧を行っている。
これら手続の各段階では、図書の法定縦覧だけでなく、オープンハウス形式の対話型説明会を阪神西宮駅など5駅で開催したほか、コロナ対策にも配慮して環境影響評価の説明会を12回に回数を増やして開催し、道路の模型やフォトモンタージュを活用した、わかりやすい説明に努めてきた。
これらの手続が完了したことを踏まえ、国は、直轄道路事業として、令和3年度からの新規事業化を判断する新規事業採択時評価の手続に着手することを、先月26日に公表した。県としては、国に対し、令和3年度からの事業化とともに、事業中の大阪湾岸道路西伸部に遅れることなく開通できるよう、着実な整備促進を求める。
事業実施にあたっては、ご指摘のあった環境保全措置の着実な実施や地元住民に対する丁寧な対応を国に働きかけるとともに、県としても、西宮市と連携し、事業が円滑に進むよう、必要な調整に積極的に取り組む。
なお、防災・減災対策については、国の5か年加速化対策等を活用して予算を拡大し、事前防災対策の加速化と広域災害に備えた基幹道路のネットワーク化に重点的に取り組んでいく。