議会報告

  • 2021年02月17日
    本会議

    第353回本会議 2021年補正予算質疑 ねりき恵子

    日本共産党県会議員団を代表して、本補正予算案についての質疑を行います。

    1.高齢者施設等での社会的検査の拡充について

    はじめに、PCR等検査の社会的検査の実施についてです。

    検査機能に充実として、「社会福祉施設新規入所者等へのPCR検査の実施」の予算が計上されていますが、あまりにも対象が少ないと言わざるをえません。

    新型コロナウイルス感染の最大の特徴は、無症状感染者が無意識のうちに、感染を広げていることであり、無症状感染者をいかに早く発見し、保護するかが感染拡大防止に決定的であり、ノーベル生理学・医学賞受賞者大隅良典氏も「リスクの高い医療機関や高齢者施設では毎週検査することが重要だ」指摘しています。

    厚労省も、2月4日の事務連絡で、無症状感染者を補足することを最大の目的として3月末までのPCR等検査の「集中的実施計画」策定を求めてきました。

    ところが、2月15日に発表された県の実施計画は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など高齢者の長期入所施設等の従事者に対し1回のみで、さらに、赤穂・豊岡・朝来・丹波保健所管内は対象地域から外すなど対象を絞っているもので全く不十分です。

    神奈川県では、今年度中に高齢者・障害者施設で働く全職員を対象に、2週間に1回のPCR検査の予算32億円が予算提案されました。福岡県も、高齢者・障害者施設の職員に月一回のPCR検査を1月から開始、広島県、長崎県、沖縄県をはじめ社会福祉施設や医療機関の職員を対象にした複数回の検査実施計画が各地で明らかにされています。また、東京では施設が行う自主検査への補助が行われているところです。

    本県でも、いち早く感染拡大を止めるため、高齢者・介護施設はもとより医療機関、障がい者施設など社会福祉施設の従事者、入所者、入院者全ての関係者を対象にしたPCR等による一斉・定期的検査実施体制の確立をはかることを求めます。その際、プール検査の導入や、医療機関や社会福祉施設等が行う自主検査に対する費用補助など効果的な方法も検討すべきと考えますが、お答えください。

    ○当局答弁 本補正予算の、「社会福祉施設新規入所者等へのPCR検査」については、希望する高齢者施設、障害者施設等を対象に検査を実施するものであり、施設へのウイルスの持ち込みによる施設内感染の防止に寄与すると考えている。

    2月4日の国事務連絡では、本県を含めて、緊急事態宣言の対象である都府県に対し、「感染多数地域における高齢者施設の従事者等の検査の集中的実施計画」の策定が求められた。

    県では「集中的実施計画」における感染多数地域として、11月からの患者発生数が人口10万対100人を超える8保健所管内を指定するとともに、対象施設についても特別養護老人ホームなど「重症化リスクの高い医療・介護を必要とする高齢者が長期入所する施設」を設定した。

    なお、この計画に基づく検査は、感染者の早期発見により、事業継続を支援することを目的として、3月中を目処に、集中的に行っていく。

    今後、対象地域や対象施設の拡大については、「集中的実施計画」の結果や県内の感染状況等を踏まえ、次の段階において検討していく。

    引き続き、医療機関や介護施設等において陽性者や濃厚接触者が確認され、感染拡大やクラスターの発生が懸念される場合には、濃厚接触者だけでなく幅広く関係者を検査対象とするなど、感染拡大防止に必要な検査を実施していく。

    2.事業者への支援強化について

    次に、苦境に陥っている事業者への支援強化についてです。

    補正予算には「商店街お買い物券・ポイントシール事業の拡充」など経済対策メニューもありますが、事業者への直接支援を強めることが急がれます。

    このたびの緊急事態宣言のもとで、午後8時以降も営業していた飲食店には時短要請協力金が支給されますが、同時に、感染拡大防止を目的とする緊急事態宣言のもとで人出が減少し、飲食店に限らず売り上げが減少し経営難に陥っている事業者が多数生まれています。県内の2020年の休廃業・解散件数は1428件にものぼり、前年比6.8%・91件増で、サービス業、建設業、小売業が上位を占めています。時短要請の有無に関わらず地域経済を支える中小零細業者への直接支援が必要です。

    ある旅行業にお話を聞くと、2020年の取扱高は前年のわずか16%に激減、営業収入も前年の31%に。本社事務所も縮小し、あらゆる経費のカット、税納入猶予、融資制度も活用しながら必死の営業努力をしているが、新年度には融資の返済、社会保険等の納付再開で資金繰りがさらに厳しくなり、営業存続の危機に陥っています。

    多くの事業者が新型コロナの影響を受け、緊急事態宣言等でさらに苦境にたたされています。

    そこで、県の時短要請協力金は迅速に支給するとともに、他府県と同様に、定休日も含めた要請期間を支給対象とすること。県内企業を支援し、コロナ危機を乗り越えるためにも特定業種にかぎらず、損失補填としての補償を実情に応じて支給すること。また、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付を国に強く要請することを求めます。

    ○当局答弁 コロナ禍は、多くの中小企業に影響を与えている。こうした状況をふまえ、本県では、休業や感染防止対策に対する支援金はもちろん、事業継続と経営立て直しのため、コロナ融資を基軸に、商店街、地場産業、ものづくり、観光など様々な分野でこれまでに例がない大規模な補助や貸付を行ってきた。融資実行は既に9,875億円に達する。

    時短要請に応じた飲食店に対する協力金は、売上減少の下支えとなるものではあるが、財源を措置している国において営業損失への補償ではなく、あくまで協力金とされている。

    本県では、この協力金に関し、県民の理解を得つつ公正に支給する観点から、定休日は除き、時短に協力いただいた日数に応じて算定することとしている。併せて、本来、時短要請が終了した後3/8から申請を受けるべきところ、迅速な支給のため、緊急事態宣言延長前の2/7までとそれ以降で申請を分け、まず前半分を今月下旬から支給開始するとともに、後半分の申請では提出書類を最小限にし、申請の手間と審査の効率化を図る。

    加えて、持続化給付金、家賃支援給付金について、国に対し、全国知事会を通じて再給付を要望している。今後も機会を捉えて働きかけるなど、中小企業が直面する状況に応じたきめ細かな支援を国と連携して継続する。

    3.大学生への学びの支援について

    次に、大学生の支援についてです。

    補正予算では、「高校生等奨学給付金の拡充」があげられていますが、大学生等への支援策はありません。

    県内の青年団体の行った大学生の実態調査では、「アルバイト収入が激減し、学費の支払いにも、生活するのも困難」「入学後、一度も大学に行けていない学生がいる一方、オンライン授業により、パソコンやタブレット、電子ペーパー代など、さらなる出費がかさみ厳しい」など切実な実態が寄せられています。

    国の「学生支援緊急給付金」は、要件が厳しく、希望する多くの学生に支給されていません。県立大学でも、794人の申請者に対し、支給されたのは657人で、137人は希望しても給付が受けられませんでした。県は、県立大学の学生に対し、授業料や入学金の減免等、独自の支援を行っているところですが、県として、困窮する県内大学生への支援が急務です。

    具体的には、国の「学生支援緊急給付金」について、支給要件を緩和し対象を広げ、再度の募集を行い、学生本人に直接通知することを国に強く要請すること。また、兵庫県独自の支援制度を創設し、県として経済的に困難を抱える学生への支援を行うべきと考えますが、知事の英断を求めます。

    ○当局答弁 大学生への学びの支援については、令和2年4月に国の高等教育修学支援新制度が導入され、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生に対し、段階的に授業料・入学金の減免と奨学金の給付が行われている。加えて、独自の授業料減免等を実施している大学もあり、県立大学においても、国制度の所得上限(年収約380万円)を超えて対象とする独自の授業料減免について、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、入学料や入学年次の前期授業料の減免対象への追加など、支援制度の拡充を行っている。

    さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で家計が急変した学生に対しては、国は、見込所得により修学支援新制度の対象とするとともに、アルバイト先の休業等により大幅な収入減となった学生に「学びの継続」のために必要な「学生支援緊急給付金」の支給を行った。

    学生支援緊急給付金については、アルバイト収入の大幅減や家庭からの自立等、原則となる支給要件はあるものの、各大学において申告状況等を踏まえた総合的な判断を行うことが可能となっている。県立大学では、アルバイトをしていないなど制度の趣旨に合致しない学生を除き、支援が必要な学生からの申請については推薦を行い、給付が行われたものと承知している。

    学費等負担の軽減については、教育機会確保の観点から、まずは低所得層を中心に全国的な対応として、支援の拡充が必要である。高校生の就学支援金より要件が厳しい国の修学支援新制度の所得要件の緩和や、支援対象経費の拡充など、学生が利用しやすく実効性ある支援の充実に向け、国に対し引き続き要望していく。

    このような取組を通じ、今後とも、県内で大学生が安心して学びを継続できる環境づくりを進める。

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