議会報告

  • 2020年10月13日
    予算・決算特別委員会

    2019年度決算特別委員会 県土整備部 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 日本共産党県会議員団尼崎市選出の庄本えつこである。

    武庫川水系河川整備計画に関わって質問をいたす。

    1問目である。

    近年、頻発する豪雨は大きな被害を各地にもたらせ、尼崎においては、武庫川の河川整備が急がれるところである。

    武庫川で決壊のおそれがある危険地域は宝塚地域と尼崎市南部で、もし武庫川が氾濫したら、尼崎市は広範囲に浸水、西宮市も南部が広範囲に浸水することが予想され、命と財産を失うことにつながる。尼崎、西宮、宝塚、伊丹の都市部の被害損害額は全国1位とも言われている。武庫川の近くの住民にとって、台風や大雨時の氾濫は他人事ではなく、大きな心配事である。今や長時間集中豪雨は想定外ではなく、近い将来にでも起こり得る。武庫川が決壊したら財産を失う不安が大きい。高齢者は再建など無理などの切実な声が上がっている。

    武庫川は想定氾濫区域内人口が全国10位でありながら、二級河川であるので、県管理であるので、河川対策整備は当然県が責任を持って行う。これはある意味、強みなのではないかと思っている。国管理ではなく、身近な県だからこそ、その川のことをよく知ることができ、県民とともに一番よい方法で河川整備ができると考える。

    さて、武庫川には、大雨時の水位を測る場所は武庫地域の甲武橋と南に位置する大庄地域の小曽根がある。2018年7月5日の豪雨のとき、甲武橋では避難水位まで88センチメートルあったが、同時刻の小曽根の最大水位は4.62メートルまで上昇、避難判断水位の4.7メートルまでわずか8センチと迫った。河口部分の整備が本当に急がれる。

    今、甲武橋以南において堤防の強化、河道掘削など河口部分の流下能力を大きくすることを目標に工事が行われている。県として、水を流れやすくするために、河床は砂がよいのか、砂利がよいのかとか、勾配はどうするのかなども計算し、最良の方法で行っていただいていると考えるが、その進捗状況についてお伺いする。よろしくお願いする。

    ○武庫川総合治水室長(八尾昌彦) 武庫川下流部では、河口からJR神戸線までの5キロメートルの区間で、低水路拡幅、橋梁かけ替え、河床掘削等、流下能力を向上させる工事を進めている。また、南武橋から仁川合流点までの区間で堤防強化を行っている。

    低水路拡幅については、令和元年度までに全2.7キロメートルのうち約1.7キロメートルが完成し、今年度は200メートルの区間で工事を実施する。また、橋梁かけ替えについては、南武橋の上部工を施工中であり、令和4年度の供用開始を目標に工事を進めている。河床掘削については、低水路拡幅が一定程度進捗したことから、令和元年度より本格的に着手しており、令和2年度は約9万立方メートルの掘削工事を実施する。

    堤防強化については、堤防内の地下水位を低下させる浸透対策全7.3キロメートルと、洪水による堤防の洗掘を防ぐ侵食対策全6.2キロメートルを令和元年度末に完了した。

    激甚化・頻発化する豪雨に備えるためには、武庫川の事業を更に加速化する必要がある。今後も予算確保に努め、武庫川下流部の治水安全度の早期向上に取り組んでいく。

    ○庄本えつこ委員 午前中の竹尾委員とダブる質問ではあるが、尼崎の特に大庄地域の方々がとても心配していることなので、改めて私のほうからも質問をさせていただいた。

    次に、尼崎市内の流域貯留対策についてである。

    先日、共産党の尼崎市議の呼びかけで、武庫川地域の住民が自主的勉強会として、西宮土木事務所や尼崎市の災害対策課、河港課にお願いして出前講座を行った。参加者は大変有意義だったが、同時に避難するしかないのかという感想を寄せている。

    そこで、総合治水の「ためる」についてお伺いする。

    尼崎市は、工事費100億円をかけ、山手幹線と尼宝線道路の地下に3キロメートルにわたり学校のプール80杯分、2万トンの雨水をためる雨水貯留管建設を計画している。住民の皆さんは、この貯水管について大反対をしているわけではないが、100億円かけることや、完成が8年後あるいは10年後になるかもしれないということで、疑問や不安の声を上げている。

    私は、毎年のように起こる豪雨災害に対応するために、学校の校庭や公園やため池などに雨水を一時的にためて、流域からの流出量を減らすことも急ぐ必要があると考える。この方法は、例えば武庫地域に限っても、校庭とか学校とか周囲堤をめぐらせてためるということをすれば、合わせて1万8,000トンの水をためることができると計算されている。ですから、本当に尼崎中の公園とか校庭とかを活用すれば、雨水貯留管工事よりもずっとたくさんの水をためることができるし、また、工事費用も約100億円の10分の1程度でできると言われている。

    県は、「ためる」を流域対策として推進しようとしているが、尼崎では県立尼崎高校と市立双星高校のみである。武庫川総合治水室にお聞きすると、水をため、流した後、グラウンドが荒れるなどの理由で、学校側の理解が得られないとのことであった。これについては、例えば浸透しやすい土を使うとか、グラウンドの下に透水管を入れるなどの工夫で解決できるのではないだろうか。水はけがよくなるので、大雨のときだけでなく、ふだんの雨でも使いやすくなるはずである。豪雨に備えて大変有効だということもしっかり伝えていただき、県が主導して進めていってほしいと思うが、いかがだろうか。

    ○総合治水課長(勝野 真) 流域対策については、総合治水条例に基づき、県、市町、県民が相互に連携・協働して推進している。

    これまで、県下で利水ダム等43基、ため池316ヵ所、校庭89校、公園12ヵ所などにおいて合計約6,800万立方メートルの治水活用容量を確保してきた。

    このうち、市立の施設について見ると、例えば西宮市では、水道ダムの丸山ダムであるとか、市立の上甲子園中学校など55校の小中学校、それから市立の瓦林公園で流域対策を実施している。

    一方、尼崎市では、市立の尼崎双星高校1校、市立のもすりん橋公園など3ヵ所での実績となっており、取組が進んでいない。これまで、尼崎市に対し、武庫川流域総合治水推進協議会の学校・公園・ため池貯留の専門部会において、西宮市など他の自治体の事例を紹介するなど、取組の推進を働きかけてきたが、市の財政状況から予算確保が難しく、学校施設の老朽化等を優先せざるを得ないと聞いている。

    今後は、尼崎市に対して、先行する西宮市が流域貯留施設を下水道計画に位置づけることで、国の交付金事業の予算を確保した事例などを示し、流域対策の推進を働きかけていく。また、市の財政負担を軽減できるよう、交付金事業の補助率のかさ上げ等についても、引き続き国に要望していく。

    今後とも、校庭、公園等を活用した流域対策に、県、市町、県民と連携・協働して取り組み、県民の安全・安心を確保していく。

    ○庄本えつこ委員 整備した近所の方たちにはとても喜ばれているとお聞きしているので、ぜひ積極的に進めていただきたいということを要望して、次の質問に移る。

    園田西武庫線藻川工区についてである。

    東園田地域住民の皆さんは、園田西武庫線について、もう少し住民の声を聞き入れていただきたいと思っている。現在の計画のまま進められれば、騒音、排気ガスなどの大気汚染、日照、景観悪化など、住環境に大きな影響を及ぼすことを心配し、また、用地収用が2メートルから4メートルに変更されたことへの不満を抱き、その影響を最小限にしたいと、設計など計画の見直しを求めている。

    具体的にお聞きする。

    南北に通る、いわゆる「疎水の道」を分断しない工夫、設計にしてほしいとの要望である。道路計画では、制限速度50キロで想定して5%の傾度にしているが、標準は傾度6%であり、時速50キロの制限速度、最高傾度は8%である。50キロにこだわらず、制限速度を時速40キロにして傾度8%にすれば「疎水の道」を残すことができる。いかがか。

    ○道路街路課街路担当参事(古川雅一) 都市計画道路園田西武庫線は、大阪府と接続する尼崎市北部の東西幹線である。都市防災機能の向上に資する重要な道路であり、早期の整備が必要である。

    疎水の道は、藻川東側の東園田地区を南北に通る市道である。この市道は、園田西武庫線の新藻川橋から東園田地区へ降りるスロープの途中にあるため、園田西武庫線を横断することはできない。このスロープの縦断勾配については、自転車利用が多い尼崎市の特性に配慮する必要があるので、「自転車道等の設計基準」の規定を適用し、自転車が安全に通行できる5%で計画している。

    このため、疎水の道が園田西武庫線を横断できるようにするには、スロープ部の勾配を5%より急にする必要があり、自転車の安全確保の観点から、疎水の道の横断を実現することは困難と考えている。横断に際しては、50メートル東に信号交差点があり、安全に通行できるので、歩行者や自転車はそちらを利用していただきたいと考えている。

    今後とも、地元住民のご理解を得られるように丁寧に説明を行っていく。

    ○庄本えつこ委員 疎水の道はとても落ち着いた道で、地域の人たちの散歩コースにもなって、本当に親しまれているところである。この景観を壊していただきたくないというのが地元の声であるので、再度、そのことを申し上げたいと思う。

    次に、県は路肩幅員というが、車道を横に造り、1メートルの自転車道についてである。

    道路構造例には、この幅員0.5メートル、0.75メートル、1.25メートルという規定はあるが、1メートルという規定はないはずである。また、1メートルでは狭過ぎて、追い越しも退避もできず、上り坂で自転車通行の安全を図ることはできない。まして大型トラックやバスも通ると言われる片道3メートル、2車線の道路に1メートルの自転車道は、道路に線を引くだけであるから、自動車との接触事故が起こる可能性が高く、大変危険である。

    道路交通法が変わって、自転車は車道を走るのが基本というのはもちろん承知しているが、危険な場所については自歩道ということで、歩道を走ることができる。国交省から出された通告「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」もあり、この場所については、尼崎市自転車ネットワークにも位置づけられているが、市の計画に整備方法は記されていない。園田西武庫線の1メートルの自転車道計画は、危険度から見ると無謀としか言えないと思う。重大交通事故につながりかねない今の計画を変更し、自転車道をなくし、例えば道意線の立花駅陸橋のように、自転車通行禁止道にすべきであるが、いかがか。

    ○道路街路課街路担当参事(古川雅一) 自転車の通行については、本線ではなく、側道と堤防の斜路を通る経路も考えられる。ただ、大きな迂回が必要となるので、本線を利用する自転車は一定の数は残ると考えている。

    このため、国が策定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」において、車両が横を通行しても安全を確保できるとされている幅員1メートルの路側を設ける計画としている。

    今後とも、地権者を含めて地元の住民の方のご理解を得られるように丁寧に説明を行うなど、円滑な事業の推進に努めていく。

    ○庄本えつこ委員 この1メートルというのは本当に危険だと思っている。特に子供さんを自転車に乗せて走るお母さんたちにとっては本当に危険な、普通の道路でも大変危険だと思うので、地元住民の皆さんとしっかりと協議をして、住民合意なしには工事を進めないでいただきたいと申し上げて、質問を終わる。ありがとうございました。

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