議会報告

  • 2020年10月12日
    予算・決算特別委員会

    2019年度決算特別委員会 農政環境部 庄本えつこ

    ○庄本えつこ委員 日本共産党県会議員団、尼崎市選出の庄本えつこである。

    まず、「兵庫県地球温暖化対策推進計画」の改定についてお伺いする。

    今、人類はコロナ危機と地球規模での気候変動という二重の苦難に直面している。9月24日に行われた国連気候変動ハイレベル円卓会議では、グテーレス事務総長が、気候変動対策は喫緊の課題だと改めて訴え、新型コロナウイルス対策と並行した取組の強化を呼びかけた。

    気候変動対策として、最も重要なのは温室効果ガスの排出削減である。今年の2月議会で私自身この問題を取り上げ、兵庫県の地球温暖化対策推進計画での温室効果ガス削減目標の見直しを求めてきたところである。

    現在、県において、兵庫県地球温暖化対策推進計画の改定が検討され、先日兵庫県環境審議会大気環境部会が開かれたところである。

    そこで、現在検討されている2050年、また2030年の温室効果ガスの削減目標と考え方をお答えいただきたい。

    ○温暖化対策課長(呉田利之) 県地球温暖化対策推進計画の改定については、現在、環境審議会で議論いただいている。

    削減目標についての考え方であるが、産業部門では、再エネ導入促進の強化や、国において検討されている非効率石炭火力発電からの転換や廃止を促すこと、家庭部門では、蓄電池や太陽光発電の導入支援など、住宅の省エネ化を促進すること、運輸部門では、燃料電池車や電気自動車の導入支援を行うことなど、あらゆる分野での具体的な取組を議論していただいているところである。その結果、2030年度には35%から38%程度の削減が可能ではないかと試算をしているところである。

    ○庄本えつこ委員 2050年の目標はいかがか。

    ○温暖化対策課長(呉田利之) 私どもは、地域からの脱炭素社会の実現を先導していきたいという思いを持っており、その辺りを踏まえて長期目標というのも、また考えてまいりたいと考えている。

    ○庄本えつこ委員 世界的には2050年はゼロカーボンを目指しているところなので、ぜひ兵庫県もそういう目標を持っていただきたいと思う。国に先駆けて兵庫県が現行の26.5%を上回る目標設定をされているということは、本当に歓迎したいと思っている。

    しかし一方で、地球温暖化の進行は、それにとどまらない目標の設定を求めているのではないかと思う。パリ協定が定める世界の平均気温上昇を、産業革命時から1.5度に抑える目標達成のためには、2030年までに1990年ベースで温室効果ガス45%削減、50年までに実質ゼロが必要とされているところである。私は兵庫県の地球温暖化対策推進計画の削減目標を、更に引き上げる上でネックになっているのが、神戸製鋼所の新しい石炭火力発電所の建設計画だと考えている。

    この改訂案では、現在国が廃止転換などを検討している亜臨界型、超臨界型等の非効率の石炭火力発電所、県内ではコベルコパワー神戸1・2号機、住友大阪セメント赤穂工場、電源開発高砂1・2号機、日本製鉄広畑製鉄所広畑7号機の6基の廃止などを行うことを前提に、先ほど35%から38%とおっしゃったけれども、38%削減目標を設定していると思う。

    しかし、年間700万トンものCO2を排出する現在建設中のコベルコパワー神戸第二の3・4号機の設置が前提となっている。このコベルコパワー神戸第二の3・4号機については、これまで再三中止を求めてきたが、最近では環境大臣意見書案に対し、経済産業省が事前に確認し天然ガス、火力発電と比較して、二酸化炭素を年間380万トン以上を多く排出することになる。

    二酸化炭素の排出削減の環境保全措置が満たされない場合は、発電所設置を認めることはできないという表記などに修正を求め、環境省が応じたとされる重大な事態が判明した。

    2018年3月16日の井戸知事の準備書に対する意見書では、今後の国及び地元自治体のエネルギー政策や、地球温暖化対策などに関する最新の動向を注視し、事業計画に関して必要な検討を引き続き行うことを求めている。

    今回の地球温暖化対策推進計画改訂に際し、温室効果ガスの思い切った削減目標に向け、事業者に事業の中止やせめて石炭火力発電の選択をやめ、天然ガスに置き換えるなどを要請すべきだと考える。

    石炭火力発電については、全石炭火力発電廃止が世界の趨勢であり、とりわけ日本は国連環境計画から石炭火力発電所の建設をやめるように勧告を受けている。これらの勧告は私たちに向けられたメッセージではないかと受け止めている。

    この立場に立ち、コベルコパワー神戸第二、3・4号機の建設中止、あるいは天然ガスなど二酸化炭素排出抑制を求めることを、地球温暖化対策推進計画の改訂版に位置づけ、2013年度38%削減から更に踏み込み、1990年期40%から45%の削減目標に引き上げることを求めるが、いかがか。

    ○温暖化対策課長(呉田利之) 現在環境審議会において、議論していただいている35%から38%の削減というのは、私どもの地域から脱炭素社会の実現を先導していきたいという思いを持ちながら、そしてまた実現可能性も考えて、ぎりぎりまで積み上げた目標値であると考えており、相当思い切った数字ではないのかなと考えている。

    ○庄本えつこ委員 努力されているということだが、更なる削減目標に踏み込むことを求めたいと思う。

    今、世界規模で深刻化する気候変動に対応しようと各国の議会や自治体で、気候非常事態宣言が広がっており、国内では県単位で行っている長野県、神奈川県を含め、41自治体が宣言を行っている。

    兵庫県として、気候非常事態宣言を出してほしいという2月の私の質問に対し、井戸知事は「否定するものではなく、一つの姿勢を示すという点で意味がないわけではないが、ゼロを目指した道筋をしっかりと歩み続けるという確証もなしに、宣言だけをするというのは時期尚早だと考える」と答弁された。

    今、検討している兵庫県地球温暖化対策推進計画は、2050年ゼロカーボンを目指していると思っているが、そのことを実現する決意を示すという点で、県としての気候非常事態宣言を行うことを計画に盛り込むべきだと考えているが、いかがか。

    ○温暖化対策課長(呉田利之) 計画の見直しの基本姿勢としては、気候が危機的な状況にあるということを明らかにしていくことであると考えている。

    ○庄本えつこ委員 明確なお答えがなかったが、これは気候非常事態宣言は、否定するものではないという井戸知事の答弁もあったし、実質的にCO2の削減をしていくということも含めて、ぜひ県としてやっていただくことを求めたいと思う。

    次の質問に入る。兵庫県の農家を守る視点、観点から種苗法の改正案に関し質問をする。

    種子種苗は、農業生産の基本的な資材、農業の源である。種子はそもそも農民の物だったが、1991年の植物の新品種の保護に関する国際条約の改定で、新品種を開発した企業の権利を優越される流れが大きくなった。知的財産を守る必要がある。

    日本も1998年に、この条約に沿って種苗法を改訂したが、企業の知的財産権を守りながら、農民の自家増殖を認めるものだった。地域の伝統的品種の保存・利用や自家増殖は、食糧及び農業のための植物遺伝資源に対する国際条約や、国連決議である小農と農村で働く人々の権利宣言で、国際的にも認められている。

    今回の種苗法改定案では、これまで農家に認められてきた登録品種の種苗の自家増殖が許諾制に替えられるが、それによる農家への影響はどう認識しているのか。

    ○農産園芸課長(宮島康彦) 今回の種苗法改正は、委員ご指摘のとおり、日本で作られた新品種の海外流出防止が主な目的であった。今回、育成者が品種登録をする際に、国内で利用制限を限定するといったような場合のことが可能となったということだが、本県で栽培されている、コシヒカリや山田錦、丹波黒大豆などは、既に品種登録期間が切れた品種、あるいは古くから地域にある在来種であり、委員ご指摘の自家増殖に制限はないという形にあると思われる。

    そういう意味でいうと、農家にはあまり影響がないと、一方で「きぬむすめ」などの品種も一部の登録品種は、こちらについては、自家増殖を行う場合は許諾が必要となるが、その手続は、団体等が一括で行えるなど、特に農業者に大きな負担や混乱が生じることはないと考えている。

    ○庄本えつこ委員 影響はないと言っているが、農家の方々はそうは思っていらっしゃらないと思う。先日丹波地域で、無農薬有機野菜を自分たちで作って移動販売をしている、若い農家の人にお話を伺った。もちろん私もそこで買い物をし、安心感とともにおいしくいただいたわけだが、その方たちは自家採取で野菜を作っている、自家増殖が禁止になったら困る、有機栽培は新しく種子を買った場合、それは有機種子なのかどうか、日本ではまだ明らかになっていないので、2代目にならないとはっきりと有機野菜とはいえないので、自家採取が必要だと言っていた。

    農家自身が種取りをする農業は、古来から今に至るまで続いている。自家増殖はその品種を地域の状況や気候風土に合わせながら、定着発展させ、よりおいしい物をつくり出す。つまり自家増殖は新しい品種の育種行為でもあるわけである。多様な種苗が人類に残されてきたのは、歴史的に農民による貢献であることを認識するものである。

    また、そのことにより、農家の経営安定に役立ってきた。許諾制になれば農家は毎年種子を購入しなければならない。また幾ら今より引き下げるといっても、許諾を取るための手続や費用など、小規模農家にとっては大きな負担である。

    県として国に対し、種苗法改定案は、廃案にするべきと求めていただきたいと思うが、いかがか。

    ○農産園芸課長(宮島康彦) 種苗法改正については、先ほどご指摘にあったが、古来からずっと続いたものについては、在来種ということであるので、このたびの自家増殖の中のいわゆる非登録品種には当たらないではないかと。そういう意味でいうと、特に負担はないのかなと思う。また、新たな品種については先ほど申し上げたとおり、団体で一括して行われ、特に大きな負担はないと考えている。

    むしろ、このたび海外流出を防ぐという大きな流れの中で、例えば海外への流出、更には日本への逆輸入という可能性ある。こうした場合我々が立ち上げである県産農産物のブランド力維持向上、あるいは消費者や実施者のニーズに合った、優良品種の生産拡大といったもの、それから今、高温耐性の関係で開発を進めている県オリジナル品種、こうしたものが侵害されていくのではないかと考える。

    したがいまして、こういった海外流出をしっかり防いでいくことが重要かと考えている。

    ○庄本えつこ委員 海外流出については、その国の法律に基づいて、きちんと登録していくという方法しかないと、農水省も言ってるわけなので、それでやっていかなければならないと思っている。種をどんなに頑張っても種子の海外流出というのは、避けられないという認識もされているところである。

    今、世界でも重視され始めているのが、地域の種苗である。地域で育てられた種子は、その地域の土と気候を記憶し、環境負荷をかけずに育てていくことができる。その意味からも農家の自家増殖は、大きな役割を果たしている。

    そして、古来から先ほど私が申し上げたのは、在来種などは省かれるというのは、もちろん私も知っているが、そういう中で新品種を育種できたということが一番言いたかったので、その辺をちゃんと認めていただきたいと思う。

    改めて種苗法改定案は、廃案にすべきだということを申し上げて質問を終わる。ありがとうございました。

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