議会報告

  • 2020年10月22日
    本会議

    第351回本会議 2019年度決算認定議案への討論 庄本えつこ

    日本共産党の庄本えつこです。

    私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程中の決算認定議案のうち、認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第7号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号ないし認第23号、計15件に反対し、以下その主な理由を述べます。

    まず、認第1号「令和元年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    反対の理由の第1は、低所得者ほど収入に占める負担割合が大きくなる消費税を、県税収入の中心に据えてきたことです。

    2019年10月1日、消費税の10%への増税が強行されました。実質賃金も低迷する中、消費税増税が家計消費を落ち込ませています。9月8日に政府が発表した四半期別速報によると、GⅮPは消費税増税直後の10月から12月で年率換算マイナス7.0%、今年の1月から3月は年率換算マイナス2.3%と2期連続マイナスです。県は、社会保障を支えるための安定財源として、国と肩を並べて、消費税増税を推進してきました。本決算では、県は地方消費税について100億円の増収を見込んでいましたが、増収どころか約5億円の減収であり、安定財源にならないことは明らかです。

    税収の中心に消費税を据える国の施策への追随をやめ、県民の暮らしと県経済回復のための緊急課題として、消費税を5%に引き下げること、税金は、応能負担の原則に基づき、研究開発減税などの大企業向けの法人税優遇制度を改め、大企業にも中小企業と同等の法人税課税とすること、富裕層の株式等譲渡益課税を欧米並みに引き上げることなどで、税収を確保することを国に強く要請することを求めます。

    反対の第2の理由は、国のくらし・社会保障切り捨て政策と一体に、兵庫県行財政運営方針のもと県民の福祉、暮らし、教育を犠牲にしてきたことです。

    国は、消費税を10%へ上げながら、社会保障の充実どころか、社会保障を大幅に抑制してきました。社会保障費について、国の自然増抑制策により、自然増分の伸びのうち1,200億円が削減され、介護保険料の総報酬割の拡大による加入者負担の引き上げ、生活保護の母子加算引き下げなど、新たな社会保障の切り捨てが行われました。また、昨年10月からは、低所得者の後期高齢者医療制度保険料軽減の特例措置が廃止されました。地域医療構想推進費用として、病床数削減を促進し、在院日数を抑制するために使われてきました。

    また、県は、老人、重度障害者児、母子家庭等の医療費助成の制度改悪を継続、県単独予算の縮小など、県民の命に関わる部分を切り捨てています。

    また、消費税10%への増税に伴い、西播磨総合リハビリテーションセンター、県立病院の特別室の室料及び診断書、証明書など文書料金が値上げされました。消費税10%への増税を県民に押し付けるものであり、それに伴う値上げを行ったことは認められません。

    さらに、介護支援専門実務研修受講試験手数料が7,000円から7,900円まで大幅に値上げされ、その上、10月1日の消費税増税に伴う値上げも行い、二重の値上げをしたことも認められません。

    教育においては、私立高等学校経常費経費について、生徒一人あたり、国の交付税単価が3,900円、国庫補助金が605円増額し、合計4,505円が増額されたにもかかわらず、決算額では、一人あたり4,045円の増額にとどまり、460円減額されています。県費負担削減は認めることはできません。授業料軽減補助の原資に使ったとのことですが、経常費経費の県費負担と授業料軽減補助をそれぞれ拡充して、授業料実質無償化を一日も早く実現することを求めるものです。

    反対の第3の理由は、行財政運営方針による職員の削減で、県民へのサービスを後退させていることです。

    一般行政部門職員の削減は1人でしたが、教育委員会では、児童生徒数の減少を理由に教職員数を165人も削減したことは認められません。少人数学級のさらなる推進のため、教職員を減らすのではなく、抜本的、計画的に増員すべきです。

    さらに警察でも16人が削減、警察業務の対応の縮小につながっており、職員削減に同意できません。また信号機など、交通安全対策の後退があり、県民のニーズに正面からこたえる予算になっていません。

    職員の削減は、県民サービスの低下とともに、職員の長時間・過密労働をまん延させる結果となります。コロナ禍のもと、県民サービスの充実、とくに災害時の機敏で的確な対応、適切な労働環境等を保障するための適正な職員配置をもとめます。

    反対の第4の理由は、大企業呼び込み型の経済政策を続ける一方で、県民の所得・家計を温め、中小企業、農業を支援し、地域経済を上向かせる内容になっていないことです。

    大企業が利益を挙げればその利益がやがて家計に滴り落ちるというトリクルダウンの経済政策が破綻したことはあらゆる経済指標で明らかになりました。

    それにもかかわらず、県の産業立地促進条例にある設備投資補助制度は、設備投資額の3%を補助金として支出するなど、上限額が設けられていない全国でもまれな大企業に有利な企業誘致制度となっています。

    2019年度も㈱神戸製鋼所、住友化学㈱等々、資本金10億円以上の大企業15社に、59億円が設備投資補助金として支出されました。税は力のある者から力に応じて徴収し、住民福祉増進のために、所得を再分配するのが自治体の役割です。力のある大企業に補助金を支出する必要はありません。トリクルダウンの経済政策からの抜本的転換が必要です。

    農業問題では、中山間地の多い兵庫県で国の進める「強い農業」のための農地の集約化・大規模化、企業の農業参入を推進する方向へ偏重しています。これでは、農村地域の衰退を招いてしまいます。国連は2007年・2008年に起きた食料価格高騰から生まれた世界食糧危機の教訓から、農業の規模拡大や自由化一辺倒の農業施策に警鐘を鳴らし、食料保障にとっても、エネルギー効率や環境保全などにおいても、小規模家族農業の方が優れていることが明らかになったとし、2030年までを「家族経営の10年」と定めました。兵庫県でも小規模農家、家族営農へも目を向け、地域で暮らせる農業への支援が求められています。

    反対の第5の理由は、過大な需要予測による不要不急の大型開発を継続していることです。

    県内では大阪湾岸道路西伸部整備事業費をはじめ、播磨臨海地域道路計画の調査費など不要不急の高速道路整備計画が進められています。 これまでも指摘してきましたが、県が推進している「基幹道路八連携軸計画」は、その多くが全国総合開発計画に位置付けられた高規格道路です。全総計画は、半世紀に渡って、東京一極集中是正を最大の目的として全国各地に高速道路を張り巡らせてきましたが、東京一極集中は加速するばかりです。

    また、交通センサスを調べてみると、例えば阪神高速3号神戸線の12時間交通量は、2005年が63,675台だったものが、2010年には60,856台へ、2015年には59,343台へと、2005年をピークに自動車交通量は既に減少に転じています。加古川バイパス、姫路バイパスでも同様に自動車交通量の減少が始まっています。人口減少が急速に加速し、すでに都市部でも自動車交通量が減少に転じている社会変化の中で、全総計画や高度経済成長期に構想された「基幹道路八連携軸計画」の抜本的見直しが必要です。

    次に、認第2号「令和元年度兵庫県県有環境林等特別会計歳入歳出決算の認定」、認第4号「令和元年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    これらの議案は、県有環境林特別会計が、県有環境林事業のため、公共事業用地先行取得事業会計から、宝塚新都市玉瀬第三用地を約117億円で取得し、公共事業用地特会はその売却収入を借金返済のための財源として、公債費特別会計へ繰り出したものです。また、淡路石の寝屋等の県有環境林事業の管理費を、県有環境林特別会計から一般会計へ支出したものです。 そもそも県有環境林として取得した宝塚新都市玉瀬用地は、この間、何ら整備されず、塩漬け土地となったままでした。過去の用地取得事業の失敗を、県有環境林事業という曖昧な事業のもと、県民に十分な説明なく新たな借金を作ることは認められません。

    次に、認第5号「令和元年度兵庫県営住宅事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    兵庫県営住宅整備・管理計画では、県営住宅管理戸数を2016年度の5万2,685戸から、2025年度には4万8,000戸へと削減することを目標にしています。2019年度は、5万794戸から49,950戸へと844戸が削減されました。

    物価上昇に賃金上昇が追い付かず、実質賃金が増えていない中で、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅の役割が、ますます高まるもとでの管理戸数削減は、認められません。

    次に、認第7号「令和元年度兵庫県庁用自動車管理特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    県が昨年8月、知事と議長の公用車をレクサスから最高級車センチュリーに変更したことに伴い、2台のリース料が2倍以上の月額約50万円となり、直近1年間では600万円、7年間のリース契約が総額4,200万円となります。更新前のレクサスと比較して、消費税増税分を含めると、総額1,400万円増です。コロナ禍のもと、県民から「公用車に最高級車が必要なのか」の厳しい意見が多数寄せられており、県民の理解が得られないことから賛成できません。

    次に、認第10号「令和元年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    福祉的な貸付の償還金回収を、債権回収会社に委託しているものです。回収困難な事例が増えており、回収率は8.5%となっています。民間回収業者では、福祉的な対応が難しいと考えます。

    また、規定では、連帯保証人をつければ無利子、連帯保証人をつけられなくても1%の有利子で借りられることになっていますが、連帯保証人がつけられなければ認められなかったケースもあります。2019年度では、新規374件中、連帯保証人なしは6件にとどまっています。また、返済の意思があっても返済困難な人に対し、機械的な徴収強化ではなく、少額返済や減免措置など、生活実態に見合った丁寧な対応が必要です。法制度で対応できなければ、条例で対応するなどが必要であり、運営上の課題があることから賛同できません。

    次に、認第11号「令和元年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    2019年度時点の中小企業高度化資金貸付金の累計未償還残額は69億8,300万円に上り、2019年度の債権放棄額は7,400万円になっています。本制度は、同和対策特別措置法等の認定に基づく事業計画であれば,無利子での貸し付けを行うなどの特例を設けてきた事業ですが、未償還、焦げ付きについて具体的な処分状況が明らかにされておらず、総括もされていないことなどから賛同できません。

    次に、認第15号「令和元年度兵庫県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。

    昨年度は国民健康保険財政運営の都道府県化2年目でしたが、県への納付金が増加し、一昨年度と昨年度の全県平均の1人当たり保険料額を比べると、年間90,453円から93,295円に引き上がっています。

    また、医療費抑制や保険料徴収強化、一般会計からの繰り入れの減額を市町に競わせる、保険者努力支援制度が導入され、加算点数が多ければ特別交付金が手厚く交付される仕組みになりました。

    国保の都道府県化は、地域事情があるにもかかわらず、県下統一の保険料をめざし、市町の法定外繰入をやめさせることに目標を置いています。現に来年度の運営方針は、それらをより進めるものになっています。これでは、ますます保険料が高くなることは明らかです。国庫負担の抜本的な増額による保険料の引き下げ、均等割の廃止など、制度の抜本的見直しこそ必要です。

    次に、認第16号「令和元年度兵庫県病院事業会計決算の認定」についてです。

    2002年度から、病院事業に経費の節減、効率を最優先して、企業的手法を導入するための公営企業会計の全部適用が行われ、運営されています。

    「公営企業としての独自性」の名のもとに、賃金・労働条件が一般行政職と切り離され、水準の切り下げが可能な仕組みになっています。

    また、国の社会保障費削減の方針通りに、在院日数の短縮、稼働病床率引き上げが追求され、災害時などにも対応できるように分散立地が望ましいにもかかわらず、県立病院の統合再編を進めています。以上の理由で、認められません。

    次に、認第17号「令和元年度兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」についてです。

    過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制などにより、2019年度で、例えば尼崎市では、1トン当たり県水では154円、市水道料金は79円となっています。高い県水を市町に押し付けていること、また、消費税増税によって、水道料金も引き上げられたことにより認められません。

    さらに、兵庫県水道事業のあり方懇話会では、各市町の水道施設についてダウンサインジング、統合、廃止などが検討され、県水を活用した水道事業広域化も推進しています。多発する自然災害やコロナパンデミックは、これまでの効率を最優先にしてきた、公共サービスの在り方について、警鐘を鳴らしています。命の源である水を安定的に確保するには、水道施設の統合・廃止、水源の広域化ではなく、身近な生活圏に整備することが重要であり、そのための市町への人的、技術的・財政的支援こそ必要です。

    次に、認第18号「令和元年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」についてです。

    市町水道料金の1トン当たりの平均水道料金は記録の残っている1961年には18円だったものが、2019年度には143円へと10倍近く引き上げられました。一方で日本製鉄株式会社など、大企業に供給している揖保川第1工業用水道の料金は、1トン当たり4円30銭で、50年前の1971年から2倍程度の2円10銭しか値上げされていません。工業用水道事業法でうたわれている「社会的経済的事情の変動により著しく不適当」な料金状態と言わざるを得ず、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。

    次に、認第20号「令和元年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」についてです。

    2014年から会計制度の見直しにより、進度調整地以外の時価評価処理が行われましたが、進度調整地は簿価評価のままであり、時価評価を行うべきです。また、プロジェクトごとの収支も明らかにされていないことから賛同できません。

    次に、認第21号「令和元年度兵庫県企業資産運用事業会計決算の認定」についてです。

    企業資産運用事業は主にはメガソーラープロジェクト事業ですが、事業の一部に三宮東再整備事業が含まれています。神戸市が進める新バスターミナルを含む再開発整備事業に対し、企業庁がサンパルの地権者として雲井通5丁目再開発株式会社に出資をし、神戸市と一緒に巨大再開発を行うというものです。コロナパンデミックのもとで、一極集中の街づくりの見直しが求められています。三宮一極集中の巨大開発に県予算をつぎ込む必要はなく、認められません。

    次に、認第22号「令和元年度兵庫県地域創生整備事業会計決算の認定」についてです。

    小野長寿の里構想は、住民、医療・福祉事業者、自治体らが検討委員会を立ち上げ、そこでの議論の上で出来上がった構想です。それにもにもかかわらず、十分な議論もされないまま、構想区域の一部を産業団地として事業変更していることは問題です。

    最後に、認第23号「令和元年度兵庫県流域下水道事業会計決算の認定」についてです。

    2017年12月に、流域下水道事業会計は特別会計から企業会計に変更されました。公営企業は独立採算が原則であり、地方公営企業法の財務規定の適用がされることで、今、行われている一般会計からの繰入も制限されていく可能性があります。

    施設の維持管理に係る費用負担についても市町負担が上乗せされ、2019年度は247万円の市町負担増となりました。以上の理由から賛同できません。

    以上、議員各位のご賛同をお願いいたしまして私の討論を終わります。

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