議会報告
-
日本共産党議員団を代表し上程中27議案のうち、第83号議案、第86号議案、第88号議案、第89号議案、第90号議案、第101号議案、第103号議案の7件に反対し、討論を行います。
はじめに、第88号議案 第89号議案 第90号議案 第101号議案についてです。
知事は提案説明の中で、新型コロナウイルス感染症による消費低迷や景気悪化により、今年度当初予算を大きく下回る約1000億円を超える減収が見込まれること、また令和3年度の県税収入が約2000億円減収となる可能性があることなどを述べています。また、知事はこうした状況を踏まえ定例会見で「事業の見直しや行政経費の節減などを検討する」と、述べられました。
第二次行革によって職員数や福祉サービスが大幅に削減され、これ以上の職員削減や、福祉サービスを低下させる事業の見直しは認められません。今見直すべき事業は、全総計画はじめ高度経済成長期やバブル期に過大な需要予測のもとに構想され、今なお推進されている不要不急の大型公共事業です。以上の理由から、以下提案されている事業の縮小・見直しを求めます。
まず第88号議案「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定」についてです。
本水利施設は、昭和45年から平成4年にかけ3つのダム整備を含め幹線水路などを整備し、加古川水系農地へかんがい用水を供給する事業です。しかし、国策によって農地面積は減少し、当初計画と比較して当該区域のかんがい面積は約500ha減少し、受益者である組合員数も150人減少しています。また、当該区域の耕作放棄面積も959haへと大幅に拡大しました。併せて甲子園球場1100個分の農地が活用されなくなったということです。過大な需要予測の結果、実際の水利用は、計画より少なく、多大な水余りとなっています。国の失政による過大な設備投資のツケを県や市町に求めるべきではありません。
次に第89号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」についてです。
本議案には南淡路地区の広域営農団地農道、オニオンロード事業が含まれています。
本事業は、明石海峡大橋開通によって国道28号線などで交通量が増加するなどとして、農産物の流通効率化等を目的に計画されました。しかし、平成27年度交通センサスにある混雑度指数はわずか1.03程度であって、これ以上の事業の継続に必要性を感じません。
また、本事業は1993年に着工され、当初は2003年度完成予定でしたが、用地交渉が難航し、事業は計画通りに進まず、総事業費も、当初の101億円から、143億円へと膨れ上がりました。また、事業計画地にはため池があり、地元住民からは「工事をすすめると地形の変化によって水の流れが変わり、農地などへの影響がある」という指摘もされ、用地買収が滞るなど、地元住民との合意も不十分なままです。現在も1件との用地交渉が進んでおらず、場合によっては、土地収用に踏み切る可能性もあると伺いました。事業継続の必要性がなく、地元合意も不十分なまますすめられた事業であり、事業の縮小見直しが求められます。また、本議案には、県道園田西武庫線が入っていますが、同様に住民合意が得られていないことから賛同できません。
次に第90号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。
本事業は、総事業費約958億円を投じ、神戸地区と淡路地区合わせて330ヘクタールに及ぶ巨大な公園整備を進めようとするものです。
国営明石海峡公園の入園者目標数は神戸地区で190万人、淡路地区で140万人を見込んでいましたが、2019年度の神戸地区の入園者数はわずか4万人で目標比2.1%の達成率、淡路地区は淡路花博で最も入園者の多かった2015年度でも83万人、目標比60%程度の達成率に留まっています。
「兵庫県立都市公園の整備・管理計画」では、今後の県立都市公園の現状と課題として「国営公園や市・町公園も含めた県下の都市公園面積は全国で2番目の規模にある。時代変化を踏まえた量から質への転換が必要になっている」と、しています。公園整備のこれ以上の量的拡大は必要ありません。コロナ禍にふさわしい質的整備こそ必要です。以上の理由により、必要性のない国直轄事業に地元負担を求める本議案に反対します。
次に議案101号議案「主要地方道加古川小野線東播磨道北工区下村(しもむら)第4高架橋上部工事請負契約の締結」についてです。
これまでも指摘してきましたが、東播磨道路は破綻した第5次全国総合開発計画に位置付けられた高規格道路です。
全総計画は、半世紀にわたって、東京一極集中是正を最大の目的として全国各地に高速道路を張り巡らせてきましたが、東京一極集中は加速するばかりです。
交通センサスを調べてみると、加古川バイパス、姫路バイパスともに平成17年をピークに平成22年、平成27年と連続して自動車交通量が減少しています。人口減少が急速に加速し、すでに都市部でも自動車交通量が減少に転じる社会変化の中、またコロナ禍の影響などで急激な財政悪化が見込まれているもとで、全総計画や高度経済成長期に構想された「基幹道路8連携軸計画」の抜本的見直しを求めます。
第83号議案 行政手続き等における情報通信の技術の利用に関する条例の一部を改正する条例についてです。
本条例改正の根拠となる、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」いわゆる「デジタル手続法」は2019年12月に施行されました。「デジタル行政法」は、行政の手続きや業務に用いる情報を紙からデジタルデータへと転換し、オンライン化を原則として利便性の向上、行政等の効率化を図ろうと、するものです。
日本共産党は、デジタル化そのものに反対するものではありませんが、障害者や高齢者など機器を使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情で利用できない人などへの具体的な対策が本条例改正案においても十分に示されていません。よって、これまでの書面や対面による利便性からの後退は、免れません。また、行政や民間手続きのオンライン化に必要となるマイナンバーカードは、通知カードを廃止するなど、移行を促進していますが、普及率は伸びていません。その背景に個人情報の流出によるプライバシー侵害などの県民の不安と懸念があるという点からも、本議案には賛同できません。
次に第86号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」についてです。
本議案は、漁業法の一部改正により、海区漁業調整委員会の委員の選出方法について、公選制から知事の任命にする方法に変更されることなどに伴い、関係条例についての整備を行おうとするものです。海区漁業調整委員会の公選制は、もともと漁業法に謳われている「漁業者及び漁業従事者を主体」、或いは「漁業の民主化」という規定を担保するためです。その公選制を投げ捨て、知事の任命制に変え「漁業の民主化」を削除するなどの漁業法の改正は、沿岸漁業の漁業権を地元漁業者に優先してきたこれまでの仕組みを廃止し、知事の裁量で、地元外の企業に漁業権を与えることを可能にするものです。法改正は、戦前、都会の企業などが浜を支配し、漁村を荒廃させた反省から生まれた漁業法の根本精神を取り払うもので、賛同できません。
次に第103号議案「県営新多聞住宅建築工事請負契約の締結」についてです。
本議案は、老朽化が著しく耐震性にも課題がある県営新多聞住宅の建て替えですが、新多聞第2鉄筋住宅の集約を伴うものです。現在の新多聞住宅270戸、新多聞第2鉄筋住宅230戸、あわせて500戸の管理戸数を394戸へと削減しようとするものです。コロナ禍のもと、経済的に困窮している県民が急増するなか、低廉な家賃で住宅を供給する県営住宅への期待がますます高まるもとでの管理戸数の削減は認められません。
最後に、第79号議案「令和2年度兵庫県一般会計補正予算(第4号)」について意見を申し上げます。
PCR 等検査の充実、県立病院における感染症対策など、コロナ対策については評価しますが、本補正にはポストコロナを見据えた社会基盤整備という名目で東播磨道、浜坂道路二期工事が含まれています。今県民が求めているのは、医療・保健体制の抜本的拡充、中小企業へのさらなる支援、子どもたちの学びの保障など、三密を避けるための少人数学級などです。コロナから県民の命とくらしを守る立場での施策のさらなる充実を求めます。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。