議会報告
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私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程された議案に対する質疑を行います。
初めに、急がれる検査体制の拡充についてです。
県内でも、昨日、1日当たり最高の49人が新型コロナウイルスによる感染者となるなど感染が新たに広がり、県は、「感染増加期」に入ったとしています。感染拡大防止策の強化が益々求められ、「Welcome to Hyogoどころではない」との声も寄せられています。
県は、検査能力を現行の1日、1500件を2500件に拡充し、すべての濃厚接触者は、対象とするとしていますが、症状の有無にかかわらず、感染リスクの高い、医療・介護・障害福祉施設の従事者、入院患者、入所者などの検査をこぞってすることになっていません。
県内では、感染者の濃厚接触者の配偶者が医療従事者であり、家庭内や院内感染が懸念され、検査を希望したにもかかわらず、受けられなかったケースもあります。小中学生や教員、保育士・放課後児童クラブの支援員などにも感染が広がっていますが、必要な検査が行われていません。
県は、検査について、濃厚接触者だけでなく、病院や、施設、学校等で1人でも感染者が確認された場合、少なくともその病院、施設、学校の関係者すべてを検査対象とすべきです。さらに国の15日付通知で、感染の確立が高い地域や集団に属する人を行政検査の対象とするとしているように、市中感染が広がればその地域を特定し、すべての住民を検査の対象にすること。感染拡大地域では、医療・介護、障害福祉、教育関係者、すべての検査を行うなど「積極的な」感染拡大防止のための検査戦略へ転換を求めます。ご答弁ください。
井戸敏三知事 答弁 新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策を強化するためには、検査体制の拡充が必要と考えている。
本県では、国の「相談・受診の目安」である熱や咳の症状等の状況を踏まえ、重症化リスクなど、優先順位を考慮し、医師の総合的な判断で検査を実施してきた。さらに、国の検査基準の見直しや県民ニーズも踏まえ、症状のない人を含む全ての濃厚接触者に対しても検査を行うなど対象を拡充してきた。
議員ご提案の市中感染が拡大している地域を特定し、全ての住民や医療・介護、障害福祉等の関係者全員に検査を実施することについては、感染の有無を知りたいという住民の希望に応えられる等のメリットも考えられるが、費用対効果の面に課題があるとともに、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会においても「感染リスク及び検査前確率が低い無症状者から感染者を発見する可能性は極めて低く、膨大な検査を実施しても陽性者は僅かで、感染拡大防止に対する効果も低い」と指摘されており、慎重に検討すべきと考えている。
今後は、学校、病院等での患者発生などクラスター発生が懸念される場合には、濃厚接触者でなくとも、幅広く関係者を対象として検査を実施するなど、感染拡大防止や県民の不安解消につながる弾力的な取組を進める。
引き続き、感染拡大に備え、万全な検査体制を構築し、新型コロナウイルス感染症対策を強化する。
次は、「慰労金」支給についてです。
国は、「慰労金」を医療機関・介護施設・事業所での集団感染の発生状況等をふまえ、心身に負担がかかる中、強い使命感を持って業務に当たる、すべての従事者を対象に支給するとしています。
ところが井戸敏三知事が、6日の記者会見で、県から役割を設定されておらず、コロナ感染者に直接対応していない「その他の医療機関、介護・高齢者・障害分野等への従事者」に対する慰労金について、「何もしていないのに、なんで慰労金をだすのか」と、対象外であるとしたことに、兵庫県保険医協会など医療現場から「地域医療を支えているすべての医療従事者の心を深く傷つけ、落胆させる、極めて不適切な内容」との批判や、介護・社会福祉現場などからも強い憤りの声が多数寄せられました。
日本共産党県議団は、9日、知事の発言の撤回と謝罪、そして、すべての医療従事者、保育・放課後児童クラブ支援員含むすべての社会福祉施設従事者に支給することを申し入れ、県は、13日、「ポスター掲示で啓発した」など一定の役割を担った歯科も含め医療・介護・障害福祉施設の従事者に5万円、あわせて感染者が発生した2か所の保育所等の職員にも県独自に20万円を支給すると発表しました。
しかし、感染のリスクを負いながら事業実施を要請され、医療法で病院、診療所と共に、医療提供施設とされている院外の調剤薬局の薬剤師や職員、保険適用のあんま、はり、灸、マッサージ師等や、社会福祉施設の内、保育所・放課後児童クラブ支援員等は、対象外となっています。
秋田県では、県独自に院外の調剤薬局の薬剤師らへ5万円を支給、山形県も認可外も含めた保育施設・幼稚園・放課後児童クラブの従事者に一人5万円を 支給するとしています。
新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金は、対象になっていない調剤薬局の薬剤師・職員等、保険適用のあんま、はり、灸、マッサージ師など、すべての医療関係従事者に、慰労金を支給すること。あわせて、コロナ患者が発生していない保育・放課後児童クラブ等も含め、すべての社会福祉施設従事者についても慰労金を支給することを求めます。ご答弁下さい。
福祉部長 答弁 国の要綱では、慰労金対象となる医療機関、介護サービス事業所・介護、障害福祉施設等に勤務される職員は、①感染すると重症化するリスクが高い利用者との接触を伴うこと、②継続して提供することが必要な業務であること、及び、③施設等での集団感染の多発する発生状況を踏まえ、相当程度心身に負担がかかる中で、業務に従事されていることを要件としている。
これに対し、保育所等の児童福祉施設の利用者である子どもは、一般的に高齢者等に比べて重症化リスクが低いことから、国では慰労金の対象とはしていないが、陽性者が発生した児童福祉施設の職員については、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って業務に従事されたことから、県独自で対象とした。
感染症対策に一定の役割を果たした保育所、放課後児童クラブ等児童福祉施設に慰労金を支給するのは、まず全国一律の制度であるべきと認識しており、制度の趣旨に即し、支給対象に加えるよう国に要望していく。
また、接骨院や鍼灸院等の施術所は、保険請求できる施設はあるものの、医師による治療行為を行う施設ではなく、保険医療機関ではないことから、国の要綱では、はり・灸・マッサージ師等は対象外にしている。同様に、調剤薬局の薬剤師については、クラスター発生の恐れは相対的に低く、また、患者に直接処置や治療を行う医療機関の医療従事者等とは性質が異なると考えられることから、国では慰労金の対象とはしていない。国の包括交付金を活用して行う慰労金の趣旨を踏まえると、現時点で、県として対象拡大に向けた検討をすることは考えていない。