議会報告

  • 2019年10月25日
    本会議

    第345回本会議 請願採択討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党議員団を代表し、請願第2号、「国の指定難病医療費助成制度の改善に関する」請願について、不採択ではなく採択を主張し、その理由を述べます。

    難病とは、医学的には治りにくく、研究や新薬開発の光が当たりづらい希少・難治性疾患で国内ではわかっているだけでも500から600の疾患があるといわれています。2014年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立し、2015年1月から新たな指定難病医療費助成制度が施工されました。指定難病は56から2019年7月現在333に広がりました。しかし、指定難病すべてに「重症度基準」が導入され、難病と認定された患者であっても、この「重症度基準」によって「軽傷」と認定されてしまうと医療費助成の対象外とされるようになりました。

    2017年12月31日の経過措置終了に伴い、難病医療費助成を受けられなくなった不認定患者等は第59回難病対策委員会資料によると2018年10月1日現在、全国で約14.6万人、兵庫県でも5738人が「軽症」と認定され医療費助成の対象から外されてしまいました。難病の場合、医療費助成の必要性と医学的な重症度は必ずしも一致しません。治療によって症状がコントロールされている場合、「軽症」と判断され、医療費助成がなくなれば、高額な負担に耐えきれずに治療を中断せざるを得なくなります。私の知り合いの難病を抱えている方は、服薬と注射により症状がコントロールされており「軽症」と判断され「認定から外されたので治療費が高く困っている」と言っていました。厚生労働省の「難病患者の総合的支援体制に関する研究班」が行った調査によれば、経過措置終了の前後で、不認定患者等の通院頻度が5.36回から3.57回へと大幅に減少していたこと明らかにがなりました。患者団体からは受診抑制による重症化を心配する声が挙がっています。

    すべての疾病は早期発見・早期治療が重要ですが、特に難病は、いったん重症化すると回復が著しく困難となるうえ、合併症の発症リスクや発がんリスクが高い等の特性をもつ場合もあり、早期の段階から定期的な受診によるフオローを行うことが必須です。「軽症」者を医療費助成の対象外とすれば、難病の重症化が進む危険性が非常に高くなります。

    難病法制定に深く携わった日本難病・疾病団体協議会理事会参与・前代表理事の伊藤たてお氏は「軽症者のデータが集まらないことで難病研究にも影響が出ることなどを指摘し、法律の抜本的な見直しが必要」と言っています。

    また、難病法は、施工後5年以内を目途に見直し規定が盛り込まれており、2020年1月に向けて現在、厚生労働省の難病対策委員会やワーキンググループにおいて「重症度基準」の見直し等も議論されており、今後は、「軽症」者を含めたすべての指定難病患者が費用などの心配なく早期受診、継続治療ができるようにすべきです。

    そのために「指定難病医療費助成制度について、重症度基準による選別をやめ、『軽傷』者を含めたすべての指定難病患者を同助成対象とするよう国に対して求めること」、また、「国の認定基準によって『軽傷』と判定されても、指定難病患者であれば助成対象とする県独自の福祉医療制度を創設すること」を求める本請願について採択を強く求めます。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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