議会報告

  • 2020年03月11日
    予算・決算特別委員会

    2020年度予算特別委員会 農政環境部 ねりき恵子

    ○ねりき恵子委員 日本共産党のねりき恵子である。よろしくお願いする。

    初めに、太陽光パネル設置における環境対策について伺う。

    環境影響評価条例への太陽光発電所の追加についてである。

    気候変動の危機が叫ばれる中、温室効果ガスの削減に一層力を入れなければならない。風力、太陽光など、再生可能エネルギーの普及が求められる一方で、巨大な風力発電計画や太陽光発電所メガソーラーが建設され、とりわけ山林を伐採し、山の急斜面に設置された太陽光パネルが土砂崩れを起こすなど、環境の面からも大きな問題となっている。

    平成29年よりまちづくり部において建築基準法や都市計画法等の規制を受けない太陽光パネル等の設置に関する基準を定める「太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例」に基づく指導が行われるようになった。

    加えて、環境影響評価室でも、太陽光パネルも環境影響評価の対象とするため、昨年10月に環境影響評価条例施行規則を改正、令和2年4月から施行予定である。

    改めて太陽光パネルを環境影響評価の対象としたその目的と効果についてお答え願う。

    ○環境影響評価室長(髙原伸兒) 太陽光発電所は、再生可能エネルギー固定価格買取制度が始まった当初は遊休地等に設置されていたが、年々、山林の伐採や斜面地の開発を行ってまで設置されるような事例も増加し、これに伴い環境・防災上のさまざまな問題が顕在化してきた。

    このため、国では、環境の保全に配慮した事業の実施を求めることとし、発電出力4万キロワット以上、これは事業区域面積でおおむね100ヘクタール以上となるが、このような大規模な太陽光発電事業を環境影響評価法に基づくアセスメント手続に加え、令和2年4月1日から施行することとなっている。

    県内でも、豪雨時に太陽光パネルが崩落する等、県民の太陽光発電所設置に対する環境・防災面上の危惧が高まってきた。このため、県では国よりも20倍厳しく、また、都道府県でも最も厳しい事業区域面積5ヘクタール以上の太陽光発電所の建設を、環境影響評価条例に基づくアセス手続の対象とする改正を昨年10月に行ったところである。条例アセス手続の適用は、国と同じく令和2年4月から開始することとしている。適切に対応するので、よろしくお願いする。

    ○ねりき恵子委員 今ご説明あった県の施行規則は国の20倍厳しくしていくということなので、その効果が求められるが、今日は皆さんに資料を準備した。やはり今のご答弁のとおり、太陽光パネルが山林の伐採や斜面地の開発で、防災上、また自然環境破壊など、影響を及ぼす問題が多数提起されていることに対して、規制をするものだと私たちも理解をしている。

    そこで、私の地元宝塚市長尾台の山手に広がる山林の北側斜面に、総面積9ヘクタールを超える、甲子園球場2.4倍もの広大な事業規模のメガソーラー建設計画が進んでいる。山林を伐採し、斜面を掘削して、約1万枚のソーラーパネルを設置、出力は3.4メガワットを予定されていると言われている。

    事業者から開発計画が出されたのは昨年4月で、今、県の太陽光条例に基づく届け出は、昨年11月に行われ、準備が進められているわけだが、残念ながら、今ご説明いただいた環境影響評価の対象にはならない。

    そこで、開発計画だが、この白い部分が9ヘクタールを超す開発事業面積で、そのすぐ北側に広がる緑地が28ヘクタールの宝塚の北ひばりガ丘きずきの森は、コミュニティひばりなど、地域住民の皆さんが県の里山ふれあい森づくり事業を活用し、里山整備を行って、自然環境を守るさまざまな取組を行っている。

    県も北摂里山博物館の一部に指定をして、援助もしている。この緑地内には江戸彼岸桜や、自然池のひょうたん池には、絶滅危惧種に指定されているセトウチサンショウウオやモリアオガエルなど、貴重な動植物が生息し、生態系への影響が危惧されている。

    また、事業区域の一部に、土砂災害警戒区域があって、斜面下には、この写真の上側が実は斜面の下になる。斜面の下には、お隣の川西市の市街地が広がっている。湯山台、南野坂の住宅地が広がり、パネル設置工事による樹木の伐採、斜面の造成により保水能力が落ちて、土砂災害の危険も指摘されている。

    そこで、新年度から施行される環境影響評価法や条例の対象ではないわけだけれども、やはり地域住民の皆さん、特に宝塚市内のきずきの森を運営されているコミュニティひばりをはじめとする自然環境を守る取組で、自然環境の破壊が危惧をされること、そしてお隣の川西では、やはり災害が大変危惧をされるということで、それぞれがそれぞれの場所に要望をされていると思うが、環境影響評価の対象ではないものの、4月からの環境影響評価の対象にするという目的に鑑みて、事業者への適切な助言・指導を行っていただきたいと思うが、いかがか。

    ○環境影響評価室長(髙原伸兒) 環境影響評価条例、アセス条例の対象外の小規模な太陽光発電所の建設でも、森林伐採等の自然改変を伴う場合には、CO2吸収源や動植物の生息・生育の場が喪失されるおれがある。

    このため、県では、先ほどのアセス条例規模よりも小さい森林伐採等を伴うおおむね0.5ヘクタール以上の事業を対象に、工事着手前の自然環境調査の実施、県への報告を求めることとして、昨日、3月10日で「小規模太陽電池発電所に関する自然環境調査指針」を制定し、適用を開始した。

    併せて、昨日、太陽光条例における太陽光発電施設の施設基準に、自然環境調査指針を踏まえて、動植物の保全に関する項目を追加した。これについても4月1日から審査基準として施行する。

    ご質問にあった宝塚市切畑長尾山の太陽光発電事業については、委員ご指摘のとおり、昨年11月に太陽光条例の事業計画届出書が宝塚市のほうに提出済であるため、経過措置が適用されアセス条例に基づくアセス手続の対象とはならない。また、太陽光条例における動植物の保全に関する施設基準への適合義務もないということになる。

    しかし、本事業については、地域住民からの環境保全等に関する要望、周辺環境への影響の懸念も踏まえ、県としては、宝塚市とも協力して、自然環境調査指針も活用して、引き続き事業者に対してできる限りの自然環境への配慮を求めていくので、よろしくお願いする。

    ○ねりき恵子委員 今ご説明あった。さらに、基準を厳しくして、小規模なものにも環境調査をしていくということなので、今後の効果に期待をするが、この宝塚市の計画については、対象とならないけれども、そういった状況に鑑みて、適切な働きかけをしていただくというご答弁をいただいたので、ぜひ今後も対応をよろしくお願いしたいと思う。重ねて要望して、次の質問に移る。

    そこで、気候変動の危機が叫ばれる中、再生可能エネルギーへの転換は進めなければならないが、このような環境破壊につながるようでは本末転倒だと思っている。

    今ご説明いただいたアセスの強化とともに、再生可能エネルギーの普及拡大には住民の暮らしに身近な場所で、住民参加による取組が重要ではないかと考えている。

    先ほども名前が出たけれども、宝塚市では市民が立ち上げた非営利型株式会社宝塚すみれ発電が、2012年に耕作放棄地に全国初の市民太陽光発電所第1号を設置し、今は6号機まで拡大をしている。

    ソーラーシェアリングによる市民農園の運営、中古ソーラーパネルの活用、コープこうべへの売電、地元の大学との連携、非常用電源を災害時に地域住民へ開放するなど、さまざまな活動を展開しながら、地域資源を生かし、農業を守り、自らの暮らしを豊かに、地域の活性化を進める取組へと活動は広がっている。

    新年度予算を見ると、北摂地域循環共生圏のワーキンググループ設置が上げられているが、再生可能エネルギーの普及には、このようなエネルギーの地産地消、地域資源を生かした地域経済の循環で、地域活性化につながるような取組への支援を抜本的に強めることが必要だと考える。

    温室効果ガスゼロへ向けた具体的な取組を、目標を持って同時に進めていくべきだと思うが、いかがか。

    ○温暖化対策課長(星野美佳) 県では、小水力発電や小規模バイオマス発電等を検討する地域団体に対して、地域事業立ち上げ時の取組などを補助し、先進的モデルのハード整備費用を無利子貸付により支援している。これまでにも、立ち上げ時の支援を23件、無利子貸付を9件行っている。

    また、先ほど委員のほうからご紹介があったけれども、地域の資源を活用した再エネを導入して、持続可能な形でエネルギーの地産地消を促進するため、地域循環共生圏の創出に取り組んでいる。

    具体的には、北摂地域を対象に、ソーラーシェアリングをはじめ、バイオガス発電、それから木質バイオマスによる熱と電気の供給などを計画・検討する団体をはじめ、地元住民や関係市町が参加する地域循環共生圏モデルの構築を目指している。

    さらに、来年度は、地域循環共生圏の全県展開を図るため、住民が参画する再エネワークショップの開催を行うなど、再エネの導入をさらに加速化させる。

    さらに、屋根置き太陽光発電など住民が身近に設置できる電源やバイオマス発電など、地域資源を活用できる電源の導入を積極的に進め、メガソーラーに偏らないバランスのとれた再エネの普及を目指している。

    ○ねりき恵子委員 ぜひ取組を進めていっていただきたいと思うが、午前中の質疑の中で、地球温暖化推進計画の見直しを3年前倒しで行うというご答弁があった。やはりCO2削減に向けて、特に1990年比40から50%減というのが世界の流れだし、京都府などもそれで計画を立てているということも踏まえて、ぜひ前向きな積極的な計画の見直しを求めて質問を終わる。ありがとうございました。

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