議会報告

  • 2020年03月09日
    予算・決算特別委員会

    2020年度予算特別委員会 健康福祉部・病院局 ねりき恵子

    ○ねりき恵子委員 日本共産党のねりき恵子である。

    最初に要望だけお伝えしたいと思う。今年の2月に県立障害児者リハビリテーションセンターがオープンした。大変関係者にも喜ばれている。新年度予算にも反映されているし、今後本格的な診療が始まるので、診療体制の充実と、あと専門職の育成というところに力を入れていただきたいと要望しておく。

    それでは、質問通告に従って質問する。

    新型コロナウイルス感染症対策について伺う。

    13人目の感染者が確認されたということで、やはり日々刻々と状況が変わっているところだが、この新型コロナウイルス検査について6日から公的保険を国は適用している。これにより保健所を通さずに検査が可能となり、安倍首相は、民間の検査機関に直接検査依頼を行うことが可能になる。かかりつけ医が必要と考える場合には全ての患者がPCR検査ができるなどと説明され、多くの国民はどこの病院でも検査を受けられるようになると思っている。しかし、国会答弁では、当面は帰国者・接触者外来を持つ844の医療機関だけで対応するというのが政府の方針だとしている。

    つまり、保険適用されても検査体制そのものは当面は変わらない。基本的には今までどおり相談センターに連絡するか、あるいはかかりつけ医に相談した上で、帰国者・接触者外来を受診し、必要と認められたら検査するということである。十分な検査体制がとられているとはいえない状況ではないかと思う。

    3月6日現在で7,793人の相談センターへの相談がある。検査に結びついているのは、そのうち、3月8日現在だが279人、3.6%ということである。

    県内のある医院の外来では、せき症状患者が来院し、胸部一部撮影で新型コロナの可能性が否定できない陰影を確認し、保健所に検査依頼をかけたところ、現時点で発熱していないのであればPCR検査不要と判断されたということだ。こういった事例が幾つかある訳だが、日本医師会は、こうした事例が各地で散見される状況も踏まえ、国に対し医師の判断によるPCR検査を確実に実施する体制の強化を要望している。県としてもこういった要望を受け、医師の判断によりPCR検査が必要と判断された場合、すぐに検査を行えるようにする体制を作るべきだと思う。

    保健所や民間も含め一刻も早くこの検査体制を強化すべきだと考えるがお答えいただきたい。

    ○参事(がん対策担当)兼疾病対策課長(山下輝夫) コロナウイルス感染症対策における速やかな検査体制の確立にということで、新型のコロナウイルスは8割ぐらいが軽症で経過するものである。ただ、県内においても、現状では複数の陽性患者が今委員からご紹介いただいたように確認されている状況であり、県民生活への影響を最小限に抑えるためには、やはり早期の発見による蔓延の防止と重症化の予防ということの二つが非常に重要だと思う。

    検査であるが、現在、国も申しているように、一般クリニックで行われている季節性インフルエンザのような簡易キットというものがない。すなわち、研究所レベルにおけるPCR検査という遺伝子増幅検査を行わなければならない。これは、検査自体は拡大されているが、やはり優先順位をつけて行うものだと理解している。

    その理由は、PCRは高度な検査技術が要り、1検体当たりの時間もたくさん要る。だから、どうしても行うときに対象患者様のご症状であったり、あるいは患者等の接触歴の濃厚接触歴があるとか、基礎疾患を有しておってこれは急ぐものだとか、こういうことを全て勘案した後に感染の拡大ということと患者の重症化というこの二つの可能性を考えて、順位を付けて、リスクの高い方から優先的にやっておるところである。

    現在、県内においては、県の健康科学研究所において1日約80検体、それから、全体のほかの3ヵ所の地方衛生研究所と合わせると1日に130件の検査が可能である。そういうことを考えると、本当にドクター――臨床の先生方がこれはコロナウイルスの可能性が高い、あるいは画像検査とか臨床症状とか言われたときには、現時点ではほとんどの方がこの検査を今はしっかり受けていただいている状況だと理解している。今後も、ただ患者の増加も予想されることから、軽症者に関してワクチンや薬もないことから、やはり感染のリスクの高い方、こちらで重症化もするようなリスクの高い方を優先的にまずはさせていただいて、患者を早期に発見し、蔓延防止と重症化の予防に取り組んでいきたいと思うので、ご理解のほどよろしくお願いしたい。

    ○ねりき恵子委員 検査体制についてご説明があった。姫路で出た患者さんが看護師だったということもあり、濃厚接触者の方が90人近くいらっしゃるとのことで、その中にはせき症状を訴えている方もいらっしゃるが、この方は検査の対象になってないということもある。今、ご説明あったようないろいろなトリアージがされているのかもしれないが、一層の検査体制の充実を求めるが、そして、検査体制を研究機関でやられている訳だが、そういった体制の県としての体制の充実も必要ではないかということで次の質問に移りたいと思う。

    この間、健康福祉事務所や研究機関が統廃合をされてきたという経過がある。現在フル稼働で対応している健康福祉事務所は、2008年4月から始まった行革で25ヵ所から14ヵ所に統廃合されて、保健師の数は634人から423人へ、健康福祉事務所の運営費は行革前の2007年度では6億6,500万円だったものが2019年度では3億3,700万円、新年度では3億6,100万円まで削減をされてきた。さらに、コロナ対策でPCR検査を行っている中核施設となっている県の健康科学研究所は、2002年に県立衛生研究所から公害研究所や県立健康生活科学総合センターなどの統合や公害部門、生活部門の廃止や分離が行われ、2018年には現在の県立健康科学研究所となった。

    衛生研究部門で比較可能な人員と予算配分を見ると、研究員、検査員の職員数は2001年の33人から2019年は再任用も含め20人へと削減されている。予算額は、2001年5億8,800万円に対して2019年度の健康科学研究所費は2億9,700万円と大きく減額されている。

    神戸新聞の3月1日付けに掲載された県立健康科学研究所の感染症部長インタビューでは、検査は、通常は3人体制だけれども検体が増えて6人でやっている。それぞれの現場が人手不足に陥っていると述べている。こうした実態を見ても、検査体制の機関の充実、強化が強く求められている。

    この間、行革で削減された保健師の定員数の回復を含め、緊急時にも対応ができるよう健康福祉事務所、健康科学研究所の人員と予算の拡充など一層の強化が求められていると思うが、その点についてお答えいただきたい。

    ○社会福祉課長(盛山 忠) ただいま委員から行革期間中の健康福祉事務所等の定員削減の状況等についてご紹介があったが、その間には、明石市の中核市移行に伴う明石健康福祉事務所の廃止など業務移管を含む組織再編等も経て、健康福祉事務所及び健康科学研究所でも概ね3割の定員削減を行ってきた。

    この定員の削減に当たっては、単に各事務所等の人員を一律に削減するということではなく、各事務所等の業務内容や執行体制についての不断の見直しを行いながら、業務運営に支障のない体制となるよう業務量に応じた適正な人員配置に努めてきたところである。

    例えば、執行体制の見直しでは、健康福祉事務所では、危機事案発生時における必要な情報収集、職員に対する迅速かつ的確な指示、本庁や医療機関等関係機関との緊密な連携を図るための一元的窓口として技術職の健康参事や副所長を配置をしてきている。

    また、健康科学研究所においては、新型インフルエンザや食品・医薬品における健康被害等の危機管理を総括する組織として危機管理部を設置するなど、新たな行政課題等に対応した体制への見直しを図ってきている。

    このように、適切な体制の構築や業務量に応じた適正な定員配置を行いつつ、今回の新型コロナウイルス感染症のように、通常の体制では対応が困難な事案が発生した場合には、状況に応じて事務所内、あるいは関係部局内での応援体制の確保、外部人材の活用などにより的確に対応していくこととしている。

    また、予算についても今回も補正を計上させていただいているが、適宜必要な予算を措置して、的確に対応していくのでよろしくお願いしたい。

    ○ねりき恵子委員 ご説明いただいたが、県の職員の皆さん、本当に今必死で対応を頑張っていただいていると認識している。けれどもやはり非常時から体制をしっかりと強化しておくことが大事だということを改めて要望しておく。

    そして、次に、新型コロナウイルス感染症患者入院病床の確保についてである。

    県は、この専用の入院病床について154床の確保を目標にしているが、感染症指定医療機関9病院の54床に加え、新たに私が聞いた時点で13床を確保して、今全体で67床が確保されていると認識している。まだ目標までに差があると思うが、今後のこの病床の確保について見通しを伺う。

    ○参事(がん対策担当)兼疾病対策課長(山下輝夫) コロナウイルス感染症入院病床の確保についてである。

    コロナウイルスの感染症は、WHOでも言っているように、感染しても軽症で回復する人が多く、その中でも約2割ぐらいは重症化するのではないかと言われている。そのため、今般特に感染者数の増加に備え、重篤な患者のための病床の確保は極めて重要であると認識している。

    県では、重症化を予防するという観点においても、先ほど述べたが、検査体制を整備して蔓延の防止とともに重症化の予防に取り組んでいる。

    また、県民の皆様方の非常に強いご不安に対しては、2月28日にコールセンターを設置し、対応しているところである。

    また、全庁的には、3月1日に県内で初めて陽性患者が確認された後、兵庫県新型コロナウイルス感染症の対策本部を立ち上げ、医療体制の提供の整備を初めとし、全体的な取組を進めてきた。

    その中で、医療体制の整備で参考にしているのは、新型インフルエンザ等対策行動計画、こちらを参考にして、帰国者、接触者の外来の設置を今順次進めており、検査で陽性と確認された患者様は確実に感染症指定医療機関での入院につなげている。

    現時点は、委員がご指摘されたように、本日午前中に確認されたが54床の病院で、現時点では入院の治療は継続できるところであるが、今後、入院の患者数が増えることも予想されているので、それに備えて国の補助金を活用し陰圧装置の設置を進めている。

    これは、今指摘されたように目標は154床であるが順次今調整しており、まだ今後具体的にいつまでかというのは、年度末の予算のこともあるので、その辺は少し今後詰めたいと思っているが、今後更に感染症指定医療機関とそれ以外の病院においても順次感染症病棟の確保を計画的に進めていく。

    引き続き、県民の生命を守ることを優先として病床の確保を計画的、また迅速に進めていくので、ご理解のほどよろしくお願いしたい。

    ○ねりき恵子委員 迅速かつ的確にということなのでお願いしたいと思う。やはり感染症なのでどの病院でも良いという訳にはいかないところが、なかなか確保するというところで難しいところがあると思う。そういった点でもふだんからの、やはりこちらも病院の体制を確立しておくことが大事だと思う。そこで次の質問に移りたいと思う。

    改めて、公立・公的病院の役割について伺う。

    先ほど述べた第1種、第2種感染症指定医療機関の9病院は全て公立・公的病院である。さらに、非公表ではあるが、帰国者・接触者外来の医療機関の多くは公立・公的病院であると予想されるところである。

    地域の中核的な医療を担い、また、感染症病床の確保なども担うなど、やはり公的・公立・公的病院が非常に重要な役割を担っていると思う。

    一方、厚生労働書の1月17日の公立・公的医療機関の具体的対応方針の再検証通知では、県内の16の主要な公立・公的病院が名指しされ、病床のダウンサイジングや統廃合の検討を促している。今のコロナウイルス感染症対策においても重要な役割を担っている公立・公的病院に対して、病床削減を前提としたこの再検証通知は、緊急時の病床確保、そして安心して医療を受けるための地域医療形成にとっても大きな矛盾を来すものだと私たちは考える。

    そこで、改めて国に対してこの再検証通知の撤回を求めるとともに、県として病床削減、統廃合を前提とせず、病院と地域医療体制を守り、緊急時の医療体制を十分確保できるように充実させる立場でこの対応をすることが求められているがいかがか。

    ○医務課長(元佐 龍) 国は、本年1月17日の通知において、高度急性期等に着目したがん、心疾患などの9領域の診療実績等の分析により、一定の基準に合致した医療機関に対して、2025年を見据えた役割及び必要な病床数等の再検証を要請した。

    県としては、高齢化の進展など地域医療を取り巻く環境を考えれば、医療機関の自主的な判断のもと地域医療構想調整会議において、関係者間で具体的な検討を行い、地域の実情を踏まえた病院の統合や機能の連携、病床の集約化や機能転換など、地域医療構想実現に向けた取組の推進は必要と考えている。

    そのため、国の分析も参考にしつつ、県独自に構想区域や病院ごとの医療需給に関する現状把握や将来推計を行うなど、地域医療構想調整会議において、国の分析だけでは判断し得ない診療領域であるとか、地域の実情を十分に踏まえることができるよう、また議論が活性化するよう支援していく。

    なお、感染症患者への医療提供については今回の国の分析の対象ではない。そのため、感染症対策として、兵庫県保健医療計画及び感染症予防計画等で定められた各医療機関の役割についても十分に踏まえながら、地域において丁寧な議論を重ねつつ、地域医療構想の実現を図っていきたいと考えている。

    なお、今回の国の再検証は、あくまでも地域での議論を活性化するための情報にすぎず、強制力を持つものではないとのことで、国としても撤回すべき性質ものではないと考えているので、我々としても地域医療構想の実現に向けた丁寧な議論を進めていきたいと考えている。

    ○ねりき恵子委員 感染症対策は特別な対策が必要なことは承知している。しかし、やはり公的・公立病院が重要な役割を担っているというところはしっかりと押さえて、充実に向けて取り組んでいただきたいと思う。

    最後に、マスクの対応である。

    午前中も同様の質問あったが、高齢者施設についての対応であった。医療現場も同じような状況があり、やはり感染拡大を防ぐという点でも非常に重要になっていると思う。

    県の備蓄のマスクをいち早くどう配布していくかを決める必要があると思う。京都府も、そして神戸市もこういったマスクの配布をもう実際に行っていると、決定したと聞いているので、ぜひ健康福祉部としても防災部局にすぐに検討を要請し、このマスクの配布の体制を決定すべきだと思うがいかがか。

    ○医務課長(元佐 龍) 新型コロナウイルス感染症の対策のための医療提供体制を構築するに当たり、医療用マスクなど医療用資機材が医療現場に安定的に供給されることが重要である。

    そのため、国ではマスクや消毒液等の増産や円滑な供給を関連事業者に要請するとともに、過剰な在庫を抱えることのないよう消費者や事業者に冷静な対応を呼び掛けている。

    また、県においても2月の帰国者・接触者外来の設置及び3月1日の本県における患者の発生に合わせて、医療用マスク、手袋、消毒薬等の安定的な供給について2度にわたり関係団体に要請したところである。

    さらに、本年度の補正予算において、帰国者・接触者外来を設置する医療機関に対し、空気清浄機や医療用マスクを含む個人防護服等の感染症予防設備、資材の購入費を助成することとした。

    現時点においては、市や医師会等における取組もあり、医療機関等において大きな混乱は生じていないが、マスク等の国内需給は逼迫している状況にあると認識している。

    そのため、3月5日の全国知事会において、医療機関に対するマスク等の医療用資機材については国が責任を持って調達することを要請したところである。

    県としても、帰国者・接触者外来の医療機関をはじめ、一般医療機関の状況も十分に注視しながら、関係団体に対してマスク等の確保、安定供給を要請するなど、関係機関、団体と緊密に連係し、感染拡大防止に向けて迅速かつ的確に対応していく。

    なお、委員ご提案の県の備蓄分であるが、医療用ではないので、午前中に答弁したように関係機関で用途については協議していく。

    ○ねりき恵子委員 いずれにしても迅速な対応が求められていると思うので、要望して終わる。ありがとうございました。

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