議会報告
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○ねりき恵子委員 日本共産党のねりき恵子である。
県税収入と県民生活について、まず初めにお伺いしたいと思う。
まず、県税収入についてである。
国の2020年度一般会計税収は、19年度当初予算比1.6%増の63兆5,130億円を見込んで、所得税は前年比2.0%減の19兆5,290億円、法人税は前年比6.2%減の12兆650億円である一方、消費税は10%への増税によって、前年比12%増の21兆7,190億円となり、初めて消費税収が所得税収を抜いて最大税目となった。
そこでお伺いする。県の新年度予算案において、県税収入のうち、個人県民税、法人関係税、地方消費税の税収額と、それぞれの構成比についてお答えください。
○税務課長(森下二三哉) 当初予算の個人県民税、法人関係税、地方消費税の構成比について、法人関係税では、県民税、事業税を足して21.7%、個人県民税で27.6%、地方消費税で32%である。
○ねりき恵子委員 今、お答えいただいたように、消費税10%への増税によって、地方消費税の税収が県税収入の3割を超えた。県予算でも最大税目になったということである。しかし、本来基幹税である法人税収は21.8%、個人県民税も伸び悩んでおり、27.6%にとどまっている。もはや地方消費税が基幹税収化しているということであるが、その一方で、この消費税増税によって個人消費が落ち込み、県経済も深刻な実態になっている。地方消費税に頼る財政構造では、これからますます暮らしも経済も深刻化していくのではないかと思われる。
内閣府が2020年2月10日に発表したGDP速報値は、物価の影響を考慮した実質で6.3%のマイナスというショッキングな数字が示された。県内の家計消費支出の指標となる神戸市での2人以上の世帯の消費支出は、2018年の月平均28万999円に対して、2019年は27万1,236円と落ち込んでいる。
東京商工リサーチ神戸支店がまとめた2019年の兵庫県内の倒産件数は492件と前年比19.1%の増、負担総額は630億6,800万円と前年比54.7%増となっており、いずれも前年から大幅に増えて、直近の昨年の12月単月の倒産件数は48件で、前年同月比71.4%もの増にもなっている。これらはコロナウイルスの影響よりも前であるから、今、もっと大変な状況になっていると思われる。
そこで、この消費税増税による影響について、特に小規模事業所の影響が深刻だと思われるが、全数調査と本格的な実態調査が必要と考えるが、いかがであろうか。
また、こういった打撃を受けている中小企業への直接支援、こういった個人県民税を引き上げる施策、そういったものが必要だと思われるが、お答えいただきたい。
○産業政策課長(小枝隆之) 消費税増税に伴う県内の中小企業、小規模事業者への影響についてであるが、さまざまな指標でお示しいただいたように、影響については、全くないとは申し上げられない状況にあると思う。ただし、複合的な要因があり、中国の経済の減少であるとか、年末にかけての暖冬であるとか、そういった状況についても、ある程度影響はしていると承知している。
我々としては、引き続き個別にさまざまな経済団体を通じてのヒアリングであるとか、我々独自で行っている県内企業に対する調査であるとか、そういったことを通じて実態の把握に努めてまいりたいと考えている。
中小企業者への支援としての取組であるが、我々としては、やはり県内の企業の大宗を占めている中小企業の振興が、本県の経済活性化には大切であると考えているし、そうしたことを通じた取組が本県の税収の増加にもつながるものと考えている。さまざまな助成制度、貸付制度を通じて振興に努めていくので、よろしくお願いする。
○ねりき恵子委員 今、お答えいただいたように、やはり中小企業支援が県の経済を活性化する大きな要だということで、ぜひ更なる支援の拡充を求めると同時に、消費税10%からやはり引き下げる、私たちは5%へのまずは減税をと言っているが、そういったことも求めて、質疑の質問に移る。
次に、地域社会再生事業費の活用についてお伺いする。
2019年の人口移動報告では、兵庫県の転出超過は、外国人を除いて7,260人と全国でワースト4位となり、8年連続転出超過になった。人口増への取組が必至である。
県は、人口減少を抑えることを大きな課題として、予算編成方針の中でも、行革の成果を踏まえて選択と集中を徹底し、各分野の取組を進めるとともに、兵庫2030年の展望を踏まえたリーディングプロジェクト推進事業や、地方創生推進交付金事業などを促進するとしている。
この事業の中には、海外企業の立地促進を進めるための新たな企業呼び込みや、大阪万博、カジノを見越した神戸・阪神・淡路ベイエリアへの高級ホテル誘致事業など盛り込まれている。こういった人口増の効果が見込めないような事業も盛り込まれている中で、国は地方法人課税の偏在是正措置による財政を活用して新たに地域社会整備再生事業費を創設し、4,000億円を組んでいる。この事業の目的は、地方団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に、自主的、主体的に取り組むためとされている。我が県でも約64億円が計上されているところである。地方交付税措置がされていて、一般財源に含まれていると思われるが、この目的を生かして、子育て支援策の充実、例えば子供の医療費の無料化、また、気候変動危機に対応して二酸化炭素排出抑制する中小企業への直接支援など、真に地域再生、地域活性になる施策にこの事業を特に活用すべきだと思うが、お答えいただきたい。
○財政課長(有田一成) 地域社会再生事業費の活用についてお答えをする。
地域社会再生事業費については、地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用し、地域社会の維持・再生に取り組むため、令和2年度地方財政計画に4,200億円が計上された。
この経費は、地方交付税の基準財政需要額に全額算入され、算定額は道府県分で2,100億円、市町村分で2,100億円が予定されている。各団体への配分については、人口を基本として、人口減少率や高齢者人口比率など人口構造の変化に応じた指標、また、人口密度が低い地域への割り増しなど人口集積の度合いに応じた指標を用いて、取組の必要性が高い団体に重点化される仕組みとなっている。先ほど委員もご指摘いただいたが、本県の基準財政需要額としては64億円を見込んでいる。
国のほうでは、想定される取組例として、医療・介護人材の確保、地域交通対策、防災力の強化などを挙げているが、地方交付税は一般財源であり、使途の制限はないものである。それは先ほど委員のほうからもご指摘をいただいたとおりである。各団体が地域の実情に応じて、自主的・主体的に取り組むべきものであるということは、先ほどのご指摘もいただいたとおりで、本県でもそのように考えているところである。新年度予算では、こうした財源も活用し、暮らし、産業、地域の魅力、教育など、各分野の施策を展開していく。
なお、子育て支援策等については、一つに、国制度見直しに合わせて私立高等学校等授業料軽減を拡充したこと、また、こども家庭センターや特別支援学校の新設に取り組もうとしていること、また、出会い・結婚支援の充実、若年がん患者の妊孕性温存治療費の助成を始めるなど、こういった取組を積極的に今後も進めていきたいと考えているところである。
○ねりき恵子委員 制度の仕組みも含めてお答えいただいた。今、ご説明いただいたことは、私たちも応援しているので、やはり人口増というところで、人口増につながるような施策の充実も求めておきたいと思う。
そういった意味で、次に、社会保障予算についてお伺いする。
消費税10%増税で、新しい経済パッケージが提起されている中で、県新年度予算の税一体改革関係以外の社会保障費は2,716億7,200万円で、前年比わずか1.6%の伸びしかない。国は社会保障の自然増分5,300億円を概算要求から1,200億円抑え4,111億円とした。それは介護保険料の総報酬割の拡大や薬価の診療報酬の改定などにより抑制されていると言われている。こうした自然増分の抑制分は、県のこの社会保障の予算に反映されているのか、お答えいただきたい。
○社会福祉課長(盛山 忠) ただいま委員からご紹介ががあったが、国の令和2年度社会保障関係予算では、国の予算資料によると、約5,300億円の自然増が見込まれる中で、歳出の抑制努力により、約4,100億円の増へと抑えられている。
その差額約1,200億円の主な内訳としては、先ほどもあったが、被用者保険における介護保険の2号保険料への総報酬割の拡大によるものが約600億円、診療報酬と薬価等のトータルマイナス改定によるものが約600億円となっている。
県の令和2年度当初予算では、社会保障関係費は前年度を約178億円上回る3,430億円を計上しているが、この県の社会保障関係費には後期高齢者医療、自立支援医療、福祉医療等の医療費に対する負担金等が含まれていることから、これらの事業費に、先ほどの診療報酬、薬価等の改定による差引マイナス影響分、改定率としてはマイナス0.46%になるが、このマイナス影響分を反映している。
○ねりき恵子委員 国のマイナス改定分を反映されているということで、このマイナス改定分に加えて、国の社会保障の予算を見ると、年金は2年連続、マクロ経済スライドを発動させて、支給額も実質0.3%減となっているし、国保については、国民健康保険料や税を軽減するための独自の公費の繰入を行っている市区町村と、その数が多い都道府県に対して、新たにペナルティ措置を新年度から導入されると。本県もその対象となると思うが、こういった自治体の努力を敵視して保険料の値上げを誘導するようなやり方は、私たちとしては許されないものだと思っている。
先ほども、県は、そういった国の社会保障の抑制路線の中で、県民の暮らしを守るという立場に立って、更に社会保障を充実させるということが必要なのではないかと私たちは今までも提案をしているが、特に県単の福祉医療費92億8,400万円、これを見ると、マイナス1億3,500万円と減っている。この減っている理由は、対象人数が減ったからとご説明をお聞きしているが、そもそも行財政改革で所得制限の強化などを含めて、対象人数を減らしてきたということが伏線としてあると思っている。そういった意味で、先ほども人口減対策を知事は行っていくということだが、やはり一番流出している層が20代の女性ということで、ここに大きく手厚い施策が必要だと思っている。
改めて、先ほども子供の医療費のことを申したが、県単独福祉医療費助成における母子家庭等福祉医療費助成の収入要件の緩和や、乳幼児医療費助成などの世帯合算の算定をやめるなど、更に充実していくような県の財政運営方針の見直しを行うべきだと思うが、いかがか。
○国保医療課長(村上恵一) 福祉医療制度における所得制限については、一つに、重度障害者医療費助成制度は、より医療の必要性の高い疾病を対象とする自立支援医療制度との整合を図るため、当該制度に準拠した所得制限に見直し、乳幼児等医療費助成制度は重度障害者医療費助成制度との均衡を図るために見直した。また、母子家庭等医療費給付制度は乳幼児・こども医療費助成制度の充実を踏まえ、母子家庭と同程度の所得水準である他の世帯との不均衡を是正するため見直したものである。この結果、受給者数は平成19年度の73万3,144人から平成30年度の71万7,219人と減少している。
これらの見直しは、行財政構造改革において、制度を取り巻く環境の変化への的確な対応、国と地方との役割分担、行政サービスの受益と負担の適正化等の視点に基づき実施したものである。
県としては、今後とも、社会情勢の変化に的確に対応しながら、福祉医療制度を将来にわたり持続的で安定的な制度として維持していく。
○ねりき恵子委員 不均衡を是正するということが一番の理由だったと思うが、やはり税収確保ということ、人口増ということ、どの点をとってもみても、暮らしを応援するということが今求められていると思う。シングルマザーの問題も深刻であるし、そういった一生懸命頑張って子育てをしている人たちを応援していくということ、そういう意味でも、この福祉医療費助成制度の充実を求めて、そういった財政運営の見直しを求めて、次の質問に移る。
投資的経費についてである。
この投資的経費は2,233億円で、前年比0.3%減ということで、ほぼ前年並みを維持しているが、昨年の豪雨災害の対策などを受けて、緊急浚渫推進事業が盛り込まれるなど、新たな防災・減災対策が進められていることは評価したいと思うし、更なる防災対策に力を入れていっていただきたいと思っている。
しかし、これまでも私たち日本共産党県会議員団が指摘している、不要不急だと思われる公共事業、特に基幹道路の推進に新たに丹波東播道路調査費をつけるなど、こういったことも行われていることを更に指摘したいと思っている。
そして、但馬空港も、法改正による滑走路の安全区域を100メートル延ばすということを足がかりにして、ジェット機が就航可能となる2,000メートル級に滑走路を延ばして、羽田空港便やアジアへの国際便の就航などを検討するあり方懇話会を設置して検討を開始されている。しかし、但馬空港は毎年多額の税金を使い、補填をしないと運営が成り立っていない。
そこで、但馬空港の運営・運航のための新年度の補填額は幾らで、94年の開港以来の累積補填額をお教えいただきたい。
○空港政策課長(宮永和幸) 但馬空港についてお答えする。
まず、但馬空港については、将来にわたる県土の発展のためには、安全・安心の確保と交流人口の拡大が重要であると考えており、但馬空港は、但馬地域の活性化に不可欠な交流基盤であると考えている。
先ほど提案された空港の運営に係る当初予算であるが、令和2年については5億7,390万8,000円、そして但馬-伊丹路線の維持に係る経費については、令和2年当初予算は1億8,220万円である。
○ねりき恵子委員 累積額は分かるか。
○空港政策課長(宮永和幸) 失礼した。累積額については、金額が確定している平成30年度までの金額でお答えする。まず運営管理に係る経費については、開港から30年度までの累積額は38億4,201万2,000円である。そして、但馬-伊丹路線の維持に係る経費については、開港から30年度までの累積額が34億1,102万5,000円である。
○ねりき恵子委員 お答えいただいた。やはり但馬空港運航のためにこれだけの運営費補助をしないとやっていけないということが、県財政運営にも大きな負担になっていると思われる。
懇話会の議事録はまだ出ていないので、新聞記事等の状況であるが、2018年度は前年比、但馬空港の利用者が増えているということだが、旅客機の更新もしたので、一定増えるのは当然だと思われる。けれどもやはり懇話会の議論の中でも、霧などの悪天候で就航率が低いということや、費用対効果の十分な検討が必要だという意見も出されている。この中で、副知事も空港需要の創出など簡単な事業ではないことを認識していると述べられている。
やはり但馬と同じ日本海側のお隣、鳥取には年間40万人を超える人が利用する鳥取空港があり、大阪国際空港にしても、車で1時間半程度あれば到達をするということで、利用増も採算性もこれから余り見込めないというのが現状ではないだろうか。更なる負担増による財政を圧迫するようなこの但馬空港の滑走路延長事業は見直すべきだということを強く求め、次の質問に移る。
次は、兵庫県財政運営方針の変更案についてである。
この変更案について、阪神南県民センターと阪神南県民局の統合、それと警察署の再編整備計画に基づく小規模警察署の統合として、佐用警察署、養父警察署、豊岡北警察署を近隣の警察署と統合するという方針が示されている。
特に警察の統廃合について、パブリックコメントでは、佐用警察署がたつの警察署に統合されれば、警察からの距離が遠方となることで、事件、事故の対応が困難になる。佐用警察署の存続を要望する署名は1万4,412筆に上り、佐用町民の民意は佐用警察署の存続であるなど、統廃合に反対する声が相当数寄せられた。治安の維持のためにも、警察署として存続してほしいというのが住民の切実な要望である。こうした声を踏まえた検討が再度必要だと思われるが、いかがであろうか。
○警察本部会計課長(伊藤博文) このたびの警察署等再編整備計画では、小規模警察署の脆弱性や非効率性、また警察署間における業務負担の較差などを背景として、小規模警察署の機能強化、大規模化による事態対処能力の強化や、治安情勢に応じた人員の適正な配分による県下全体の治安維持力の向上を図ることとしている。
再編対象となる地域住民からは、地元の警察署が統合されることへの不安感から、警察署の存続を求める署名や要望書の提出、またパブリックコメントにおいても、さまざまなご意見などをいただいているところである。そのため、これら地域住民やパブリックコメントのご意見などを踏まえ、統合される警察署庁舎の名称を分庁舎から警察センターに改めること、警察センター所長等の職を新たに設けること、また、可能な限り地元説明に費やす期間を確保するため、再編整備の時期を令和2年10月から令和3年3月に見直すなどの計画案を一部修正した上、最終的な計画を策定したものである。
今後も、関係自治体、団体等と緊密な連携を図りながら、地域住民の不安を解消するため、再編整備による小規模警察署の機能強化や具体的な効果等について丁寧な説明を行い、ご理解を求めつつ、計画を進めてまいりたいと考えている。
○ねりき恵子委員 改めて住民の声をよく聞いていただきたいということを要望しておく。
そして、県民局の統合によって、芦屋健康福祉事務所が宝塚健康福祉事務所の分室になるということで、機能が縮小になるということも、やはり今回のコロナ対策などを考えても、これも再検討していただきたいという要望をしておく。
最後に、このコロナウイルス感染症対策への財政措置についてである。
補正予算もついたところであるが、やはり今後も検査体制の強化、学校の休業に基づく対応への支援、マスクなどの不足品の支援、こういった影響を受ける産業への支援など、更なる予算の措置が必要だと思う。
新年度予算案には、このコロナ対策は計上されていないが、予備費もあるので、この予備費を活用して迅速な財政発動をして、対策を急ぐべきだと考えるが、その点についてお伺いする。
○財政課長(有田一成) 新型コロナウイルス感染症の広がりに対しては、先ほど委員のほうからもご指摘があったが、補正予算のほうで速やかに対策をとらせていただいているところである。
今後も、政府で検討中の新たな対策や、事態の状況変化も見極めながら、必要な対策に対しては、国庫補助金であるとか特別交付税の活用など財源確保にも留意をしながら、機動的、適切に対応していく。
○ねりき恵子委員 ぜひ、深刻な状況があるので、機動的な発動をしていただきたいということを申し添えて、県民の暮らしを応援する県財政運営に転換を図っていただきたいということも併せて要望をして、私の質問を終わる。ありがとうございました。