議会報告

  • 2019年10月11日
    予算・決算特別委員会

    2018年度決算特別委員会 農政環境部 きだ結

    ○きだ 結委員 日本共産党のきだ結である。

    まず、六甲山麓住宅地でのイノシシ被害対策についてお伺いする。

    この問題を何度も取り上げているが、住宅地での平穏な生活をおびやかすイノシシの出没被害がなくなるまで対策を求めたいと思う。

    環境省によると、イノシシによる人身被害は、平成29年度に、全国で少なくとも55件76人と報道され、兵庫県が最多で15件、そして、その多くは神戸市に集中している。

    神戸市と県の対策が進み、以前に比べて余り目撃しなくなったという地域もあるが、昨年10月9日の夜、神戸市中央の路上でバイクで走行していた70代の男性がイノシシと衝突して、転倒し重傷を負った事例。そして、同11月5日には灘区の路上で、パトロール中の県警男性巡査長がイノシシに襲われ右足を負傷など、依然として人身被害も起こっている。

    今日、持ってきたのは、これちょうど先週の土曜日10月5日の大体夜10時過ぎであるが、私の家のすぐ近くの住宅地であり、手前が車道、であるからバスも通る。この歩道をイノシシが歩いているが、奥に公園とそれから集合住宅があるということで、こういう風景である。市バスがまだ通っている時間であるので、降りてきた人たちが遭遇するというような状況になっている。

    そこで、昨年度の住宅地でのイノシシ被害件数、そして防護、啓発、捕獲など、神戸市と連携して行っている、また他市とでもいいが、住宅地でのイノシシ被害対策の現状をお伺いする。また、狩猟者を育てる狩猟マイスター育成スクール事業の実績も併せてお願いする。

    ○鳥獣対策課長(三輪 顕) イノシシによる平成30年度の事故件数については、交通事故を含め――神戸市であるが――交通事故を含め6件あり、うち4人の方がぶつかって転倒することやかみつかれてけがをしている状況がある。

    なお、事故件数については、神戸市が月ごとに取りまとめているところである。

    県と市と連携しながら進めている事柄であるが、出没や人身被害など生活被害を起こしているイノシシ対策として、平成28年度から神戸市が猟友会に委託して行う「わな」による捕獲活動への支援や侵入動物研究センターの職員が市や地域の要望に応じて現地で指導、研修をすることも行っている。

    また、平成30年度には六甲山系で有害捕獲が行われていない地域を対象に、県が民間事業隊に捕獲活動を直接委託する指定管理鳥獣捕獲等事業を実施した。

    また、神戸県民センターでは、平成17年度から、市街地において住民に人身被害を及ぼすなどの緊急事態に対処するため緊急対策協力員を配置しており、平成30年度は21回出動し、延べ39人が出動している。

    最後に、狩猟マイスター育成スクールについてであるが、平成26年度から当事業の研修を始めており、平成30年度は定員30名のところ29名の方が受講されている。将来の捕獲の担い手となれるよう、銃とわなの技術を2年かけて学んでいるところである。

    以上である。よろしくお願いする。

    ○きだ 結委員 今、お答えいただいたように、例えば指定管理鳥獣捕獲等事業、あるいは神戸県民センターの防護柵など、この間、本当にいろいろやっていただいているのは理解をしている。

    その上で、例えば被害件数、先ほど人身事故事例ということで4件ということであったが、例えばイノシシの目撃が、東灘なら中央区で、これ全部集中しているので、例えばイノシシ目撃であったら143件、昨年度である。住宅敷地内に侵入してきたというのが84件、ごみステーションを荒らしているというのが24件ということで、人身事故はもちろん重大であるが、それ以上にたくさん出没しているということである。

    イノシシ被害件数は、市の鳥獣相談ダイヤルで受け付けている数だと思うが、朝の8時から21時ということで、私が遭遇した10時に例えば、「今、います」ということを通報したければ、警察に110番してくれと言われているが、ただそれは件数としてはカウントをされないので、やはり実態把握という点で、何らかの仕組みが要るんじゃないかと思う。

    それから、餌付け禁止のことを、今、触れられなかったが、神戸市が餌付け禁止条例を2014年に改正をして、餌付けを繰り返す人の名前を公表できる条例改正内容であるが、平成29年度では中央区で口頭指導が2件、平成30年度は中央区で口頭指導1件、それで今年度は東灘区で1件、今の段階でということで、なかなか夜から朝にかけての張り込みになるので、人的体制予算がなかなか課題だということも聞いている。

    結論としては、県にもっと乗り出していただきたいということである。神戸市だけではなく、西宮市でも住宅地に出没しているということで、昨年度は農業被害を除けば76件の通報があるということであったので、問題は広域になっているので、ぜひ県がもう少し乗り出していただくということを求めたいと思う。

    そこで、イノシシ出没の実態把握のために、実情ね、本当に把握するために、もう少し改善が必要ではないかと思う点が一つ。それから、防護柵は効果的であるので、他の行政区にも効果的であろうというところをぜひ検討していただき設置をしていただきたいということと、餌付け根絶のためのパトロール、神戸市のパトロールへの財政支援などが必要ではないかと思う。そして、四つ目に、狩猟マイスター育成スクール、今、29人、大体30人定員でいっぱいになるということだったが、一つ銃猟とわな猟の二つの免許が要るということで、例えば、わな猟だけではだめなのか、それから免許取得後3年以内という要件があるが、これは定員にもよると思うが、もう少し定員を拡大していただき、空きを作っていただき、4年目以降でも、もう少しやっぱり学びたいという人については受け入れるとかということも必要ではないかと思うが、いかがであるか。

    ○鳥獣対策課長(三輪 顕) 夜間の対応への実態把握が必要ということであるが、野生鳥獣対策については、基礎自治体である神戸市が対策をするというのが大前提である。

    という観点から、市及び警察が情報については対応していただき、更にその足らず部分というところの部分で、県は緊急対策協力員、住民に危険が及ぶという部分について緊急対策協力員を出動させるという体制で、県と市が役割分担をしているところである。

    続いて、餌付けのお話であるが、餌付け禁止条例の運用については、市の条例に基づくものであり、市の判断によるというところであるが、県は県民だより等広報紙への掲載、それから、市と協力した餌付け禁止注意喚起の啓発活動を行っているところである。

    次に、防護柵の件であるが、委員ご承知のとおり、神戸市中央区に設置した防護柵というのは、設置をして県からお願いした地域の猟友会の方が現場を管理している。何かあれば県職員が現場に駆けつけるという対応をするとともに、地域の方が餌付けのマナーを十分守っていただいているということが効果を発揮していると考えている。

    先ほど、他の地域への防護柵の設置の延長というお話があったが、六甲山の山裾を全て柵で覆うということは、いつまでかかるのか分からないというようなところでもあるし、その設置するところには土地の所有者の了解、それから過去に設置した中央区のヤマモトチョウであるが、そちらのほうでは地域で維持管理できる体制づくりが効果をもたらせているという体制づくりなど、課題が多いというふうに認識をしている。まずは、餌付け防止、ごみ出しマナーの徹底について指導していきたいと考えている。

    それから、狩猟マイスター育成スクールの件であるが、これは狩猟にはわなと銃がある。その狩猟のエキスパートを育てるというようなことで、狩猟にはわなだけではなくて銃を使う場面というのが出てくる。ということで、銃とわなというのは必須であるというふうに考えている。

    それから、経験年数の部分であるが、それについては幅広い対応をしていきたいと考えているので、個別の案件について、またご相談をいただけたらなと思っている。よろしくお願いする。

    ○きだ 結委員 ちょっとコメントをする時間もなくなったので、次に行く。

    県の地球温暖化対策について、お伺いする。

    9月に行われた国連気候変動サミットでは、このままいけば世界の平均気温が上昇、産業革命前の1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標が達成できないとして、2050年までの温室効果ガスの実質排出ゼロ、2030年までに45%削減などが提起された。

    この提起に抗し、演説に立ったスウェーデンの16歳のグレタ・トゥーンベリさんは、「全ての未来の世代の目は、あなた方に向けられています。私たちを裏切るなら決して許しません」と強い口調で訴えて世界に衝撃を与えている。

    県は、兵庫県地球温暖化対策推進計画を策定し、地球温暖化ガス排出を、2030年に2013年比で26.5%削減するとの計画のもと、二酸化炭素排出削減に取り組んでいる。2050年には、二酸化炭素排出を8割削減するとしているが、今、提起されている2050年までに実質排出ゼロとは乖離がある。

    そこで、兵庫県の温室効果ガスの2050年までの削減目標を実質ゼロにするように、県の地球温暖化対策推進計画の見直しが必要と考えるが、現段階での温室効果ガス削減の実績と2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた見通しをお聞かせいただきたい。

    ○温暖化対策課長(星野美佳) 2030年度の温室効果ガスを、2013年度比で26.5%削減する目標を掲げており、この目標達成に向けて、大規模事業者に対して条例に基づく排出抑制計画の策定、措置結果報告、公表制度、中小事業者への省エネ設備等導入支援などにより、排出量の約7割を占める産業・業務部門の削減が進んでいる。

    また、家庭部門においては、うちエコ診断や省エネ家電の買い換え、運用部門においてはエコドライブの推進などの施策を展開した。その結果、2016年度には、速報値であるが、6.4%削減され、2020年度の中間目標である5%削減の既に上回っているところである。

    さらには、脱炭素化とSDGsをともに実現する日本が世界に発信する構想である「地域循環圏」の創造に、県としていち早く取り組んでいる。

    具体的には、北摂地域をモデルとして地域資源を活用した再生可能エネルギーを導入し、地域内での産業活動や防災などへの利活用など、エネルギーへの地産地消を実現するシステム構築を、地球環境戦略研究機関IGESと連携して進めており、今後、全県での展開を目指している。

    これらの取組を着実に実施し、温室効果ガスの削減状況を踏まえ、必要に応じて削減目標の見直しを行っていく。

    ○きだ 結委員 お聞きした2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた見通しということについては、お答えがなかったかなと思うが、これを実現しないと危機的な状況になるということを先ほどのグレタさんや国連も訴えているわけで、そのことと真摯に向き合う必要があるのではないであろうか。

    その上で、今、兵庫県は温室効果ガス削減に向けて重大な課題を背負っている。神戸製鋼の石炭火力発電の増設計画である。

    現在稼働中の神戸製鋼石炭火力発電1・2号機は、現在でも年間約733万トンの二酸化炭素を排出し、2基増設すれば、新たに約700万トンの二酸化炭素を排出することになり、2016年の兵庫県全体排出量約7,000万トンの1割にも相当する、

    住宅地から、わずか400メートルという全国でも例のない立地であり、水銀など重金属、煤塵を降下させ、二酸化炭素の排出量も・・に出た石炭をなぜ、今、燃料にするのか。世界の脱石炭の流れに逆行するものである。

    国内では、今年1月、千葉の袖ケ浦火力発電計画が石炭火力での事業を断念し、LNGへの燃料転換したのをはじめ、9月には東京ガスが茨城県の石炭火力発電所計画を断念。千葉では、それ以前にも市原火力発電所計画を、2017年に事業者が計画中止を発表。蘇我火力発電計画も2018年12月に、石炭火力での事業を断念し、LNGに転換検討と発表した。この結果、今、千葉県は脱石炭県になっている。

    9月の国連機構サミットでは、2020年以降、石炭火力発電新設中止との提起が繰り返しなされた。環境アセスへの環境消費県では、石炭火力発電を巡る環境保全に係る国内外の状況を十分認識して本事業を検討することとある。

    世界の地球温暖化へのリスク回避のための努力、各地で石炭火力発電計画が断念されているもと、地球温暖化対策に極めて高いリスクを持つ神戸製鋼の石炭火力発電増設計画は見直さられるべきではないであろうか、地球温暖化を巡る世界情勢に逆行する神戸製鋼の石炭火力発電増設の中止を県として事業所に求めるべきだと考えるが、いかがであろうか。

    ○環境影響評価室長(髙原伸兒) 事業者は、神戸発電所3・4号機の施設稼働時におけるCO2の総排出量を年間約692万トンとしている。また、この量に見合うオフセットする削減方策として、高炉の廃止や売電先での施設火力発電所の稼働抑制などを環境影響評価書に記載しているところである。

    発電所は、現在建設中であり、以後、発電事業を終了するまで、事業者は県環境アセス条例に基づき事業監視調等を行う。そして、事後監視調等の結果は、毎年、事業者が公表することとなっている。

    県としては、CO2削減方策の実施状況を環境影響評価審査会で毎年審査し、事業者に対して確実な措置の履行を求めていきたいと考えているので、よろしくお願いする。

    ○きだ 結委員 しっかりチェックをしていただきたいが、先ほどおっしゃった神鋼の言い分というのは、より二酸化炭素の排出量が少ない天然ガスや石油火力発電の稼働を抑制して、その分、石炭火力に置き換えるということと、それだけでは総排出量は減らないので、今、私たちが行っている省エネとか再エネへの変更なども、全てこれ含めて相殺するということで、企業努力のものではない。だから、そのことを是としてはいけないのではないかと思う。

    先ほども出てきたが、国の種子法の廃止を受けて、これへの対応として兵庫県は種子の安定供給を継続するために、全国に先駆けて兵庫県主要農作物種子生産条例を制定し、昨年4月に施行された。これは、知事の決断が本当に大きかったと思う。必要であれば、いろんな手を使ってこういうことをすることができると思う。

    石炭火力発電所についても、同じである。仙台市では、石炭火力発電所の増設をストップさせるために、「杜の都 仙台」のきれいな空気と水と緑を守るための指導方針を策定し、仙台市内への石炭火力発電設置の自粛を求めた。その結果、・・・石炭火力で予定していたものが木質バイオマスに変更されるなど、そういう効果が出ている。今の世界のこういった流れにぜひ学んでいただき、そういう立場に県も立っていただくということをお願いし、私の質問を終わる。ありがとうございました。

ページの先頭へ戻る