議会報告

  • 2019年10月10日
    予算・決算特別委員会

    2018年度決算特別委員会 産業労働部 きだ結

    ○きだ 結委員 日本共産党のきだ結である。

    まず、兵庫型奨学金返済支援制度について伺う。

    今、大学学費の高騰を背景に、学生の2人に1人が奨学金、その多くが利子付の返済型奨学金を借りて学んでいる。卒業後の返済負担が重く、自己破産にまで追い込まれてしまう人が増えている。根本は国公立、私学とも大学の学費を下げることであるが、同時に、奨学金の返済への支援も大事だと考え、私は繰り返し取り上げてきた。

    兵庫型奨学金返済支援制度は、県内中小企業への就職促進と奨学金返済を一体にした制度で、非常に重要だと考え、今、審査中の平成30年度の予算特別委員会でも、この問題を取り上げた。

    そこで、昨年度の利用者数、制度導入企業数など、実績と評価を伺う。

    併せて、予算特別委員会のときには、この制度がまだ知られていないということで周知の徹底を求めたが、周知という点ではいかがか。

    ○労政福祉課就労支援参事(圑野礼子) 本制度は、企業と行政がタイアップして従業員の奨学金返済を支援する制度として、平成28年度に全国に先駆けて実施した。

    昨年度の導入実績であるが、30年度は108社、304人ということになっている。

    制度導入後を見ると、平成28年度は、29年1月から開始したこともあり、5社、8人、29年度は60社、162人、ちなみに今年度は年度途中ではあるが、9月末の半年で125社、285人と着実に実績を伸ばしている。今年度については、昨年度を大きく上回るということで、少しずつ、企業のほうに浸透してきているという形で評価をしている。

    また、委員からご質問のあった企業への周知であるが、経済団体の総会や、合同企業説明会等における事業周知、それから導入企業の声を掲載したリーフレット、この奨学金制度を導入して採用が増えたとか、そういった声を掲載したリーフレット、それから企業訪問などによる制度導入に向けた個別のサポート、それから県幹部による企業トップや業界牽引企業などにアプローチ、そういったことに取り組んでいる。

    ○きだ 結委員 今、お答えいただいたように、継続社を含めて108社、304人ということである。今の9月時点でもお答えいただき、順調に、本当に数としても、企業数としても伸びてきているとは思う。ただ、30年度の当初予算8,400万ということで、決算額は1,740万円、恐らくもっと見込んでおられたのだろうなと思う。

    周知という点でも、いろいろ工夫もされて、やっていらっしゃると思うが、ただ、まだ本当に知らない方が、私がお話をしていても多くいらっしゃるというのが現実で、いろんな団体も増やしていただいて、あらゆるところでこれを周知していただきたいと思う。

    やはり、前回にも指摘をしたが、費用負担が県と事業者1対1ということで導入に踏み切れない企業もやはりあるのではないかと思う。これ、参考までに京都府は、兵庫県より月額2,500円高い月額7,500円の補助、それから最大6年間、そして年齢制限もないということで、兵庫県はたしか30歳までだったと思うが、対象業種も、社会福祉法人やNPOなども対象にして、実績見ると保育所や障害福祉サービス業にも利用されているということで、更に、一般資金などの貸し付けの融資の金利を0.2%引き下げなどもセットに行っているということであるので、この実績数は、非常に伸びてると思うが、更にいろんな事業者さんに知らせていただいて、もっとこれを利用できる事業所を一つでも増やしていってほしいなという点から、より幅広い事業者が使えるような制度設計、拡充も次に向けて、ぜひ検討をしていただけないかと思うが、この点についてはいかがか。

    ○労政福祉課就労支援参事(圑野礼子) 本制度における企業負担についてであるが、まず中小企業には若者の人材確保、それから対象従業員には返済負担軽減、それから地域には人手不足解消につながる、三方よしということで、それを具体化して、それぞれ企業、本人、それから行政が3分の1ずつを等分に負担するということを基本に今後も維持したいと考えている。

    それから、上限額については、平均年間返済額の18万円から設定しているものである。あと、ちなみに、導入企業を従業員数の規模別で見ると、50人以下の企業が全体の5割を超えている。

    こういった点からも、小規模の企業にとっても導入しやすい仕組みということで考えているところである。

    それから支援対象であるが、本制度は中小企業振興施策として導入した制度であり、本制度においては、県内中小企業と定めているところである。

    今年度からは、京都府との相互実施をしているが、本県の場合、京都府にはない政令中核市との協調事業ということで、支援対象の要件であるとか、支援期間などを含め、取り決めてを行っている。これらを踏まえて、両府県での支援内容は統一せずに、各々の特徴を生かして、推進していきたいと考えている。

    社会福祉法人等については、福祉人材の確保・養成を行う健康福祉部局のほうで、就学資金の貸し付けであるとか、人材確保のフェアなどの支援策があるので、そういった点も踏まえて、対象外にさせていただいているところである。

    また、今後はおっしゃるように広めていくことは本当に更に広めていくということは大変重要と考えている。企業や若者にこの制度をもっと知っていただくという形で、県のほうが今年度立ち上げた企業と求職者のマッチングサイトがある。そちらのほうでも広報を新たに展開していきたいと考えている。それから、京都府と連携したPRというところも、導入企業拡大につながると考えているので、更に利用促進に努めていきたいと思う。

    ○きだ 結委員 更なる周知と事業の拡大をぜひお願いしたい。

    続いて、増税における小規模事業者への影響の把握について伺う。

    2014年4月に消費税が8%に増税され、商業販売額に大きな影響を与えてきた。10月7日、内閣府が発表した8月の景気動向指数速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.4ポイント低下して、基調判断は4月以来、4ヵ月ぶりに悪化に引き上げる事態になった。

    しかし、この兆候は増税前から明らかであった。神戸新聞の7月13日付に、東京商工リサーチ神戸支店の発表で、昨年度1月からことし6月、2019年上半期の倒産件数は前年同期比13%増の243件となったと報道している。

    業種別ではサービス業ほかが79件と最多。小売業が42件、卸売業が36件と続き、個人消費の落ち込みが背景にあると見られると報じている。

    全国でも同様の傾向である。8%増税後、景気が戻り切らず、倒産件数を増やしている。更に、今月、10%への増税が強行された。しかし、増税対策の柱とされるキャッシュレスは10月1日に間に合う期限とされた9月上旬で、対象企業の約3割しか導入しておらず、とても成功しているとは言えない。

    財政状況審査で明石市のイタリアン店、兵庫区の雑貨店などの事例を紹介したが、増税が強行された10月1日前後、業者団体には廃業を決めたという事業者からの連絡が相次いでいる。

    明石市では、ほかにも地域の住民から長きにわたって親しまれた喫茶店の経営者が消費税が10%になったことを機に廃業を決意、尼崎市では従業員1人の鉄鋼業経営者から材料費が高く、単価が安い、これで10%になると経営はもたないと廃業した。これらは氷山の一角である。消費税8%に苦しみながら、何とかここまで頑張ってきた業者が、10%ではもう耐えられない、事業をやめざるを得ない事態が今生まれている。

    そこで、消費税8%の影響を抱えたまま、10%増税された県内中小企業にもたらす今後の影響を県がしっかりとつかむ必要があると考える。小売業、飲食店、小規模事業者などへの悉皆調査などを行う必要があると考えるが、いかがか。

    ○産業政策課企画調整参事(福井昌樹) まず、消費税増税の影響についてであるが、前回の増税により生じた駆け込み需要、その反動減の状況を踏まえ、国においてその対策が講じられたことなどにより、このたびの消費増税による影響は前回と比べ相当程度抑制されると考えている。

    まず、前回、税率が5%から8%に引き上げられたときは、税率の増加の割合が60%であったが、今回は25%である。この上で、国による需要変動の平準化に向けた対策が講じられている。具体的には、軽減税率の導入による食料品など身近な品目の税率の据え置き、プレミアム付商品券の発行、中小小売店等向けのキャッシュレス決済へのポイント還元、住宅購入支援、更には自動車税減税などである。

    増税前の消費動向であるが、本県、個人消費は緩やかに持ち直した。

    本年4月以降、例えば、自動車販売等が好調であったほか、家電量販店では大型家電商品など、8月の販売額が前年同月比で2割増加した。また、百貨店で宝飾品など高額商品の売り上げが伸びたとも聞いている。これらには増税を見据えた購買行動も含まれていると考えられるが、県内の企業ヒアリングでは前回と比べ、駆け込み需要の規模は小さいとの声を聞いている。

    増税後の影響については、今後、マクロ的な視点から、毎月の商業動態統計調査、あるいは家計調査等を分析していく。

    実態調査については、個別企業、事業者への影響については、県民局、県民センターとともに実施している県内企業ヒアリング、あるいは商工会、商工会議所など、支援団体との意見交換など、さまざまな機会を通じ、実態の把握に努めていく。

    ○きだ 結委員 しっかり、まず実態をつかんでいただくことが政策の前提となるので、改めて、今、いろんな団体を通じということもあったが、悉皆調査を求めたいと思う。

    その上で、やはり大きな影響があると判断すれば、増税の中止や減税などの積極的な提言をぜひ県と国に行っていただくことを要望して質問を終わる。ありがとうございました。

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