議会報告

  • 2020年03月02日
    本会議

    第347回本会議 一般質問 庄本えつこ

    尼崎選出、日本共産党の庄本えつこです。7問一括で質問します。

    安倍内閣は、10%への消費税増税強行後、初の予算案を発表、一般会計における消費税収は21兆7190億円と最多の税目となりました。軍事費が過去最高額を更新する一方で、社会保障は抑制。「自然増」分は、1200億円の削減、年金は「マクロ経済スライド」で2年連続実質削減。さらに75歳以上の医療費2割負担導入など、一層の改悪を進めようとしています。

    県の新年度予算案は、「行財政運営方針」のもと、国と一体で「全世代型社会保障」と称し、県民の医療、福祉、教育を削り、警察署や県民局の統廃合も行おうとしています。芦屋健康福祉事務所を廃止し、宝塚健康福祉事務所分室とする計画ですが、行革での健康福祉事務所の統廃合による体制の縮小が、コロナウイルス対策でも対応への不安を広げています。なお、コロナウイルス対策については、国、県による学校への休業措置などにより、県民の中で大きな混乱と影響が生じています。又、県のコロナウイルス対策は、補正予算に計上されましたが、当初予算にはありません。国に対して、予備費の範囲だけでない強力な予算措置を要望することも含め、必要な対応のためのさらなる予算措置が求められます。

    一方、大企業に有利な産業立地促進補助等は温存し、基幹道路整備、県庁舎再整備、但馬空港のあり方検討など、大型開発を進めています。基幹道路整備では、東播丹波連絡道路関連の調査費などが新たに計上されました。兵庫県は、供用延長752.5km、北海道に次いで全国2番目に長い基幹道路となっています。

    県庁舎再整備計画では、約700億円をかけて新庁舎を建設整備。元町地域の賑わい創出として、県庁舎2号館の敷地などに超高級外資系ホテルなど民間企業を誘致。県民会館は、民間施設と複合化などの計画となっています。県民の財産である県の敷地に外国人観光客をターゲットにした超高級ホテル等を誘致することは、県民の福祉向上を進める県行政の行うことではありません。

    但馬空港のあり方検討では、法改正による滑走路の安全区域の100m延長を契機とばかりに、知事は、ジェット機が就航可能となる2000m級に延長する可能性を検討する方針を示し、羽田直行便やアジアへの国際便就航など検討しています。毎年5億円以上の県の財政支出に加え、但馬地域の各市町に多額の負担を強いています。今後も需要拡大の見通しがない中、新たに税金を投入すべきではありません。

    Q)県民が望んでいるのは、例えば、子育て応援として、国民健康保険制度における、子どもの「均等割」減免制度を設けることです。18歳までの「均等割」減免は、県予算のわずか0.1%、約24億円で実現できます。子どもの国保「均等割」減免、コロナウイルス感染症の検査体制の強化、子どもの休業にともなう親の仕事の休業補償、打撃を受ける産業への補償など大型開発ではなく、暮らし、福祉、子育て応援の予算にすべきです。ご答弁下さい。

    答弁:井戸知事 まず、2020年度兵庫県予算案につきまして、たくさんのご指摘をいただきました。

    厳しい財政環境の中、これまでの行財政構造改革の成果を生かし、適切な行財政運営を推進することを基本に、新年度予算を編成しております。財政規律を維持しつつ、暮らし、産業、地域の魅力、教育など、各分野の質を高める施策を展開したものであります。

    ご指摘の、①県民局等の統廃合は、地域課題に対応した体制整備を行うため。健康福祉事務所は、芦屋市との連携強化等により分室として対応していくこと。②基幹道路整備は、地域産業の活性化や緊急輸送機能の確保など、県民生活に密接に関連する必要な社会基盤であること。③県庁舎等の再整備は、南海トラフ地震を控え、耐震性の不足を解決する県庁舎の建替とともに、余剰地の民間開発による、賑わいと活力の創出をめざすもの。④但馬空港は、客観的に需要予測や費用対効果を算定した上で、滑走路延伸の要否を含めた機能強化の必要性を検討するもの。⑤子どもに対する国保の均等割保険料は、国に対して、強く廃止を求め続けていきます。⑥新型コロナウイルス対策は、ご報告いたしましたように、これ以上患者が増加しないよう対策を進めます。休業に伴う児童・生徒対策や、中小企業者対策など、国の対策も踏まえながら、機動的に対応していきます。

    一方、暮らし、福祉、子育て応援施策として、①国の施策を活用し、幼児教育無償化、私学授業料の無償化とそれに対する県独自の対策を実施していますし、②24時間在宅介護や訪問リハビリへの助成など福祉施策の充実も図りました。こども家庭センターや特別支援学校の新設にも着手します。③投資事業では、地震・津波対策など暮らしの安全基盤を確立する事業費を別枠で確保しています。

    このように、県民の要請に応える施策を盛り込んだ予算を活用して、積極的に各課題に対応してまいりますので、どうぞよろしくご理解いただきたいと存じます。

    次に気候危機対策についてです。

    いま世界でも県内でも、気候変動の抑制を求める若者の運動が広がっています。

    昨年のCOP25は、現行の温室効果ガス削減目標を引き上げることを呼びかけ、国連グテレス事務総長は、日本を含む二酸化炭素排出量上位5カ国を名指しし、「温室効果ガス排出量の実質ゼロに向かうことが核心だ」と述べました。

    COP25開催中、ドイツの環境シンクタンクは、地球温暖化によるものと考えられる気象災害の影響について、2018年にもっとも大きかった国として日本をあげました。兵庫県も、西日本豪雨や大型台風、土砂崩れでの死者、高潮などによる広範な浸水など深刻な被害がもたらされました。地球温暖化による気候危機対策は、先送りの許されない緊急の課題です。

    2020年度予算案では、わが党が求めた家庭用太陽光パネルと蓄電池の設置補助などが提案されていますが、ふさわしい規模になっていませんし、温室効果ガス削減対策は、まったく不十分です。

    世界では2050年ゼロカーボンをめざし、2030年削減目標を1990年比で40~50%とする国が広がり、さらに引き上げを検討しています。日本でも京都府は、1990年度比で40%の削減など積極的な目標をたてています。

    ところが兵庫県地球温暖化対策推進計画での2030年度の温室効果ガス削減目標は、国の2013年度比26%削減に準じ、2013年度比26.5%であり、これでは危機回避になりません。

    そのうえ県内では、神戸製鋼が年間700万トンという二酸化炭素を排出する新たな石炭火力発電所建設をすすめており、世界の流れに逆行しています。

    知事は、2月議会の知事提案説明の中で、気候変動問題を重視し、温室効果ガスの2030年度目標値の見直しなどへの着手を公約しています。知事の本気度が問われます。

    Q)そこで、国に対し、温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを促すこと。県として気候非常事態宣言を行い、2050年ゼロカーボン水準となるよう、県の2030年度温室効果ガス削減目標を1990年度比40~50%削減などの目標に引き上げることを求めます。

    そのために環境の保全と創造に関する条例に規定する、兵庫県特定物質排出抑制計画に関する指針を見直し、条例対象企業に2030年度の積極的な削減目標を事業所ごとに提出させ、結果を公表させるべきです。

    神戸製鋼の新たな石炭火力発電所建設を中止させ、2020年度以降の新たな石炭火力発電所建設を認めない条例の策定など、知事の本気度を示してください。

    答弁:国内外で異常気象や自然災害が相次いでおり、地球規模の気候変動リスクが極めて大きな課題であることは言うまでもございません。だからこそ、丁寧な情報発信の下、産業界や地域、県民が全県あげて取り組んでいけるよう、確かな行動を起こし、促し、そして拡大していくことが県の責務と考えております。

    本県では、他県に比べて産業界のCO2排出割合が非常に高いです。県内排出量の約50%を占める約650の企業に対しては、事業所数に関わらず、県条例に基づきCO2排出の計画的抑制を求めております。2018年度排出量は2013年度比で17%減少し、着実に削減も進んでおります。

    さらに、企業の再エネ転換とその需要に呼応した地域の再エネ創出を結びつける、「ひょうご版RE(アールイー)100」の取組を促進するほか、中小事業者や家庭に再エネ電力の自家消費を進めるため、屋根置き太陽光発電設備や蓄電池の設置を支援します。また、今後期待される水素の利活用推進、長期的な観点から、FCV、FCバスの導入や水素ステーションの整備の支援も強化いたします。

    神戸製鋼所の神戸発電所3・4号機の建設につきましては、売電分は、これを買うことになる関電側で排出増に見合う削減を行い、CO2ゼロにするとしております。神鋼としてはさらにマイナスとなるよう取り組むとしております。加えて、県として厳しい事後監視チェックのほか、CO2吸収源となる豊かな海・森づくり活動へのさらなる貢献も求めることとしております。

    国は「脱炭素社会」を目指すこととしておりまして、もとより県として地域として、さらにリードしていかなければならないということでございます。国計画やエネルギーミックスの議論の動向を注視しつつ、環境保全管理者協会、企業の集まりでございますけれども、環境審議会での議論を通じまして、2030年度削減目標26.5%の見直し、長期的な削減目標を石炭火力への対応とあわせて鋭意検討してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    再質問:庄本 気候危機の問題であるが、今、全国でも気候変動についていろんな若者達がたくさんの運動を起こしているところである。兵庫県でも、この問題については知事も率先してやっていくと表明しているわけであり、今、求められていることに耳を傾け、やはり県として非常事態宣言をしてほしいと思うが、知事の所見は。

    答弁:井戸知事 非常事態宣言につきましては、私も否定するものではありませんし、非常事態宣言をするということも一つの姿勢を示すという意味で意味があると、ないわけではないと思いますけれども、問題は非常事態宣言をすることは、何のためにするかというと、ゼロを目指した道筋をしっかりと歩み続けるということを宣言するわけですので、それに対する道筋について確証も何もなしに単に宣言だけしてしまうということについていかがだろうか、まだ、時期尚早ではないだろうかという意味で、私は少し遠慮している状況であるとお答えを申し上げます。

    次に、公立・公的病院の再編統合についてです。

    2019年9月、厚生労働省は再編統合の検討が必要だとして全国424の公立・公的病院名を名指しし、兵庫県内では全国で最多規模となる15病院名が公表され、自治体、医療機関、地域住民から批判や困惑の声が広がっています。

    ところが、2020年1月17日に厚労省がだした「再検証要請通知」は、新たに県立粒子線医療センターが追加され16病院となり、「地域医療を充実したい」という切実な県民の声にそむくものでした。

    公立豊岡病院組合立豊岡病院出石医療センターは、「公立公的病院2025プラン」に基づき地域医療構想調整会議で2年間の議論を経て、厚労省提案を100%受け入れ急性期病床全てを回復期病床へ転換する合意をしたにもかかわらず、「再検証要請通知」の対象病院として公表されました。厚労省は2年間の地域医療構想調整会議の合意を無視し、「ちゃぶ台返し」したのです。

    また、三田市にある国立病院機構兵庫中央病院は、昨年12月の再検証説明会で「(本院)はセーフティネット医療、筋ジストロフィ、結核、重症心身障害児者等を扱う病院。地域医療構想では障害者医療のサービス低下もやむなしと考えているのか危惧している」と、病院長が一律基準の名指し公表を厳しく指摘したのに対し、厚労省は「障害者医療の低下やむなしとは考えていない」と答弁せざるを得ませんでした。

    国家公務員共済組合連合会六甲病院がある地域では、地域住民らによって六甲病院の存続と充実を求める署名活動が行われ、わずか1か月余りで5000筆の署名が集まり、先日県に提出されたところです。

    厚労省は、この度の再検証要請通知は、「分析結果をもって機械的にきめるものでない」という一方、総務省は、「令和2年夏頃を目処に『新公立病院改革ガイドライン』を改定し、各公立病院に対して令和3年度以降の更なる改革プランの策定を要請する」としています。

    Q)今後、「再検証要請通知」について地域医療構想調整会議で議論が進められますが、県として厚労省の求める統合再編・ダウンサイジングを進めるのではなく、地域の実情踏まえ、病院と地域医療を守る立場で議論を進めることを求めます。

    兵庫県下では「兵庫の地域医療を守る会」が立ち上がり、神戸市北区・三田、川西、伊丹・尼崎、西宮、姫路などで地域医療を守る運動が広がっています。地域医療構想と、地域医療を守ろうとする県民との矛盾が露わになっています。公立公的病院の再編統廃合の大元にある地域医療構想を中止すべきことを求めます。おこたえ下さい。

    答弁:地域医療構想は、2025年に向けて地域完結型医療提供体制の構築を目指すものであり、現在、各圏域の地域医療構想調整会議において検討が進められている。

    この度、国は、この取組をさらに進める観点から、高度急性期・急性期機能に着目した診療実績について、その多寡や近接性など一定の条件のもと、その医療機能について分析し、各医療機関が担う必要な病床機能や、構想区域全体の2025年の医療提供体制などについての再検証を求めてきた。

    県としては、高齢化の進展など地域医療を取り巻く環境を考えれば、医療機関の自主的な判断のもと、地域医療構想調整会議において、関係者間で具体的な検討を行い、地域の実情を踏まえた病院の統合や機能の連携、病床の集約化や機能転換など、地域医療構想実現に向けた取組みの推進は必要と考えている。

    そのため、国の分析も参考にしつつ、県独自に、構想区域や病院毎の医療需給に関する現状把握や将来推計を行うなど、地域医療構想調整会議における議論の活性化を支援していく。

    一方、再検証要請において対象医療機関の診療実績が少ないという国の指摘の背景には、医師偏在という状況がある。このため県では、新たに策定する医師確保計画に基づく取組みを推進するとともに、国に対し、医学部地域枠の臨時定員による措置の継続など医師偏在対策の着実な実施を要望していく。

    今後も住民が住み慣れた地域で生活しながら、安心して必要な医療が受けられる地域医療体制の構築に努めていく。

    次に子どもの医療費についてです。

    子どもは社会全体で育てるという観点から、兵庫県でも子どもを生み育てる環境をいっそう整備することが求められています。その一つが子どもの医療費無料化です。

    私の地元、尼崎市では、入院は中学卒業まで無料ですが、通院は就学前までにとどまっています。通院は小学3年まで1医療機関800円の窓口負担が2回まで必要、4年からは窓口2割負担です。厳しい所得制限もあります。

    小学4年生と1年生の子どもを持つ母親は、「2人一緒に受診すれば1回で3~4000円もかかり、ちょっとしたことではなかなか病院に連れていけない。無料になれば軽いうちに迷わず受診できる」と切実な声をあげています。

    また西宮市との境にある診療所には、西宮市からも子どもが診察に来ますが、診療所の方は、「同じ県内の子どもなのに、西宮は無料、尼崎市の子どもだけ負担を求めるのは、本当に矛盾を感じる」と訴えています。

    兵庫県保険医協会が、実施した「2016年度学校歯科治療調査」では、要治療の子どもの未受診率が65%、口腔崩壊の子どもが1人でもいる学校が35%という衝撃的な実態が明らかになりました。口腔崩壊は子どもの成長、脳の発育や健康に大きな影響を及ぼすもので、一日も早い改善が求められます。

    2009年10月、中学3年生まで医療費無償化した群馬県では、それまでは小中学生の虫歯の治癒率は全国平均だったのが、2010年の例えば14歳で、全国平均29.96%に対し、39.2%と大幅に改善しています。

    明石市は、健全な歯を保つため幼いころからの予防が重要だと位置づけ、教職員、保護者への啓発を強めていますが、医療費が無償化しているので受診を進めやすく、子どもの歯科診療が増えているとのことです。

    子どもの医療費無料化が子どもの健康を守るために、必要不可欠である事は明らかです。

    Q)だからこそ、中学卒業までの無料化は、8割を超える35自治体に広がっているのです。今こそ、県として所得制限をなくして、中学3年までの医療費無料化に踏み切るべきです。知事の決断を求めますが、いかがですか。

    答弁:本県では、子どもが必要な医療を受けることで、健康が保たれるよう、市町と協調しまして、中学3年生までの入院・通院を対象に医療費の助成を実施しており、若い世代が安心して子育てができる環境の整備に大きな役割を果たしているものと考えております。

    県は、全ての市町に共通する基盤の制度として本助成を実施しており、受益と負担のバランスを確保し、制度を持続的で安定的なものとするため、自己負担を求めているところですが、低所得の方には負担軽減を行っております。また、本制度は、支援を必要とする方への医療費の自己負担を軽減することを目的としていることから、負担能力のある方に対しましては、所得制限を設けているところでございます。

    他方、市町は、実施主体としまして、地域の実情に応じ市町ごとの政策判断により県制度に上乗せして自己負担の無料化などを行っているものというふうに認識しているところでございます。

    子どもの医療費の助成制度は、子育てに係るセーフティネットと考えており、本来、全国一律の水準で実施されることが望ましいことから、全国知事会等あらゆる機会を捉えまして、国における早期の制度化を提案しているところでございます。

    県としましては、今後とも、社会情勢の変化に的確に対応しながら、持続的で安定的な制度として維持していきたいというふうに考えておりますのでよろしくお願いいたします。

    次に、子どもの権利が保障される学校教育についてです。

    昨年、日本が「子どもの権利条約」を批准してから25年目を迎えましたが、同年2月、国連子どもの権利委員会は日本政府に対して4度目の勧告を行いました。勧告では、“子どもに影響を与える全ての事柄について、子どもによる自由な意見表明と、その意見が適切に重視されること”を求め“子どもが権利行使する環境づくりと参加の促進”を求めています。

    これは、学校生活に大きな影響を与える校則の問題などを念頭に置いたものです。

    兵庫県立高校では2017年度の調査において58校に地毛申請等、いわゆる「地毛証明書」があるとのことです。教育委員会からは、「地毛申請等で生まれつきの茶髪やくせ毛だと分かれば、指導によって傷つけることがないので、その生徒の人権を守ることになる」と説明を受けましたが、そもそも生まれ持った外見上の特性を指導の対象にすることこそ、人権侵害にほかなりません。

    昨年、ある県立高校で男子生徒が髪をゴムでくくって登校したところ、先生から外すよう言われ、なぜだめなのかと聞くと「決まりだから」と一蹴され、その生徒は不本意ながら外したとのことです。不合理な校則があることと同時に、理不尽だと感じても先生に異議を唱えても変わらないというあきらめの気持ちを生徒に持たせているという問題があります。

    集団生活を送るのに一定のルールを設け、それを守ることは当然ですが、校則の内容は、基本的人権を制約しうるので、当事者である生徒・保護者の承認・承諾が必要というのが「子どもの権利条約」の立場です。どんな校則を定めるかを教師と生徒が討議するプロセスこそが、生徒自ら自主性・自律性を身につける貴重な教育の場になるという視点が重要です。

    県内高校でも、校則の見直しを行っているとのことですが、大切なのは、校則の見直しができる場をきちんと保障すること、そして、生徒の意見がきちんと受け止められる環境と、その体験の積み重ねです。

    Q)教育委員会として、子どもの権利条約に則り、どの学校にも子どもたちの意見表明が保障される場をつくるよう提言するべきです。具体的な取り組みの検討を求めます。

    生徒参加での校則改定の取り組みを重視し、その内容を各学校ホームページに掲載・公表するなどで、各学校での議論を活発化させること、子どもの権利を侵害し、人格を否定する地毛申請等は廃止することを求めます。

    答弁:世界中の子どもたちの基本的人権を保障することを目的とした「子どもの権利条約」は、子どもが人格を持った一人の人間として尊重されることを定めたものである。日本でも条約を踏まえて、例えば、児童虐待防止などの取組が行われている。

    校則は、教育目的を実現するために、児童生徒が守るべき学習上や生活上の規律であり、社会通念を踏まえながら、合理的と認められる範囲で各学校がめざす育てたい人間像に向けて定めるものである。従って各学校で内容は異なるもの、生徒自らが必要なもの、と受けとめることが重要である。なお、地毛申請は、日本人の頭髪は黒いものであり、それ以外の色を否定する風潮が永らく通念となる中で、生徒を守るために設けられたものである。

    価値観は、ルールに大きく影響する。今後、グローバルな社会を迎え、多様な価値観を認める教育を進めることで、校則の選択も大きく変わると考える。夏のエコスタイルが、だらしないものから今では容認され、逆にスーツ、ネクタイが不思議なものと変わったように、校則は、学校の伝統を尊重しながら、保護者、地域住民の理解のもと、時代や環境の変化に応じて見直すことが必要である。こうした中で、子どもの権利条約の理解を深めるとともに、子ども一人一人の言葉に耳を傾けながら人権尊重の学校づくりに取り組んでいく。

    次にジェンダー平等についてです。

    ジェンダーとは、「女性はこうあるべき、男性はこうあるべき」などの行動規範や役割分担などを指しています。その多くが政治によってつくられ、歴史的に押し付けられてきたものです。

    世界経済フォーラムが公表したグローバル・ジェンダーギャップ指数で、2019年、日本は153か国中121位で過去最低を更新、G7では断トツの最下位です。とりわけ経済分野は115位、政治分野は144位と日本のジェンダー平等の遅れは、政治が大きな責任を負っています。

    いくつかの問題点を指摘します。

    世界で夫婦同姓を義務付けている国は日本だけです。婚姻の際どちらの姓を選んでもよいとされていますが、姓を変える96%は女性です。戦前の「家制度」に組み込まれた女性差別の構造が戦後も引き継がれている一つの表れです。憲法に保障された一人の人間としての人格を保障する観点から選択的夫婦別姓を求める声は年々大きくなっています。

    県議会では昨年6月「LGBT/SOGIに関する差別のない社会環境整備を求める意見書」を全会一致で採決したところですが、国の取り組みは不十分です。

    一方、性の多様性が尊重され、全ての人が自分らしく生きることができる社会の実現をめざすパートナーシップ条例・制度のある自治体は34に広がり、県内でも尼崎市、宝塚市、三田市の3市、都道府県では茨城県に次いで大阪府も始めました。

    また、日本では、男女の賃金格差が際立っています。女性の賃金は正社員同士で比べても男性の7割、パートまで含めれば5割です。

    兵庫県としてパートナーシップ条例の制定や男女の賃金格差ゼロをめざし、県内企業における男女の賃金格差を調査・公表し、格差をなくす努力をしている中小企業への直接支援を行うべきです。

    さらに、女性活躍推進本部資料では、2017年の兵庫県の女性有業率は全国41位、県職員など女性の指導的地位の割合は低水準で推移するなど、県内の女性の社会参加、活躍の状況は遅れているのが実態です。

    Q)そこで、これらを踏まえ、「ひょうご男女いきいきプラン」の改定にあたっては、ジェンダー平等の立場に立ち、賃金格差解消、LGBT/SOGI差別解消、ハラスメント防止、性暴力の根絶などを盛り込むことを求めますが、いかがですか?

    本県では、男女共同参画社会の実現に向け、「ひょうご男女いきいきプラン2020」において、“すべての女性の活躍”など、5つの重点目標を定め、全庁をあげて取組を推進しております。

    この現行のプランの中で、ご質問にありました男女間の賃金格差や性的少数者、ハラスメント、性暴力についても盛り込んでおり、取組を進めております。例えば、「DV対策や各種ハラスメント対策」として、非暴力をテーマとするセミナーの開催や性暴力等に関する相談、企業が実施するハラスメント防止研修への講師派遣などを実施しています。

    また、本県における「男女間の賃金格差」については、女性の賃金が男性の76.3%と全国の73.3%を上回っているものの、男女の勤続年数や管理職比率の差異が格差の主な原因と考えられることから、女性のライフステージに応じた就業継続の支援と、女性管理職登用の促進に向けた取組を行っております。

    なお、「パートナーシップ制度」については、宣誓制度を導入する自治体や国の法整備の動向を注視しながら、その根幹となるLGBT等性的少数者に対する社会の理解促進に努めてまいります。

    次期プランの策定にあたっては、改めて男女共同参画全般に係る現状分析と各種取組の検証を行い、県民や県議会のご意見を伺いながら、男女共同参画審議会において検討を進めてまいります。

    最後に核兵器廃絶を求める取り組みについてです。

    2017年に成立した核兵器禁止条約の署名国は81か国、批准国は35か国に達しました。世界は被爆者の運動に応え、核兵器禁止条約の早期発効を願っています。

    昨年11月、世界で13億人の信者がいるローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が38年ぶりに広島と長崎を訪れ、核兵器廃絶を強く訴えました。ローマ教皇は、核抑止論を正面から否定、核兵器の非人道性、環境破壊を厳しく告発、核兵器禁止条約の発効への不退転の決意も述べました。この発言は国内外に多大な影響を広げ、日本カトリック司教協議会は、安倍首相に「核兵器禁止条約に署名と批准の実施」を要請しました。

    すでに兵庫県議会は、核兵器廃絶を求める県民の強い願いにこたえ「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を2017年12月全会一致で採択しました。

    さらに被爆者団体などの働きかけにより、井戸知事、尼崎市長はじめ28市長、全12町長が核兵器廃絶国際署名に応じ、県下全ての市町長が「平和首長会議」に加入しています。

    西宮市では、市が受取人払いの封筒型の署名用紙を市民に配布、宝塚市も夏の平和事業などに合わせて封筒型の署名用紙を市民に配布し、市庁舎に署名用紙を置いています。洲本市はホームページで署名を呼びかけ、川西市は市庁舎に署名コーナーを常設しています。

    今年2020年は被爆75年、「核兵器のない世界」の実現の重要な機会となる第10回NPT再検討会議が開かれます。会議に先立ちNPT開催地のニューヨークにおいて、核兵器禁止条約正式発効を求め、被爆国日本以外で初めて「原水爆禁止世界大会」が開かれます。2020年を非核の日本、核兵器のない世界への転換点にしなければなりません。

    しかし日本政府は、唯一の戦争被爆国でありながら「核兵器禁止条約」決議に反対し、核兵器廃絶に背を向けるだけでなく、妨害者の役割を果たしています。

    Q)ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名に賛同しサインをした知事として、日本政府に対し核兵器禁止条約の署名・批准を強く求めるべきです。おこたえください。

    被爆者は平均年齢82歳を超えました。知事は、被爆者の「生きているうちに核兵器廃絶を」の悲願にこたえ、兵庫県原爆死没者慰霊祭など被爆75年の行事を被爆者とともに県も一緒に取り組み、核兵器廃絶を世界に発信すべきです。知事の誠意ある答弁を求め質問を終わります。

    答弁:平成28年9月に核兵器廃絶を願う被爆者の思いに賛同し、「核兵器廃絶国際署名」に知事名で署名いたしました。また、県民を代表する県議会においても、平成29年12月に「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」を全会派一致で採択されておられます。知事としては、次世代に平和で安心できる兵庫を引き継いでいくため、弛まぬ努力を重ねていかねばならないと決意いたしております。

    一方で、外交・条約締結に関することは、いうまでもなく国の専管事項であります。核兵器禁止条約への対応は、核兵器国と非核兵器国の協力を得て、現実的かつ実践的な取組を積み上げ、核兵器のない世界を実現させていくという政府の基本的な考え方と承知しています。政府には唯一の戦争被爆国として被爆者の思いを汲み取り、国際社会の中で核兵器国と非核兵器国との橋渡しの役割をしっかりと担っていただきたいと願っています。

    本県としては、今後とも被爆者団体への活動支援として、核兵器廃絶国際署名への呼びかけ、県原爆死没者慰霊祭への本県職員の出席と財政的支援などを継続しますとともに、地域間の草の根の交流による相互理解を深め、多文化共生づくりを進めていくことにより、地域から国際平和に貢献する努力を引き続き重ねてまいりますのでご理解いただきたいと思います。

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