議会報告
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■兵庫型奨学金返済支援制度の拡充を
庄本えつこ委員 日本共産党の庄本えつこである。
まず、兵庫型奨学金返済支援制度についてお伺いしたいと思う。
日本の大学の学費は世界一高いと言われている。高過ぎる学費のために、多くの大学生は日本学生支援機構などから奨学金を借りて大学に通っている。先日、当局からいただいた県内大学生の奨学金受給状況についての資料によると、推計となっているが、昼間部の大学に通う学生が11万4,670人、そのうち、これは全国平均であるが、48.9%に当たるということで5万6,073人が奨学金を受給しているというふうに考えられている。こうした奨学金受給者は卒業時には多い人で大学院も含めると1,000万円近くも借金を背負って社会に出ることになる。私の娘も卒業後10年以上も返済をしているという状況である。高過ぎる学費を引き下げることは喫緊の課題ではあるが、この奨学金返済に苦しむ新社会人への支援は本当に重要であると思っている。
日本共産党議員団は県議会において、給付制奨学金の創設や奨学金返済の軽減制度などを繰り返し求めてきたが、2016年度から全国初の取組として、兵庫型奨学金返済支援制度が創設された。本当によかったと思っているが、そこでお伺いするが、この兵庫型奨学金支援制度の開始以降の制度導入企業数と利用人数を年度ごとにお答えいただきたいと思う。
〇答弁:労政福祉課長(竹谷昭宏) 本制度は、企業と行政がタイアップして奨学金返済を支援する制度として、平成28年度から全国に先駆けて実施した。
制度を導入した中小企業からは、採用の問い合わせが増えた、離職率が改善したなど好評であり、企業には人材確保、従業員には返済負担軽減、地域では人手不足の解消につながる三方よしの制度と認識している。
現在、多くの企業、従業員に活用いただきたいと考えており、平成28年以降の実績については、平成28年度は平成29年1月から開始したということもあり5社、8人、平成29年度については60社、162人、今年度については平成31年2月末現在で既に103社、285人となっており、着実に実績を伸ばしているところである。
庄本えつこ委員 ありがとう。冒頭に述べたが、現在の大学生だけでも5万6,000人の学生が奨学金を受給しているということになる。さらに、卒業して働いている人ということになれば、数十万人単位でいらっしゃるということになると思う。制度そのものは画期的ではあるが、必要としている人の規模からすると不十分と言わざるを得ない。
当該予算は約1,500人の利用を想定し、8,500万円を計上しているが、その予算規模から見ても285人という実績は不十分ではないか。
そこで、この予算規模に見合う利用者、利用企業に拡大するための手だてはどのようにとられようとしているのか、お答えいただきたい。
〇答弁:労政福祉課長(竹谷昭宏) 予算額については県内企業数及び対象となり得る若者の総数をもとに約1,500人の補助を見込んでいた。
しかしながら、本制度については企業において制度を導入していただくことが前提となるため、忙しい企業担当者が制度を理解し、社内の意思決定を図るということが困難、あるいは、相当な時間を要している。そして、このことによって、導入企業数が伸び悩んでいるということが実績低迷の大きな原因であるというふうに考えている。
このため、これまで経済団体の総会や、あるいは、合同企業説明会等において事業の認知度を高めていくのに加え、企業訪問等による制度導入に向けた個別サポートを強化した。あわせて、戦略的に各地域の導入企業を拡大するため、県幹部による企業トップや、地域、あるいは、業界牽引企業へのアプローチも行ってきた。
来年度については、これに加えて新たにひょうごで働こう!プロジェクトの広報を強化する中で、民間求人サイトを活用した広報、あるいは、県内外の大学を訪問しての個別広報を展開することとしており、当制度については、この中のメーン事業の一つとして、より一層の周知に努め、導入、実施を強力に進めていく。
庄本えつこ委員 いろいろと工夫をされるということであるが、共産党県会議員団としては、今回この問題では取り上げないが、県の支給割合を増やすということも中小企業をもっと応援するということになれば、企業がやりたい、やる決意をする応援になると思うが、今回は県の支出割合を増やすということは要望だけにとどめさせていただく。
さて、2019年度からは当該事業を拡充し、京都府の就労、奨学金返済一体型支援事業との相互実施を開始するとしている。これは、京都府で本社企業で、兵庫県内の事業所は本県の奨学金支援制度を利用でき、逆に、兵庫県本社企業で、京都府事業所は京都府の支援事業が利用できるというものである。しかし、本県の制度は県支援額1年上限6万円、最長5年に対し、京都府の制度は府の支援額が1年間上限9万円、最長6年となっており、支援内容が統一されていない。
そこで、京都府との連携を行うのであれば、中小企業、若者就労の支援という立場から、京都との格差をなくして、兵庫県でもせめて京都府並みの支援内容とするべきであると考えるが、いかがか、お答えいただきたい。
〇答弁:労政福祉課長(竹谷昭宏) 京都府との相互実施についてはPRにより導入企業拡大、人材環流が見込めるなど、県内中小企業の人材確保と若者の県内就職、定着促進につながると考えている。
本県制度については、平均的な奨学金返済額、これをもとにして、企業、従業員、地域にとって三方よしの制度であることを具体化して、それぞれが3分の1ずつを等分に負担するということを基本としていること、また、このことや従業員の補助期間の上限を含めて京都府にはない政令・中核市との協調事業として取り決めて実施していること、これらを考慮して、支援内容については統一せず、それぞれの特徴を生かして、本県と京都府が双方で広くPRを進めることとした。
今後は、京都府との相互実施などポイントとなる支援内容について、民間求人サイトによる広報と各大学への訪問による学生に対する直接的なアプローチとの双方により、より一層の利用促進に努めていく。
庄本えつこ委員 京都府との支援内容が統一されていないというのはちょっとひっかかって、ずっとひっかかっているところであるが、お互いに学生がどちらを選ぶのかというふうなことにならないようにしっかり京都府とも連携しながら、本当に学生にとって、また、中小企業の皆さんにとって更にいいものになるように求めて次の質問に移りたいと思う。
■移動販売支援制度について
庄本えつこ委員 先ほど岸本委員のほうからも質問があった、移動販売の取組支援についてである。
商店街のにぎわい、活性化のための新規施策、移動販売の問題であるが、これについては、概算要求の説明を受けたときから注目していた。昨年、これは健康福祉のほうの問題であったが、軽自動車の移動販売において、お肉の販売ができるように条例改正がなされて、実はその成果がどのように現れているのかということも知りたいところなのであるが、本当に役に立っているんじゃないかなというふうに思っているところなのであるが、山間部だけでなく、都市部でも買い物難民と言われる状況がある。私の地元、尼崎は関西で一番住みやすい地域に選ばれた。その理由として、交通の便がよく、買い物をするところもたくさんあり、便利だというものである。しかし、それはJR尼崎駅北側を中心とした場所である。しかし、尼崎市域にはスーパーマーケットも小売店も閉店が続き、更に高齢化が進み、買い物の困難な地域がある。その一つが戸ノ内である。この地域の皆さんはスーパーマーケットが欲しいと切実に願っているが、もうけが余り望めないところにはスーパーは出店しない。
そこで、車による移動販売が本当に望まれている。直接何とか移動販売ということも使ってきてくれないかというふうに私自身も言われたところである。
今回の提案は、地域の買い物利便性向上と販路の拡大を図るため、商店街が行う移動販売の取組を支援するということで、商工会などから何らかのアプローチがあったのかとも考えたが、先ほどの答弁の中で、福崎町をビジネスモデルとして広げていきたいのであるというふうにおっしゃっていたが、もう少し具体的に教えていただきたいのと、では、県としてどのようにこの支援制度を展開していくのか、期待される効果についてお答えいただきたいと思う。
〇答弁:経営商業課長(原田剛治) 移動販売への支援は、商店街の活性化と買い物弱者対策として、先ほども言ったように、福崎町商工会の取組をモデルに事業化したものである。
具体的には、商店街や商工会が地元の事業者を活用して地域を巡回して行う食材や総菜、日用品等の販売を支援するものである。
県補助金は、初期費用を軽減するため車両の購入、あるいは、リース料、PRにかかる経費などに充てることができ、補助期間は5年で年間300万円を上限としている。
中山間地域や都市部におけるいわゆる買い物難民対策、あと、カタログやネットで注文するシステムにふなれな高齢者の買い物支援、地元商店街の活性化につながることを期待している。
庄本えつこ委員 大いに期待はしたいなと思っているが、応募がなければ意味がないのであるが、どのように周知していくのか、ちょっと教えていただきたいと思う。
〇答弁:経営商業課長(原田剛治) 既に市町、あるいは、商工会、商工会議所、あるいは、県民局の担当を集めて、制度の説明を行っている。そういったところから実際に事業者を含めてPRしていただくのと、あと新聞のほうにも報道されて、一部問い合わせ等もあるので、そういった形で積極的に広報していきたいと思う。
庄本えつこ委員 応募がたくさんあればいいなと思うが、ただし、この事業の対象者が商店街小売市場、商工会議所や商工会、商業者グループなどの一定のグループに限られており、小売店には適用されていない。ボランティア精神でやってあげたいと思っても、個人では自動車の用意ができないというようなときにこの制度が活用できれば本当にいいと思っているが、例えば、八百屋さんとか、お肉屋さんなど、小売店舗が活用できるものとして拡充させる必要があると思うが、いかがか。
〇答弁:経営商業課長(原田剛治) この商店街移動販売支援事業の支援対象者は、商店街や商工会、商工会議所などの商業者グループであり、一店舗が単独で行う移動販売への支援は考えていないところである。
なお、八百屋、肉屋など、一店舗単独で実施する意向のある店舗についてはそういったグループに加わっていただく。あるいは、複数の店舗が連携し、グループで実施いただくことが補助対象になるので、そういったやり方への誘導をしていきたいというふうに考えている。
庄本えつこ委員 ということは、例えば、八百屋さんとか、お肉屋さんとか、今待っているだけではお客さんが来なくて、本当にもっともうけたいなと思っているお店屋さん、個店があると思うが、その方々が2店とか3店とかでグループを結成して、そういうときに制度を利用できる可能性があるということでよろしいか。
〇答弁:経営商業課長(原田剛治) そのとおりである。
庄本えつこ委員 ありがとう。本当に私もそういうお店屋さんにも声をかけながら頑張りたいなと思うが、本当に戸ノ内地域はスーパーが撤退して小売店も次々閉店して、いまやコンビニが1店あるだけである。つまり、生鮮食料品を手に入れるのが大変困難である。バスに乗って園田とか、JR尼崎まで行かなければならないが、高齢化に進んで、たくさんの買い物をして、大きな荷物を持って帰るということはなかなかできない状況である。バスも1時間に1便しかないから、このような地域は戸ノ内だけではないと思うし、また、販路拡大という意味ではいい方向にいけばこの制度はとても役に立つのではないかと大いに期待して私の質問を終わる。
ありがとうございました。