議会報告
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有期雇用5年以上の契約社員を無期雇用へ
■入江次郎■ 日本共産党の入江である。よろしくお願いする。
早速、質問に入る。
29年度の県民意識調査、これによると、これは毎年やっているのだが、理想の仕事として、収入が安定している仕事、失業の心配が少ない仕事というのが上位を占めているのである。
県政の評価というところで、努力が必要と答えているトップが福祉対策、2番目に雇用の安定、もっと県政に努力をしてほしいという県民からの声だと思う。その県民の声に応えていただくリーダーシップを発揮することを求めて、質問に入りたいと思う。
平成24年8月に労働契約法が改正され、パートやアルバイトなど名称を問わず雇用期間に定めのある有期社員の契約が、5年を超えて反復更新された場合、有期社員の申し込みによって期間の定めのない無期労働契約に転換されるという労働契約法の改正が行われた。
改正労働契約法は、平成25年4月1日から施行され、施行日から5年目を迎える平成30年4月1日から無期転換申込権が有期社員に発生する。
兵庫県議会でも平成30年3月23日、労働契約法に基づく無期転換ルールに関する意見書を全会派一致で採択し、緊急要望として国に意見書を提出したところである。
そこでお伺いするが、兵庫県とかかわりの深い密接公社、出資法人等では、多くの有期労働者と雇用契約を締結している。県として密接公社等に対し、無期転換権が発生する平成30年4月1日を前に、例えば県議会で議決した意見書でもあるように、労働者に対しては無期転換ルール申込権発生の周知、事業者に対してはルールの正しい理解を求めることなど、どのような指導、助言をされたのか。
また、公社等において、無期転換逃れを意図した合理的理由のない雇い止め、法改正前後の就業規則の変更等が行われていないかの実態調査はされたのか、それぞれお答え願う。
■新行政課長(中之薗善明)■ 平成24年度に労働契約法が改正された。その内容については先ほどご紹介があったところである。無期転換ルールの創設というのが、主な内容になっている。
県行政と密接な関連のある公社においても、有期労働契約が通算5年を超えて繰り返し更新された場合は、無期転換の申込権が発生するなど、法改正への対応が必要となることから、まずは法改正の内容を周知するとともに、その具体的な対応として、同一人における有期労働契約については、通算で5年を超えて繰り返し更新する場合は、その従事する業務の専門性や継続性、職務能力等を総合的に勘案して検討するように、平成29年1月に通知を発送しており、幹部局を通じて団体を指導しているところである。
2点目のお尋ねであった無期転換の判断や就業規則の変更等については、それぞれの職員の状況であるとか、業務内容、経営状況など団体によって勘案する事情が異なるので、それぞれ法の趣旨に沿って、団体ごとに判断して特別に適切に対応することが基本であると……。
委員長(大谷かんすけ) 失礼いたします。
ちょっと音声のトラブルがありましたので、途中ですけどここで一旦休憩を挟ませていただきます。そのまま着席したまま待機いただければと思います。
午前11時47分休憩
………………………………………………………
午前11時50分再開委員長(大谷かんすけ) 失礼いたします。
ちょっと原因のほうが不明でして、ひょっとしたら途中でまた混線する可能性はあるんですけれど、マイクも必要ですので、このまま再開させてもらいたいと思います。
それでは再開いたします。
答弁の続きです。
■新行政課長(中之薗善明)■ 途中になっただが、まず1点目のお尋ねであった県としてどういう対応をしたかということについては、29年1月に県として各公社に通知を出して、それぞれ法律にのっとって対応するように通知を出して団体を指導したということである。
2点目であるが、就業規則の変更等といったことが行われてないのかということである。こういったことについては、職員の状況とか業務内容、経営状況など、団体によって勘案する状況が異なるので、それぞれ個別のケースに適切に対応するということが大事かなと思っている。
現時点で実態調査等は行っていないが、団体と労働者の間でトラブルになっているということは今のところ聞いていないので、このことから、各団体において適切に対応できているのではないかというように考えているところである。
■入江次郎■ ご答弁いただいた。
これは新行政課長と人事課長名で通知が出されている。今回の労働契約法の改正のポイントが二つあると思うのである。ここに書かれているとおりであるが、一つは、労働契約法第18条、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申し込みによって、無期労働契約に転換すること。これが一つあるのである。
もう一つは、これは雇い止め法理の法定化ということで、これは平成25年4月1日以降じゃなくて、それ以前から繰り返し繰り返し連続更新されているものについては、これは雇い止めできないという二つがあるのだが、一つずつ聞いていきたいと思う。
まず最初の18条のところなのだが、この間、資料を出していただいたら、県の出資団体で約1,000人が無期転換申込権利が発生している労働者がいると。これが明らかになっているのである。
労働基準法のパンフレットでは、この労働者に対して無期転換申込権が発生しているということを周知することが望ましいと書かれているのである。であるから、県は各団体に対して、それぞれ無期転換が発生する見込みのあるものを出すようにということで、数千人の資料を出させているのである。
ただ、労働者に対しては申込権が発生しているということを周知していないのではないか。これは労働局は無期転換の権利が発生したときには、各労働者に周知することが望ましいと、こういう指導をしているのだが、それこそすべきじゃないかと思うのだが、これをちょっと答弁を求める。
■新行政課長(中之薗善明)■ 厚生労働省の作ったパンフレットを参照すると、確かに今ご指摘いただいたような労働者にも周知することが望ましいというように書かれている。
私どものほうから公社に通知した内容というのは、先ほど申し上げたように、法の趣旨に沿って対応しなさいというふうに申し上げているが、具体的な内容としては、今おっしゃった点は当時の通知としては盛り込まれていない。
こういった状況において、私どもとしては、国などが周知していることで、一応は足りているんだろうと思うのだが、今後、雇い止めが社会的に問題になっていくという可能性もあるということも踏まえて、改めて法の趣旨を周知するなど、適切に対応していきたいなというふうに考えている。
■入江次郎■ これは周知の徹底を、ぜひしていただきたいというように思う。これは県が集めた各法人から出していただいた資料の中で、無期転換が迫っていると。今後、無期転換にしようとしていると。その理由として、これはほとんどが余人をもって代えがたい。事業の運営上、不可欠だと。だから法人は無期転換で無期雇用にしたいという意図がありありと出ているのである。
ただ、もう一つは、更新の期待権が発生し、雇い止めに該当するためと。だから、その人は求めてないけれども、これは雇い止め法理の現象が発生しているために雇い止めができないというように、こういう理由も含まれているのである。
だから、こういう人も踏まえて、申込権が発生しているということを周知していただくことを要望しておきたいと思う。
二つ目が、雇い止め法理の法定化というところである。これは、30年4月1日の雇い止めの申込権、無期転換の申込権が発生する以前の方なのである。30年4月1日以前にこの法改正がされたことによって、雇い止めがされることが見込まれると。それを踏まえてこの19条の法律ができたと思うのだが、例えばこれ、勤労福祉協会、これはお聞きになられたか。僕は独自に聞いたのだが、勤労福祉協会は、法改正は24年にされたのだが、27年に勤労福祉協会は嘱託員設置要綱、これを法改正の直後に変更しているのである。27年に変更して、今後の任用期限は4年を超えるものについては任用更新を行わないといっているのである。
これは勤労福祉協会に聞いて確認すると、これまで9年間ずっと繰り返し雇用してきたものを、29年3月31日に雇い止めしているのである。これはなぜかというと、この設置要綱を変更した、5年以内に変更したことを理由に、29年3月1日からはもう更新をしないと。それで雇い止めをしたと言っているのだが、これは行政課長が通達をした雇い止め法理の法令化、これは第19条である。繰り返し更新がされていた場合は、雇い止め法理の裁判判例に抵触すると。これは抵触すると思うのだが、これは一般論で聞きます。そういうやり方が正しいやり方かどうか。ここは部局審査じゃないので、一般論で聞くのであるが、繰り返し連続更新されていると。今回の雇用契約法が開催された直後に設置要綱を変更して、5年以上のものは、もう再任用しないと。
ただ、もう25年以前から、もうずっとこの人は繰り返し更新されているのである。ただ設置要綱を変更して5年以上過ぎているのに雇い止めをしている。こういう場合は、この法第19条に求めて正しい運用をしているかどうかという一般論で結構なのでお答えいただきたいと思う。
■新行政課長(中之薗善明)■ 個別具体の事例を挙げてご質問をいただいたが、ちょっと私もまだ詳細までは把握をしていないが、一般論ということで申すと、雇い止め法理の法定化ということで第19条が設けられたということでいくと、一般的に社会通念に反するような雇い止めというのはだめだというふうなルールになっている。
ということからすると、そういったことに該当するかどうかということになるかと思うのだが、もう一方でご本人がどういうふうに対応されたかと、本人同意があったかどうかとか、そういったこともちょっとよく分からないので何とも言えないのだが、要するに第19条の趣旨というのは、客観的な合理性がなく雇い止めをする。あるいは、社会通念に照らして妥当ではないというものはだめだという曖昧な書き方になっているので、それを個別具体にしっかり団体が判断できるように、我々としてはその判断ができるような支援をするということで、改めて周知をしていきたいというように考えている。
■入江次郎■ 改めて周知していただくということなので、この第18条の申込権が発生しているということについての労働者への周知と、第19条の期待権が発生していると、繰り返し繰り返し連続更新されている人は、これは雇い止め法理に照らして雇い止めができないということになっているので、その周知を改めて徹底していただきたいということを強く要望して質問を終わる。