議会報告

  • 2018年10月05日
    本会議

    第341回本会議 議案反対討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党県会議員団を代表して、上程中の議案中、議案第100号、第105号、第107号ないし第109号、第112号、第113号の7件に反対し、以下、主な理由を述べます。

    まず第100号議案「本人確認情報の提供、利用及び保護に関する条例及び個人番号の利用、特定個人情報の提供等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。

    本議案は、個人番号いわゆるマイナンバーの利用に関連し、県立農業大学校及び県立森林大学校の授業料、入学料、入学考査料の免除、また、県立総合衛生学院の授業料、入学料、入学考査料の免除、外国人に対する生活保護法の規定に準じて行う進学準備給付金の支給、特定不妊治療に要する費用に係る助成金の支給に関する事務を追加するものです。

    マイナンバー制度はすべての国民に原則不変の個人番号を付番し収入、所得に関わる個人情報を行政が容易に照合できる仕組みであり、その一番のねらいは税・保険料の徴収強化、社会保障の給付削減にあること、また、プライバシー侵害や情報漏えいで成り済ましなどの犯罪を状態化するおそれがあることから、わが党は、そもそもマイナンバー制度に反対しています。

    マイナンバーは制度が始まった当初から事故・事件が繰り返され、情報漏洩を完全に防ぐシステムは不可能です。国民は個人情報が外に漏れること、マイナンバーがらみの事件を大変心配しています。問題だらけのマイナンバーは今からでもやめるべきであり、マイナンバーを使う事務を拡大する本議案に反対します。

    次に議案第105号「建築基準条例の一部を改正する条例」についてです。

    建築基準法の一部改正により、防火地域及び準防火地域以外の市街地で、屋根不燃化区域内にある木造建築物等である2000㎡以下の学校、200㎡以下の映画館等の小規模な特殊建築物について、その外壁および軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならないとする基準が廃止されました。それに伴い、県が建築基準条例で独自に付加していた2階建てで1000㎡以下のホテル・旅館・下宿、150㎡以下の自動車修理工場に係る小規模な特殊建築物の異種用途区間に関する基準の適用等について、規制の廃止を行うものです。この間、消防力の向上があったとしても、小規模な特殊建築物は、例えば、2階からの避難経路は、屋内階段のみという場合が多く、県民の命と安全にかかわる防火対策規制の安易な緩和はすべきでないという立場から賛成できません。

    次に第107号議案「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業についての市町負担額の決定」についてです。

    国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について市町と農家に負担を求めるものですが、本事業はもともと公益的な事業であり、本来国で一元的、総合的に行うべきであり、市町負担そのものに反対です。

    第108号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」については、公共事業街路事業、県単独街路事業に含まれる県道園田西武庫線については尼崎市内を三菱電機敷地内を含め東西に走る道路で、総事業費198億円をかけて整備するものです。このうち三菱電機の敷地1万8600㎡の用地買収に約24億円、物件移動の保障費を合わせると100億円にも上り事業費の約6割が充てられるなど、従来から述べてきたとおり事業そのものに反対です。

    次に第109号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。

    これは、総事業費約958億円を投じ、淡路地区と神戸地区合わせて330ヘクタールに及ぶ巨大な公園整備をすすめるものです。これまで国が3分の2、県、市が6分の1ずつ負担、総額で815億円が支出され、県負担199億円、神戸市負担72億円となっています。

    淡路地区では、すでに総額約381億円が投じられ供用しています。残された未整備区域の内、改正都市公園法にもとづいて、約22ヘクタールの海岸ゾーンを3区画に分けて、整備しようとするものです。2016年度に基本計画検討委員会から約20億円にのぼる計画が提案され、2017年度も基本実施設計などに2500万円が、2018年度は、飲食やショッピングに供されるシースケープラウンジの調査、測量、敷地造成で約2億7000万円が予算計上され、国民のための公園が営利化されようとしています。

    また、神戸地区では、これまで約434億円が支出され、県負担約72億円、神戸市の負担も約72億円支出、2016年5月に一部開園されていますが、ここは隣接して、しあわせの村という広大な公園があり、公園整備事業として必要性のない国直轄事業に地元負担を求めるべきでないことから反対します。

    次は第112号議案「兵庫県行財政運営方針の策定」についてです。

    反対の第一の理由は人件費削減ありきの財政フレームになっているからです方針案では、財政運営の目標として、職員の3割減は維持しつつ、経常収支比率に占める人件費の割合を現状の36%から、2028年度には30%にまで抑えるとしています。これは将来の少子化を見込んだ教職員数の減ということです。

    近隣他府県と比べても大幅に遅れている35人学級を拡充するためにも、少子化を前提とした人件費削減ありきの財政フレームは認められません。

    第二は社会保障費削減の枠組みとなっているからです。

    社会保障関係費等で、県単独の社会保障費についても、国が示す自然増分に沿った枠組みにより、現状の34%から2028年度には40%程度に抑えようとするものです。これでは「住民福祉の向上」を本旨とした自治体本来の役割を果たすことはできません。国に対し財政措置を求めると同時に、行革によって削減された医療費助成制度の復活など県単独社会保障費の充実をすべきです。

    第三は、医療格差を固定化する保険医療計画を推進しているからです。

    「保健医療計画」では公立病院との再編・ネットワーク化を推進するとしています。

    本来、それぞれの医療圏域で完結されるべき医療提供体制が圏域毎では確保できないため圏域間の連携によって医療提供体制を確保しようとするものです。

    地域の医療格差をなくし、地域医療を充実させることは住民の切実な願いであり、行政に求められる最も大切な役割でもあります。不足している医療資源については圏域間連携でなく、圏域内完結を追及し充実に努めるべきです。

    第四は水道事業の広域化を推進しているからです。

    方針案では、「水道事業の広域連携を推進する」とし、経営改善を目的に、市町毎に設置している浄水場の統廃合や、自己水源から県営水道への転換など広域化を推進しています。

    今年7月の西日本豪雨災害では、県営水道の広域送水管が破断するという災害事故が発生しました。バックアップ管路の活用や、市の自己水源活用、節水呼びかけなどで断水という事態は危機一髪避けることができましたが、水道事業の広域化は、こうした災害時のリスクも広範囲に及びます。

    想定外の災害が次々と発生する中、経済性のみを追求する水道事業の広域化、水道施設の統廃合ではなく、国への予算措置も求めながら災害に備えたリスク分散こそ必要です。

    第五は教職員の働き方について具体的な改善策が示されていないからです。

    運営方針では、「教育施策」として、「ひょうご教育創造プラン」を挙げ、長時間労働が課題となっている教職員の働き方改革を行うとしています。

    しかしその解消方向は、「ワークライフバランスの実現に向けた『本気!』『前向き!』『全員参加!』を『3つの心構え』」として、意識改革を図ろうというものですが、これでは根本的な解決にはなりません。教育施策と教員の働き方改革で最も必要なことは、少人数学級の実現と教員定数の抜本的な増員です。

    第六は、進度調整地についての県民説明が果たされていないからです。

    少なくとも進度調整地については、「乱開発の防止」ではなく「経済性の発揮」を目的に企業庁が公社から買い受けた用地です。巨額の血税を投入しながら「経済性の発揮」という用地取得の目的を果たせないまま、事業の失敗を曖昧にし、県民への説明もないままこれまで通り「県有環境林としての活用」では、県民の理解は得られません。事業失敗の総括や、進度調整地の時価評価を県民に明らかにすべきです。

    反対の理由の最後です。方針案では高速道路をさらに115km延長する「8基幹連携軸構想」が打ち出されています。また、見直しが必要な産業立地促進条例については何ら提案されていません。産業立地促進条例は2012年に「雇用の創出」を大きな目的に作られ、設備補助金の約7割がパナソニックグループに支出されました。しかし今では「雇用の創出」より「人手不足」が地方ほど深刻です。「雇用の創出」から、「雇用の質の改善」へと条例の見直しが必要です。

    結局、本方針案は高速道路などの大型公共事業をさらに推進し、新たな借金をつくる一方で、社会保障費や県職員の枠を財政的に制限し、「選択と集中」の徹底として、県民の安全・安心の拠り所でもあり、地域創生の拠点ともなる公共施設の統廃合を次々と進めようとするものです。これでは、住民福祉増進という自治体本来の役割が十分に発揮できません。高速道路優先の大型公共事業推進の運営方針でなく、自然災害が多発する中で防災・減災型公共事業への転換、県民の福祉・暮らしが大切にされ、それを担う職員・公共施設の充実を求めます。以上の理由により本議案に反対します。

    最後に、議案第113号「兵庫2030年の展望の策定」についてです。

    提案されている「展望」案は、2011年(平成23年)に改正された「21世紀兵庫長期ビジョン」にある「2040年の目指すべき兵庫の姿」の中間的な位置づけとして社会情勢の変化なども踏まえて、示そうとするものです。

    産経新聞は「兵庫2030年長期ビジョンの展望・1次案に審議委員から不満続出」、井戸知事も「案ではきれいごとばかりが並んでいる」と書きました。

    2016年度と2018年度に開催された長期ビジョン審議会の声を一部ご紹介します。「社会についていけない人たちへの考えが入っていない、そういう人たちをどう社会参加させていくか考えていく必要がある」「子どもの貧困が広がっている。そういうことが解消されるイメージを」「大規模農業が大きく書かれているが、自分たちの農業、農村の将来像が描けない。大規模化だけで進んでいってよいのか疑問」「AIにしてもロボットにしても、次世代医療の在り方そのものが議論されていない段階で、流行のように並べても短期間では解決しない」「従来型の工場立地では田舎の人口増加は見込めない」等々、厳しい意見が多く出されていますが、「展望」案はほとんど反映されたものになっていません。

    また、大きな問題として、これまで国のもとでは「成長のため」「強い経済」のためといって、労働法制の規制緩和を繰り返し進めてきましたが、それがもたらしたものは、過労死、過労自殺、「心の病」のまん延です。労働者の命と健康が危機にさらされ、企業も経済も社会もたちゆかなくなる瀬戸際に立たされているのが今の日本社会ではないでしょうか。その上政府は、「働き方改革」の名のもとに、さらなる労働法制の規制緩和をしようとしています。

    「2030年の展望」では、「働き方改革」によりワークライフバランスが実現したとするバラ色の未来予想図が大きく描かれています。2011年に改正された長期ビジョンでも「雇用形態によらない給与の均等待遇」「生きがいを実現できるしごと環境づくり」を掲げていますが、仕事と生活の調和は実現するどころか、後退しているのではないでしょうか。

    こうした現実を前にして、「使い捨て」労働の旗振りをしてきた財界の当事者から、当時の労働法制の規制緩和は“間違いだった”という発言が相次いでいます。その内の一人が、政府の総合規制改革会議などの議長を10年以上も務めたオリックスの元CEO、現在はシニア・チェアマンの職にある宮内義彦氏です。宮内氏は、昨年12月の朝日新聞インタビューで、「貧富の格差が社会の亀裂を生んでいる。これを調和させるために社会が払うコストは高い。ここ5年ほどで、『そういう資本主義でいいのか』と疑問を抱くようになった。『昔言っていたことと違う』と言われるかもしれないが、時代にあわせて人は変わるべきだ。次の時代は、より分配に力を入れた社会をめざすべきだ」と語っています。

    宮内氏が議長をしていた時期の総合規制改革会議は、派遣労働の期間制限の緩和、裁量労働制の拡大、そして悪名高い「ホワイトカラー・エグゼンプション」=「残業代ゼロ制度」などを答申しています。この間、第2次安倍政権が強行した労働法制改悪のメニューのすべてが出てきます。ところが、その設計図を描いた当事者が、「いまは考え方が変わった」と言っており、「使い捨て」労働を主導してきた財界の当事者が、破たんを自ら認めているのです。

    「2030年の展望」の土台となる一つの方策が、ワークライフバランスどころか長時間労働をまん延させる「働き方改革一括法」です。また、「競争力のない農家は潰れてもかまわない」とする農業の大規模化の押しつけであり、「住み慣れた地域で介護や医療を」という耳触りの良い言葉のもと、地域医療構想による病床からの患者追い出しであり介護難民、療養難民を増大させています。

    「2030年の展望」では、県民の暮らしはよくならず、地域創生は実現しないことから賛同できません。

    以上で私の討論を終わります。ありがとうございました。

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