議会報告
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日本共産党県会議員団の庄本えつこです。日本共産党の2024年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。
齋藤元彦知事提案の当初予算案は、人口減への対応、若者・Z世代支援として高等教育の負担軽減や不妊治療支援、子育て世帯の転入・定住促進など若年層への対策を強化する施策を一定打ち出しています。
しかし、コロナ禍、物価高などであえぐ県民の暮らしや中小・小規模事業者への支援は乏しく、若者支援対策も十分とは言えません。
一方で、巨額の負債を抱え倒産して、その負債を解消し新たに事業展開が可能な大企業等への産業立地補助金や、将来の必要性の見通しがあいまいで、地元からも反対の声がひろがっている播磨臨海地域道路など過大・不急なゼネコン型の高速道路事業、都心への一極集中を加速する三宮再開発支援など大型開発事業などに前のめりの予算編成となっています。
日本共産党県議団は、県提案の2024年度予算案を県民の立場からチェックするとともに、県民の願いにこたえる予算として、24年連続となる予算組み替え動議を提案するものです。
組替えでは、まず全体の規模は、一般会計で見直しが必要な事業67項目、合計475億円(約2%)を減らし、そこから生み出された一般財源、特定財源など約169億円を、若者・子育て応援パッケージ、コロナ対策・福祉充実、中小企業・小規模農業支援、ジェンダー平等施策、脱炭素、災害対策など26項目の増額に充当しています。
また、県債の発行額を、一般会計と1つの特別会計で、204億円抑制しています。
それでは、主な内容について説明いたします。
第1の柱は、若者・子育て応援パッケージ施策です。
知事提案の県立大学の県内生学費無償化は、高すぎる学費に対し、県の負担軽減策の第一歩として評価しています。しかし、同時にそれでは不十分であると考え、一つは、県外生についても、兵庫に根を下ろし勉学に励まれている同じ学生として、無償化の対象にするべく9億円を増額しています。また、国の高等教育無償化の枠があまりにも狭いことから、年収が380万円~500万円未満世帯の学生に対し、1人年間15万円の給付制奨学金を措置するために、約5.2億円の予算を計上しています。
子どもの学校給食費負担は、切実です。小中の学校給食費の無償化を早期に導入することをめざし、まずは中学校での給食費を無償にするよう25.5億円を計上しています。
さらには、高校1年生で大きな負担になっているタブレット端末については、県が貸与措置している12000台に加え、約30000人分の貸与措置のために7.2億円計上しています。
子どもの教育支援の要は、少人数学級制です。小学6年生、中学1年生の35人学級制導入のために、教職員費を16.2億円増額します。
子どもの医療費について、現在41市町中37市町が、中学3年生まで無料化となり、24年度の各市町の予算案等によると27市町で高校3年まで無料化となります。組替え提案では、県の制度として中学3年までの通院を所得制限なしで無償化を行い、それぞれの市町の上乗せで全県での高校3年までの無料化をすすめるため、約60.5億円計上しています。
第3次行革で所得制限の強化、一部負担金の増額が行われた母子家庭等医療費助成費は、第3次行革前に戻すために、約1.1億円増額しています。
第2の柱は、医療・福祉、感染症対策の充実です。
新型コロナウイルスとともに、インフルエンザや溶連菌など種々の感染症がひろがっています。これら流行感染症への対応のために、10億円の予算を計上しています。
後期高齢者の医療費負担増が大きな負担となっており、高齢者の医療費負担軽減が求められています。私たちは、今回の提案では、老人医療費負担助成制度の復活のための予算を2.8億円計上しています。
さらには、重度障害者医療費補助を第二次行革プラン前にもどすために、8000万円、難病その他の特定疾患医療費のうち非課税者を従来どおり無料にするために3500万円を計上しました。
また看護師確保事業として、看護師学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。
私たちが繰り返し求めてきた高齢者補聴器購入補助について、県は、高齢者補聴器活用状況調査事業を単年度で終了しています。私たちは、この事業が恒久制度となるように引き続き要望するとともに、組み替えでは、3000人に4万円の補助を行う制度を提案しています。
高すぎる国保料の負担軽減策として、国が、未就学児の均等割の半額免除を実施している国保の子どもの均等割について組替え提案では、18歳までのすべての子どもの均等割を免除するために、10億円を計上しました。
第3の柱は、中小事業者、小規模農家支援です。
とりわけ中小企業に対し、融資を中心とした伴奏型支援ではなく直接支援が必要と考え、施策の充実をはかりました。
一つは、経営困難に陥っている中小・小規模事業者への経営継続を促す支援金として10億円計上しています。また、県内市町でも大きな実績をあげている中小企業店舗リフォーム助成事業、民間住宅リフォーム助成制度を新設し、あわせて1億2000万円を計上しています。
もう一つは、ジェンダー平等社会のために、ジェンダー平等促進中小企業支援事業費として、女性を正規職員として雇った中小企業に1人あたり100万円の補助金をだす事業を創設し、1億円計上しています。
兵庫農業の基盤を底辺から支えるのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。組替え提案では、とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、5000万円の予算を確保しました。
第4の柱は、脱炭素のための事業推進です。
気候危機対策のための温室効果ガス削減は待ったなしです。ところが、兵庫県には、いまだにCO₂を大量に排出する石炭火力発電所が既設で6基、新設で2基あります。これらを早く稼働停止、再生可能エネルギーなどに転換させるために、石炭火力発電所廃止促進事業費として、石炭火力発電所廃止条例制定に向けた調査費として300万円を計上しました。
また県の脱炭素化事業は、削減効果すらわからない水素事業が中心となっていますが、提案では、脱炭素化事業の中心を再生可能エネルギーに思い切って転換が図れるように、再生可能エネルギー普及総合支援事業費として約2億円計上しています。
第5の柱は、災害対策の拡充のための組替えです。
今年は、1月1日に能登半島地震が起こり、いまだに約1万人の方が避難生活、水道は1万5千件が出ないという状況です。今回の組替え提案では、土木職員13人の増員を行いました。当面は、能登半島地震の被災地支援、主には、土木、インフラの復旧などの支援を行います。
さらに、能登半島地震では家屋倒壊により多くの方が犠牲になられました。県内の耐震化をさらに促進するためにひょうご住まいの耐震化促進事業費を3億円増額しました。
第6の柱は、減額、削除する事業についてです。
播磨臨海地域道路や大阪湾岸西伸部など過大・不急の高速道路等事業費は約243億円、三宮再開発支援の27億円、大企業呼び込みのための産業立地補助金16億円、万博よりも能登半島地震支援をと批判が強まる万博関連予算を10.6億円、但馬空港、神戸空港事業の13億円、脱炭素の効果が見通せない水素関連事業1.1億円、急性期病床など病床削減をすすめるための予算35億円などを減額・削除しています。
不公正な同和行政が残る事業、マイナンバーや住民基本台帳ネットワーク関連事業、過大な情報ハイウェイなどの予算も見直し、削減しました。
以上が予算組み替え提案の主な内容です。
県予算においては、大企業中心の立地補助や、過大なゼネコン型事業投資優先ではなく、何より県民の暮らしと生業を優先に、若者・子育て支援の充実、中小企業・小規模農家支援、ジェンダー平等、気候危機対策、県民の命を守る防災などを充実・発展させる予算への転換を求め、委員各位のご賛同を心からお願いいたしまして、提案説明を終わります。ありがとうございました。